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残留農薬に関する質問主意書
衆議院 第143回 第11号
質問本文
ポストハーベスト農薬をはじめ、各国では異なるルールで化学物質が食品に用いられている。我が国においては違法と考えられるポストハーベスト農薬が用いられている食品が、取り締まられないまま輸入されているとの声もある。
よって以下質問をする。
一 食品の製造過程において、保存の目的で食品に添加された許可されていない化学物質が検出された食品の取り扱いについて、見解を明らかにされたい。
二 アメリカでポストハーベスト農薬として使われる二・四 ― Dについて
1 どのような性質をもった化学物質であると政府は考えるのか。見解を詳しく説明されたい。
2 人の健康を損なう可能性がないといえるか。健康を損なうおそれがあると考えるとすれば、日本においては使い方に制限はあるのか。
3 日本子孫基金(以下、基金)が一九九八年九月に発行した「食品と暮らしの安全」一一三号によれば、基金が財団法人日本食品分析センターに委託して調査を行った結果、「一般栽培レモン三個のうち二個から二・四 ― Dが検出されました。検出値は〇・三八ppmと、〇・三五ppm(果物全体をつぶす全果の検査結果)。」「今回のレベルで検出されるほど二・四 ― Dを収穫前にかけたら、木は枯れてしまいます。収穫後に使用したことは確実です。」とあるが、承知しているか。承知しているとすれば、政府の見解を明らかにされたい。
4 3に述べた事実を承知しているとすれば、なんらかの対処を行ったか。行ったとするなら、いつ、何を、どう行ったか詳細に説明されたい。
5 同「食品と暮らしの安全」一一三号によれば、「二・四 ― Dは、まさに定義ピッタリの『保存を目的』とした違法『添加物』です。」とあるが承知しているか。承知しているとすれば、政府の見解を明らかにされたい。
三 殺菌剤ビテルタノールについて
1 どのような性質をもった化学物質であると政府は考えるのか。食品衛生法第六条に照らして見解を詳しく説明されたい。
2 人の健康を損なう可能性がないといえるか。健康を損なうおそれがあると考えるとすれば、日本においては使い方に制限はあるのか。
3 基金が一九九八年八月に発行した「食品と暮らしの安全」一一二号によれば、「別々の店で購入した六品目すべてから殺菌剤のビテルタノールが検出され」、その値は、〇・一五〜一・六ppmに達しているとあるが、承知しているか。承知しているとすれば、政府の見解を明らかにされたい。
4 このビテルタノールは、収穫後に保存の目的で使用されているので、違法添加物だと基金は主張している。検出されたビテルタノールについて、厚生省の見解を明らかにされたい。
5 基金の「食品と暮らしの安全」一一三号によれば、「厚生省食品化学課・池田年仁課長補佐は『業界に問い合わせたら、収穫前に使用したと答えたので、検出された殺菌剤はシロ』と回答。」とあるが、事実か。事実であるとすれば、「業界」とは何かまたは誰を指すか。何を、誰に対し、どのような状況で、いつ尋ね、どのような回答を得たのか、詳しく説明されたい。また、それに対する政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の食品の製造の過程において保存の目的で使用される物質は、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号。以下「法」という。)第二条第二項に規定する添加物に該当し、添加物については、天然香料及び一般に食品として飲食に供されているものであって添加物として使用されるもの並びに既存添加物として法第六条の規定が適用されないものを除き、同条の規定により人の健康を損なうおそれのない場合として厚生大臣が定める場合を除いては、その販売等が禁止されている。
法第六条により販売等が禁止されている添加物が用いられた食品が発見された場合には、法第二十二条の規定に基づき、厚生大臣又は都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、その長)が当該営業者等に当該食品を廃棄させ、その他営業者に対し食品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命ずる等の措置を講ずることとなる。
二の1について
御指摘の二・四 ― D(二・四 ― ジクロロフェノキシ酢酸)は、分子量が二百二十一・〇、融点が摂氏百四十・五度であって、アミン等と水溶性塩を形成する強酸である。国連食糧農業機関(以下「FAO」という。)及び世界保健機関(以下「WHO」という。)による合同残留農薬専門家会議の毒性評価では、一日摂取許容量(人が生涯にわたり毎日摂取し続けたとしても、安全性に問題のない量をいう。以下同じ。)は体重一キログラム当たり〇・〇一ミリグラムであるとされている。また、米国においてかんきつ類に収穫後に使用される物質としては、二・四 ― Dの誘導体である二・四 ― Dアルカノールアミン塩及び二・四 ― Dイソプロピルエステルの二種類があると承知している。
