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拷問等禁止委員会最終見解のうち、刑事司法・刑事拘禁と入管手続などに関する質問主意書

衆議院 第166回 第368号承知していない ×3検討してまいりたい ×1個別の事案 ×1

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2007年6月7日
内閣転送 2007年6月11日
答弁書受領日
2007年6月15日
提出から8日
答弁の項目数
40
質問 11,765字/答弁 12,692字

質問本文

一 はじめに

国連拷問等禁止委員会は、二〇〇七年五月二十一日、拷問等禁止条約の実施状況に関する第一回日本政府報告書に対して、同年五月九日、十日に行われた審査を踏まえ、最終見解を発表した。

政府は条約締約国として、この条約を遵守する義務を負っているが、同条約に基づき設置された条約実施機関である国連拷問等禁止委員会から勧告された点につき真摯に受け止め、勧告された点について改善に向けて努力する義務があると考えるがどうか。

二 代用監獄について

委員会がもっとも強く懸念を示し、重要な改革を求めているのは、代用監獄と、そこで行われる取調べの問題についてである。

まず代用監獄制度について、委員会は最終見解十五項において、被逮捕者が裁判所に引致された後ですら、起訴に至るまで、長期間勾留するために、代用監獄が広くかつ組織的に利用されていることに深刻な懸念を有する。これは、被拘禁者の勾留及び取調べに対する手続的保障が不十分であることとあいまって、被拘禁者の権利に対する侵害の危険性を高めるものであり、事実上、無罪推定の原則、黙秘権及び防御権を尊重しないこととなり得るものであると指摘した。そして、特に、委員会は以下の点について深刻な懸念を有するとしている。

�@ 捜査期間中、起訴にいたるまで、とりわけ捜査の中でも取調べの局面において、拘置所に代えて警察の施設に拘禁されている者の数が異常に多いこと

�A 捜査と拘禁の機能が不十分にしか分離されておらず、そのために捜査官は被拘禁者の護送業務に従事することがあり、終了後には、それらの被拘禁者の捜査を担当し得ること

�B 警察留置場は長期間の勾留のための使用には適しておらず、警察で拘禁された者に対する適切かつ迅速な医療が欠如していること

�C 警察留置場における未決拘禁期間が、一件につき起訴までに二十三日間にも及ぶこと

�D 裁判所による勾留状の発付率の異常な高さにみられるように、警察留置場における未決拘禁に対する裁判所による効果的な司法的コントロール及び審査が欠如していること

�E 起訴前の保釈制度が存在しないこと

�F 被疑罪名と関係なく、すべての被疑者に対する起訴前の国選弁護制度が存在せず、現状では重大事件に限られていること

�G 未決拘禁中の被拘禁者の弁護人へのアクセスが制限され、とりわけ、検察官が被疑者と弁護人との接見について特定の日時を指定する恣意的権限をもち、取調べ中における弁護人の不在をもたらしていること

�H 弁護人は、警察保有記録のうち、すべての関連資料に対するアクセスが制限されており、とりわけ、検察官が、起訴時点においていかなる証拠を開示すべきか決定する権限を有していること

�I 警察留置場に収容された被拘禁者にとって利用可能な、独立かつ効果的な査察と不服申立ての仕組みが欠如していること

�J 刑事施設では廃止されたのと対照的に、警察拘禁施設において、防声具が使用されていること

その上で、委員会は、未決拘禁を国際的な最低基準に適うものとするための効果的手段を即時に講ずるべきこと、とりわけ、未決拘禁における警察留置場の使用を制限すべく、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(以下、刑事被収容者処遇法という。)の改正を求めている。

よって質問する。

(一) 委員会は、法を改正し捜査と拘禁を完全に分離すること、国際基準に適合するよう警察拘禁期間の上限を設定することを求めている。この勧告は、警察留置場を代用刑事施設として用いることを認めた刑事被収容者処遇法を改正して、勾留決定後の警察拘禁は認めないこととすべきこと、捜査官が被拘禁者の護送業務に従事することを禁止するため、刑事被収容者処遇法第十六条三項の捜査と拘禁の分離規定の見直しを求めているのではないか。

(二) 委員会は、警察拘禁中の適切な医療への速やかなアクセスを確実にすると同時に、法的援助が逮捕時点からすべての被拘禁者に利用可能なものとされ、弁護人が取調べに立ち会い、防御の準備のため起訴後は警察記録中のあらゆる関連資料にアクセスできることを確実にすることを求めている。それぞれの課題について今後どのように対応するのか。

(三) 都道府県警察が、二〇〇七年六月に設立される予定の留置施設視察委員会の委員には、弁護士会の推薦する弁護士を組織的に含めることを確実にするなどの手段により、警察拘禁に対する外部査察の独立性を保障することを求めている。多くの県警において弁護士会の推薦する弁護士を委員に選任したものと承知しているが、少なからぬ県警において弁護士会の推薦する弁護士を委員に選任していない実情にあるものと承知している。各県警のうち、弁護士会の推薦する弁護士を委員に選任したところと、そうでないところの県名を明示して明らかにされたい。また、来年度以降、すべての県警において弁護士会の推薦する弁護士が委員に選任されるようにすべきであると考えるがどうか。

(四) 委員会は、警察留置場の被留置者からの不服申立てを審査するため、公安委員会から独立した効果的な不服申立制度を確立することを求めている。このような制度的な改正を検討するべきではないか。

(五) 委員会は、公判前段階における拘禁の代替措置の採用について考慮するよう求めている。この問題は現在法制審議会で審議中であると承知しているが、政府としてこのような制度の導入を前向きに検討するべきであると考えるがどうか。

(六) 委員会は、警察留置場における防声具の使用を廃止するべきことを求めている。警察留置場における防声具は保護室の整備を待って廃止していく方針と承知しているが、全国的な保護室の整備計画を加速させ、早期の廃止計画を明らかにするべきであると考えるがどうか。

(七) 代用監獄問題を指摘している十五項は、委員会に対する一年以内の優先的な情報提供事項とされている。期限までに前向きの対応が図られるよう、政府としての対応体制を確立するべきであると考えるがどうか。

三 取調べと自白について

委員会は、十六項において、とりわけ、未決拘禁に対する効果的な司法的統制の欠如と、無罪判決に対して、有罪判決の数が非常に極端に多いことに照らし、刑事裁判における自白に基づいた有罪の数の多さに深刻な懸念を表明している。委員会は、警察拘禁中の被拘禁者に対する適切な取調べの実施を裏付ける手段がないこと、とりわけ取調べ持続時間に対する厳格な制限がなく、すべての取調べにおいて弁護人の立会いが必要的とされていないことに懸念を表明している。加えて、委員会は、国内法のもとで、条約第十五条に違反して、条約に適合しない取調べの結果なされた任意性のない自白が裁判所において許容されうることに懸念を有するとしている。

