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死刑と刑事施策、検察に関する質問主意書

衆議院 第153回 第53号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×3承知していない ×1

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2001年12月7日
内閣転送 2001年12月7日
答弁書受領日
2002年1月29日
提出から53日
答弁の項目数
30
質問 2,309字/答弁 4,632字

質問本文

私が所属する死刑廃止を推進する議員連盟は、自民党の亀井静香氏を新たに会長に選任し、活発な運動を続けていく方針である。亀井氏は死刑廃止を求める理由として、えん罪の危険性や自白を証拠の王としている安易な刑事政策などを指摘している。刑事司法とそれに従事する裁判官、検察官に対する不信感も根強い。私も同様の考えから、今回はえん罪と刑事政策について質問する。加えて死刑廃止に向かっている韓国や台湾の動向についても、政府の見解をただす。

一 えん罪

(1) 一九九六年から二〇〇一年までの刑事事件で(以下同じ)、検察官が起訴し、裁判で無罪が確定した被告人は何人いるか。年次、罪名、裁判所別に明らかにされたい。

(2) このうち、自白があった事件となかった事件の別も示されたい。

(3) 無罪が確定した被告人が刑事補償を請求したケースは何件あるか。うち裁判所で認容されたケースは何件で、認容額はどのくらいか。それぞれ年次、罪名、裁判所、認容額別に示されたい。

(4) 無罪が確定した事件の担当検事には、何らかのペナルティが科されるのか。

(5) 以前の答弁書で、えん罪事件についてはその後、捜査、公判の検証をしているとの答弁があったが、具体的にどのような検証作業をしているのか。

(6) 死刑確定者のえん罪事件について、どのような検証作業をしたか。具体的に明らかにされたい。

(7) 亀井会長は「自白が証拠の王の間はえん罪はなくならない」と指摘しているが、どのように考えるか。

二 刑事政策

(1) 犯罪被害者の報復感情、応報感情をどのように考えるか。過去の裁判で示された被害者の証言、供述調書などを例示しつつ、説明されたい。

(2) 犯罪被害者の報復感情、応報感情を国家が加害者に対して実現する刑事司法のあり方について、否定的な国もしくは学説はあるか。

(3) 被害者の報復感情、応報感情を国が加害者に対して実現する刑事司法は、犯罪の予防につながると考えるか。

(4) 犯罪被害者への保護について、法整備などが図られたが、現状で十分と考えているか。さらに新たな施策を考えているか。

(5) 犯罪の発生を予防するという刑事政策として、最も重要な施策は何か。

(6) 犯罪白書の報道によると、昨年の犯罪発生件数は過去最多とされるが、どのような事情で、犯罪は増えているのか。

(7) 昨年の検挙率は過去最低とされるが、どのような事情でそうなったのか。

(8) 捜査力の低下が社会にもたらす影響について、どのように考えるか。

(9) 犯罪の増加、検挙率の低下という現状に対して、政府はどのような政策を考えているか。そのまま放置するのか。

(10) 刑事政策上、死刑という刑罰はどのように位置づけられているのか。

(11) 死刑を廃止した国と存置している国で、刑事政策はどのように異なっているのか。日本と欧州諸国の異同を示されたい。

三 検事の資質

(1) 「週刊朝日」十二月七日号によると、前大阪地検検事正の加納駿亮氏が福岡高検検事長に異動した際、加納氏に対する告発が不自然な形で不起訴となったという。不起訴の決定と検事長の内閣承認が同一日であるなど偶然とは思えない経過が記されているが、事実か。捜査の概要、不起訴の理由、それが正当な捜査だったことを示す根拠をそれぞれ示されたい。

(2) 同誌が不正を指摘している「調査活動費」について、その沿革、目的、定型的な支出例、過去十年の各検察庁別の決算額をそれぞれ明らかにされたい。

(3) 過去十年間にどこかの検察庁で、調査活動費を使った裏金づくりが発覚したことはあるか。

(4) 各検事正、各検事長、次長検事、検事総長は公務に付随する慶弔費用や会合費用をどのような会計処理で支出しているのか。過去十年間のその費目の決算額を明らかにされたい。

