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死刑制度に関する質問主意書

衆議院 第152回 第16号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×1承知していない ×3

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2001年8月10日
内閣転送 2001年8月10日
答弁書受領日
2001年9月25日
提出から46日
答弁の項目数
27
質問 3,479字/答弁 7,916字

質問本文

先の国会で提出した「検事らの待遇と死刑執行などに関する質問主意書」に対する七月十七日付け政府答弁書(以下「七月答弁書」とする)の内容について質問するとともに、死刑制度全般についても問う。

一 検事らの高給

(1) 七月答弁書の別表一記載の給与額には、各種手当は含まれているか。含まれていないとすれば、各種手当について説明し、各種手当が最も多く支給されているケースについて、各区分ごとに年収額を示されたい。

(2) 七月答弁書によると、四十歳以上の民間企業従業員の平均年収は約五百七十万円で、企業規模百人以上かつ事業所規模五十人以上の「事務部長」でも平均年収は約千二百万円なのに、五十歳前後で年収二千万円を超える裁判官や検事の給与は高すぎないか。

(3) 弁護士の平均年収は約千五百万円と聞いているが、任官者の待遇をよくすることで、人材を集めているのか。

(4) 金融庁や内閣法制局などに出向中の検事は、出向先の職員と同等の給与か、それとも検事としての給与を支給されるのか。

(5) 七月答弁書によると、事務次官と同額以上の給与を受けている検事は六十四人、裁判官は二百五十一人とあるが、政府は事務次官の職務に比し、相当な待遇と考えているか。

(6) 報道関係者によると、財務省が先の「大蔵省汚職」を遺恨に思い、法務省予算を厳しく査定するため、法務省は検察捜査の捜査対象ともなりうる政治家に予算の陳情を繰り返し、東京地検特捜部などの検事が萎縮していると言われているが、事実か。

(7) 政府を構成する政治家、与党も含めて捜査対象とする検察の厳正さを確保するため、検事らの適当な待遇と法務省・検察庁などの職責に見合った予算について、政府は意を尽くしているか。

(8) 現在の公証人のあり方について、政府はどのように考えているか。見直しの必要性は認識しているか。

二 死刑

(1) 六月二十五日に欧州評議会の議員会議が日本などの死刑制度に関して行った決議で、非難された「少年の犯罪者、精神病又は知的遅延を持つ者に対する死刑の執行」は戦後、何件あるか。

(2) 同決議で非難された「死刑判決に対する強制上訴制度を欠いていること」について、なぜ強制上訴制度がないのか。

(3) 同決議で懸念された「死刑囚房において精神的な苦痛がこう進する状況」は戦後、何件把握しているか。

(4) 同決議は「死刑制度に対する公衆の高い支持のような死刑制度廃止に対する種々の障害は認識するが、これらの障害は欧州の経験が示すように克服することができ、また克服すべきものである」としているが、日本は克服できないと考えるか。あるいは克服する必要がないと考えているのか。

(5) 同決議が要求する「遅滞なく死刑執行に関するモラトリアムを実施し、死刑制度廃止に向けた必要な手段を採ること」は無視するのか。

(6) 同決議が要求する「死刑囚房現象の軽減(執行にかかわるすべての秘密性及び権利と自由のすべての不必要な制限の終了並びに判決後及び上訴後の司法的見直しへのアクセス拡大を含む)を目的として、死刑囚房における条件の改善を図ること」は無視するのか。

(7) 同決議は「欧州評議会と日本及び米国との間の価値の基本的な相違を深く嘆き、両オブザーバー国にその相違をなくすために真剣な努力を行うように促す」としているが、無視するのか。

(8) 七月答弁書によると、死刑制度の存続の問題は各国の「国民感情」「犯罪情勢」「刑事政策の在り方」などを踏まえて慎重に検討し、独自に決定すべきものとしているが、政府は現在の「国民感情」について、どのように認識しているか。各種世論調査の結果や動向、犯罪被害者の多様な意向などを踏まえて詳しく説明されたい。

(9) 現在の「犯罪情勢」について、各種統計を踏まえて詳しく説明されたい。こうした犯罪情勢に至った原因、政府のこれまでの対応、一連の警察不祥事が与えた影響などにも言及されたい。

