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わが国周辺に遺棄された旧軍化学兵器の実態解明と無害化についての質問主意書
衆議院 第153回 第3号お答えすることは困難 ×3検討してまいりたい ×1個別の事案 ×1
質問本文
昨年十一月に福岡県苅田港から引き揚げられた旧軍の爆弾について、政府はこれが老朽化した化学兵器にあたり、化学兵器禁止条約にしたがって無害化処理するとの方針を明らかにした。苅田港及び新門司港において進められている公共工事の現場では、引き続き多数の遺棄毒ガス弾の存在が懸念されており、早急にすべての回収・無害化をすすめることが住民や港湾関係者、工事従事者の安全を守るために焦眉の課題となっている。
また、既に一九九七年四月に発効した化学兵器禁止条約にもとづく中国大陸での遺棄化学兵器の処理が日中両国政府の合意の下で進められつつあるが、わが国においては広島県大久野島における忠海兵器製造所と北九州市の曽根兵器製造所を中心に毒ガス兵器が大量に製造され、第二次世界大戦終結前後にそれらが埋設または海洋投棄処分されたことが政府答弁等で明らかにされている。これら遺棄毒ガス兵器は、戦後長きにわたって、漁船の魚網にかかった際に有毒物質が漏出して死傷者を出したり、埋設処分地の土壌が砒素汚染されるなどの被害をひろげてきた。
一九七三年に政府は旧軍の毒ガス弾についての全国調査を行い、その後国会答弁において終戦時、国内十八箇所で毒ガス兵器を貯蔵し、その後八箇所の海域に投棄処分したことを明らかにした。しかし、調査の全容は現在まで明らかにされておらず、その後の処理についても政府は公表しないまま推移している。
そこで、次の事項について質問する。
一 化学弾が発見された苅田港や新門司港について、確認されたものの無害化処理を急ぐとともに、周辺域における遺棄弾の存在を徹底的に調査し、処理と万全な安全策を期すことが必要と考えるが、どうか。あわせて、現状と今後の見通しを関係自治体と住民に十分に説明すべきと考えるが、どうか。
二 国内での遺棄化学兵器の処理をすすめ、無用の被害を防止するために一九七三年にまとめられた「旧軍毒ガス弾等の全国調査」の全容をすみやかに公表すべきと考えるが、どうか。また、この度の化学弾の発見が示すように、終戦時の処分はこの「全国調査」の後に明らかにされた八箇所の海域への投棄処分にとどまらないことは明白であり、あらためて全国的に調査を実施すべきではないか。
三 国会答弁等で明らかになっている別府湾、周防灘、大久野島周辺、高知沖、銚子沖、遠州灘、相模沖、新潟港、陸奥湾、浜名湖周辺等での海洋投棄やその後発見された屈斜路湖周辺での投棄・集積などについての経過や実態を調査すると共に、必要な無害化処理について具体化して計画を明らかにすべきと考えるが、どうか。
四 旧軍の化学兵器の研究開発の経過や仕組み、実戦での使用例などを調査し、公表すべきと考えるが、どうか。
五 わが国における化学兵器製造について、被害実態究明のためにも原料採掘や供給、輸送業務にあたった企業や人員、製造所などでの臨時工や学徒動員による人員の関与など開発、製造、流通の全分野における仕組みの全容を解明し、公表すべきと考えるが、どうか。
六 化学兵器製造や輸送業務に関わって後遺障害をもつようになったすべての関係者に対してはもちろん、戦後の処理業務や不測の事故によって被害をうけた人たちについても調査を行い、万全の補償を行うべきと考えるが、どうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
苅田港内で発見された旧日本軍(以下「旧軍」という。)の化学弾と認められるもの十八発並びに同港内及び関門港新門司区沖で発見された旧軍の化学弾の可能性のあるもの三十九発については、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約(平成九年条約第三号。以下「化学兵器禁止条約」という。)の規定に従い、早期かつ安全に廃棄すべく、関係地方公共団体とも連携しつつ廃棄の計画等について所要の調整を行っているところであり、今後処理を進めていくに当たっては、現状と今後の見通しを含め、関係住民に必要な説明がなされるよう努めてまいりたい。