よって、質問する。

(一) 委員会は、警察拘禁ないし代用監獄における被拘禁者の取調べが、全取調べの電子的記録及びビデオ録画、取調べ中の弁護人へのアクセス及び弁護人の取調べ立会いといった方法により体系的に監視され、かつ、記録は刑事裁判において利用可能となることを確実にすべきであるとしている。

全取調べの電子的記録及びビデオ録画を求める声は日増しに高まっている。政府は警察、検察による取調べのすべてについて電子的記録及びビデオ録画を行うことを決断するべきだと考えるがどうか。

(二) 委員会は、取調べ時間について、違反した場合の適切な制裁を含む厳格な規則を速やかに採用すべきであるとしている。このような規則訂正を速やかに実施するべきであると考えるがどうか。

(三) 委員会は、条約第十五条に完全に合致するよう、刑事訴訟法を改正すべきであるとしている。これは、刑事訴訟法第三百十九条、第三百二十二条を改正し、任意性のない自白・不利益供述の証拠能力及び、捜査・取調べの経過に違法性があった場合に採取された自白の証拠能力を否定することを求めているものと理解される。このような改正を急ぐべきであると考えるがどうか。

(四) 取調べ・自白問題を指摘している十六項は、委員会に対する一年以内の優先的な情報提供事項とされている。期限までに前向きの対応が図られるよう、政府としての対応体制を確立するべきであると考えるがどうか。

四 死刑制度と死刑確定者の処遇について

死刑制度と死刑確定者の処遇については、委員会は、十九、二十項において、最近の立法が死刑確定者の面会及び通信の権利を拡大したことに注目しつつも、委員会は、死刑を言い渡された人々に関する国内法における多くの条項が、拷問あるいは虐待に相当し得るものであることに深い懸念を有するとし、また、委員会は、死刑確定者の法的保障措置の享受に対して課された制限、とりわけ以下の点に関して深刻な懸念を有するとしている。

よって、以下のとおり質問する。

(一) 委員会は、死刑制度と死刑確定者の処遇については、独居拘禁の原則とこれが時には三十年以上も継続していること、処刑の日時について事前の告知がないこと、処刑の日時についての秘密性と恣意性に深刻な懸念を表明し、死刑確定者の処遇については、国際最低基準にのっとった改善を行うよう求めている。

死刑確定者の処遇について、独居拘禁の原則を見直し、刑事被収容者処遇法第三十六条は改正すべきではないか。また処刑の日時を相当期間前に事前告知すべきであると考えるがどうか。

(二) 委員会は、再審請求や恩赦請求が死刑執行を停止させる効果がないこと、刑事訴訟法上、執行阻害事由となりうる精神障害に罹患している死刑囚を特定するための審査のメカニズムが欠如していることに懸念を表明している。このような点について刑事訴訟法第四百四十二条、第四百四十八条、第四百七十九条の改正を含む制度的な改善策を検討するべきであると考えるがどうか。

(三) 委員会は、必要的な上訴制度、すなわち死刑判決については被告人の意思に関わりなく上級審が審査をするべき制度を設けるべきことを勧告している。被告人が上訴を取り下げ、十分な司法審査がないままでの死刑判決確定が増加している日本の実情を的確に把握したうえでの勧告であると考える。

このような刑事訴訟法の改正も検討するべきであると考えるがどうか。また、過去十年間において、最高裁判所ないしは高等裁判所による決定ないし判決を経ないまま確定した死刑判決数の推移を、確定した審級別に示されたい。

(四) 委員会は、死刑執行の即時停止と減刑、恩赦を含む手続的改善を検討すべきことを勧告している。また、委員会は執行までに時間を要している場合に減刑の可能性を確保する法制度を作るべきことを勧告している。

この見解は、死刑判決数のみならずその執行数も増加をみせている日本の死刑堅持政策に対し、真っ向から、その転換を求めた勧告であるといえるが、このような見解をうけて、立法措置等による死刑執行の停止、恩赦制度の実効化を含めた減刑のための制度の改革を含めた制度改正を検討するべきであると考えるがどうか。

(五) 委員会は、弁護人と秘密接見をすることが不可能である点を含めて、弁護人との秘密交通に関して死刑確定者に課せられた制限、秘密交通の代替手段の欠如、及び確定判決後の国選弁護人へのアクセスの欠如につき深刻な懸念を示している。

刑事被収容者処遇法第百二十一条に基づいて、再審請求事件の弁護人等と死刑確定者の面会の立会い又は録音・録画が実施された実例はあるのか、立会い等を行わなかった事例と合わせて件数を明らかにされたい。また立会い等を行った事例があれば、どのような理由に基づくものか。また、同法第百二十一条及び第百四十四条は、再審請求事件の弁護人又は弁護人となろうとする者との秘密交通を保障すべく改正すべきではないか。

五 刑事被拘禁者の処遇について

委員会は、六項、七項、十七項、十八項において、刑事被拘禁者の処遇については、刑務所改革とりわけ刑事施設視察委員会や不服検討会、刑務官に対する人権教育の取り組みなどを高く評価されているが、他方で適切かつ独立した、速やかな医療の提供、刑務所医療の厚生労働省への移管の検討、長期にわたる独居拘禁の期間の限定を法律に定めること、すべての長期独居のケースについて心理学的・精神医学的評価に基づく組織的な検討を行うべきことなどを勧告している。刑務所改革の努力を深化させ、委員会によってなされたこのような勧告に答えた検討を真摯に行うべきと考えられる。

よって、以下のとおり質問する。

(一) 委員会は、過剰収容についての措置を採るべきであるとしている。この勧告に従って、量刑制度及び運用の見直し、仮釈放の積極的な運用、社会内処遇プログラムの導入などが検討されるべきであると考えるがどうか。

(二) 委員会は、いわゆる「第二種手錠」について、革手錠の廃止を歓迎する一方で、「第二種手錠」が、懲罰で、不適切に用いられている申立があることについても、懸念をもって留意するとされ、厳格な監視とこの新たな拘束具が懲罰として利用されることのないよう、措置を採るべきことを勧告した。第二種手錠の使用件数、その使用理由、これについての事実の申告および苦情の申立の件数、これに対する判断の内容を明らかにされたい。

(三) 委員会は、適切、独立かつ迅速な医療がすべての被拘禁者にあらゆる時に施されるようにすることを求めた。このような要請に答えるために、診療の申し出のある時に診療を実施するべきことを、法令または通達上において明確に定めるべきではないか。

(四) 委員会は、医療設備と医療スタッフを厚生労働省のもとにおくことを検討するべきとされた。この点は、行刑改革会議の提言においても、今後の検討課題とされたところである。現在までの検討状況を明らかにされたい。