(10) 現在の「刑事政策の在り方」について、政府の基本的な見解、これまでの具体的な政策を説明されたい。

(11) 七月答弁書は「死刑確定者等に対しては、その心情の安定が得られるよう種々の配慮に努めている」としているが、「種々の配慮」を具体的に説明されたい。

(12) 死刑にかかわる情報公開で、刑の執行を受けた人やその関係者に不利益や精神的苦痛を与えた具体的なケースを明らかにされたい。また他の死刑確定者の心情の安定を損なう結果を招いたケースを具体的に示されたい。それぞれプライバシーに配慮し、個別の事例が特定されない表現で答弁されたい。

(13) 七月答弁書は刑事司法手続きでの人権への配慮として「捜査段階から被疑者に対して弁護人を選任する権利が保障されている」ことを挙げるが、政府の司法制度改革審議会が意見書で公的な被疑者弁護制度を提言したように、現行制度では不十分ではないのか。

(14) 一九九八年六月十七日提出の「死刑制度などに関する質問主意書」に対する答弁書(以下「九八年答弁書」とする)によると、改正刑法草案は「死刑を存置するとしても、その適用をなるべく制限するのが望ましいとの考えに基づき」、現行刑法で死刑を定める罪の一部について、死刑を定めなかった。同草案策定時に「死刑を存置するとしても、その適用をなるべく制限するのが望ましい」と考えられたのはなぜか。現在と異同はあるか。

(15) 一九六三年三月十五日の法務省矯正局長依命通達が出された理由について、九八年答弁書は「死刑確定者の接見及び信書の発受についての監獄法の解釈運用につき、一部に疑義を差し挟む向きもあった」としているが、具体的にどのような「疑義」が差し挟まれたのか。

(16) 九八年答弁書によると、カナダが死刑を廃止した過程で「人間の尊厳を尊重する姿勢を示す必要があること」「死刑制度の存在により裁判官が正当に刑罰を科すことを回避しようとする心理的傾向を生みがちであること」などが指摘された。政府は「人間の尊厳を尊重する姿勢を示す必要」はないと考えるか。

(17) 日本においては「死刑制度の存在により裁判官が正当に刑罰を科すことを回避しようとする心理的傾向を生みがちであること」はないのか。

(18) 九八年答弁書によると、アメリカで死刑を廃止しているのは十二州とコロンビア特別区とされるが、各州区において死刑が廃止された経緯を説明されたい。また、死刑の廃止前と廃止後の死刑対象犯罪の増減についても具体的に明らかにされたい。

(19) 九八年答弁書によると、憲法前文の「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」は、平和主義の立場を宣明したもので、死刑の存廃や死刑に関する情報公開の具体的程度についての国の態度とは関係がないと考えているようだが、欧州評議会の決議などの「国際社会において」、死刑の存廃や死刑に関する情報公開の具体的程度が問題とされており、「名誉ある地位」を占めるには、関係あるのではないか。

(20) 九八年答弁書の冤罪に関する部分で、政府は「新たに検察官に証拠開示を義務付ける法律を制定する必要はないと考えている」としているが、司法制度改革審議会の意見書は、証拠開示についてどのように提言したか。そうした提言となった議論の経緯も説明されたい。

(21) 九八年答弁書で、政府は「我が国においては、令状主義及び厳格な証拠法則が採用され、三審制が保障されるなど、捜査公判を通じて慎重な手続により有罪が確定されている上、再審制度が保障されており、有罪を認定することについては、適正な判断がなされているものと考えている。加えて、死刑は、その言渡しを受けた者の生命を断つ極刑であり、一度執行されれば回復し難いこととなるものであるから、死刑の執行停止、再審又は非常上告の事由の有無等について慎重に検討するために、判決及び確定記録の内容を十分精査せしめているので、死刑を執行した者の中には誤判による無実の者が含まれていることはないものと確信している」としている。一連の制度を担う人的基盤も十分に整備されてきたと考えていいのか。司法制度改革審議会は裁判官、検事、裁判所職員、検察庁職員の大幅増員を提言したが、もしかすると、制度はあるが、人的基盤は不十分ということか。それで「確信」できるのか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の(1)について

