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POPs系農薬等に関する質問主意書

衆議院 第156回 第97号

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2003年6月10日
内閣転送 2003年6月11日
答弁書受領日
2003年9月5日
提出から87日
答弁の項目数
10
質問 2,507字/答弁 2,685字

質問本文

平成十四年八月三十日に「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)が閣議決定されました。同条約に挙げられているPOPs系農薬は、日本では、現在、使用されていないか、一度も使用されたことのないものです。しかし、過去において使用され、その後販売禁止・使用規制されたPOPs系農薬が、一九七一年に、農林省の指示で、埋設処理されています。また、POPsの一種ダイオキシンを含む農薬である、2,4,5−T、CNP、PCP、PCNB(いずれも登録失効)の農薬が省令で販売禁止されようとしています。このうち、一九七一年に林野庁の指示で埋設処理された2,4,5−T系農薬については、同庁が一九八四年に埋設個所の所在場所を調査・公表し、その後、目視調査や、定点の環境調査が実施されています。また、CNPは一九九九年に、PCPとPCNBは、二〇〇一年四月に、農水省が回収を指導しています。

一方、埋設処理されたPOPs系農薬については、農水省が二〇〇一年に実態調査を実施し、同年十二月に、結果が都道府県別一覧表のかたちで発表され、全国一七四個所に約三七〇〇トンの農薬が埋設されていたことが明らかになりました。さらに、同月、環境省からは、埋設農薬調査・掘削等暫定マニュアルが公表され、自治体又は農協等が事業主体となり、調査・掘削・保管するよう求められました。

そこで、以下の点をお尋ねしますので、回答のほどよろしくお願いします。

(1) POPs条約の第六条には、「ストックパイル及び廃棄物から生ずる排出を削減し又は廃絶するための措置」の条項があり、POPs系農薬やダイオキシン含有農薬の廃棄物や回収物についても、適切な処理をすることが求められています。

過去において農水省の指示で埋設されたり、すでに回収されているもの、さらに、現在、農家が保有しているPOPs系農薬等について、今後、どのように処理なされるのか、考えをお示しください。

(2) POPs条約第十条には、「残留性有機汚染物質に関するすべての入手可能な情報を公衆に提供すること。」との条項があります。しかし、農水省が二〇〇一年十二月に公表したPOPs系埋設処理実態調査結果では、都道府県別薬剤別数量が明らかにされただけで、埋設場所の所在等が明らかにされていません。

所在地名を公表した上、それぞれの場所での埋設状況を明らかにしてください。

(3) 二〇〇一年以後、農薬埋設個所で環境調査等が実施されたところは、どこで、その結果はいかようなものでしたか、その内容をお示しください。分析データなどがあれば、埋設個所毎に、わかりやすく、お示しください。

(4) 前記調査した個所のうち、農薬の漏洩などが確認され、掘削・保管を実施することになったのは、どこですか。

環境省が二〇〇一年十二月に発表した「埋設農薬調査・掘削等暫定マニュアル」では、周辺住民に掘削作業内容を周知することを求めています。地元に対してどのような説明がなされていますか。また、具体的な埋設場所、埋設状況、環境調査結果、埋設農薬数量、今後の保管計画、処理計画をお示しください。

(5) 二〇〇一年の農水省発表以後、判明したPOPs系農薬の埋設個所がありましたら、その所在地毎に農薬種類別数量、埋設状況をお示しください。

(6) 農水省が実施しているPOPs系埋設農薬やダイオキシン含有農薬の処理技術の開発状況について、検討機関名、検討内容と検討結果をお示しください。

(7) 昨年九月に、環境省がPOPs対策検討会で提示した資料「農家段階でのPOPs農薬等の保管実態にかかるモデル調査」によると、「(1)一〜二%程度の農家が現在もPOPs農薬を保管している可能性がある。(2)POPs農薬を保管している農家は、平均で一戸あたり一kg程度と考えられる。」と報告されています。