(五) 委員会は、昼夜間独居処遇について、これが限定された期間の例外的な措置となるように現在の法制度を改正するべきとした。この勧告の意味するところは、懸念事項と併せて読めば、独居拘禁の期間に明確な制限を設けるべきであるとするものと理解される。このような制度改正を検討するべきであると考えるがどうか。

(六) 委員会は、二〇〇五年に成立した刑事被収容者処遇法が昼夜間独居処遇の使用を制限する規定を設けているにもかかわらず、長期にわたる昼夜間独居処遇が継続して用いられているとの訴えについて深い懸念を有するとした。これは制限区分四種を利用した隔離収容の代替措置が進められている実態を批判しているものと理解できる。

また、委員会は、独居拘禁について、期間更新に制限がないこと、十年を超えて独居とされている被拘禁者が少なくないこと、昼夜間独居処遇が懲罰として使用されているとの訴えがあること、精神障害について不適切なスクリーニングしかなされていないこと、通常の処遇に戻すための効果的な手続きが不足していること、昼夜間独居処遇の必要性を決定する際の基準が欠如していることを指摘した。これらの指摘は、我が国の独居拘禁処遇について、抜本的な見直しを迫るものであると理解できる。精神障害についてのスクリーニング、通常の処遇に戻すための効果的な手続き、昼夜間独居処遇の必要性を決定する際の基準について、政府の考え方を明らかにされたい。

(七) 委員会は、長期にわたる昼夜間独居処遇を受けている全ての事例について、当該拘禁が条約に反すると考えられる場合には、これらの者を(この状態から)解放するという観点から、心理学的に、及び、精神医学的な評価に基づいて、組織的な(systematically)調査を行うことを求めた。

この勧告は、長期に及ぶ独居拘禁のすべての事例を個別的に専門的な心理学精神医学的観点から評価したうえで、できる限り通常の処遇に戻していくことを求めているものといえる。委員会の求めに応じて、一年以上独居拘禁とされている全ての受刑者について、このような評価と処遇の見直しを実施すべきであると考えるがどうか。

六 難民認定制度と入管収容施設における処遇について

委員会は、最終見解の十四項において、国内法及び運用において、一部の条項が条約第三条に適合していないことに懸念を表明し、特に次の点について懸念を有するとした。

�@ 二〇〇六年出入国管理及び難民認定法は、拷問を受ける可能性がある国々への送還を明確に禁止せず。加えて、再審査機関は条約第三条の適用を制度的に調査せず。

�A 難民認定の該当性を再審査する独立した機関の欠如。

�B 多数の暴行の疑い、送還時の拘束具の違法使用、虐待、性的いやがらせ、適切な医療へのアクセス欠如といった上陸防止施設及び入国管理局の収容センターでの処遇。特に、これまでに一件のみが入国管理収容センターでの虐待として認められているにすぎないことに委員会は懸念を有する。

�C 入国管理収容センター及び上陸防止施設を独立して監視するメカニズムの欠如、特に被収容者が入国管理局職員による暴行容疑について申立てできる独立した機関の欠如。また、第三者である難民参与員の任命基準が公表されていないことにも委員会は懸念を有する。

�D 法務省は難民認定申請者に対し、異議申立ての際の法的代理人を選任させず、非正規滞在者に対する政府による法的援助が事実上は限定的である事実を踏まえ、入国管理局職員による裁定を再審査する独立した機関の欠如。

�E 全ての庇護希望者の司法審査へのアクセス保障の不十分性と行政手続終了直後に送還を執行した疑い。

�F 難民申請却下後から送還までの庇護希望者の無期限拘束、特に無期限及び長期の収容ケースの報告。

�G 二〇〇六年入管法改正の際に導入された仮滞在制度の厳正性及び限定的な効果。

よって、以下のとおり質問する。

(一) 委員会は、拷問の対象となる危険にさらされると信ずる十分な根拠がある国々への送還を明確に禁止するように勧告している。条約第三条に該当するかどうかの調査責任、及びその保障について、日本政府にあることが明確にされている。明確な形で条約の内容に沿った法改正を行うべきであると考えるがどうか。

(二) 委員会は、難民該当性を再審査する独立した機関を設置すべきであり、締約国は難民申請及び送還手続きにおける適正手続き(due process)を保障するべきであるとしている。このような制度的な改革を行うべきであると考えるがどうか。

(三) 委員会は、締約国は入国管理収容施設における処遇に関する不服申立てを審査する独立した機関を遅滞なく設置すべきであるとしている。一九九八年十一月六日にすでに、国連の規約人権委員会からもすでに指摘されてきたことである。速やかにこのような機関を設置すべきであると考えるがどうか。

(四) 委員会は、締約国は特に弱い立場にある人々が送還を待つ間の収容期間に上限を設置し、書面による送還命令発付以後の収容の必要性に関連する情報を公開すべきであるとしている。

この勧告は、被収容者への虐待や健康被害を生み出している現行のシステム、すなわち「収容令書発布後の無期限・長期収容を可能にしている現行の日本のシステム」に、変更を迫る内容になっている。このような改善・対応を行うべきであると考えるがどうか。

(五) 難民・入管問題を指摘している十四項は、委員会に対する優先的な情報提供事項とされている。期限までに前向きの対応が図られるよう、政府としての対応体制を確立するべきであると考えるがどうか。

七 精神医療施設について

委員会は、二十五項において、私立の精神病院で働く精神科指定医が精神的疾患を持つ個人に対し拘禁命令を出していること、及び拘禁命令、私立精神病院の管理・経営そして患者からの拷問もしくは虐待行為に関する不服への不十分な司法的コントロールに懸念を表明している。

よって、以下のとおり質問する。

(一) 委員会は精神科指定医、特にその大部分を占める私立精神病院で働く精神科指定医の権限に懸念を表明している。精神科指定医の権限行使について、司法的コントロールを及ぼすための制度改正が勧告されているものと理解できる。このような改正を検討するべきであると考えるがどうか。

(二) 委員会は、締約国は公立及び私立精神病院における拘禁手続きについて、実効的かつ徹底した司法コントロールを確保するために必要なあらゆる措置を採るべきであるとした。このような見解は精神保健法の改正を求めているものと理解される。このような改正を検討するべきであると考えるがどうか。

(三) 審査のデータからも機能していないことが証明されている精神医療審査会は、行政の一部である。他の拘禁施設と連動して、独立した第三者機関の創設が必要であると考えるがどうか。

八 定義について

(一) 委員会は、十項において、条約の定義にいう「精神的拷問」が特別公務員暴行陵虐罪や脅迫罪等において、明確に規定されていないことに懸念を表明し、適当な刑罰を科する特別な犯罪として拷問を性格づけるあらゆる構成要素を含めることによって、条約第一条に包含される拷問の定義を国内法に含めるべきであるとしている。この勧告に従って、条約内容に正確に適合させて、国内法を改正するべきではないか。

