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旧日本軍遺棄毒ガス問題に関する質問主意書

衆議院 第157回 第17号

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2003年9月29日
内閣転送 2003年10月1日
答弁書受領日
2003年10月7日
提出から8日
答弁の項目数
9
質問 1,547字/答弁 1,967字

質問本文

昨年から今年にかけて、旧日本軍遺棄毒ガス問題が、寒川町、平塚市及び神栖町で相次いで発生し、国民の安全を脅かしているが、これについて環境省は、旧日本軍による毒ガスの調査を行うとともに、関連する情報の提供を各自治体や国民に呼びかけ、その結果を今秋公表するとしている。

しかし、そもそも政府は、一九七三年に行った調査では、多くの地域で危険予測材料はないとしていたにもかかわらず、今日新たな被害が発生したという経緯を考えると、七三年当時の調査が不徹底であったことは否めず、当時の調査が徹底的になされていれば今日の被害を防ぐことができたと思われる。その意味で、現在環境省が実施している調査はきわめて重要であり、今後被害を未然に防止し、国民の生命・安全を守るために、今回こそ徹底した調査と対応が急務であると考える立場から、以下の事項について質問する。

第一 環境省が国民から提供を求めている情報について

一 終戦から今日までの毒ガスによる被害と被害者に対する補償・救済状況に関する情報の提供は受け付けているのか。受け付けていないとすれば、その理由は何か。また、情報を受け付ける範囲を明確に示されたい。

二 外国に遺棄したとされる情報について受け付けているか。受け付けていないとすれば理由は何か。

第二 環境省の調査体制と調査状況について

一 現在の環境省内の調査担当部署と規模を明らかにされたい。その部署の人員体制には、旧日本軍の毒ガスに関する歴史的かつ専門的知識等を有している人員を配置しているか。外部からの調査協力がある場合、どのような協力体制であるのか。また、環境省は、毒ガス問題について環境学者・歴史研究者・軍事研究者・科学者・医師などの各界の専門家が総合的に検討する場を設置しているか。設置しているのであれば、そのメンバーと検討内容を公開されたい。

二 現在の調査・検討の進捗状況と今後の見通しはどのようになっているか。報告書はいつ発表される予定か。仮に中間報告となる場合は、継続的に調査報告を行うのか伺いたい。

三 得られた情報はどういう方法で公開するのか。公開しない事案があるとすれば、その理由は何か。

四 今後も毒ガス問題が発生する恐れがあり、継続的に調査・分析を行うことが不可欠と思われるが、旧日本軍毒ガスの専門調査室を設置する考えがあるのか、見解を伺いたい。

五 内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理室との協力体制はどのようになっているのか。これまで、情報提供を受けたことがあるのか、あるとすれば内容をお示し願いたい。

第三 環境省の防衛庁との関係について

一 環境省はこれまでに防衛庁に毒ガス関連情報・資料の提供を求めたことがあるか。あるとすればどのようなものであるのか、お示し願いたい。

二 七三年の「報告書」は、どの省庁が作成したものと判断しているか。また、基礎となる資料を防衛庁から交付を受ける、または照会したことはあるか。あるとすればどのようなものであるのか、お示し願いたい。

三 自衛隊による毒ガスの処理・掃海作業の報告書、または被害に対する補償状況について、防衛庁から提供を受けたものがあるとすれば、明示されたい。

四 戦後、アメリカ政府から返還され、防衛庁に収められた戦後史資料と所蔵資料の総目録の提供を防衛庁に求めたことはあるか。

第四 寒川での被害および補償・救済の状況について

一 寒川・平塚での被害者の被害状況と補償・救済および医療上のケア状況を明らかにされたい。

二 環境省は、厚生労働省にこの件に関する情報を求めたことはあるか。ないとすれば、その理由は何か。

三 寒川・平塚で発見された不審瓶は、どこでどのように保管されているのか、明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

