Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 参議院 第180回

国営土地改良事業による地形改変により悪化した中海の水質浄化に関する質問主意書

参議院 第180回 第152号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×4

提出者
参議院
提出日
2012年6月20日
内閣転送 2012年6月25日
答弁書受領日
2012年6月29日
提出から9日
答弁の項目数
5
質問 2,372字/答弁 1,610字

質問本文

「昭和の国引き」といわれた中海干拓・淡水化事業が中止されて十年が経過した。流れを遮断していた中浦水門、西部承水路堤など大きな構造物が撤去され、旧本庄工区の森山堤防も六十メートル開削が行われた。

その後、中海は、二〇〇五年にラムサール条約に登録され、現在、中海干拓中止後の汽水環境の修復及び保全の取組が行われている。

一方で、中海の水質浄化の取組は、「汽水環境の修復・保全」の目標から見ればその一歩を踏み出したに過ぎず、更なる努力が必要となっている。

中海が「湖沼法」の指定を受け、水質浄化に取り組んで現在五期の半ばになる。この間、浄化のために莫大な税金が投下されてきたが、中海汚濁の原因が除去されないため、十分な効果を上げているとは言えない。

漁獲量についても、昭和三十年代は年間平均で約二千トン~九千トン程度だったものが、十分の一以下に減少したままである。中海を、かつてのきれいで、豊かな海に再生させ、次代に生かすことが住民の悲願となっている。

「国営土地改良事業が中止(失敗)した以上、元の姿に戻すのが自然へのエチケット」と中止した当時の片山鳥取県知事の発言に多くの住民が共感し、期待した。

現在、住民、漁民、大学の専門家、自治体、国の出先機関や企業も参加する中海再生の取組がなされているが、国がこれらの粘り強い調査に基づく提案を受け止めた上で中海浄化事業に取り組まなければ中海の再生は出来ない。

その観点から、以下質問する。

一 中海の水質汚濁の原因について、次のような指摘がなされている。①中海と外海との水交換の主要ルートであった本庄水域を大海崎・森山両堤防で閉鎖したため、反時計回りの水流が失われたことである。これは森山堤防の開削によっても十分回復しているとは言えない。②砂浜や遠浅の自然護岸は、垂直な人工護岸で固められたため、ヨシなどの湖岸の植生や浅場に生息する生き物が失われ、自然の浄化機能が損なわれてしまったこと。③干拓事業の際、中海の最大水深八・四メートルより深い(深いところは十メートル)浚渫窪地が、八百万平方メートル造られたことである。その結果、浚渫窪地にヘドロが堆積し、無酸素水域が発生、そのため赤潮が中海の七割に及ぶ水域で五月~十二月の間に発生するようになっている。なお、一九四八年から中学校の教師として、子どもたちと中海を調査され、浚渫窪地を最初に発見された岸岡務氏は、定時・定点調査を続け、「一九八〇年森山・大海崎堤防が完成した以降、海草は全滅し、汚濁が急激に進んだ。」と報告している。

政府は中海の水質が急激に悪化した原因について、どう認識しているのか。中海水質悪化の原因に関するこれらの指摘に対する政府の見解を明らかにされたい。

二 中海の水質浄化のための事業(①中浦水門撤去、②堤防開削、③浅場の再生、④浚渫窪地の埋戻し、⑤揚水機場の撤去と通水、⑥本庄工区揚水機場の撤去と通水、⑦ヘドロの除去及び⑧その他の事業)に投入されたそれぞれの事業費と効果について具体的に示されたい。

三 森山堤防開削による効果についてモニタリングを行い、その結果を公表すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 森山堤防のわずか六十メートル(下部二十四メートル)の開削であっても、「チヌ(黒鯛)などの漁獲が増え、アサリなど場所により増えている」と漁業者が報告している。それは、「必ずしも水質が良くなったからではなく、外海と通じたことによる」とも指摘されている。国、県及び学者の水質調査では得られていない情報である。

五月二十三日、鳥取県の出前説明会の際、この漁業者の報告に県側も、強い関心を示したと聞いている。「海の守り人」である漁業者や住民、そこに暮らす中海の研究者、浄化のための活動に真剣に取り組んでいる人々が、中海の変化や実態を最も知っている。住民参加型の策定プロセスでこそ効果的で効率的な中海再生の計画が出来ると考える。

特に、漁業者は、この間の国の事業の効果を具体的に把握している。事業中止後、国等が行ってきた水質浄化のための事業と、その効果を漁業者・遊漁者・住民からも聞き取り、水質、生態系、漁獲量など全面的な調査と、継続的な中海の水質、生態系、漁獲量のモニタリングを行うべきではないか。そして、漁業者、住民、研究者など、住民参加による事業の見直しを行い、今後の中海再生事業に取り組むべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

五 漁業振興について、干拓工事の始まる前の中海は、「水一升に魚一升」と言われるほどの魚介類の宝庫であった。土地改良事業中止後、農水省の「本庄工区水産調査専門委員会」は、平成十一年一月二十六日の調査報告で「森山・大海崎堤防を開削して海水を導入した場合の水質改善予測では、良好な漁場環境が戻り、漁獲高は二・七倍と想定される」と報告している。委員の一人であった東京水産大学の水口憲哉教授は、「宍道湖・中海あわせて百億円の水揚げになる」と試算している。