また、お尋ねの苅田港等の周辺海域の調査については、今後、実施の必要性を含め関係省庁等の間で連携を密にして検討してまいりたい。
二について
お尋ねの「旧軍毒ガス弾等の全国調査」(以下「旧軍毒ガス弾調査」という。)については、昭和四十八年に大久野島毒ガス問題関係各省庁連絡会議により取りまとめられた「旧軍毒ガス弾等の全国調査の結果について」等において、調査方法及び調査結果を既に公開しているところである。
旧軍毒ガス弾調査は、旧軍の化学兵器等の保有及び廃棄の状況に関する資料のほとんどが終戦時に処分されてしまっていたこと、また、旧軍の機密に属していたと考えられる化学兵器等に関する情報に関与し得た人々の多くが故人となっていたこと等により、終戦後の旧軍の化学兵器等の廃棄の状況を把握することが困難な中で、可能な限り情報を収集して行われたものであり、その当時から更に三十年近く経過した現在、改めて旧軍の化学兵器等の廃棄状況について全国的に調査を実施しても、当時以上の情報を入手することは困難であると考える。
三について
御指摘の「海洋投棄」については、旧軍毒ガス弾調査等において明らかにしたとおり、いずれの箇所についても化学兵器の有無の実地探査又は掃海等により、安全上何らの措置も講じていない箇所は残っておらず、また、屈斜路湖で調査の結果発見された老朽化した化学兵器については、化学兵器禁止条約の規定に従い、既に廃棄しているところである。
なお、今後も国内で旧軍の化学兵器が発見された場合には、化学兵器禁止条約の規定に従い、廃棄することとしている。
四について
旧軍関連の資料を保管している防衛研究所図書館には、例えば、陸軍科学研究所における化学兵器の研究経過の概要を示す資料や、くしゃみ剤など非致死性の化学剤を充てんした兵器を使用したことを示唆する資料等、旧軍の化学兵器の研究開発等に関する断片的な資料が存在するが、旧軍関連の資料の多くが終戦時に処分され断片的な資料しか残っていないことや、関係者の多くが故人となっていることなどにかんがみると、更なる調査を行い、旧軍による化学兵器の研究開発の全体像や実戦での使用例の全容を解明することは、極めて困難であると考えている。右に例示した資料を含め、防衛研究所図書館が保管する旧軍関連の資料については、プライバシーに配慮した上で原則として公開しているところである。
五について
我が国における化学兵器の開発、製造及び流通の全分野において、いかなる企業や人員がいかなる体制及び態様で関与したか等については、調査した限りでは、政府内にこれらの全体像を把握することができる資料がないため、その全容を解明し、公表することは困難である。
六について
旧軍の化学兵器等の製造、輸送、処理等によって被害を受けた者については、化学兵器の製造等を行っていた旧陸軍造兵廠忠海製造所ほか三か所の従業員のうち、旧陸軍共済組合又は旧海軍共済組合の組合員であった者に対しては、「ガス障害者救済のための特別措置要綱」(昭和二十九年二月十二日蔵計第二百八十号)等に基づき国家公務員共済組合連合会が、旧陸軍共済組合又は旧海軍共済組合の組合員であった者以外の者に対しては、終戦後当該四か所の施設で処理に従事した者と併せ、「毒ガス障害者救済対策事業の実施について」(昭和五十九年四月十日衛発第二百六十六号)の「毒ガス障害者に対する救済措置要綱」に基づき厚生労働省が、それぞれ医療費、特別手当及び健康管理手当の支給等を行うものとされており、また、右に述べた者以外の者に対しては、例えば、民間企業の従業員に関しては労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)、公務員に関しては国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)等により、被害を補償するものとされている。
これらの制度に基づき、被害状況、被害内容等を調査・把握した上で、個々の事案に即して適切な措置が採られているものと考えている。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×3検討してまいりたい ×1個別の事案 ×1
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
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