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日米地位協定第十七条五項Cの「拘禁」に関する質問主意書

衆議院 第159回 第24号個別の事案 ×1

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2004年2月23日
内閣転送 2004年2月25日
答弁書受領日
2004年3月12日
提出から18日
答弁の項目数
9
質問 2,152字/答弁 2,406字

質問本文

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(以下、日米地位協定という)第十七条五項Cは、「日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、その者の身柄が合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行なうものとする。」と、定めている。日米地位協定第十七条五項Cは、わが国に、第一次裁判権があっても、「身柄が合衆国の手中にあるとき」には、わが国が起訴しない限り身柄が引き渡されないこととなっている。

しかしながら、わが国の警察権、裁判権を十全に行使をし、国民の安全を確保するためには、被疑者の身柄をわが国が直接にコントロールできることが必要である。

最近、沖縄県宜野湾市で発生した米海兵隊員らによる強盗致傷事件は、あらためて日米地位協定第十七条五項Cの不合理性とそのすみやかな改正の必要を知らしめるものになった。

以下、質問する。

一 二〇〇三年十月二十三日、沖縄県宜野湾市内の路上で発生した在沖米海兵隊普天間基地所属兵士らによる強盗致傷事件(以下、本件事件という)の犯行発生の時刻、犯行場所、犯行態様、被告人の氏名及び階級、被害状況等公訴事実を明らかにされたい。

二 沖縄県警が本件事件について捜査の端緒を得た日時、その方法を明らかにされたい。

三 本件事件の被告人らは、現行犯逮捕されずに普天間基地内に逃走したようであるが、沖縄県警は同被告人らの身柄確保のためにいかなる手段方法を講じたのか明らかにされたい。

四 本件事件の被告人らが米軍側によって基地内で身柄を確保された日時、身柄確保についての沖縄県警への連絡の有無及びその日時を明らかにされたい。

五 沖縄県警が本件事件の被告人らを身柄不拘束のまま取り調べた日時、回数、並びに那覇地方検察庁への送検日時を明らかにされたい。

六 本件事件の公判状況を報道した二〇〇四年二月十三日付の地元二紙によると、公判廷で担当検事から被告人らの上司である中佐に対し、「強盗致傷という凶悪犯罪なのに、両被告を含む容疑者三人をなぜ米軍キャンプ・ハンセン内刑務所に収容しなかったのか。なぜ、共犯者同士が会えない状況をつくらなかったのか」という趣旨の質問をしたところ、中佐は「米軍法務官から、刑務所に入れると日本側の捜査に協力する時、手続きが複雑になるという助言があった。容疑者三人に基地内から出ないよう命令し、勤務させていた」などと説明した上で、「三人が会わないことを百パーセント守らせることはできなかった」と述べたという。

かかる地方紙の報道内容について、私が二〇〇四年二月十八日の衆議院予算委員会で質問したところ、法務省樋渡利秋刑事局長は、「中佐の証人尋問が行われまして、そのようなやりとりがあったことは承知しております。」と答弁している。川口順子外務大臣は、「そういう事実があったかどうかについては調べてみたいと思います。」と答弁しているが、外務大臣によるその後の調査結果を明らかにされたい。

七 日米地位協定第十七条五項Cの「拘禁」の意味について、川口順子外務大臣は二〇〇四年二月十八日の衆議院予算委員会における私の質問に対し、「・・・一般論として申し上げれば、日本が、わが国が裁判権を行使する事件の米軍人等の被疑者の身柄が米側の手中にある場合に、米軍の責任と判断において被疑者の身柄の確保等に必要な措置を講じているというふうにわが国としては、承知をいたしているということでございます。」と答弁している。

一般論、抽象論ではなく、政府は日米地位協定第十七条五項Cの「拘禁」をどのように解釈し、いかなる運用をしてきたのか政府の統一見解を明らかにされたい。

八 政府は、日米地位協定第十七条五項Cの「拘禁」は、「米軍の責任と判断において被疑者の身柄の確保等に必要な措置として講じた」ものであれば、単なる基地外への外出禁止のみで基地内の刑務所に収容しなくてもよいとの考えか。

また、本件事件のように共犯関係にある者が自由に会える状態であっても、「米軍の責任と判断」による措置であればやむなしと容認する考えか。

九 日米地位協定第十七条五項Cの「拘禁」方法は、わが国の刑事司法制度の根幹に関わる重大な問題と思慮するが、政府は「米軍の責任と判断において被疑者の身柄の確保等に必要な措置として講じた」ものであれば、その「拘禁」の態様は米軍の自由裁量であるとの考えか、見解を明らかにされたい。

十 一九九二年三月及び一九九三年七月には米軍により身柄拘束中の被疑者が逃亡した事件があったようであるが、これまでに日米地位協定第十七条五項Cで米軍が身柄拘束中の被疑者が逃亡した事件の事例を詳細に明らかにされたい。

十一 日米地位協定第十七条五項Cは、全面的に改正し、わが国が第一次裁判権を有する場合、米軍人等被疑者の身柄はわが国において直接確保するものとし、その身柄を米側が確保している場合には、わが国における公訴提起の有無にかかわらず、わが国の要請に基づき、直ちに身柄を引き渡すべきと考えるが政府の見解を明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