検事らの待遇と死刑執行などに関する質問に対する答弁書(平成十三年七月十七日内閣衆質一五一第一三五号。以下「平成十三年七月十七日答弁書」という。)別表一の検事及び裁判官の年収額は、俸給・報酬額に、各区分に該当する者に対してそれぞれ一律に支給される初任給調整手当及び一時金(期末手当、勤勉手当及び期末特別手当)を合算した金額を試算したものである。

検事(検事総長、次長検事及び検事長を含む。)及び裁判官に支給される手当については、検察官の俸給等に関する法律(昭和二十三年法律第七十六号)第一条、裁判官の報酬等に関する法律(昭和二十三年法律第七十五号)第九条及びこれに基づく最高裁判所規則により、別表一のとおり定められている。

お尋ねの「各種手当が最も多く支給されているケース」の趣旨が必ずしも明らかではないが、各種手当の支給の対象となる職員及び支給し得る額の上限等は別表二のとおりである。

一の(2)について

裁判官は、憲法の定める分立している三権のうち司法権を担うものであり、その良心に従い独立して憲法判断を始めとする職権を行使するものであることから、憲法は裁判官につき相当額の報酬を受けることを保障している。

検察官は、刑事について、公訴を行い、裁判所に法の正当な適用を請求するなどの検察権を行使する等、その職務は、司法権の適正円滑な運営を図る上で極めて重大な職責を有し、準司法官的な性格を有するものであり、その職責については、他の一般政府職員とは異なった著しい特殊性が認められ、その職責及びその準司法官的性格にかんがみれば、裁判官に対する待遇に準じた待遇を受けるべきものである。

お尋ねの裁判官及び検察官の給与の額については、それぞれの職務と責任の特殊性に照らしてふさわしいものであること、超過勤務手当の支給がないこと、その重責にふさわしい適材確保の必要性等も満たすべきものであること等を考慮しつつ、民間企業の給与水準とのバランスにも配慮して、裁判官の報酬については裁判官の報酬等に関する法律によって、検察官の俸給については検察官の俸給等に関する法律によってそれぞれ定められていると理解しており、それぞれの給与の額は適正・妥当なものであると考えている。

一の(3)について

一の(2)についてで述べたとおり、検事及び裁判官の給与は、お尋ねの適材確保の必要性も考慮して定められているものと理解している。

一の(4)について

お尋ねのような出向中の検事に対しては、検事としての給与を支給している。

一の(5)について

検察官のうち、事務次官と同額以上の給与を受けている者は、検事総長、次長検事、検事長、最高検察庁の検事、検事正などであり、また、裁判官のうち、事務次官と同額以上の給与を受けている者は、最高裁判所長官、最高裁判所判事、高等裁判所長官、高等裁判所の部を総括する判事、地方裁判所長、家庭裁判所長などであるところ、これらの検察官及び裁判官は、いずれも重大な職責を担っており、事務次官と同額以上の給与を受けることは、相当な待遇であると考えている。

一の(6)について

御指摘のような事実はない。

なお、検察当局においては、常に厳正公平・不偏不党の立場から、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づいて、適宜適切に対処しているものと承知している。

一の(7)について

一の(2)についてで述べたとおり、検事の給与は、その職責等にかんがみ、現在のとおり定められており、また、法務省・検察庁の予算についても、国全体の予算の範囲内で適正に措置されていると考えている。

一の(8)について

公証人の任命については、現在、原則として、法務大臣が、公証人法(明治四十一年法律第五十三号)第十三条に定める者のうちから、公正中立に公証事務を行うのに適当と認められる者を任命している。また、同法第十三条ノ二の規定に基づく公証人の任命も行っているが、この場合には、法務大臣は公証人審査会の選考を経た上でこれを行っている。

このように、政府としては、公証人としてふさわしい者を任命し、その職務の遂行に当たらせているものと考えている。

二の(1)について

少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第五十一条第一項は、「罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。」と規定しており、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四百七十九条第一項は、「死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によって執行を停止する。」と規定しているところであり、これらの規定に違反して死刑を執行することはない。

お尋ねは、個々具体的な死刑執行に関する事項にかかわるものであることから、答弁を差し控えたい。

二の(2)について

我が国で死刑判決に対して自動的上訴制度が設けられていないのは、我が国の刑事司法手続においては、三審制の下で有罪の認定、刑の量定等について上訴が広範に認められ、また、死刑事件では必ず付される弁護人にも上訴権が付与されており、現に、死刑判決がなされた多数の事件で上訴がなされている状況にかんがみれば、自動的上訴制度を設けるべき実質的必要性に欠けるからであると考えている。

二の(3)について

一般的に、死刑確定者は、来るべき自己の死を待つという極限的な状況に置かれており、精神的動揺と苦悩に陥りやすいことが十分推測されるところであるが、御指摘の決議にいう「死刑囚房において精神的な苦痛がこう進する状況」の具体的な意味内容は必ずしも明らかではなく、個々の死刑確定者について、いずれがそのような状況に該当するものであるかを判断することは困難であること等から、答弁することはできない。

二の(4)について

政府としては、死刑制度の存廃は、我が国の刑事司法制度の根幹にかかわる重要な問題であるから、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等種々の観点から慎重に検討すべきであると考えている。我が国では、国民世論の多数が極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人、誘拐殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等にかんがみると、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科することもやむを得ず、死刑を廃止することは適当でないと考えている。

二の(5)から(7)までについて

お尋ねについては、平成十三年七月十七日答弁書二の(2)についてでお答えしたとおりであり、今後も、欧州評議会の様々な活動に協力し、友好関係を保ちつつ、死刑制度をめぐる論議等に関しては、我が国の実情、考え方について理解を得られるよう努力したいと考えている。

二の(8)について

国会閉会後に繰り返される死刑執行と世論調査などに関する質問に対する答弁書(平成十二年一月二十八日内閣衆質一四六第一七号)二の(三)、(六)及び(七)についてでお答えしたとおり、政府としては、旧総理府が昭和三十一年四月から平成十一年九月までの間に七回にわたり実施した世論調査の結果から、国民世論の多数は、死刑制度の存置はやむを得ないと考えているものと理解している。

なお、被害者が死亡した事件のうち加害者が無期懲役に処せられた事件や、加害者が死刑に処せられた事件においては、多くの被害者の遺族が証言等において、加害者を死刑に処することを希望する旨の心情を明らかにしているものと承知している。

二の(9)について

我が国の治安はこれまで主要先進国の中にあって比較的良好な状態にあったが、被害者が多数に及ぶ殺人、誘拐殺人、保険金目的殺人、暴力団構成員による銃器を用いた殺人等の国民生活の平穏を脅かす凶悪重大事犯が後を絶たない上、薬物や銃器の大量密輸入事件等の組織的犯罪も多発するなど、治安が悪化しつつあるのではないかと懸念される状況にある。

警察庁の統計によると、平成七年以降、刑法犯(道路上の交通事故に係る業務上過失致死傷又は重過失致死傷事犯を除く。以下同じ。)の認知件数は増加を続けており、平成十二年の件数は、二百四十四万三千四百七十件で、前年に比べ二十七万七千八百四十四件(十二・八パーセント)増加し、戦後最高の数値を記録した。一方、平成十二年の刑法犯の検挙人員は三十万九千六百四十九人で、前年に比べほぼ横ばいであるが、刑法犯の検挙件数は、五十七万六千七百七十一件で、前年に比べ十五万四千五百十三件(二十一・一パーセント)減少している。また、殺人、強盗、放火、強姦の凶悪犯に略取誘拐、強制わいせつを加えたいわゆる重要犯罪についてみると、平成十二年の認知件数は一万八千二百八十一件で、平成元年に比べ約二・一倍に増加したのに対し、検挙人員は九千九百五十四人で約一・七倍、検挙件数は一万千四十九件で約一・六倍の増加にとどまり、その検挙率は八十・三パーセントから六十・四パーセントに低下している。このように、全体として、認知件数の増加に検挙が追いつかず、検挙率が低下する傾向が認められる。

刑法犯の認知件数が増加している原因は、社会環境の変化、国際化の影響等の様々な事情が複雑に絡み合っていると考えられ、一概に述べることはできないが、検挙率が低下している原因は、新たに発生した重要犯罪等の早期検挙に重点を置かざるを得ない結果、窃盗等により検挙した被疑者の余罪解明率が低下していること、不法滞在外国人等による組織的犯罪の増加等により捜査が困難化していることなどの事情が複合しているところにあると考えられる。なお、警察職員によるいわゆる不祥事が、犯罪情勢に影響を与えたことを示す具体的な事実は把握していない。

これまで、政府においては、検察官及び警察官の増員等による体制の整備、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)等のいわゆる組織的犯罪対策三法等の各種法令の整備及びその適正かつ効果的な運用、科学的装備等の導入等による科学捜査力の強化、国内関係機関における連携の強化、外国捜査機関等との情報交換の強化等の諸対策を講じてきたところである。

二の(10)について

我が国の刑事政策においては、社会における正義を実現し、国民が安心して暮らせる安全な社会を確保することを基本的な目的とし、各種犯罪に厳正に対処し、適正な刑罰を適用実現するとともに、自由刑の執行等において犯罪者の適切な処遇によりその改善及び更生を図ることとしている。

このため、各般の刑事罰則や被害者保護等のための法令の整備を図り、その適正かつ効果的な運用に努めるとともに、犯罪者の適切な処遇のための矯正・保護行政の充実及び強化に努めているところである。

二の(11)について

お尋ねの「種々の配慮」については、死刑の必要性、情報公開などに関する質問に対する答弁書(平成十年二月十三日内閣衆質一四二第一号)三の2についてでお答えしたとおり、希望者には教誨師による宗教教誨の機会の付与、請願作業の奨励、短歌などの趣味面での余暇活動の援助、ビデオ視聴、菓子類の購入許可等の措置を講じているところである。

二の(12)について

御指摘のような事例は承知していない。

二の(13)について

被疑者又は被告人の弁護人選任権について定める憲法第三十四条及び第三十七条第三項に従って、刑事訴訟法等にはこれに関する詳細な規定が設けられており、政府としては、現行制度が不十分であるとは考えていない。

なお、司法制度改革審議会意見書においては、刑事司法の使命を一層適切に果たしうるような制度の改革が必要であるとして、被疑者・被告人の公的弁護制度の整備が提言されたものと理解している。

二の(14)について

改正刑法草案は、昭和四十九年、法制審議会から法務大臣に対して答申されたものであるところ、同草案において、死刑の適用をなるべく制限するのが望ましいと考えられたのは、死刑がその言渡しを受けた者の生命を断つ極刑であることから、罪責が著しく重大な凶悪犯罪に限って、これを科することとするべきであると考えられたことによるものと思われる。

政府としては、我が国における個別の事件における死刑の選択は、昭和五十八年七月八日最高裁判所第二小法廷判決において示された判断を踏まえて、極めて厳格かつ慎重に行われており、死刑は、罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対してのみ科されていると考えている。

二の(15)について

お尋ねの「疑義」とは、御指摘の通達の文面からすると、死刑確定者の接見又は信書の発受について、被告人に準じて取り扱うべきと解するか否か等、その制限の根拠や在り方に関するものであったことがうかがわれるが、現時点では、御指摘の通達の発出の経緯を把握することができる資料が存在しないため、お尋ねの「疑義」の詳細については、確たることをお答えすることはできない。

二の(16)について

人間の尊厳が最大限尊重されるべきものであることは当然であり、死刑の存廃は、これを前提として慎重に検討すべき問題であるところ、政府としては、国民世論の多数が極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人、誘拐殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等にかんがみると、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科することもやむを得ないと考えている。

二の(17)について

政府としては、我が国の刑事訴訟においては、厳正かつ慎重に審理を遂げた上、昭和五十八年七月八日最高裁判所第二小法廷判決において示された「死刑制度を存置する現行法制の下では、犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむをえないと認められる場合には、死刑の選択も許される」との判断を踏まえて、死刑の選択が行われているものと考えている。

二の(18)について

死刑制度などに関する質問に対する答弁書(平成十年八月二十一日内閣衆質一四二第六四号。以下「平成十年八月二十一日答弁書」という。)二の(7)についてでお答えしたアメリカ合衆国の死刑制度がない十二州及び一特別区において死刑制度が廃止された経緯について、詳細は承知していないが、調査し、把握した範囲でお答えすると、次のとおりである。

アラスカ州、ハワイ州においては、千九百五十七年(昭和三十二年)の準州時代に、死刑制度が廃止され、千九百五十九年(昭和三十四年)にそれぞれの州が成立したときから、死刑制度がないものと承知している。

