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ヒト胎盤エキス含有製品の安全性に関する質問主意書
衆議院 第168回 第237号お答えすることは困難 ×3承知していない ×3
質問本文
厚生労働省は、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病感染拡大の予防的措置として、平成十八年十月十日からヒト胎盤エキス注射剤を投与された者からの献血受入を制限することとした。
このような措置については評価するものであるが、ヒト胎盤エキスは注射剤のみならず石鹸やクリーム、ローションなど様々な形態で使用されてきたことから、国民の間に不安が広がっている。
よって、以下の通り質問する。
一 注射剤のみならず、石鹸やクリーム、ローションなど様々なヒト胎盤エキス含有製品について、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病感染の可能性、危険性を政府はどのように認識しているか。また、これまで研究したことはあるか。
二 ヒト胎盤エキス含有製品の安全性を確保するためには、その原料においても、現在実施されている献血制限と同等以上の予防的措置が講じられることが必要と思われる。特に、過去に輸血歴、海外渡航歴、若しくは注射剤の投与歴がある方々からの胎盤を原料に使用することは避けるべきと考えるが、製造企業における原料入手に当たってのスクリーニングはどのように行われているのか。
三 ヒト胎盤エキス注射剤(ラエンネック、メルスモン、プラセンタという名称で用いられている注射剤)について
(1) 承認を受けた医薬品名ごとの過去十年間の国内の生産本数と消費本数、投与者数はどの程度か。また過去十年間の適用外使用による消費本数、投与者数はどの程度か。
(2) 製薬企業のホームページでは、注射剤の原料は国内で入手された安全性の高いものとの記述があるが、(1)で回答された生産本数に見合うヒト胎盤が、「二」で行われているスクリーニングを前提にしても、国内で確保されることが可能であるのか、政府の見解を求める。
(3) 平成十六年九月に、厚生労働省は「メルスモン製薬株式会社」に対して薬事法違反があったとして立入検査等を行うとともに、ヒト胎盤の入手先等について報告命令を課したと承知しているが、その報告内容はどのようなものか。
(4) 「メルスモン製薬株式会社」が無承認無許可で製造したヒト胎盤由来の製品を、美容目的に体内に埋め込む埋没療法が行われていたと考えられるが、これらを受けた者の健康被害の有無はどうなっているのか。
(5) 注射剤に係る副作用報告の内容及び件数はどうなっているのか。また、平成十七年一月に、美容目的に注射剤を投与された者が重篤な肝障害を発症した副作用例が報道されたが、肝炎ウイルスによる被害ではないのか、念のため確認したい。
(6) 注射剤を適正に使用したが、感染症に罹患した場合は「生物由来製品感染等被害救済制度」(以下「被害救済制度」という。)が適用されると承知しているが、美容を目的とする医薬品の適用外使用は、感染被害について被害救済制度が適用されない「不適正な使用」に該当するのか。
また、適用外使用が「不適正な使用」に該当する場合、美容目的の使用には被害救済制度が適用されないことを、利用者にどのように周知しているのか。そして、どの程度、国民が承知していると思われるか。
(7) ヒト胎盤を原料とする医薬品については、未知の病原体等による感染リスクが存在する。このため、平成十五年七月から「特定生物由来製品」については、感染リスクについての患者・利用者への説明が努力義務化されているが、政府においてはその実施状況をどのように把握しているのか。
また、注射剤の美容目的の使用を含め、感染リスクだけではなく、献血や臓器移植について制限を受けることを患者・利用者に説明すべきと考えるが、政府の見解を求める。
右質問する。
政府答弁書
一について
厚生労働省としては、ヒト胎盤加水分解物及びヒト胎盤絨毛分解物(以下「ヒト胎盤抽出成分」という。)を含有する医薬品及び医薬部外品(以下「ヒト胎盤抽出成分含有医薬品等」という。)について、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)に基づく生物由来原料基準(平成十五年厚生労働省告示第二百十号)を定め、その製造について規制するなど、その安全確保に努めるとともに、化粧品について、同法に基づく化粧品基準(平成十二年厚生省告示第三百三十一号)を定め、ヒト胎盤抽出成分を化粧品に配合することを禁止しているが、ヒト胎盤抽出成分含有医薬品等については、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の伝播のリスクを完全には排除できないものと考えている。このため、ヒト胎盤抽出成分含有医薬品等を含め、同法第二条第十項に規定する特定生物由来製品を取り扱う医師その他の医療関係者(以下「特定医療関係者」という。)に対して、当該製品の有効性及び安全性その他当該製品の適正な使用のために必要な事項について、当該製品の使用の対象者に対する適切な説明(以下「適正使用説明」という。)を行い、その理解を得るように努めるよう求めているところである。
