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BIS規制の検査マニュアルに関する質問主意書
衆議院 第154回 第92号
質問本文
BIS規制による金融庁の一斉検査が行われた。検査は大手都市銀行(以下、「都銀」という)と、地方銀行・信用金庫・信用組合(以下、「信金信組」という)ともに、一律の検査マニュアルが適用された。また、ペイオフ解禁の影響もあって、都銀とは明らかに役割が異なる信金信組の破たんが相次いだ。そして、これに関連して中小企業には信金信組の貸し渋りが及び、融資の行き詰まりによる企業倒産、経営者の自殺などが社会問題化している。
都銀と一律の検査マニュアルの適用は信金信組にとって非常に厳しい基準であり、一律の基準は、信金信組の社会的役割とその必要性を否定するものにつながる。金融庁の行った一律の検査で、昨年度三月期決算で信金信組の半分までが最終赤字に追い込まれた。都銀と異なり、信金信組の取引先は中小企業が殆どであり、貸出先の制限もあり、赤字の企業が多い。このため一律の検査マニュアルの適用は信金信組にとって大幅な引当金の積み増しが必要とされる。これは非常に厳しいハードルであり、その結果、六十近い信金信組が破たんに陥った原因になっている。引当金の積み増しは、中小企業に融資したくても事実上融資ができない状況をつくりだしてしまった。
地方は、もともとモノづくりが中心であり地元の金融機関と共に発展を遂げてきた。地方経済の担い手として、我が国の中小企業が占める割合は九十五%以上に達する。近年、特にIT不況による地方工場の撤退や公共事業の削減で苦しむ建設業者、また老舗企業の行き詰まりも目立つ中で、信金信組の存在は資金調達や経営相談での大きな支えとなってきた。
しかし、今回の一律の検査マニュアルによる信金信組の相次ぐ破たんは、地場を支え、日本経済を支える中小企業の経営を立ち行かなくし、倒産しなくてもいい企業まで倒産させてしまった。これは明らかに政府の経済政策とは相反するものである。
さらに深刻な状況として、四月から解禁のペイオフによる都銀への預金シフトの動きが挙げられる。預金者の金融機関選別の動きが加速していることは当然の成り行きとしても、異常ともいえる預金シフトはペイオフを実施した先進国には過去見られない現象だという。経営基盤の弱い信金信組にとっては先行き予測できない状態が続く。中小企業にとって取引先金融機関の先行き不安は、我が事として深刻に受けとめざるを得ない。
政府は中小企業向け融資に対する配慮から、信金信組への「検査マニュアルの弾力運用」「意見申し出制度」などを考慮したとされるが、これは十分に機能しているのか。
従って、以下質問する。
一 BIS規制の検査マニュアル見直しについて
BIS規制は国際的統一基準であり、都銀に対しては欧米の規制を適用されてしかるべきである。しかし都銀と役割が明らかに異なる信金信組に対して同じ検査マニュアルを適用するのは如何なものか。二重構造の検査基準を認めるべきではないか。
二 ペイオフ見直しについて
1 ペイオフにより預金が都銀に集中している。このために信金信組の預金流出が止まらずに厳しい状況になっている。また、ゼロ金利や現下の厳しい経済状況からペイオフの本格的導入への見直しを考えるべきではないか。
2 米国ではペイオフによる預金保護の上限額を引き上げようとする動きがあるという。我が国も例えば一千万円を二千万円にするなど、都銀への過剰な預金シフトを防ぐために上限額の引き上げを考慮すべきではないか。
3 都銀と信金信組におけるペイオフの上限額に差をつけることで、信金信組の預金の流出を防ぐ手立てを中小企業対策の一環として考慮すべきではないか。
右質問する。
政府答弁書
一について
金融機関においては、適切な資産査定等を行うことにより、その健全性を確保することが極めて重要である。このことは、すべての金融機関に共通する原則であると考えている。
一方、こうした原則の下で、金融検査マニュアル(平成十一年金検第百七十七号金融監督庁長官決定)においては、金融機関の規模や特性を十分踏まえ、その機械的画一的な運用に陥らないよう配慮することとする旨繰り返し明記するとともに、特に、信用金庫、信用組合等の主な取引先である中小企業、零細企業等に対する債権について、その特殊性を総合的に勘案して資産査定を行うこととしているところである。
したがって、信用金庫、信用組合等についての別の検査マニュアルを作成することは考えていない。
二の1について
平成十五年三月末に流動性預金全額保護の特例措置の終了が予定されていることについては、まずは、それに向けて金融機関が経営の健全性を高めていくことが重要であると考えている。金融庁においても、今後とも預金の動向を注視していくとともに、引き続き、より強力な金融システムの構築を図るべく最善の努力をしてまいりたい。
二の2について
預金保険制度の保険金支払限度額については、「特例措置終了後の預金保険制度及び金融機関の破綻処理のあり方について」(平成十一年十二月二十一日金融審議会答申)で「現行の保険金支払限度額は一千万円となっているが、我が国の一人当たりの平均貯蓄残高や諸外国の水準、保険料負担の増加等を勘案すると、この水準を引き上げる必要はないと考える。」と指摘されており、現時点で保険金支払限度額を引き上げる理由はないと考えているが、今後の社会経済情勢の変化に応じ、必要があれば、適切に対処していくべきものと考えている。
二の3について
預金保険制度の趣旨は、少額預金者を保護し、もって信用秩序の維持を図ることであり、このような制度の趣旨にかんがみると、金融機関の業態に着目して、都市銀行についての保険金支払限度額と信用金庫、信用組合等についての保険金支払限度額に差を設けることは、適当でないと考える。
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