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国営中海土地改良事業の計画変更に関する質問主意書

衆議院 第161回 第57号

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2004年11月30日
内閣転送 2004年12月3日
答弁書受領日
2004年12月7日
提出から7日
答弁の項目数
6
質問 1,746字/答弁 1,065字

質問本文

国営中海土地改良事業(以下「当該公共事業」という)の中止に伴う変更においては、中海の原状回復を目指す必要があると同時に、当該公共事業の中止・変更の過程を国民からみて透明で納得できるものにし、さらに将来に向けた漁業振興策をすすめる必要があると考える。

従って、次の事項について質問する。

一 計画変更の目的について

中海の貧酸素水塊の発生による環境破壊の原因として以下のことが考えられる。すなわち、水交換の主要ルートであった森山堤防及び大海崎堤防を閉鎖したため、また境水道・中浦水道を拡幅し、水深を一〇メートルまで浚渫し、弓ヶ浜半島地先を七メートル、深いところで一四から一五メートル掘り下げたことなどのために、かつての左回りの自然な水の流れを遮り、海水と湖水の水交換を中浦水道のみで行ったことである。従って、計画変更の目的は当該公共事業でなされた地形改変でできた貧酸素水塊を解消させ、中海・宍道湖が本来持っていた機能を事業者(国)の責任で回復させることとすべきである。

公有水面埋立法第三五条は、事業の中止等による埋立免許失効の場合の措置として、事業主体に対して原状回復を義務付けているところであり、計画変更の目的を明らかにし、原状回復に対する考えにつき答弁されたい。

二 森山堤防及び大海崎堤防の開削について

農林水産省中国四国農政局は「堤防を開削してもしなくても中海や宍道湖の水質に変化はない」として「開削しない」という態度を変えていないが、地元と提携した調査結果は「中海の水質悪化や生態系の破壊は事業による地形改変によって促進されたことは明らかになっており、そのもっとも大きいものは両堤防によって基本的湖流が失われたことであり、開削しもとの左回りの流れを取り戻すことが必須の条件である」としている。

このことは、農水省が設置した水産調査専門委員会(一九九七年から一九九八年)に於いて、水産振興にあたっては、両堤防の開削を前提として、さまざまな検討がなされ「堤防開削と中浦水道を浅くすることをセットでおこなうことによって効果がある」と報告されている。農水省が自らおこなった水産調査専門委員会の調査結果について、どのように認識し評価しているのか答弁を求めたい。

三 中浦水門の撤去前における研究結果の科学的な検証について

財団法人宍道湖・中海汽水湖研究所と島根大学の相崎教授がおこなったシミュレーションでは、貧酸素水塊の解消のためには堤防開削と中浦水道を浅くすることをセットでおこなう必要性が確認された。また、「浅くする代わりに中浦水門が活用できることが明らかにされ水門撤去は原状回復をすすめる上から取り返しのつかない莫大なムダ遣いの上、自然環境破壊を一層すすめることになりかねない」と指摘されている。はじめから水門撤去ありきでなく、まず堤防開削により潮流の効果を検証し、研究者の調査結果を国としてシミュレーションすべきだと考えるが、見解を伺いたい。

四 浚渫窪地の埋め戻しについて

弓浜工区、彦名工区の埋立のために違法に掘り下げられた浚渫窪地が放置されており、点在する窪地から貧酸素化が始まっている。(これは中海研究者の岸岡努先生が最初に発見され、無酸素水域となっていることを発表され、その後の研究者や、米子市も調査している)国は浚渫窪地の実態を調査し、埋め戻す責任があると考えるが、答弁を求めたい。

五 漁業振興計画について

農水省が設置した「水産調査専門委員会」のさまざまな検討結果を生かし、漁民、地域住民の強い要望である漁業が安定的に繁栄する宍道湖・中海水系一体となった漁業振興計画を立て、推進することがその職務と考えるが、この点につき答弁を求めたい。

六 中海協議会の構成について

中海協議会に漁業者・住民・研究者を参加させ、中海の「賢明なる利用」について地域全体で検討すべきと考えるが、政府の見解を答弁されたい。

七 科学者の知見を原状回復に生かすことについて

中海協議会は研究者の意見を一度も求めていない。専業主体者である農水省は(第三者)科学者の知見を充分に聞き、原状回復し、賢明な利用をするために生かす姿勢が問われていると考えるが、この点につき答弁を求めたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

国営中海土地改良事業については、本庄工区の干陸並びに宍道湖及び中海の淡水化を中止することとされたところであり、これを受けて、現在、既に造成されている揖屋、安来、弓浜及び彦名の干拓四工区の農業用水の確保や中浦水門等の施設の処分を行うことを目的に、土地改良事業計画の変更等の手続を行っているものである。

また、森山堤及び大海崎堤については、既に道路として利用されており相当程度の交通量がある現状にかんがみ、今後とも道路としての利用が確保されることが適当であると考えている。

二について

平成九年に農林水産省中国四国農政局(以下「中国四国農政局」という。)が設置した本庄工区水産調査専門委員会においては、本庄工区の漁場環境の変化予測における予測ケースの参考として、森山堤及び大海崎堤の開削、中浦水門の操作並びに浅場造成を行う場合が検討されているが、この予測ケースは同水門の操作を前提としており、同水門の維持管理に要する費用を考慮すれば、現実的ではないと考えている。

三について

中浦水門の維持管理に要する費用を考慮すれば、同水門の利用を前提としたシミュレーションは現実的なものではないと考えている。また、中浦水道を浅くすることについては、船舶の航行の支障、災害の危険の増大等の問題があると考えている。

四について

弓浜工区及び彦名工区の造成のためのしゅんせつは、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第九十五条の規定に基づく協議を行った上で、適正に実施したものである。また、中浦水門においては、当該しゅんせつが行われた昭和四十三年以前にも貧酸素水塊の発生が見られること、島根県内水面水産試験場において中海における貧酸素水塊の根本的な原因は富栄養化による底質の悪化であるとの見解が示されていること等を踏まえると、しゅんせつくぼ地を埋め戻すことにより貧酸素水塊が解消されるとは考えていない。

五について

農林水産省としては、漁業者等の具体的な要望を反映した鳥取県及び島根県の要請を踏まえ、宍道湖及び中海における漁業の振興に努めてまいりたい。

六及び七について

中海に関する協議会は、中国四国農政局、国土交通省中国地方整備局、鳥取県及び島根県の各行政機関が中海に関する諸問題について調整を行うために設置されたものであり、これに漁業者、地域住民、研究者等行政機関以外の者を参加させることは考えていないが、当該各行政機関においては、地域の漁業者等の意見を聴きつつ、これらの意見を踏まえて同協議会において調整を行っていくこととしている。

衆議院の原文

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