また、お尋ねの研究の意味が必ずしも明らかでなく、その実施の有無についてお答えすることは困難である。
二について
ヒト胎盤抽出成分含有医薬品等については、その製造に当たり、生物由来原料基準に基づき、ヒトに対して感染性及び病原性を示す可能性のあるウイルスを検出するために必要な試験を行わなければならないこととされている。また、ヒト胎盤抽出成分含有医薬品等のうち薬事法第十四条の規定に基づく承認を受けているラエンネック及びメルスモンについては、製薬企業において、その製造に当たり、その原料が欧州等への渡航歴等を有する者から採取した胎盤ではないことが確認されているものと承知している。
三の(1)について
厚生労働省としては、統計法(昭和二十二年法律第十八号)第二条の規定に基づく総務大臣の指定を受けた薬事工業生産動態統計調査において、医薬品に関する毎月の生産数量等を調査しているが、同法第十四条及び第十五条第一項において、その徴集結果の秘密の保護及び指定統計を作成するために集められた調査表の統計上の目的以外への使用禁止が規定されていることから、特定の医薬品の生産数量に関わる答弁は差し控えたい。また、ラエンネック及びメルスモンの消費本数及び投与者数並びに適応外使用(薬事法上の製造販売の承認(以下単に「承認」という。)を受けた医薬品の承認外の効能、効果等を目的とする使用をいう。以下同じ。)による消費本数及び投与者数については把握しておらず、プラセンタについても薬事法に基づく承認を受けていないことから、国内の生産本数、消費本数及び投与者数並びに適応外使用による消費本数及び投与者数については把握していない。
三の(2)について
ラエンネック及びメルスモンについては、製薬企業は、その製造に当たり、国内において採取された胎盤を使用することとしており、そもそも海外で採取されたものは使用されていないものと考えている。
三の(3)について
御指摘の「報告」は、メルスモン製薬株式会社が製造した、ヒト胎盤を小片に切り滅菌し、密閉したガラス容器に小分けした製品について、その使用目的や引渡し等の実態を正確に把握する必要があることから、平成十六年九月二日に同社に対し薬事法第六十九条第三項の規定に基づき報告を命じ、同月九日に同社から報告があったものであるが、その内容は、当該製品の製造工程、出荷数量、出荷先等、当該製品に用いられた原料であるヒト胎盤の入手先等の事項に関するものである。
三の(4)について
厚生労働省としては、御指摘の「埋没療法」に係る健康被害については承知していない。
三の(5)について
お尋ねについて、過去の症例すべてをお答えすることは困難であるが、本質問主意書が提出された平成十九年十一月十六日以前の過去三年間に、御指摘のヒト胎盤エキス注射剤に係る副作用として、薬事法に基づく報告があったものは五症例である。このうち、四十歳代の女性で薬剤誘発性アレルギー性肝炎を呈した症例が二例、二十歳代の女性でアナフィラキシーショックを呈した症例が一例、六十歳代の女性で慢性糸球体腎炎を呈した症例が一例、二十歳代の女性で呼吸困難を呈した症例が一例あり、これらの症例については、肝炎ウイルスを原因とするものはない。
三の(6)について
御指摘の被害救済制度においては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成十四年法律第百九十二号)第四条第八項に規定する許可生物由来製品が適正な使用目的に従い適正に使用された場合における感染等による健康被害を救済の対象としていることから、許可生物由来製品が適応外に使用された場合には、その使用については原則として不適正な使用に該当し、当該制度の対象とはならない。
また、御指摘の被害救済制度の内容については、これらの点を含め、国民が当該制度の趣旨及び仕組み等を知ることができるよう、政府広報、独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページ等を通じて、広く国民に対する周知を図っているところである。
三の(7)について
御指摘の努力義務が何を指すか必ずしも明らかではなく、お尋ねの実施状況についてお答えすることは困難であるが、厚生労働省としては、各都道府県を通じ、製薬企業に対して、特定生物由来製品の添付文書に、特定医療関係者は適正使用説明を行う必要がある旨を記載するよう指導するとともに、社団法人日本医師会等を通じ、特定医療関係者に対して、適正使用説明の必要性について周知を図っているところである。
また、献血については、厚生労働省としては、現在、御指摘のヒト胎盤エキス注射剤の投与を受けた者の献血を制限する措置を講じるとともに、当該措置の内容について、日本赤十字社に通知しており、同社においても、国民に対する当該措置の内容の周知に努めているところである。
さらに、臓器の提供については、厚生労働省としては、ヒト胎盤エキス注射剤の投与を受けた者からの臓器の提供を原則として見合わせる措置を講じるとともに、当該措置の内容について、社団法人日本臓器移植ネットワーク等の臓器あっせん機関に通知しており、同ネットワークのホームページ上において当該措置の内容が公表されているところである。
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