(5) 辞任した則定衛元東京高検検事長は、女性との交際に調査活動費を流用していたのか。

(6) 則定元検事長はスキャンダルの相手の女性と知り合った銀座の高級クラブなどで頻繁に飲食を重ねていたという。現検事総長も含む検察幹部が同席していたとの報道もあるが、事実か。則定元検事長の遊興費は調査活動費を流用したものか。それとも自腹か。それとも第三者にごちそうになったのか。

(7) 「週刊朝日」十二月十四日号には、名古屋高検管内の地検が宴会で、信じがたいことに、他に言いようがないのであえて記すのだが、いわゆる「女体盛り」をして遊んだと書かれているが、事実か。

(8) 各高検が一九九五年以降、管内の検事正を集めて開いた会議とその費用を年次、管内別に示されたい。

(9) 検察の不正経理が相次いで報道される背景について、政府はどのように考えているか。

四 隣国の動向

(1) 韓国で死刑廃止特別法案が国会に提出されたが、政府はこうした動きとその背景を知っているか。

(2) 台湾総統府は死刑廃止法案を作成している。政府はこうした動きとその背景を知っているか。

(3) 政府は「死刑の存廃は個別の国の判断」とこれまで答弁してきたが、世界の過半数の国が死刑を廃止し、国連で廃止条約が締結されている中で、いつまで「唯我独尊」を続けるのか。

五 死刑の執行

(1) 法務大臣は人命を奪う死刑の執行を命令する際、どのような心構えで当たるのか。

(2) これまで臨時国会終了前後に死刑の執行が繰り返されてきた。えん罪の危険性や刑事政策全体の現状、隣国の動向に加えて、欧州評議会による死刑停止勧告、亀井会長による陳情などをすべて無視して、今年もやるのか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の(1)について

平成八年から平成十二年までの各年において、無罪の判決が確定した被告人の人数及び当該無罪の判決等をした裁判所は別表一のとおりである。

罪名別の人数については統計がなく、平成十三年の統計については現在集計中であるので、いずれも答弁することができない。

一の(2)について

無罪の判決が確定した事件について、お尋ねのような観点からの統計はないことから、答弁することができない。

一の(3)について

平成八年から平成十三年までの間に無罪の判決が確定した被告人が、刑事補償法(昭和二十五年法律第一号)による補償を請求し、決定がなされた事件数は、最高裁判所の資料によれば、百六十七件であると承知している。このうち補償の決定がなされたのは、百六十六件であり、補償の決定をした年次、裁判所及び補償額並びに当該決定に係る事件の罪名は、別表二のとおりであると承知している。

一の(4)について

検察官が、無罪の判決が確定した事件の捜査又は公判に関与したとしても、適正な職務遂行がなされている限り、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)上の懲戒処分を含め、その職務遂行上の責任を問われることはない。

一の(5)及び(6)について

お尋ねの「えん罪事件」がどのような事件を指すのか必ずしも明らかではないが、検察当局においては、無罪の判決が確定した事件又は有罪の判決が確定した後に再審で無罪となった事件について、裁判書及び訴訟記録等を精査するなどして、捜査及び公判並びに再審の具体的経過に照らしながら、物証を発見収集した状況やその鑑定状況等の物証に係る捜査の問題点、供述の変遷や裏付証拠の有無等の供述の任意性・信用性に係る捜査の問題点、事件発覚の端緒から事件を検察官に送致するまでの司法警察員等による捜査の問題点、公判における立証に係る問題点、再審請求審及び再審公判における対応に係る問題点等を把握するよう努めており、このことは、死刑確定者が再審で無罪となった事件についても同様である。

一の(7)について

被疑者の供述を得ることは、真実の発見に寄与するとともに、当該被疑者が実際に罪を犯し、真に自己の犯行を悔いて自白する場合には、その改善更生にも役立つものと考える。もとより、検察当局においては、個々の事件の処理に当たり、被疑者の自白及び関係者の供述の任意性・信用性を慎重に吟味するとともに、供述等を裏付ける証拠の収集等にも万全を期するよう努め、これらの証拠に基づいて事実を的確に判断した上で適正に対処しているところである。