地域経済にとっても、水質浄化にとっても、魚介類の豊かな中海を取り戻すことが基本である。土地利用(干陸)を止めた以上、急いで計画を策定・推進する国の責任がある。鳥取・島根両県も一定の努力をしているが、政府が計画を一日も早く示すべきではないか、と考えるが、政府の見解を示されたい。

六 中海再生のためには、両堤防を開削し、反時計回りの流れを取り戻すことが基本と考える。大海崎堤防開削について、その財源措置も含めて国の見解を明らかにされたい。また、窪地の埋戻し、浅場の造成、本庄水域の底に造られた道の跡(でこぼこ)の改善なども必要と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。さらに、具体的な計画があれば、詳細を明らかにされたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

鳥取県及び島根県の調査によれば、国営中海土地改良事業(以下「本事業」という。)に係る大海崎堤及び森山堤の締切り並びに農用地の造成のためのしゅんせつ、人工護岸の整備等の事業の実施後において、中海の化学的酸素要求量、全窒素及び全りんの数値が著しく上昇したとは認められない。また、湖沼水質保全特別措置法(昭和五十九年法律第六十一号。以下「湖沼法」という。)第四条第一項の規定に基づき、平成二十二年三月に鳥取県知事及び島根県知事が策定した中海に係る湖沼水質保全計画(以下「湖沼計画」という。)によれば、中海の水質悪化の原因として、湖底に蓄積した汚濁物質の溶出や、それに伴うプランクトンの発生等が考えられるものの、未解明の部分も多い。

二について

御指摘の「中海の水質浄化のための事業」については、その意味するところが必ずしも明らかではないが、本事業に係る中浦水門の撤去、堤防開削及び本庄排水機場の撤去に係る平成二十三年度末までの事業費の総額は、それぞれ約六十億円、約二十九億円及び約四億円である。なお、これらの事業は、本庄工区の干陸並びに宍道湖及び中海の淡水化の中止のために必要な措置として実施したものであり、これらの事業の水質浄化に係る効果についてお答えすることは困難である。

御指摘の事業のうち、「浅場の再生」、「浚渫窪地の埋戻し」及び「ヘドロの除去」については、その意味するところが必ずしも明らかではないが、国が河川管理者として実施した浅場整備及び覆砂、くぼ地覆砂並びに底泥しゅんせつに係る平成二十三年度末までの事業費の総額は、それぞれ約七十億円、約二十八億円及び約二百億円である。また、浅場整備及び覆砂については、施工した箇所のモニタリング調査を継続して実施しているところであり、くぼ地覆砂及び底泥しゅんせつについては、溶出実験の結果に基づき、底泥からの全窒素及び全りんの溶出量が低減したものと推定している。

三について

中海の水質については、森山堤の内側の本庄工区の地点も含め、鳥取県及び島根県において定期的に測定し、その結果を公表しているものと承知している。

四及び五について

中海の水質保全については、湖沼法第三条第一項の規定に基づき環境大臣が中海を指定湖沼に指定するとともに、国、鳥取県、島根県等が連携して、湖沼計画に基づき、下水道、農業集落排水施設及び浄化槽の整備、浅場及び藻場の造成、覆砂等の事業を推進するとともに、水質の監視及び調査、住民の理解と協力による水質保全活動の推進等の措置を講じているところである。

また、国土交通省中国地方整備局、農林水産省中国四国農政局、鳥取県、島根県、関係市等の各行政機関が共同して平成二十二年四月に「中海会議」を設置し、同会議において、中海の堤防、護岸等の整備、水質及び利活用に関すること等について、当該各行政機関が地域の漁業者等の意見を踏まえつつ、検討及び協議を行っているところである。

六について

御指摘の「大海崎堤防」については、国有財産ではないことを踏まえると、政府としては、その開削について判断する立場にない。

御指摘の「窪地の埋戻し」及び「本庄水域の底に造られた道の跡(でこぼこ)の改善」については、その意味するところが必ずしも明らかではないが、本事業で行ったしゅんせつは河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第九十五条の規定に基づく協議を行った上で適正に実施したものである。なお、島根県水産技術センターによれば、中海における貧酸素水塊の根本的な原因は、富栄養化による底質の悪化である。

御指摘の「浅場の造成」については、その意味するところが必ずしも明らかではないが、国が河川管理者として実施する浅場整備及び覆砂については、同法第十六条の二第一項の規定に基づく斐伊川水系河川整備計画及び湖沼計画に基づき、引き続き、必要な取組を進めることとしている。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×4

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

似た質問主意書

件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。

提出 2004年11月30日 山内おさむ(民主党・無所属クラブ) 答弁 2004年12月7日
衆議院 第161回 第57号
提出 1987年11月11日 吉岡 吉典 答弁 1987年11月27日
参議院 第110回 第7号検討してまいりたい ×1
提出 2003年9月29日 中林よし子(日本共産党) 答弁 2003年10月7日
衆議院 第157回 第16号
提出 2001年6月18日 東門美津子(社会民主党・市民連合) 答弁 2001年7月23日
衆議院 第151回 第102号
提出 1972年11月13日 峯山 昭範 答弁 1972年11月17日
参議院 第70回 第5号検討してまいりたい ×1
提出 2003年3月13日 紙 智子 答弁 2003年5月16日
参議院 第156回 第14号

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる