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中学校使用の地図帳及び外務省ホームページにおける台湾の取り扱いに関する質問主意書

衆議院 第163回 第66号趣旨が明らかではない ×1

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2005年10月31日
内閣転送 2005年11月1日
答弁書受領日
2005年11月15日
提出から15日
答弁の項目数
8
質問 2,718字/答弁 1,422字

質問本文

現在、義務教育課程における中学生が社会科で使用している地図帳は帝国書院発行の『新編 中学校社会科地図 最新版』と東京書籍発行の『新しい社会科地図』の二冊であるが、この二冊がいずれも台湾の東側(太平洋側)に国境線を引いて、台湾を中華人民共和国(以下、「中国」と略)の領土として取り扱っている。また、この二冊の地図帳で使用されている資料も全て中国の資料であることから、台湾が中国領として取り扱われている。

この地図帳を発行する教科書会社の説明では、国名を含めた領土・領域の記載については、外務省編集協力の『世界の国一覧表』と日本国政府の見解に基づいて取り扱っているとのことである。

確かに『世界の国一覧表』(二〇〇五年版)において、台湾は独立国家として扱われているのではなく、「その他の主な地域」の項に掲載されている。しかし、その「領有ないし保護などの関係にある国」の欄には日中共同声明の一文が記されているだけで、どこにも中華人民共和国が台湾を「領有」や「保護」をしているとは記されていない。

それは、台湾の次に掲載されている「ホンコン(香港)特別行政区」や「マカオ(澳門)特別行政区」における「領有ないし保護などの関係にある国」の記述と比べてみれば一目瞭然である。そこには「『一国二制度』による自治が認められた中国のホンコン特別行政区」「『一国二制度』による自治が認められた中国のマカオ特別行政区」とあり、香港やマカオが中国、即ち中華人民共和国の領土であることを明記している。もし教科書会社が説明するように、台湾が中国の領土だとするならば、『世界の国一覧表』では香港やマカオと同じように記述するのが当然であるのにも拘らず、そのようには記述されていないのである。

また、台湾の領土的地位に関する日本の国際法上の立場は二つあり、一つは昭和二十六年九月八日に署名し翌年四月二十八日に効力が発生したサンフランシスコ講和条約に基づくものであり、一つは昭和四十七年九月二十九日に署名した日中共同声明に基づく立場であると理解している。

まずサンフランシスコ講和条約においては、その第二条b項において「日本国は、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」と謳われており、これを以て日本は台湾及び澎湖諸島を放棄した。

また、日中共同声明においては、その三項で台湾に触れ、中国政府が「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する」としたものの、日本国政府は「この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重する」として、台湾を中国の領土とは承認していない。

日本が中国の主張を承認していないことは、当時、日中共同声明に署名して帰国した大平正芳外相が、自民党両院議員総会において、「台湾の領土の帰属の問題で、中国側は中国の領土の不可分の一部と主張し、日本側はそれに対して『理解し、尊重する』とし、承認する立場をとらなかった。つまり従来の自民党政府の態度をそのまま書き込んだわけで、日中両国が永久に一致できない立場をここに表した」と明言していることからも明らかであると理解している。

即ち、日本は領土に関して「カイロ宣言の条項は、履行せらるべく、又日本国の主権は、本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし」とするポツダム宣言を受諾するも、サンフランシスコ講和条約の締結によって台湾に対する権利や権原を放棄した。つまり、サンフランシスコ講和条約の当事国としての日本が台湾の領土的地位に関して独自の認定を行うことは条約の効果を自ら否定することにもつながるので、日中共同声明においても「承認できない立場にある」というのが日本の立場であったと考える。その結果、台湾の法的地位を未決定とし、台湾を帰属先未定とする日本政府の立場は現在まで続いていると解釈できる。

一方、現在、外務省のホームページ「各国・地域の情勢」における「アジア」の「各国情勢」で中国をクリックすると、中華人民共和国とともに台湾が同じ色で表示される。つまり、この地図では台湾が明らかに中国の領土の一部として取り扱われているのである。ところが、同ホームページでは台湾は北朝鮮、香港、マカオと共に「地域情勢」でも取り扱われており、外務省が台湾についてどのように取り扱おうとしているのか、見るものをして混乱を生じさせているのである。