二の2について
お尋ねの二・四 ― Dについては、厚生省において、農薬として用いられた場合人の健康を損なうことのないよう、FAO及びWHOによる合同食品規格委員会や米国における考え方と同様に、ラット等の動物を用いた各種毒性試験の成績に基づいて、一日摂取許容量を定めている。
また、二・四 ― Dが含まれる農薬は、我が国では水稲や日本芝等に適用する除草剤として使用されているが、農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)においては、登録を受けていない農薬の販売が禁止されているとともに、登録に当たり、人の健康等に影響を与えない使用方法等を当該農薬の製造業者等が登録申請時に提出する適用農作物の範囲及び使用方法、貯蔵上又は使用上の注意事項等を記載した書類等により検査を行い、及び当該農薬の販売に当たり、製造業者等がこれらの事項を容器又は包装に表示しなければならないとされている。
二の3から5までについて
御指摘の「食品と暮らしの安全」一一三号において御指摘の記載があることは承知している。
当該記載及び本年八月十一日付けで日本子孫基金(以下「基金」という。)から厚生省に送付された「違法レモンの取り締まりに関する申し入れ」を受けて、厚生省において、青果物の輸入業者の団体である社団法人日本青果物輸入安全推進協会(以下「日青協」という。)に対し、レモンを日本に輸出している国における二・四 ― Dの使用状況を照会したところ、米国では収穫後のレモンに対してへた落ち防止の目的で使用されているとの回答を得たところである。
法第二条第二項に規定する食品の保存の目的とは、かび等による食品の腐敗又は変敗の防止を直接の目的とすることを意味するものと考えており、御指摘の米国で使用されている二・四 ― Dについては、その使用目的が収穫後のかんきつ類のへた落ち防止である場合には、御指摘の「保存を目的」とした添加物には該当しないと考える。
三の1について
御指摘のビテルタノール(一 ― (ビフェニル ― 四 ― イルオキシ) ― 三・三 ― ジメチル ― 一 ― (一H ― 一・二・四 ― トリアゾール ― 一 ― イル)ブタン ― 二 ― オール)は、分子量が三百二十七・四、融点が摂氏百三十六・七度であって、中性、酸性及びアルカリ性において安全な有機化合物である。厚生省の食品衛生調査会による毒性評価では、一日摂取許容量は体重一キログラム当たり〇・〇〇一五ミリグラムであるとされている。また、法第六条の規定に基づく厚生大臣により人の健康を損なうおそれのない場合として定められていないことから、現在、我が国において、ビテルタノールを添加物として販売すること等は禁止されている。
三の2について
ビテルタノールについては、法第七条第一項の規定に基づく食品、添加物等の規格基準(昭和三十四年厚生省告示第三百七十号)の中で食品ごとに残留許容量を定めており、この許容量内の摂取は、安全性に問題はないものと考えている。
また、ビテルタノールが含まれる農薬は、我が国ではりんご、なし、もも等の果樹、きゅうり、メロン等の野菜、ばら等の花き、芝等に対する殺菌剤として使用されているが、二の2についてで述べたとおり、農薬取締法に基づく登録を受けていないものの販売は禁止されているとともに、登録に当たり申請された適用病害の範囲、使用方法等を当該農薬の販売に当たり、製造業者等がその容器又は包装に表示しなければならないとされている。
三の3から5までについて
御指摘の「食品と暮らしの安全」一一二号に、エクアドル産バナナ六品目からビテルタノールが検出され、その値が〇・一五ppmから一・六ppmに達している旨の記載があること及び「食品と暮らしの安全」一一三号に御指摘の厚生省の担当者の回答が記載されていることは承知している。
しかしながら、我が国においては、食品、添加物等の規格基準の中で、バナナについては果柄部を除去したもの、すなわち、果皮及び果肉を検体として農薬の残留量を測定することとされており、御指摘の記載は果皮を検体として検査した結果であることから、当該検査結果をもって直ちに法第七条第二項に違反するものとは判断できないと考えている。
また、当該記載及び本年七月十五日付けで基金から厚生省に送付された「違法バナナの取り締まりに関する申し入れ」を受けて、厚生省において、日青協に対し、エクアドル産バナナに関するビテルタノールの使用状況を照会したところ、ビテルタノールはバナナの栽培中に枯葉病の防除用に散布されており、収穫後には使用していないとの回答を得たところである。御指摘の厚生省担当者の回答は、日青協の回答に基づいて、基金に対し、エクアドル産バナナに関して収穫後にビテルタノールが使用されたという事実は確認されなかった旨を述べたものと承知している。
御指摘のエクアドル産バナナのビテルタノールについては、その使用が栽培中であった場合には、法第二条第二項に規定する食品の加工又は保存の目的で使用された場合には該当しないことから、添加物には該当せず、法第六条との関係で問題は生じないものと考える。
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