すでに、農薬業界や自治体、農業団体の中には、農家手持ちの残・廃農薬の回収を実施しているところがありますが、回収団体毎に、回収結果はどうなっているかをお示しください。また、回収された農薬の中には、どの程度POPs系農薬及びダイオキシン含有農薬が含まれていましたか。POPs系農薬やダイオキシン含有農薬があった場合、その保管及び処理については、どのようにされていますか。

(8) 昨年発覚した無登録農薬の中で、最も数量が多かったのは、PCNBですが、回収された無登録製剤の中のダイオキシン含有量は〇・九七〜三・四ng−TEQ/gと発表されました。分析結果について、異性体別の実測値をお示しください。

また、回収された登録及び無登録のPCNB製剤数量、保管状況及び処理状況について、該当都道府県別にお示しください。

(9) 2,4,5−Tの埋設個所の状況につき、最近十年の調査結果を、埋設個所毎に明らかにしてください。また、POPs条約の閣議決定を踏まえ、埋設された2,4,5−Tの処理を今後どうするか、お考えをお示しください。

(10) 農薬取締法第一条の三に「農林水産大臣は、農薬につき、その種類ごとに、含有すべき有効成分の量、含有を許される有害成分の最大量その他必要な事項についての規格(以下「公定規格」という。)を定めることができる。」という条文があります。

農薬中のダイオキシン含有量について、公定規格を設定すべきと考えますが、いかがお考えですか。

(11) POPs系農薬であるドリン系薬剤は、作物残留性や土壌残留性が大で、登録が失効して四半世紀を経る現在も、いまだ、キュウリ等への残留がみられ、基準値を超える場合が、しばしばあります。最近でも、東京都多摩地区や山形県などで、キュウリやその栽培土壌に、ディルドリン等が検出されています。同剤は、一九八一年に、化学物質審査製造等規制法で「特定化学物質」の指定を受けるまで、家庭用殺虫剤やシロアリ防除剤としても使用されていました。農耕地におけるドリン剤汚染原因を究明し、その除去及び農作物への残留をなくすために、どのような施策をすすめておられますか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

(1)及び(6)について

アルドリン、クロルデン、ディルドリン、エンドリン、ヘプタクロル、DDT(一・一・一―トリクロロ―二・二―ビス(四―クロロフェニル)エタン)、2,4,5―T(二・四・五―トリクロロフェノキシ酢酸)、CNP(二・四・六―トリクロロフェニル―四―ニトロフェニルエーテル)、PCP(ペンタクロロフェノール)又はPCNB(ペンタクロロニトロベンゼン)を有効成分とする農薬(以下「有機塩素系農薬」という。)を安全に処理するための技術開発については、財団法人残留農薬研究所に委託して、平成十二年度から、メカノケミカル法(回転する円筒内に鋼球等を入れた粉砕器で物質を粉砕する際に化合物が分解しやすくなることを利用して、常温・常圧で有機塩素系農薬を分解する技術)、ジオメルト法(処理対象物に設置した電極に通電することにより生じた約二千度の高熱によって、有機塩素系農薬を分解する技術)等の技術について、当該技術を用いた場合の有機塩素系農薬の分解率及び有害物質の生成の有無の検討を進めるとともに、実証試験を行っているところであり、現在保管されている有機塩素系農薬について、引き続き適切な管理を図るとともに、これらの技術を用いて有機塩素系農薬の適切な処理を進めてまいりたい。

(2)について

農林水産省においては、「埋設農薬の実態調査について」(平成十三年六月五日付け十三生産第千七百三十八号農林水産省生産局長通知)により都道府県に依頼した実態調査(以下「実態調査」という。)の結果を取りまとめ、平成十三年十二月に公表したところであるが、具体的な埋設場所については、犯罪の予防その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあることから、明らかにできない。

(3)について

都道府県からの聞き取りによれば、実態調査の対象となった農薬の埋設場所及び平成十三年十二月以降新たに判明した農薬の埋設場所について、同年十二月から平成十五年八月までの間において都道府県が実施した周辺環境への汚染の有無の確認調査(以下「環境調査」という。)の実施状況は、別表第一のとおりである。