第一の一について

旧軍毒ガス弾等による被害の未然防止を図るための基礎資料を得ることを目的として、現在「昭和四十八年の「旧軍毒ガス弾等の全国調査」のフォローアップ調査」(以下「フォローアップ調査」という。)を実施しているところである。フォローアップ調査の調査項目は、�@終戦時における旧軍毒ガス弾等の保有及び廃棄の状況、�A戦後における旧軍毒ガス弾等の発見、被災及び掃海等の処理の状況、�Bその他旧軍毒ガス弾等の保有又は発見の可能性が示唆される場所の現在の状況であり、調査においては、旧軍毒ガス弾等による被災に関する救済及び補償についての情報も含めて収集している。

なお、フォローアップ調査においては、広く国民に対し、情報の提供について呼び掛けている。

第一の二について

フォローアップ調査は、国内における旧軍毒ガス弾等による被害の未然防止を図るための基礎資料を得ることを目的としたものであることから、外国に旧軍毒ガス弾等を遺棄したとされる情報は、調査対象としていない。

第二の一について

環境省総合環境政策局環境保健部内に、二十一人から成る「旧軍毒ガス等問題に係るプロジェクトチーム」を設け、専門性をいかしつつ対応を行っているところである。また、外部の調査協力者として、御指摘の各界の専門家の協力を得ることとしており、今後、こうした有識者の助言を得ながらフォローアップ調査を取りまとめてまいりたい。

第二の二から四までについて

フォローアップ調査の結果については、本年十一月末に公表することを目指して、現在、作業を進めているところである。公表の方法や継続的な調査の必要性等については、フォローアップ調査の結果の取りまとめと並行して検討していくこととしている。

第二の五について

フォローアップ調査は、第一の二についてで述べたとおり、外国に旧軍毒ガス弾等を遺棄したとされる情報を対象としておらず、内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室の事務の所掌外であるが、関連する技術情報を相互に提供するなど、同室と環境省の「旧軍毒ガス等問題に係るプロジェクトチーム」の間で緊密な連携を保っているところである。

第三について

お尋ねの防衛庁に対する情報・資料の要求等については、フォローアップ調査の一環として、第一の一についてで述べた調査項目について、環境省から同庁に調査を依頼しているところであり、これにより提供された情報・資料については、現在、整理中である。

また、御指摘の「七三年の「報告書」」とは、昭和四十八年に取りまとめられた「旧軍毒ガス弾等の全国調査の実施について」を指すものと考えるが、当該資料は、当時設置されていた「大久野島毒ガス問題関係各省庁連絡会議」が取りまとめたものと認識している。

第四の一について

寒川町の事案に関しては、被災したとして病院で診察を受けた方は計十二名であり、このうち十名に対しては、業務上の疾病として、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づく保険給付が支給されている。さらに、当該工事を発注した国土交通省関東地方整備局横浜国道事務所において、工事請負業者と損害について協議を進めているところである。なお、今後とも健康診断を定期的に受診していただく等、適切に対処してまいる所存である。

また、平塚市の事案に関しては、被災したとして病院で診察を受けた方は計三名であり、これら全員に対し、業務上の疾病として、同法に基づく保険給付が支給されている。なお、これら三名の方については、これまでの数回の検査では異常は見られないところである。

第四の二について

厚生労働省に対しては、フォローアップ調査の一環として、第一の一についてで述べた調査項目について、情報の提供を依頼しているところである。

第四の三について

寒川町で発見された不審物については、国土交通省関東地方整備局に、平成十四年十二月十二日に設置した「さがみ縦貫危険物処理に関する有識者委員会」の検討を受け、現在、仮囲いに囲まれ、大型テントの中にある空気浄化機能を持った密閉型の保管庫に収納されているところである。

また、平塚市で発見された不審物については、同局に、平成十五年五月十三日に設置した「平塚第二地方合同庁舎危険物の調査等に関する有識者委員会」の検討を受け、当該不審物を財団法人化学物質評価研究機構に持ち込み、瓶を割って内容物を分析した後、有害な内容物は同機構で保管され、不審瓶の欠片は空気浄化機能を持った現場内に設置した密閉型の保管庫に保管しているところである。

なお、寒川町及び平塚市の現地では、二十四時間体制の現場管理、化学剤検知器による大気のモニタリング等を実施しており、新たな被災者が生じないよう万全を尽くしているところである。

衆議院の原文

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