二の(1)について

社会一般は、犯罪を犯した者にはこれにふさわしい刑罰が科されるべきとの応報感情、報復感情を有するものであり、こうした社会一般の応報感情、報復感情が満たされることは、刑事司法が持つ重要な機能の一つであると考えている。なお、過去の裁判における被害者の証言等を例示して説明することについては、個別の具体的な事件にかかわる事柄でもあるので、これを差し控えたい。

二の(2)について

お尋ねの「犯罪被害者の報復感情、応報感情を国家が加害者に対して実現する刑事司法」がどのようなものを指すのか必ずしも明らかではないので、お尋ねにつき確定的にお答えすることは、困難である。

なお、刑罰には、被害者又はその家族、更には社会一般の報復感情を和らげ、満足させる機能があると認識しており、我が国の学説について調査した範囲では、刑罰がこのような機能を有するべきではないと明言するものは、見当たらなかった。また、外国において、犯罪被害者の被害感情を犯人に対する刑事処分の決定過程に反映させることについての考え方には様々なものがあるが、その詳細については承知していない。

二の(3)について

お尋ねの「被害者の報復感情、応報感情を国が加害者に対して実現する刑事司法」がどのようなものを指すのか必ずしも明らかではないが、一般に、刑罰は、犯罪に対する抑止力を有するものと認識されている。

二の(4)について

犯罪被害者に対する保護及び配慮の在り方は多岐にわたるものであるので、今後とも検討を行い、議論が熟したものから適切に対応してまいりたいと考えている。

二の(5)について

犯罪を予防するためには、各般にわたる総合的な施策と国民全体の幅広い不断の努力が必要であると考えるが、犯罪を摘発し、事案の真相を明らかにした上、刑罰法令を適正かつ迅速に適用して適正な科刑を実現することは、最も基本的な施策と考えている。

二の(6)について

犯罪の増加については、経済事情や社会環境の変化、国際化の影響等の様々な事情が複雑に絡み合っていると考えられ、一概に述べることはできないと考えている。

二の(7)について

検挙率が低下している原因は、重要犯罪等の増加に伴い、新たに発生した事件の早期検挙に重点を置かざるを得ない結果、窃盗等により検挙した被疑者の余罪解明率が低下していること、不法滞在外国人等による組織的犯罪の増加等により捜査が困難化していること、捜査を取り巻く環境の変化により聞き込み等の手法を活用した捜査が困難化していること等の事情が複合しているところにあると考えられる。

二の(8)について

一般論として申し上げれば、捜査力が低下した場合、事件の検挙やその真相解明が困難になると考えられ、その結果、国民が安心して暮らせる安全な社会が確保できなくなるおそれがあると考える。

二の(9)について

犯罪の増加、検挙率の低下の現状に対しては、検察官及び警察官の増員等による体制の整備、各種法令の整備及びその適正かつ効果的な運用、科学的装備の導入等による科学捜査力の強化、国内関係機関における連携の強化、外国捜査機関等との情報交換の強化、地域住民、民間防犯組織、地方公共団体等と警察との連携による防犯活動の推進等の諸対策を講じてきたところであり、引き続きこれらの充実及び強化に努めてまいりたい。

二の(10)について

我が国の刑事政策においては、社会における正義を実現し、国民が安心して暮らせる安全な社会を確保することを基本的な目的としているところ、死刑は、罪責が著しく重大な凶悪犯罪に対し、この目的を達する上での最も厳格な刑罰と位置付けられていると考えている。

二の(11)について

お尋ねについて調査し、把握した範囲でお答えすると、欧州各国における刑事政策は、それぞれの国ごとに異なるものであり、また、死刑の廃止に至る背景にも様々なものがあると考えられるので、欧州の死刑を廃止した国の刑事政策と我が国のそれとを単純に比較してその異同を明らかにすることは困難であると考えている。