(4)について

都道府県からの聞き取りによれば、環境調査の結果、農薬の漏えいが確認されたこと等により、掘削及び倉庫等への保管を実施することとなった農薬の埋設場所、埋設状況、環境調査の結果、埋設量及び周辺住民に対する掘削作業内容の周知状況は、別表第二のとおりであり、いずれの場合においても、安全な処理技術が開発されるまでの間、施錠のできる倉庫に保管することとしている。

(5)について

実態調査の公表以降、滋賀県内において、ディルドリンを有効成分とする農薬が地下一メートル程度の深さの地点に埋設されている場所が一か所、ディルドリン及びDDTを有効成分とする農薬が地下一メートル程度の深さの地点に埋設されている場所が一か所あることが新たに判明しているが、農薬の埋設量は不明である。

(7)について

都道府県からの聞き取りによれば、平成十年度から平成十四年度までの間において農家等の使用者から回収された農薬の回収団体別の回収量及びそのうち有機塩素系農薬の回収量は、別表第三のとおりであり、当該農薬については、施錠のできる倉庫への保管等がなされている。

(8)について

平成十四年において農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号。以下「法」という。)第二条第一項の登録を受けずに販売されていたPCNBを有効成分とする農薬から検体として抽出した三つの農薬について、財団法人残留農薬研究所に委託し、ガスクロマトグラフィー質量分析計によりダイオキシン類の含有量を分析した結果得られた異性体別の実測値は、別表第四のとおりである。

製造業者からの聞き取りによれば、法第二条第一項の登録を受けていたPCNBを有効成分とする農薬であって、平成十四年四月から平成十五年六月までの間において農林水産省の指導により製造業者が回収したものの都道府県別の回収量は、別表第五のとおりであり、当該農薬については、各製造業者が施錠のできる倉庫に保管している。また、都道府県からの聞き取りによれば、平成十四年において同項の登録を受けずに販売されていたPCNBを有効成分とする農薬の都道府県別の保管量は、別表第六のとおりであり、当該農薬については、販売業者等が施錠のできる倉庫等に保管している。

(9)について

2,4,5―Tを有効成分とする農薬の埋設場所については、林野庁に設置された「2,4,5―T剤検討委員会」(以下「検討委員会」という。)の検討結果を基に、最近十年間では、平成六年度及び平成十一年度において周辺の土壌調査が実施されている。

これらの調査は、それ以前の調査の結果を踏まえ、四国森林管理局四万十森林管理署管内の埋設場所について、再度調査を実施したものであり、その結果、検討委員会において、当該農薬に含まれるダイオキシン類はほぼ埋設された位置に固定されており、地域住民の生活に影響を及ぼさないことが改めて確認されるとともに、埋設場所の立入り及び土壌かく乱行為の禁止措置等を引き続き実施していくべきことが取りまとめられたところである。

この取りまとめに即して、今後とも埋設場所の適切な管理を徹底するとともに、埋設された当該農薬について、安全に分解する技術が開発された場合には、学識経験者の意見を聴いた上で、適切に対処してまいりたい。

(10)について

農林水産省においては、法第二条第一項の登録を受けている農薬のうちダイオキシン類を含有するおそれのある百二十七種類の農薬について、ダイオキシン類が含有されていないことを確認しており、また、今後もダイオキシン類を含有する農薬の登録が行われることは想定されないことから、農薬中のダイオキシン類の含有量について、公定規格の設定を行う必要はないものと考えている。

(11)について

農地におけるアルドリン、ディルドリン及びエンドリン(以下「ドリン類」という。)による汚染原因については、過去の農薬等の使用に関する記録が残っていないこと等から、明確にすることが困難な状況にあるが、農林水産省においては、ドリン類の土壌からの除去及び農作物への残留をなくすための施策として、微生物を利用したドリン類の分解技術、ドリン類の吸収の少ない栽培技術等の開発を進めるとともに、ドリン類が検出された土壌ではドリン類を吸収しやすいきゅうり等の農作物の栽培を行わないよう指導の徹底に努めているところである。

衆議院の原文

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