(二) 委員会は十項において、国内法が条約にいう公務員等やその扇動・同意・黙認の下に行動する者をすべてカバーしていないことに懸念を表明し、自衛隊員、入管職員を例示している。これらの者の行為は特別公務員暴行陵虐罪に当たるのか、政府の見解を明らかにされたい。

同罪に該当する場合には、実際に同罪で起訴あるいは判決を受けた具体的な事例を示されたい。

九 時効について

委員会は、十二項において「拷問及び虐待とされる行為が時効の対象とされていることに憂慮をもって注目する。委員会は、拷問及び虐待とされる行為のための時効は、それら深刻な犯罪についての捜査、起訴及び処罰を妨げうることに懸念を表する。特に、第二次世界大戦中の軍性奴隷、いわゆる「従軍慰安婦」の被害者による提訴が、消滅時効を理由に棄却されたことを遺憾とする。」とした。

よって、以下のとおり質問する。

(一) 委員会は、拷問行為の未遂、共謀及び加担を含む拷問及び虐待とされる行為が、時効にかかることなく捜査が行われ、起訴され、また処罰がなされるように、時効に関する規則及び法規定を見直し、条約上の義務に十分に従ったものとなるようにすべきであると勧告した。この勧告は、拷問について時効にかかることなく法的な責任が追及できることを確保するため、刑法、国家賠償法などを改正すべきであるという趣旨に理解されるが、このような改正を検討するべきではないか。

十 迅速かつ公平な調査、不服申立ての権利について

委員会は、二十項(二つある二十項の二番目)において、次の事項について懸念を表している。

�@ 警察留置場における実効的な不服申立制度の不足。刑事被収容者処遇法が、そうした責務を有する独立機関を創設しなかったことは残念である。委員会は、二〇〇七年六月に設置される留置施設視察委員会に関する情報が不足していることに留意する。

�A 刑事施設視察委員会に、拷問等に関する調査について充分な権限が不足していること。

�B 法務省の職員が事務局を務めていることによって、刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会の独立性が不十分であること、また、被収容者及び職員にインタビューできず、またあらゆる関連文書に直接アクセスできないことから直接的に事案を調査する権限が限られていること。

�C 不服申立てをする権利に法的制限があること、また不服申立てをしようとする際に弁護士による援助を受けることが不可能であること。

�D 不服申立てを行ったことによって、また、賠償請求にかかわる時効によって却下された訴訟を行ったことによる不利益的影響を受けたとの報告があること。

�E 受理した申立数、着手されまた完了された調査の数、さらにその結果の数について情報の不足、これには侵害者の数とその者が受けた判決に関する情報も含む。

よって、以下のとおり質問する。

(一) 委員会は、警察留置場または刑事拘禁施設の双方における被収容者からの拷問等の申立てすべてについて、迅速、公正で、かつ実効的な調査を行う独立メカニズムを設置すべきであるとしている。この点については、国連パリ原則にもとづく政府機関から独立した国内人権機関の設置が急務であり、このような機関を早急に具体化するべきであると考えるがどうか。

(二) 委員会は、被収容者が不服申立ての権利を充分に行使できるように確保するために、拷問等行為についての時効の撤廃、不服申立てをするための法的援助の利用の確保、証人に対する脅迫からの保護措置の設置、及び賠償請求の権利を制限するあらゆる規定の見直しなどを含む、あらゆる必要な措置をとるべきであるとしている。これらの点について、政府は早急に検討を行うべきであると考えるがどうか。

(三) 委員会は、法執行官によって行われたことが疑われる拷問等に関する申立てについて、犯罪種別、エスニシティ、年齢、性別ごとの詳細な統計データを、また、関連する調査、起訴、刑罰、または懲戒処分についての詳細な統計データを提供すべきであるとしている。これらのデータのうち、提供可能なものがあれば提出されたい。提供不可能なものについては、今後統計データを作成するように政府として方針を確立するべきであると考えるがどうか。

(四) 委員会は、六項において、刑事施設視察委員会と不服申立に関する調査検討会の成立は委員会から歓迎しているが、刑事施設視察委員会に拷問や虐待事件についての調査の権限が不足していること、不服検討会については事務局スタッフが法務省によって提供されていることが独立性を不十分なものとしていることが指摘されている。このような制度的な改善に前向きに取り組むべきであると考えるがどうか。

十一 人権教育について

委員会は、二十一項において、条約に違反する尋問手続を記した取調官のための研修マニュアルが存在するとの報告に注目する。さらに、委員会は、人権教育、特に女性及び子どもの特別な人権についての教育が、組織的には、刑事拘禁施設の職員に対して提供されているだけで、警察留置場の職員、取調官、裁判官及び入管収容施設の保安担当職員に対する教育カリキュラムには十分に含まれていないことに懸念を表するとした。

よって、以下のとおり質問する。

(一) 委員会は、捜査官に対する人権教育のカリキュラムを公表するべきとした。これは、本審査において愛媛県警の警察官が作成した取調要領が実際に警察官の研修に使われていたものであることを政府が認めたことと関連しているが、捜査官に対する人権教育の内容を明確にするため、そのカリキュラム、教材の概要を明らかにされたい。

(二) 委員会は、刑務官に対する人権教育については七項において、高く評価したが、すべての法執行官と裁判官、入管警備官に対して、彼らの仕事が人権に及ぼす影響、とりわけ拷問と子ども・女性の権利に着目した定期的な研修を行うべきであると勧告している。このような人権教育を組織的、系統的に実施する体制を確立するべきであると考えるがどうか。また、すべての法執行官と裁判官、入管警備官についての人権教育の教育内容と実施状況を明らかにされたい。

十二 賠償及びリハビリテーションについて

委員会は、二十二項において、人権侵害の被害者が救済及び十分な賠償を得るにあたって直面している困難があるとの報告に懸念を表する。委員会は、また、時効や移民に対する相互主義の原則など賠償の権利に対する制限についても懸念を表する。委員会は、拷問又は虐待の被害者が求め、また得ることができた賠償に関する情報が不足していることについて遺憾の意を有するとしている。

よって、以下のとおり質問する。

(一) 委員会は、拷問又は虐待のすべての被害者が、賠償及びリハビリテーションを含む救済の権利を十分に行使することができるよう確保するために、あらゆる必要な措置をとるべきであるとしている。これは、拷問に対する賠償請求権の時効の廃止ないし援用禁止、相互主義の撤廃などを求めているものと理解される。このような制度的な改善を速やかに実施すべきであると考えるがどうか。

(二) 委員会は、国内においてリハビリテーション・サービスを設置するための措置をとるべきであるとしている。政府としてこのような措置を採ることを検討するべきであると考えるがどうか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約(平成十一年条約第六号。以下「拷問等禁止条約」という。)第十七条1の規定に基づいて設置された拷問の禁止に関する委員会(以下「委員会」という。)に政府が提出した第一回政府報告の検討を踏まえて委員会が二千七年五月十六日及び同月十八日の会合で採択したいわゆる最終見解(以下「最終見解」という。)については、法的拘束力を有するものではないが、その内容等を十分に検討した上、政府として適切に対処していく必要があると考えている。

