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異常死の警察への届け出に関する質問主意書
衆議院 第159回 第156号
質問本文
高度医療を提供し、国民から信頼を得るべく使命を持った大病院における医療ミス、事故が絶えないことは、極めて残念なことである。厚生労働省もこうした事故を防止するために、近年種々の施策を実施していることは評価するものの、医療に対する国民の不信、不安はまだまだ大きく、より一層の積極的、効率的な施策が望まれる。特に医療ミス、事故発生時の迅速な救済制度確立や事故隠蔽、カルテ改ざん防止は、東京女子医大病院事件の教訓からも、一日も早い対応が求められている。
去る四月一三日、新聞報道された東京都立広尾病院における、届け出義務「合憲」の最高裁判断は、医療ミス、事故はもとより、予想しない患者死亡が発生したとき、その初動行為としての警察への届け出は医師の義務であることを明確に判断している。
長年指摘されていた医療界の隠蔽体質が改革され、国民に信頼される医療の確立のために、以下質問する。
一 平成一五年度に発生した医療事故のうち、厚生労働省が把握しているものを医療機関別にその内容、事故発生月日を明らかにされたい。また、その内患者が死亡した事案については、警察への届け出の有無についても明らかにされたい。
二 平成一五年度内に特定機能病院の安全管理委員会に報告されたインシデント、アクシデントは各々何件か、重篤な事例は何件あり、死亡は何件でその内警察に届け出されたのは何件かなどについて医療機関別に明らかにされたい。
三 国立病院・療養所に於いて、医療行為で訴訟となった事案のうち、平成一一年四月から二年間において、提訴時期、事案の概要、判決結果、また死亡した事案について警察への届け出有無等を医療機関別に明らかにされたい。
四 特定機能病院のうち、本年五月現在で専任の安全管理者を配置している病院名、及び安全管理者の職種、年齢、性別等について明らかにされたい。
五 以上の事実を踏まえて、医療ミスの隠蔽体質に対する政府の所見および今後の対応を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
厚生労働省においては、「平成十五年度の医療法第二十五条第一項の規定に基づく立入検査の実施について」(平成十五年六月二十四日付け医薬発第○六二四○一五号・医政発第○六二四○○七号厚生労働省医薬局長及び医政局長連名通知)に基づいて、都道府県、保健所設置市及び特別区に対して、医療機関における管理上重大な事故又は軽微な事故であっても今後の対策の検討のため参考になると考えられる事例を把握した場合は、厚生労働省に情報提供するよう依頼しているところである。
また、「国立病院・療養所及び国立高度専門医療センターにおける医療安全管理について」(平成十五年三月二十日付け病院政発第○三二○○○二号厚生労働省健康局国立病院部政策医療課長通知)に基づいて、国立病院、国立療養所及び国立高度専門医療センター(以下「国立病院等」という。)に対して、発生した医療事故が、患者を死に至らしめ若しくは死に至らしめる可能性がある場合、患者に重大若しくは不可逆的傷害を与え若しくは与える可能性がある場合又は患者等から抗議を受け若しくは医事紛争に発展する可能性があると認められる場合は、速やかに厚生労働省本省に報告するよう求めていたところである。
これらに基づき、厚生労働省が平成十六年七月十三日までに情報提供又は報告を受けた平成十五年度に発生した事例については、特に患者等から公表しないことが要請されている事例を除いたものについて、事故が発生した医療機関名、その内容、事故発生年月日及び警察への届出の有無は、別表第一のとおりである。
なお、患者が死亡した事例における警察への届出の有無については、事故発生年月日、医療機関名と併せてお答えした場合、特定の個人が識別され、個人の権利利益が害されるおそれがあるため、患者が死亡しているか否かにかかわらず警察への届出の有無をお答えした。
二について
医療法施行規則(昭和二十三年厚生省令第五十号。以下「規則」という。)第十一条第二号の規定に基づき各特定機能病院に設置されている医療に係る安全管理のための委員会に平成十五年度に報告されたインシデント事例、アクシデント事例、当該アクシデント事例のうち重篤な事例、当該重篤な事例のうち患者が死亡した事例及び当該死亡事例のうち警察に届け出られた事例のそれぞれの件数について、平成十六年七月十三日現在で各特定機能病院に対し調査した結果は、別表第二のとおりである。
三について
平成十一年四月一日から平成十三年三月三十一日までの間に、国を被告として国立病院等において行われた医療行為に関する訴訟が提起された事例(訴訟告知を受けたもの及び調停の申立てを受けたものを含む。以下同じ。)について、提訴等があった時期、事例の概要及び判決等の内容、並びにこれらの事例のうち患者が死亡した事例に係る警察への届出の有無を、平成十六年六月三十日現在で国立病院等に対し調査した結果は、別表第三のとおりである。
四について
規則第九条の二十三第一号の規定に基づき、特定機能病院への配置が義務付けられている専任の医療に係る安全管理を行う者について、平成十六年七月十三日現在における職種、年齢及び性別を、各特定機能病院に対し調査した結果は、別表第四のとおりである。
五について
いくつかの学会や医療機関において、医療事故が発生した場合には、それを隠蔽するのではなく、新たな医療事故の発生の防止に資するよう、医療機関内外で情報を共有していく取組が行われており、政府としてもこのような取組が重要であると考えている。
このような観点から、平成十四年八月三十日に規則を改正し、同年十月一日より規則第十一条において、病院又は患者を入院させるための施設を有する診療所の管理者に対して、医療に係る安全管理のための指針の整備、医療に係る安全管理のための委員会の開催、医療に係る安全管理のための職員研修の実施及び医療機関内における事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策の実施による安全管理のための体制の確保を義務付けたところである。
また、平成十三年十月十八日から医療事故に至らないインシデント事例の収集・分析・情報提供を行う医療安全対策ネットワーク整備事業を行うとともに、本年十月一日から医療事故事例等を収集・分析し改善策等を医療機関等に還元する事業を行うこととし、現在必要な体制の整備等を進めているところである。
今後ともこれらの取組を着実に推進することにより、医療機関内における意識の向上を図り、国民が安心して必要な医療を受けることができるよう努力することとしている。
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