従って、次の事項について質問する。

一 台湾の領土的地位に関する「日本国政府の公式見解」とはいかなるものなのか。その根拠についても明らかにして頂きたい。

二 台湾の領土的地位に関して、サンフランシスコ講和条約の当事国であるアメリカやイギリスなど連合国の見解を政府として、どう理解しているのか。

三 地図帳発行会社は台湾の取り扱いについて、外務省編集協力の『世界の国一覧表』と日本国政府の見解に基づいて取り扱っているとしているが、そのような指示は文部科学省が検定の際に出していると考えられる。それで相違ないか。文部科学省の検定基準などで定めているとすれば、具体的に提示していただきたい。

四 教科書会社が『世界の国一覧表』の記述をそのように解釈をしているのは、教科書を検定する文部科学省の指示するところなのか。指示しているとすれば、それは資料を含めていかなる根拠によるのか。

五 文部科学省の検定において、台湾を中国領と表記する帝国書院発行の『新編 中学校社会科地図 最新版』と東京書籍発行の『新しい社会科地図』は検定で合格している。合格は資料を含めていかなる根拠によるのか。

六 来年度から使用される地図帳でも台湾は中国領と表記されているのか。

七 外務省はホームページにおいて台湾を中国の領土の一部として取り扱っていると解釈できるが、それで相違ないか。

八 台湾に関して、中学校の地図帳における資料は『中国地図集 一九九六』や『中華人民共和国行政区画簡冊一九九九年版』など、すべて中国のものを使用しているため、台湾は中国の一部として表記されている。このような資料を使用する中学生は台湾を中国の一部であるとしか認識できないと思われるが、政府の見解はどうか。

九 台湾が中国領でないという「誤った事実の記載」が明らかになった場合、地図帳の発行者である教科書会社は「教科用図書検定規則」第十三条第一項に従って「文部科学大臣の承認を受け、必要な訂正を行わなければならない」し、あるいは文部科学大臣が同条第四項に従って「発行者に対し、その訂正の申請を勧告」しなければならないと考える。政府の見解はどうか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

我が国は、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号)第二条に従い、台湾に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄しており、台湾の領土的な位置付けに関して独自の認定を行う立場にない。台湾に関する我が国政府の立場は、昭和四十七年の日中共同声明第三項にあるとおり、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」との中華人民共和国政府の立場を十分理解し尊重するというものである。

二について

米国については、千九百七十八年の米中間の外交関係樹立に関する共同コミュニケ等において「台湾は中国の一部であるとの中国の立場を認識する」との立場が示され、英国については、千九百七十二年の英中間の大使交換に関する共同コミュニケにおいて「台湾は中華人民共和国の一つの省であるという中国政府の立場を認識する」との立場が示されていると承知している。

三及び四について

教科用図書における外国の国名の表記については、義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成十一年文部省告示第十五号。以下「検定基準」という。)において「原則として外務省編集協力「世界の国一覧表」によること」とされているものである。

台湾については、御指摘の「世界の国一覧表」において「その他の主な地域」として記載され、「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの立場を表明しており、日本国政府は、その立場を十分理解し尊重することを明らかにしている∧日中共同声明∨」との解説が付されており、教科用図書の発行者においては、これらの記載を踏まえ、教科用図書を編修しているものと考える。

五について

株式会社帝国書院発行の「新編 中学校社会科地図 最新版 帝国書院編集部編」及び東京書籍株式会社発行の「新しい社会科地図」については、検定基準に照らし、教科用図書検定調査審議会の専門的な審議により教科用図書として適切であると判断され、合格となったものである。

六について

お尋ねの「台湾は中国領と表記されている」とはどのような記述を意味するのか必ずしも明らかではないが、平成十八年度から中学校用の教科用図書として使用される地図において、台湾と中華人民共和国との間に国境線を示しているものはない。

七について

台湾に関する我が国政府の立場は、一についてで述べたとおりである。

八について

教科用図書としての地図において、学習上必要な各種の主題図を取り上げるに当たって、中華人民共和国の資料を含めどのような資料を用いるかは教科用図書の発行者の判断にゆだねられているところであり、御指摘の「中学校の地図帳」は、検定基準に照らし、教科用図書検定調査審議会の専門的な審議により、教科用図書として適切であると判断されたものである。

九について

お尋ねは、仮定の問題であり、答弁を差し控えたい。なお、教科用図書検定規則(平成元年文部省令第二十号)第十三条第一項において「検定を経た図書について、誤記、誤植、脱字若しくは誤った事実の記載又は客観的事情の変更に伴い明白に誤りとなった事実の記載があることを発見したときは、発行者は、文部科学大臣の承認を受け、必要な訂正を行わなければならない」とされ、同条第四項において「文部科学大臣は、検定を経た図書について、第一項及び第二項に規定する記載があると認めるときは、発行者に対し、その訂正の申請を勧告することができる」とされているところである。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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