二の(一)について

我が国の刑事司法制度の下では、限られた身柄拘束の期間の中で、被疑者の取調べその他の捜査を円滑かつ効率的に実施しつつ、被疑者とその家族、弁護人等との接見の便にも資するためには、全国にきめ細かく設置されている留置施設に被疑者を勾留することが現実的であり、代用刑事施設制度は、このような観点からみて、現に重要な役割を果たしていると考えてきたところである。刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号。以下「刑事収容施設法」という。)においては、代用刑事施設制度を代替収容制度とした上、留置施設に係る留置業務に従事する警察官は、その留置施設に留置されている被留置者に係る犯罪の捜査に従事することを禁じる旨を明文で規定し、一般の方を委員とする留置施設視察委員会の設置を規定するなどの制度的改善を加えており、現段階で刑事収容施設法を改正することは考えていない。代替収容制度については、今後、取調べを含む捜査の在り方や刑事手続全体を検討する中で検討すべきものと考えている。

二の(二)について

留置施設においては、被留置者に対し、おおむね月に二回、留置業務管理者の嘱託する医師が健康診断を行い、また、被留置者が負傷し、又は疾病にかかっている場合は、公費により速やかに医師等の診療を受けさせるなどしているところであり、引き続き、被留置者が適切な医療を迅速に受けることができるようにしてまいりたいと考えている。

刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)は、すべての被疑者に弁護人選任権を保障しているところであり、これに加え、すべての被疑者を対象に国選弁護制度を拡大することについては、いわゆる司法過疎地域の状況や公的資金の導入に伴う国民の負担等を考慮して、慎重に検討すべきものと考えている。

現在の刑事訴訟の実務上、適正な取調べによって得られた被疑者の供述が事案の真相を解明する上で極めて重要な役割を果たしていることにかんがみると、取調べに際して弁護人の立会いを認めることについては、限られた被疑者の身柄拘束期間の中で迅速に捜査を遂げて実体的真実を追求する必要があること等を考慮しつつ、広く刑事訴訟制度全体の枠組みの中で慎重に検討すべきものであると考えている。

いわゆる検察官手持ち証拠のすべてを弁護人に開示することについては、関係者の名誉・プライバシーの侵害、罪証隠滅、証人威迫等の弊害が生じる場合があり、さらに、国民一般からの捜査への協力を得ることが困難になるおそれがあるので、相当ではないと考えている。

二の(三)について

平成十九年六月八日現在、留置施設視察委員会の委員を任命している都道府県公安委員会(道警察本部の所在地を包括する方面以外の方面にあっては、方面公安委員会。以下「公安委員会」という。)のうち、弁護士会が推薦した弁護士を留置施設視察委員会の委員に任命しているものは、岩手県公安委員会、宮城県公安委員会、秋田県公安委員会、東京都公安委員会、茨城県公安委員会、群馬県公安委員会、埼玉県公安委員会、神奈川県公安委員会、山梨県公安委員会、長野県公安委員会、静岡県公安委員会、岐阜県公安委員会、愛知県公安委員会、三重県公安委員会、京都府公安委員会、兵庫県公安委員会、奈良県公安委員会、鳥取県公安委員会、島根県公安委員会、徳島県公安委員会、香川県公安委員会、愛媛県公安委員会、佐賀県公安委員会、長崎県公安委員会、宮崎県公安委員会、鹿児島県公安委員会及び沖縄県公安委員会であり、右に述べた以外のものは、北海道公安委員会、函館方面公安委員会、旭川方面公安委員会、釧路方面公安委員会、北見方面公安委員会、栃木県公安委員会、千葉県公安委員会、滋賀県公安委員会、大阪府公安委員会、和歌山県公安委員会、山口県公安委員会及び高知県公安委員会であると承知している。

また、留置施設視察委員会の委員については、各公安委員会において、人格識見が高く、かつ、留置施設の運営の改善向上に熱意を有する者のうちから適当と認められる者を任命する必要があると考えている。

二の(四)について

公安委員会は、都道府県警察の民主的運営を保障するため、住民の良識を代表する合議制の機関として置かれ、第三者的な立場から、都道府県警察を管理するものであり、公安委員会によって、刑事収容施設法に基づく不服申立てに対する審査等は、適切に行われると考えている。

二の(五)について

現在、法制審議会において、被収容人員の適正化を図るとともに、犯罪者の再犯防止及び社会復帰を促進するという観点から、刑事施設に収容しないで行う処遇等の在り方等について審議がなされ、その中で、保釈の在り方についても検討がなされているところであり、政府としては、今後の議論の推移を見守ってまいりたいと考えている。

二の(六)について

警察庁においては、都道府県警察に対し、保護室を積極的に整備するよう指導しているところであり、都道府県警察においては、厳しい財政状況の下、保護室の整備に努めているものと承知している。

二の(七)について

委員会の審査に当たっては、必要な情報を提供し、誠意をもって説明したところであり、委員会から最終見解の第十五項で指摘された事項については、関係省庁においてその内容等を十分に検討し、適切に対処してまいりたい。

三の(一)について

現在の刑事訴訟の実務上、適正な取調べによって得られた被疑者の供述が事案の真相を解明する上で極めて重要な役割を果たしていることにかんがみると、取調べの全過程について録音・録画を義務付けることについては、被疑者と取調官との信頼関係を築くことが困難になるとともに、被疑者に供述をためらわせる要因となり、その結果、真相を十分解明し得なくなるおそれがあるほか、取調べ中における組織犯罪に関する情報収集や関係者の名誉・プライバシーの保護に支障を生ずるおそれがあるなどの問題があるので、慎重な検討が必要であると考えている。

三の(二)について

取調べ時間について法的な規制を設けることについては、捜査の流動性や事件の多種多様性にかんがみると、その現実的妥当性には疑問がある上、現在でも、被疑者に過度の負担を掛けることがないよう十分配慮されており、このような法的な規制を設ける必要性はないと考えている。

三の(三)について

刑事訴訟法上、強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑いのある自白は証拠とすることができないこととされており、御指摘のような改正を行う必要はないものと考えている。

三の(四)について

委員会の審査に当たっては、必要な情報を提供し、誠意をもって説明したところであり、委員会から最終見解の第十六項で指摘された事項については、関係省庁においてその内容等を十分に検討し、適切に対処してまいりたい。

