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北海道静内町立特別養護老人ホーム静寿園における殺虫剤散布に伴う健康被害に関する質問主意書

衆議院 第151回 第100号趣旨が明らかではない ×1

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2001年6月15日
内閣転送 2001年6月18日
答弁書受領日
2001年7月31日
提出から46日
答弁の項目数
6
質問 1,543字/答弁 1,789字

質問本文

北海道静内町立特別養護老人ホーム静寿園(入所者百二人)で、二〇〇〇年五月三十日から六月一日に行われた室内での害虫駆除処理後、入所者と職員計四十五人が健康被害を受け、うち、九人が入院するという事故があった。

害虫駆除には、スミスリン乳剤(有効成分フェノトリン)、スミチオンMC(有効成分フェニトロチオン)、ジェットVPくん煙剤(有効成分DDVP)の三種類の殺虫剤が使用されたが、一番多く使われた有機りん系農薬のジェットVPくん煙剤は、ビニールハウスで使用されるべく開発されたものである。

五月三十一日から入所者の中に食欲減退、発熱、咳嗽(ガイソウ)、喘鳴など身体の異常を訴えるものが出始めたが、作業は継続された。その後、入所者、職員四十五名が健康被害を訴え、九人が入院する事態に発展した。

処理二週間後の六月十三日、当該施設は施設内の換気、水拭き及び衣服等の洗濯を行った。六月十四日、静内町及び当該施設は静内保健所に健康被害の対応を相談した。静内保健所は六月十四日以降、入所者及び職員の血液検査を実施した。

六月十五日に薬剤の室内濃度及び居室の壁、床、棚、紙おむつ、タオル等のDDVP、フェニトロチオンの分析を行った。居室の床から最高二千四百 μg/m のフェニトロチオン、七・五 μg/m のジクロルボスが検出された。

静内保健所、北海道は四十五人もの被害者がでたにもかかわらず、その原因が特定されないとして散布業者の指導すらしていない。

こうした事態を踏まえて以下の質問をする。

一 室内にDDVPくん煙剤等の農業用有機りん系農薬を使用することはあってはならないことだと考えるがどうか。これを防ぐための指導をする国の機関はどこか。また、これを規制する法令は存在するか。

二 農水省は、農業用に使用される農薬については使用上の注意を守るよう指導しているが、農薬取締法上、用途外使用の指導はできないとしている。農薬は、登録時に使用作物、回数、濃度などが定められ、その要件下で一定の安全性が確保されているが、その登録要件以外の使用については安全性の確認はない。登録要件以外の使用方法を禁止できないのは不合理である。登録要件以外の使用を規制すべきだと考えるがどうか。

三 同様の事態を防止するために、薬事法その他による規制は可能か。もし、規制できないとすれば、生活環境で使用される薬剤の使用規制に関する新たな法令が必要と考えるが政府の見解はどうか。

四 農林水産省農産園芸局が平成十年四月に作成した「農薬中毒の症状と治療法」に「農薬名、症状および治療法 有機リン剤」の項目があり、「コリンエステラーゼ活性阻害」の症状として「〇軽症:倦怠感、違和感、頭痛、めまい、胸部圧迫感、不安感および軽度の運動失調などの非特異的症状、嘔気、嘔吐、唾液分泌過多、多量の発汗、下痢、腹痛、軽い縮瞳」があげられている。軽症の有機リン中毒の症状はこれ以外にないか。また、これらの症状が有機リン中毒であるということがどのように証明されたのか根拠を示されたい。

五 散布を実施した業者は、農薬取締法に基づく、防除業者の届けが昭和四十九年に受理され、さらに、建築物における衛生的環境確保に関する法律に基づく、建築物ねずみ昆虫等防除業登録を平成四年に行っている。今回の不適正な薬剤の使用に関して、業者は両法令の罰則規定に抵触しないか。また、厚生労働省はどのような指導をしてきたのか明らかにされたい。