三の(1)について

御指摘の週刊誌の記事に記載されている前大阪地方検察庁検事正に対する告発事件については、兵庫県警察及び大阪高等検察庁並びに高知県警察及び高松高等検察庁において、関係者の取調べ及び証拠物の収集など所要の捜査を遂げた上、大阪高等検察庁において、平成十三年十一月七日、高松高等検察庁において、同月十三日、それぞれ、検察庁の調査活動費が不正流用されるなどしたとは認められないことから犯罪の嫌疑がないとして不起訴処分とした。

三の(2)について

検察庁の調査活動費は、昭和三十一年度から平成十三年度まで継続して認められている予算科目で、検察庁における事件の調査、情報の収集等の調査活動のための経費であり、例えば、情報提供者に対する謝金として支出されている。支出計算書の保存期間は五年であるところ、その期間内の各検察庁における調査活動費の支出額は、別表三のとおりである。

三の(3)について

お尋ねのような事実はない。

三の(4)について

検事総長、次長検事、検事長及び検事正(以下「検事正等」という。)は、公務に付随する慶弔としての電報、供花及び香料の費用を公費から支出する場合は、その費用を庁費又は交際費の予算科目で支出しており、検事正等による慶弔としての電報、供花及び香料の費用であると推定される支出額は、確認できる範囲では、別表四のとおりである。

検事正等が出席する会議には、検察庁間の打合せや関係諸機関との情報交換など種々のものがあるが、検事正等は、これらの会議における茶菓弁当代等を、庁費、調査活動費等の予算科目で支出しており、検事正等が出席した会議における茶菓弁当代等の支出額は、確認できる範囲では、別表五のとおりである。

三の(5)について

お尋ねのような事実はない。

三の(6)について

お尋ねの元東京高等検察庁検事長が調査活動費を自己の遊興費に流用した事実はない。

その他のお尋ねについては、個人のプライバシーにかかわる事項であるので、お答えする立場にない。

三の(7)について

お尋ねの地方検察庁が、お尋ねのような遊興を行った事実はない。

三の(8)について

各高等検察庁が、管内の検事正を集めて開いた会議の年度別、高等検察庁別の回数及び会議における茶菓弁当代等の支出額の合計は、確認できる範囲では、別表六のとおりである。

三の(9)について

週刊誌等における御指摘の記事は、いずれも根拠に乏しいものと考える。

四の(1)及び(2)について

お尋ねについて調査し、把握した範囲でお答えすると、次のとおりである。

大韓民国においては、二千一年(平成十三年)十月、刑法等における死刑に関する規定を改正して死刑制度を廃止することを内容とする「死刑廃止に関する特別法案」が国会議員によって国会に提出されたことを承知している。

台湾の当局においては、二千一年(平成十三年)五月以降、死刑の存廃について検討していることを承知している。

四の(3)について

死刑の存廃の問題は国際社会で関心を集めている事項の一つであると考えるが、国際連合における死刑廃止を求める決議での各国の投票態度等から判断して、死刑に関する各国の考え方はいまだに様々に分かれており、その存廃について国際的に一致した意見はないと考えている。

この問題については、諸外国における動向等も参考にする必要があるものの、基本的には、各国において、当該国の国民感情、犯罪情勢、刑事政策の在り方等を踏まえて慎重に検討し、独自に決定すべきものと考えている。

政府としては、死刑の存廃は、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等種々の観点から慎重に検討すべき問題であるところ、国民世論の多数が極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人、誘拐殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等にかんがみると、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科することもやむを得ず、死刑を廃止することは適当でないと考えている。

五の(1)について

確定した裁判の執行が厳正に行われなければならないことは改めて言うまでもないところである。死刑は、人の生命を絶つ極めて重大な刑罰であるが、死刑の判決は、極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対し、裁判所が慎重な審理を尽くした上で言い渡すものであり、法務大臣としては、法の定めるところに従って、慎重かつ厳正に対処すべきものと考えている。

五の(2)について

平成十三年十二月二十七日、二名の死刑確定者に対して死刑を執行した。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×3承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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