四の(一)について

刑事施設においては、死刑確定者の身柄を確保するとともに、その者が心情の安定を得られるように留意する必要がある。このため、刑事収容施設法第三十六条は、死刑確定者の処遇は、原則として、昼夜、単独室において行う旨を定めるとともに、死刑確定者が心情の安定を得るため有益と認められる場合には、他の被収容者との接触を許すことも可能である旨を定めているのであり、これを改正する必要はないと考えている。

また、執行の日時を死刑確定者に対し相当期間前に事前に告知する取扱いは、当該死刑確定者の心情の安定を害することが懸念されるとともに、かえって過大な苦痛を与えることにもなりかねないと考えられること等により、適当でないと考えている。

四の(二)について

裁判所は、犯罪事実の認定についてはもとより、被告人に有利な情状についても、慎重な審理を尽くした上で死刑判決を言い渡しているものと承知しており、最終的に確定した裁判について速やかにその実現を図ることは、死刑の執行の任に当たる法務大臣の重要な職責であると考えている。仮に再審の請求や恩赦の出願を死刑執行の停止事由とした場合には、死刑確定者が再審の請求や恩赦の出願を繰り返す限り、死刑の執行をなし得ず、刑事裁判を実現することは不可能になり、相当ではないと考えられる。

刑事訴訟法上、死刑の言渡しを受けた者が心神喪失の状態にあるときは、法務大臣の命令によって執行を停止するものとされているところ、死刑の言渡しを受けた者が心神喪失の状態にあるかどうかについては、適切に判断がなされており、御指摘のような改正を行う必要はないものと考えている。

四の(三)について

刑事訴訟手続においては、三審制の下で有罪の認定、刑の量定等について上訴が広範に認められ、また、死刑事件では必ず付される弁護人にも上訴権が付与されており、現に、死刑判決がなされた多数の事件で上訴がなされている状況にあること等にかんがみれば、御指摘のような制度を設ける必要はないものと考えている。

また、平成九年から平成十八年までの十年間に確定した死刑判決中、高等裁判所の判決又は決定を経ていないものの数は、平成九年零件、平成十年一件、平成十一年零件、平成十二年二件、平成十三年一件、平成十四年零件、平成十五年から平成十七年まで各一件、平成十八年二件であり、高等裁判所の判決又は決定を経たが、最高裁判所の判決又は決定を経ていないものの数は、平成九年から平成十一年まで零件、平成十二年一件、平成十三年零件、平成十四年から平成十六年まで各一件、平成十七年零件、平成十八年一件である。

四の(四)について

裁判所は、犯罪事実の認定についてはもとより、被告人に有利な情状についても、慎重な審理を尽くした上で死刑判決を言い渡しているものと承知しており、最終的に確定した裁判について速やかにその実現を図ることが重要であると考えており、御指摘のような制度改正は相当でないと考えている。

四の(五)について

再審請求事件の弁護人等と死刑確定者との面会に職員の立会いを付した実例があることは承知しているが、その件数は承知していない。承知している実例において立会いを付したのは、刑事収容施設法第百二十一条の規定に基づくものである。

また、御指摘の刑事収容施設法第百二十一条等は必要な規定であり、改正すべきものとは考えていない。

五の(一)について

刑事施設における過剰収容状況の解消のため、これまで、収容棟の増築工事等により、収容能力の拡大に努めてきたところである。

また、現在、法制審議会において、被収容人員の適正化を図るとともに、犯罪者の再犯防止及び社会復帰を促進するという観点から、刑事施設に収容しないで行う処遇等の在り方等について審議がなされているところであり、政府としては、今後の議論の推移を見守ってまいりたいと考えている。

五の(二)について

御指摘の第二種手錠が導入された平成十五年十月一日から平成十八年十二月三十一日までの間、全国の刑事施設における第二種手錠の使用事由別の件数は、平成十五年は、暴行のおそれ十件、自殺のおそれ二十一件、平成十六年は、暴行のおそれ六十件、自殺のおそれ九十一件、平成十七年は、暴行のおそれ百二十五件、自殺のおそれ百五十三件、平成十八年のうち平成十八年法律第五十八号による改正前の刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律(同年五月二十四日施行)の施行前は、暴行のおそれ五十六件、自殺のおそれ七十七件、同年のうち同法施行後は、自身を傷つけるおそれ百十二件、他人に危害を加えるおそれ五十九件、刑事施設の設備、器具その他の物を損壊するおそれ八件である。

第二種手錠に係る事実の申告及び苦情の申出の件数に係るお尋ねについては、統計がなく、把握していない。

五の(三)について

刑事収容施設法第六十二条第一項においては、刑事施設の長は、被収容者が負傷し、若しくは疾病にかかっているなどの場合には、速やかに、刑事施設の職員である医師等(医師又は歯科医師をいう。以下同じ。)による診療を行い、その他必要な医療上の措置を執るものとする旨を定め、また、被収容者の保健衛生及び医療に関する訓令(平成十八年法務省矯医訓第三千二百九十三号)第十条においては、刑事施設の長は、被収容者が負傷し、又は疾病にかかっている旨の申出をした場合には、医師等がその申出の状況を直ちに把握できる場合を除き、看護師又は准看護師にその状況を把握させ、当該看護師又は准看護師に診察の緊急性等を判断させた上で医師等へ報告させること、さらに、同報告を受けた医師等において診察の要否を判断することをそれぞれ定め、被収容者に対する適時適切な医療に努めているところである。

五の(四)について

被収容者の健康を保持し、また、被収容者が疾病にかかった場合に適切な医療措置を講じることは、国の重要な責務であると認識している。

刑事施設における医療を厚生労働省へ移管することについては、行刑改革会議においても、その効果には種々の疑問や問題点が考えられるとされたところであり、被収容者の日常生活全般を管理している刑事施設において、被収容者の健康管理や医療もその一環として、引き続き刑事施設の責任の下に提供することが適当であると考えているところである。

法務省としては、もとより、刑事施設の医療の充実を図るためには、厚生労働省を始め関係機関の協力を得る必要があると考えており、これまでに、各刑事施設において、関係機関と医療に関する協議会を開催するなどして、関係機関からの協力を得ながら、医療体制の一層の充実が図られるよう努めているところである。

五の(五)から(七)までについて

受刑者を昼夜の単独室処遇(以下「昼夜単独室処遇」という。)に付する決定及びその期間を更新する決定は、受刑者の所内における行状、性格、他の受刑者との人間関係、集団生活への適応の可否、施設内の保安状況等を総合的に勘案して行う必要があり、行刑実務に精通した豊富な経験に基づく専門的・技術的な判断が求められることから、刑事施設の長がこれを行っている。

刑事施設においては、集団で作業を行う場所での就業を拒否し続け昼夜単独室処遇に固執する受刑者のほか、心身の健康状態等により集団での処遇が困難な受刑者等がおり、このような集団処遇になじまない受刑者については、昼夜単独室処遇を行わざるを得ないと考えている。こうした事情が解消した場合には集団処遇に戻すことにしているが、これらの事情が解消されないため、やむを得ず、昼夜単独室処遇が相当長期間継続せざるを得ない例もあり、昼夜単独室処遇の期間に上限を定めることは相当ではないと考えている。

また、昼夜単独室処遇に付する決定及びその期間を更新する決定は、関係職員から成る審査会において慎重に検討し、必要に応じ、心身の状態に関する医師の意見その他本人の処遇に関する専門職員の意見等を聴いた上で、刑事施設の長により適切に行われているものと認識している。

刑事施設においては、昼夜単独室処遇に付された者について、必要に応じ、職員が面接して集団処遇に移行する意思を持たせるよう努めたり、精神科医師による診察を実施するなど、昼夜単独室処遇を行わざるを得ない事情の解消に努めるなどしており、一律に御指摘の「評価及び処遇の見直し」を実施すべきものとは考えていない。

六の(一)について

退去強制を受ける者が出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第五十三条第一項に定める国において拷問を受けるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠があると判断されるような場合は、同条第二項にいう「前項の国に送還することができないとき」に含まれると解され、本人の希望により、同項各号に定めるいずれかの国に送還されることから、御指摘のような改正の必要性はないものと考えている。

六の(二)について

難民の認定をしない処分等がされた場合には、入管法第六十一条の二の九の規定に従い、法務大臣に対し異議申立てをすることができることとされ、また、法務大臣は、当該異議申立てに対する決定に当たっては、学識経験者から任命された難民審査参与員の意見を聴かなければならないこととされており、難民認定における適正手続は保障されているものと考えている。

また、難民不認定処分等を通知する場合には、行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第四十六条の規定に基づき、当該難民不認定処分等の相手方に対し、取消訴訟の提起等に関する事項を教示し、裁判を受ける権利等への配慮を行っていることから、御指摘のような「制度的な改革」を行う必要性はないものと考えている。

六の(三)について

入国管理局の収容施設は、退去強制事由に該当する者を送還するまでの間、その身柄を確保しておくことを目的としており、当該施設の長の責任において処遇の適正を図ることが可能であり、あえて独立した審査機関を設ける必要はないと考えている。

なお、入国管理局においては、被収容者の人権保護の徹底を期すとともに、被収容者の適正な処遇に資するため、平成十年以降、被収容者処遇規則(昭和五十六年法務省令第五十九号)の改正を行って、収容施設の長が巡視を行う際に被収容者から直接意見を聴取したり、意見箱の設置により被収容者から意見を聴取する制度を整備・運用しているほか、被収容者が自己の処遇に関して不服があるときは、当該収容施設の長に対し不服を申し出て、最終的には、法務大臣に対して異議を申し出ることができる不服申出制度を整備・運用している。

六の(四)について

収容令書によって収容することができる期間は最大で六十日間とされているのに対し、退去強制令書による収容は、直ちに本邦外に送還することができないときに、被退去強制者の送還を確実に実施するために身柄を確保するとともに、被退去強制者の本邦における在留活動を禁止することを目的としており、収容期間に制限はない。

他方、法務省においては仮放免制度を弾力的に運用し対応しているところであり、御指摘のような「改善・対応」は必要ないものと考えている。

六の(五)について

委員会の審査に当たっては、必要な情報を提供し、誠意をもって説明したところであり、委員会から最終見解の第十四項で指摘された事項については、関係省庁においてその内容等を十分に検討し、適切に対処してまいりたい。

七の(一)及び(二)について

精神保健指定医は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号。以下「精神保健福祉法」という。)に基づき、本人の意思によらない入院並びに入院中の者の身体的拘束及び十二時間を超える隔離(以下「身体的拘束等」という。)を必要とするかどうかの判定を行うこととされているが、精神保健指定医は、これらの職務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認められる者として、厚生労働大臣の指定を受けた者であり、精神保健福祉法及び精神保健福祉法に基づき厚生労働大臣が定めた基準に基づき、これらの職務を行うこととされている。また、緊急その他やむを得ない理由がある場合に精神保健福祉法第二十二条の四第四項に規定する特定医師の診察に基づき十二時間に限り行われる本人の意思によらない入院や、身体的拘束等以外の行動の制限についても、精神保健福祉法及び精神保健福祉法に基づき厚生労働大臣が定めた基準に基づき行うこととされている。

また、精神科病院に入院中の者又はその保護者は、都道府県知事又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市の市長(以下「都道府県知事等」という。)に対して、入院中の者の退院や処遇の改善を求めることができることとされており、当該請求があった都道府県知事等は、精神医療審査会において、精神障害者の医療に関し学識経験を有する者、法律に関し学識経験を有する者及びその他の学識経験を有する者のうちから都道府県知事等が任命した委員により構成される合議体により審査を行わせ、その結果に基づき、退院や、処遇の改善のために必要な措置を採ることを命じるなどしなければならないなど、人権に配慮した適切な医療及び保護が行われるために必要な制度が設けられている。

さらに、精神保健福祉法第二十九条第一項の規定に基づく措置入院処分及び精神保健福祉法第二十九条の二第一項の規定に基づく緊急措置入院処分については、行政事件訴訟法に基づき、その取消しを求めて裁判所に訴えを提起することが可能であること、また、法律上正当な手続によらないで身体の自由を拘束されている者は、人身保護法(昭和二十三年法律第百九十九号)の定めるところにより、その救済を裁判所に請求することができることから、精神保健指定医の権限行使並びに本人の意思によらない入院及び行動の制限について、御指摘のような制度の改正を行う必要はないものと考えている。

七の(三)について

精神医療審査会は、精神保健福祉法に基づき、措置入院者及び医療保護入院者について精神科病院の管理者から提出される病状等に関する定期の報告等や、入院中の者又はその保護者からの退院や処遇の改善の請求の全件について審査を行うこととされていること、また、都道府県知事等は、精神医療審査会の審査結果に基づいて、退院や、処遇の改善のために必要な措置を採ることを命じるなどしなければならないこととされていることから、独立した審査が担保されていると考えており、御指摘のような第三者機関を創設する必要はないものと考えている。

八の(一)について

我が国においては、拷問等禁止条約第一条1に規定されている「拷問」に当たる行為については、身体的なものであるか精神的なものであるかを問わず、脅迫罪、暴行罪及び特別公務員暴行陵虐罪を含め、刑法等の法律の規定により処罰されることとなるので、御指摘のような改正を行う必要性はないものと考えている。

八の(二)について

犯罪の成否は、法と証拠に基づき、個別具体的な事案ごとに判断されるべき事柄であり、一概にお答えすることはできないが、一般論としては、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十五条の特別公務員暴行陵虐罪は、その主体を「裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者」、「法令により拘禁された者を看守し又は護送する者」と規定しており、お尋ねの自衛隊員及び入国管理局職員がこれらに該当する場合には、同罪が成立することがあるものと考えられる。