六 静寿園の事故は、薬剤散布実施後、室内汚染の状況の調査もせず、人を入室させたことが一因であると考えるが、今後、薬剤処理業者に散布後の汚染状況調査(環境測定)を実施させることを義務付けるべきと考えるがどうか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

農薬は、農作物(樹木及び農林産物を含む。以下「農作物等」という。)を害する病害虫の防除又は農作物等の生理機能の調整を目的として使用するものであって、御指摘の事案については、農薬以外の室内の衛生管理の目的に沿った薬剤を使用すべきであったと考える。

建築物内で農薬が誤って使用されることを防ぐための指導をする国の機関は、農薬の安全性の確保に関する事務を所掌する農林水産省並びに建築物衛生の改善及び向上等を所掌する厚生労働省である。

また、建築物内で農薬が誤って使用されることを防ぐための特段の規制措置を定める法令は、存在しない。

二について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、農薬の使用については、農薬の製造段階において登録に係る使用方法の表示を義務付けるとともに、販売段階において当該表示のある農薬以外の農薬の販売を禁止することにより、その適正を確保すべきものと考えており、農薬の登録申請書に記載された使用方法と異なる使用に対する規制措置を農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)に設けることは考えていない。

三について

生活環境で使用される薬剤の規制に関する法律には、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保等を目的とする薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)のほか、次に掲げるものがある。

1 農薬の安全かつ適正な使用の確保等を目的とする農薬取締法

2 毒物及び劇物について保健衛生上の見地から必要な取締を行うことを目的とする毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)

3 有害物質を含有する家庭用品について保健衛生上の見地から必要な規制を行うことを目的とする有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(昭和四十八年法律第百十二号)

4 難分解性で人の健康を損なうおそれがある化学物質による環境の汚染の防止を目的とする化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和四十八年法律第百十七号)

これらの法律においては、それぞれの目的の実現を図るため、薬剤の有効性及び安全性の確認、製造業等の許可、毒性が強い物質の販売等の規制等、必要な規制措置が定められているが、その使用については、通常の使用量及び使用方法において毒性が特に強い物質を除き、規制はかけられておらず、お尋ねの事案において使用された三種類の薬剤についても、その使用については規制の対象となっていない。

今回のような事態を防止するためには、生活環境で使用される薬剤に関し、まずは安全な使用量及び使用方法に関する情報の周知及び徹底を図っていくことが適当と考えている。

四について

御指摘の「農薬中毒の症状と治療法」に掲げる軽症の有機リン中毒の症状の記述は、代表例として、財団法人日本中毒情報センターが編集している「急性中毒処置の手引」など既存の中毒の症例を収録した医学文献や学術論文等から抜粋し、列記したものであり、これら以外にも、例えば食欲不振、発熱、呼吸困難感といった症状も軽症の有機リン中毒の症状として医療機関から報告されているものと承知している。

五について

農薬取締法及び建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和四十五年法律第二十号。以下「建築物衛生法」という。)においては、お尋ねの防除業者の行為に対する罰則規定は存在しない。

また、当該防除業者については、建築物衛生法に基づく建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則(昭和四十六年厚生省令第二号)第二十九条の規定により、ねずみ、昆虫等の防除作業の監督者に六年ごとに防除作業に関する講習の受講が義務付けられているところであり、北海道知事においては、当該講習の受講状況の確認等を通じ防除作業の安全管理に関して当該防除業者に対して指導してきたところと承知している。

六について

建築物の衛生管理については、それぞれの建築物の管理者の責任の下で行われているものであるが、建築物の管理者や防除業者が建築物の衛生管理のために薬剤を使用する場合の安全の確保については、これらの者に対して、当該薬剤の安全な使用量、使用方法等に関する情報の周知及び徹底を図っていくことが適当であると考えている。今後とも、関係行政機関において、建築物の管理者、防除業者等に対する指導を充実し、薬剤の使用等についてより一層の安全管理を図ってまいりたい。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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