御指摘の事件(以下「本件事件」という。)の公訴事実の要旨は、沖縄県に駐留するアメリカ合衆国海兵隊(以下「在沖縄米海兵隊」という。)に所属する上等兵である被告人ジョシュア・エム・メージャー及び伍長である被告人ポール・イー・マンデル三世が、共謀の上、平成十五年十月二十三日午前五時五十五分ころ、沖縄県宜野湾市内の路上において、通行中の二十歳の男性に対し、手拳で顔面を多数回殴打するなどの暴行を加えてその反抗を抑圧し、同人から現金約四千円を強取し、その際、当該暴行により、加療約一週間を要する左頬部打撲等の傷害を負わせたというものである。

二について

沖縄県警察においては、平成十五年十月二十三日午前六時ころ、被害者からの一一〇番通報により本件事件の発生を認知したと承知している。

三について

沖縄県警察においては、本件事件の認知後、速やかに、事案の概要及び被疑者の特徴を関係警察署、在沖縄米海兵隊の憲兵隊等に通報し、被疑者の発見を求めるなどの措置を採ったと承知している。

四について

沖縄県警察においては、平成十五年十月二十三日午前八時四十三分ころ、在沖縄米海兵隊の憲兵隊から、沖縄県警察が通報した特徴を有する者を発見し、憲兵隊の管理下に置いている旨の連絡を受けたと承知している。

五について

沖縄県警察においては、被疑者について捜査を遂げるために必要な取調べを行い、平成十五年十一月十二日に那覇地方検察庁検察官に事件を送致したと承知している。

なお、取調べの日時等については、捜査の具体的内容にかかわる事柄であるので、答弁を差し控えたい。

六について

改めて調査をしたところ、那覇地方裁判所において行われた本件事件の公判における在沖縄米海兵隊に所属する中佐に対する証人尋問において、検察官と同証人との間で、おおむね御指摘のようなやり取りがあったことを確認している。

七から九までについて

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第十七条5(c)にいう「拘禁」とは、逃亡の防止等のために必要な範囲で被疑者の自由を制約する措置をいうと解している。具体的にいかなる措置を採るのかについて、日米地位協定は特定の方法を義務付けているわけではないが、政府としては、この措置は、我が国の捜査当局が行う捜査に支障を生じさせないよう適切に行われるべきものと考えている。この観点から、我が国の捜査当局は、個別の事案において必要と認める場合、アメリカ合衆国軍隊(以下「米軍」という。)の当局に対して、例えば、被疑者を拘禁施設に収容して逃走防止を図るよう要請することもあり、米軍の当局は、そうした我が国の捜査当局の要請を含め、事件の内容その他の具体的事情を考慮して、その責任と判断において必要な措置を講じてきているものと承知している。この米軍の当局による措置は、被疑者を米軍の拘禁施設に収容することや被疑者に一定の場所にとどまることを命ずる禁足処分等により行われてきたと承知している。

なお、一般論として言えば、共犯関係にある者が自由に会うことができる状態にあると、捜査上支障が生じる可能性があるものと考えており、仮に個別の事件に関して捜査上の問題があれば、日米間の協議を通じて解決を図ってまいりたい。

十について

日米地位協定第十七条5(c)によりアメリカ合衆国が拘禁をしている被疑者が逃亡した事例として、次の二事例を把握している。

�@ 平成四年一月十七日、沖縄県沖縄市において、同県に駐留する米軍(以下「在沖縄米軍」という。)の構成員三名による強盗致傷事件が発生した。被疑者三名のうち一名は沖縄県警察が現行犯逮捕したが、他の二名は現場から逃走し、身柄がアメリカ合衆国の手中にあったことから、当該二名の被疑者については、沖縄県警察において、身柄不拘束のまま事件を那覇地方検察庁検察官に送致したところ、同年三月二日までに二名とも逃亡した。当該二名の被疑者は、同年八月二十九日及び平成五年三月二日にそれぞれアメリカ合衆国内で身柄を拘束され、アメリカ合衆国により在沖縄米軍の当局に身柄を移された後、それぞれ平成四年九月九日及び平成五年三月十七日、那覇地方検察庁において強盗致傷罪で起訴され、収監された。

�A 平成五年五月二十九日、沖縄県沖縄市において、在沖縄米軍の構成員による逮捕監禁及び強姦致傷事件が発生した。被疑者の身柄がアメリカ合衆国の手中にあったことから、沖縄県警察において、身柄不拘束のまま事件を那覇地方検察庁検察官に送致したところ、同年七月十七日までに被疑者が逃亡した。被疑者は、同年十月二十七日にアメリカ合衆国内で身柄を拘束され、アメリカ合衆国により在沖縄米軍の当局に身柄を移された後、同年十一月十七日、那覇地方検察庁において不起訴処分とされた。

十一について

政府としては、日米地位協定については、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考えの下、運用の改善に努力しているところである。

なお、日米地位協定第十七条5(c)については、平成七年十月二十五日、日米地位協定第二十五条1に基づき設置された合同委員会において「合衆国は、殺人又は強姦という凶悪な犯罪の特定の場合に日本国が行うことがある被疑者の起訴前の拘禁の移転についてのいかなる要請に対しても好意的考慮を払う。合衆国は、日本国が考慮されるべきと信ずるその他の特定の場合について同国が合同委員会において提示することがある特別の見解を十分に考慮する。」等を内容とする刑事裁判手続に関する合意がなされ、その後、三件の事件について、この合意に基づく起訴前の拘禁の移転が行われた。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

個別の事案 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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