自衛隊員又は入国管理局職員が、特別公務員暴行陵虐罪で起訴され又は判決を受けた事例は承知していない。

九の(一)について

拷問等に当たる一定の行為を刑事上の公訴時効制度の適用対象から除外すべきか否かについては、公訴時効制度の制度趣旨等を考慮し、慎重に検討すべきものと考えている。

国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)に基づく損害賠償請求権の消滅時効等に関する規定については、十二の(一)についてで述べるように合理的なものであると考えている。

十の(一)について

刑事施設の被収容者からの不服申立てについては、法務省において民間・各界の有識者からなる「刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会」を開催し、不服審査の公平性及び公正性を確保しており、留置施設の被留置者からの不服申立てについては、二の(四)についてで述べたように、第三者的な立場から都道府県警察を管理する公安委員会に対する不服申立ての制度が整備されているところである。

また、独立性を有する人権委員会の設置を目的とする人権擁護法案を平成十四年三月に国会に提出したが、平成十五年十月、衆議院の解散に伴って廃案となったところ、同法案については、引き続き検討を行っている。

十の(二)について

最終見解の御指摘に係る部分の趣旨は必ずしも明確ではないが、刑事収容施設法においては、審査の申請及び事実の申告をすることができる期間を制限しているところ、審査の申請は、被収容者の権利を制限するような刑事施設の長の措置に対する不服申立制度であり、問題とされる措置を早期に調査し、当該措置による権利・義務関係を早期に確定する必要があり、また、事実の申告は、刑事施設の職員による被収容者に対する違法又は不当な行為に対する不服申立制度であり、証拠の散逸のおそれ等の観点から、早期の申告を受けて調査を行う必要があることから、いずれの不服申立制度においても、申立期間を合理的に制限したものと考えている。

なお、これら以外の不服申立制度である苦情の申出は、刑事施設内の処遇全般について苦情を申し出ることができ、申出期間は設けられていない。

右に述べた審査の申請等の対象となる措置等の内容については、違法性又は不当性の有無を比較的容易に判断できる性質のものであり、また、申請等の方法も複雑なものではないことから、被収容者が不服申立てを行うか否かを自ら決めるのに困難を伴うことはないと考えており、また、被収容者が不服申立てを行うか否かを決めるに当たって外部との相談を禁じる規定はない。

また、刑事収容施設法においては、審査の申請等の内容について、刑事施設の職員に秘密にすることができるように、刑事施設の長に必要な措置を講ずることを義務付けるとともに、刑事施設の職員には、審査の申請等をしたことを理由として、その者に対する不利益な取扱いをすることを禁じており、これらの規定にしたがって適正に対応しているところである。

国家賠償法に基づく国家賠償請求についての消滅時効等については、十二の(一)についてで述べるとおりである。

十の(三)について

御指摘のような「詳細な統計データ」については、作成しておらず、提供することはできない。

今後、御指摘のような「詳細な統計データ」については、その作成の必要性を含めて検討してまいりたい。

十の(四)について

刑事施設視察委員会は、刑事施設を視察し、その運営に関し意見を述べるものであり、その対象は、施設の運営全般に及んでいる。したがって、同委員会は、職員の不適正な職務執行が疑われる事案について刑事施設の長に必要な情報の提供を求めるなどして調査を行うことが可能であり、行刑運営の透明性を確保するなどの同委員会に期待される役割に照らし、調査する権限が不十分であるとは考えていない。

また、「刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会」は、行刑改革会議の提言を踏まえ、公権力による人権侵害等を対象とした独立性を有する人権救済機関が設立されるまでの間の「暫定的かつ事実上の措置」として、法務省において開催されているものである。同提言においてもその事務局は法務省内に置くものとされているところ、同事務局は、矯正の事務を取り扱う矯正局からの独立性を担保するため、法務省大臣官房秘書課に置かれている。

十一の(一)について

都道府県警察学校における初任科、初任補修科及び部門別任用科、管区警察学校における巡査部長任用科及び警部補任用科並びに警察大学校における警部任用科のカリキュラムは、職務倫理、法学、基本実務、専門実務等の教授種目で構成されており、これらの授業においては、警察官に対し、人身の自由を始めとする基本的人権の尊重や適正な捜査手続、ストーカー対策、配偶者からの暴力対策、児童虐待対策等の女性及び子どもを守る活動等に関する内容が盛り込まれた教材を活用して、人権に関する教育を行っている。

十一の(二)について

法の執行に従事する職員については、その所属する各機関において、計画的に実施されている研修その他の機会で、御指摘のような人権に関する事柄を取り扱うほか、人権問題の専門家による講演会を実施すること等により、人権に関する教育を実施しているところである。

例えば、警察官については、新たに採用された者や昇任した者に対する研修や各種の専門的な研修等において、被留置者の適正処遇、ストーカー対策、配偶者暴力対策及び児童虐待対策等に関する教育を行い、人権に配意した適正な職務執行の徹底に努めている。

検察官については、基本的人権を尊重した検察活動を徹底するため、その経験年数等に応じて実施している各種研修において、国際人権関係条約及び刑事に関する国際協力、児童、女性の人権問題等の人権課題等をテーマとした講義を実施するなど、人権に関する理解の増進に努めている。

裁判官については、裁判所において、裁判官の経験年数等に応じて実施している各種研修において、児童、女性の人権を含めた人権擁護及び国際人権に関するカリキュラムを実施し、裁判官の人権感覚及び国際人権基準についての理解を深めるよう努めているものと承知している。

入国警備官については、基本的人権を尊重した退去強制業務を徹底するため、その経験年数等に応じて実施している各種研修において、人権に関する理解を深めるための講義を行っているほか、毎年開催される人権に焦点を当てた研修において児童や女性の人権等をテーマとするなど、人権意識の涵養に努めている。

十二の(一)について

国家賠償法に基づく損害賠償請求権の消滅時効等については、同法第四条の規定により民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百二十四条の規定が適用されるところ、同条は、時間の経過により立証が困難となること等を考慮して被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年という時効期間を定めるとともに、被害者側の主観的事情により長期にわたり法律関係が確定しないことを防止するため不法行為の時から二十年という除斥期間を設けたもので、合理的な規定であると考えており、御指摘のような「時効の廃止ないし援用禁止」といった措置を採る必要はないものと認識している。

また、国家賠償法の採用している相互主義は、我が国の国民に保護を与えない国の国民に我が国が積極的に保護を与える必要がないという衡平の観念に基づく合理的なものであることから、これを撤廃する必要はないものと認識している。

十二の(二)について

拷問又は虐待の被害者については、例えば、医療機関においてリハビリテーションを含む医療を受けること及び障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)に基づく自立訓練等のサービスを受けることを想定している。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

承知していない ×3検討してまいりたい ×1個別の事案 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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