アイオワ州においては、死刑制度は、千八百七十二年(明治五年)に廃止された後、千八百七十八年(明治十一年)に再び設けられたが、千九百六十五年(昭和四十年)に再び廃止されたものと承知している。

メイン州においては、死刑制度は、千八百七十六年(明治九年)に廃止された後、千八百八十三年(明治十六年)に再び設けられたが、千八百八十七年(明治二十年)に再び廃止されたものと承知している。

マサチューセッツ州においては、州最高裁判所が千九百八十年(昭和五十五年)の判決において死刑制度が州憲法に違反する旨判示したこと等を契機として、千九百八十四年(昭和五十九年)、死刑制度が廃止されたものと承知している。

ミシガン州においては、千八百四十七年(弘化四年)、州に対する反逆罪以外の罪について死刑が廃止され、千九百六十三年(昭和三十八年)、州に対する反逆罪について死刑が廃止されたものと承知している。

ロードアイランド州においては、死刑制度は、千八百五十二年(嘉永五年)に廃止された後、千八百七十二年(明治五年)に再び設けられたが、州最高裁判所が千九百八十四年(昭和五十九年)の判決において死刑制度が州憲法に違反する旨判示したことを契機として、同年、死刑制度が廃止されたものと承知している。

ミネソタ州においては千九百十一年(明治四十四年)に、ノースダコタ州においては千九百七十五年(昭和五十年)に、ヴァーモント州においては千九百八十七年(昭和六十二年)に、ウエストヴァージニア州においては千九百六十五年(昭和四十年)に、ウィスコンシン州においては千八百五十三年(嘉永六年)に、コロンビア特別区においては千九百八十一年(昭和五十六年)に、それぞれ死刑制度が廃止されたものと承知している。

これらの十二州及び一特別区において、死刑が定められていた犯罪の発生件数が死刑制度の廃止前後でどのように変化したかについては、これを的確に把握することのできる資料を確認することができなかった。いずれにしても、犯罪の発生原因には様々な要素が考えられるので、凶悪犯罪の発生件数の変化を死刑制度の存廃のみによって説明することは困難であると考えている。

二の(19)について

平成十年八月二十一日答弁書三の(14)についてでお答えしたとおり、憲法前文第二段中の御指摘の部分は、我が国が平和主義の立場に立つことを宣明したものであり、死刑の存廃や死刑に関する情報公開の具体的程度についての我が国の態度は、御指摘の部分の趣旨とは関係がないものと考えている。

二の(20)について

司法制度改革審議会意見書においては、刑事裁判の充実及び迅速化を図るための方策について、「第一回公判期日の前から、十分な争点整理を行い、明確な審理の計画を立てられるよう、裁判所の主宰による新たな準備手続を創設すべきである。」とした上で、「充実した争点整理が行われるには、証拠開示の拡充が必要である。そのために、証拠開示の時期・範囲等に関するルールを法令により明確化するとともに、新たな準備手続の中で、必要に応じて、裁判所が開示の要否につき裁定することが可能となるような仕組みを整備すべきである。」、「証拠開示のルールの明確化に当たっては、証拠開示に伴う弊害(証人威迫、罪証隠滅のおそれ、関係者の名誉・プライバシーの侵害のおそれ)の防止が可能となるものとする必要がある。」と述べられている。

同審議会は、平成十一年十二月に公表した論点整理において、「刑事裁判の充実・迅速化」を論点項目の一つとして取り上げ、同審議会が公表した議事録等から明らかなとおり、これについて様々な角度から調査審議を行った上で、刑事裁判の充実及び迅速化を図るための方策の一環として、右のとおり、新たな準備手続の創設、同手続において十分な争点整理を行うための証拠開示に関するルールの明確化等について提言したものと承知している。

二の(21)について

裁判所及び検察庁の人的基盤の整備については、これまでもできる限りの努力を行ってきたところである。

政府としては、死刑執行と法務省に関する質問に対する答弁書(平成十一年一月二十六日内閣衆質一四四第一号)三の(5)及び(6)についてでお答えした理由により、死刑を執行した者の中には誤判による無実の者が含まれていることはないものと確信しているのであって、このように確信していることと人的基盤の整備の必要性とは別の問題である。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×1承知していない ×3

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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