ことばで探す › 衆議院 第155回
朝鮮人強制連行・強制労働に関する質問主意書
衆議院 第155回 第19号検討してまいりたい ×1
質問本文
日本弁護士連合会が二〇〇二年一〇月二五日に朝鮮人の強制連行・強制労働に関して、小泉総理に、被害実態の把握、責任の所在の明確化と謝罪、金銭補償を含めた被害回復のための適切な措置を講じ、これらについて一年以内に日本弁護士連合会に報告を行うことを勧告した。朝鮮人強制連行・強制労働の問題は日本政府が解決すべき戦後処理の問題であること、発生から五〇年以上の年月が経っていることを考慮すると早急に解決すべき問題である。したがって次の事項について質問する。
一 日弁連による勧告とその理由となった「朝鮮人強制連行・強制労働人権救済申立事件調査報告書」の内容について事実関係の調査を行った上で、きちんと謝罪、金銭補償等を行うべきであると考えるが、政府の見解をお聞きしたい。
二 日本政府はこれまで一九九五年の村山首相談話や二〇〇一年の小泉首相談話、二〇〇二年の日朝平壌宣言などで植民地支配と侵略がアジア諸国の国民に苦痛と損害を与えたことを認め、反省とおわびを表明してきた。朝鮮人の強制連行・強制労働問題についてもこの考えに基づいて具体的に解決されるべきであると考えるが、政府の見解をお聞きしたい。
三 日本政府は、いわゆる「従軍慰安婦」問題については本格的調査を行い、元「慰安婦」など関係者に対する聞きとりを含めた国内外での調査結果を発表している。朝鮮人強制連行・強制労働問題についても同様の政府による調査や関係資料の公表が必要と考えるが、政府の見解をお聞きしたい。
四 日本政府は朝鮮人徴用者の一〇万七九一一名分の名簿を所有していると聞くが、プライバシー保護を理由に公開していない。日本政府は中国人の強制連行・強制労働について調査した「華人労務者就労事情調査報告書」を外務省自身が作成したことを一九九四年に認め、外務省資料館にコピーを置き、一般公開することを承認している。この報告書は、連行された四万人の氏名、年齢、出身地、生存の有無が掲げられており、含まれる個人情報は朝鮮人徴用者の名簿よりも多い。この報告書が公開されているのに対し、朝鮮人徴用者の名簿が公開されない理由についてお聞きしたい。
五 国際労働機関(ILO)の条約勧告適用専門家委員会は、第二次大戦中に朝鮮半島や中国から強制連行された人たちの強制労働問題を取り上げ、日本政府が被害者に何らかの補償をするよう勧告した。これに対し、日本政府は同専門家委員会に「戦時補償問題は政府間で解決済み」という書簡を送ったと聞く。これは、日韓請求権協定等によって放棄された請求権に個人請求権が含まれることを意味するのか。仮にそうであれば、国家が私人の権利を放棄できる根拠についてご説明いただきたい。
右質問する。
政府答弁書
一及び二について
政府としては、いわゆる朝鮮人徴用者等の問題を含め、当時多数の方々が不幸な状況に陥ったことは否定できないと考えており、戦争という異常な状況下とはいえ、多くの方々に耐え難い苦しみと悲しみを与えたことは極めて遺憾なことであったと考える。
いわゆる朝鮮人徴用者等の問題については、大韓民国(以下「韓国」という。)との間では、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和四十年条約第二十七号)第二条第一項において「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、(中略)完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認」している。また、北朝鮮との間では、日朝平壌宣言において「双方は、国交正常化を実現するにあたっては、千九百四十五年八月十五日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、国交正常化交渉においてこれを具体的に協議する」ことが明記されており、いわゆる朝鮮人徴用者等の問題を含め、右のとおり日朝平壌宣言に明記されているところに従い、日朝国交正常化交渉において協議されるべきものである。
三について
いわゆる朝鮮人徴用者等に関する調査等については、平成二年五月二十五日の日韓外相会談の際に、韓国側から終戦前に徴用された者の名簿の入手について協力要請があったことを受け、政府として調査等を実施し、平成三年三月五日に九万八百四人、平成四年十二月二十五日に一万七千百七人の名簿の写しを駐日韓国大使館へ提出している。
いわゆる朝鮮人徴用者等の問題についての政府の見解は、一及び二についてで述べたとおりであり、また、いわゆる朝鮮人徴用者等に関する「調査や関係資料の公表」について、日本政府に法的義務があるわけではない。
政府としては、当時もできる限りの調査等を実施したものであるが、今後、いわゆる朝鮮人徴用者等に関して新たな情報がある場合には、必要に応じ対応してまいりたい。
四について
御指摘の「華人労務者就労事情調査報告書」(昭和二十一年三月一日外務省管理局作成)については、平成六年六月二十二日の参議院外務委員会において、政府として作成したものであることを認め、翌二十三日から公開することに至ったものである。
お尋ねのいわゆる朝鮮人徴用者等に関する名簿については、三についてで述べたとおり、韓国側から協力要請があったことを受けて、政府として調査等を実施し、その写しを駐日韓国大使館に提出したものであり、右の名簿の取扱いに関しては、当該名簿中に行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)に規定する不開示情報が記録されていることから、政府として、現段階においてこれを一般に公開することは適当ではないと考えているところである。
なお、右の名簿については、今後、本人、遺族の方等に対しては、照会や閲覧に応じる方向で検討してまいりたい。
五について
従来から、国家がその国民の他国又はその国民との間の財産及び請求権の問題を解決するために国際約束を締結することは国際法上可能として各国の実行が積み重ねられてきており、政府としては、いわゆる強制連行問題も含め、先の大戦に係る賠償並びに財産及び請求権の問題については、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号)、二国間の平和条約その他関連する条約等に従って誠実に対応してきているところであって、これらの条約等の当事国及びその国民との間では、個人の財産及び請求権の問題を含めて法的に解決済みである。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。