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海上自衛隊呉史料館の展示内容等に関する質問主意書
衆議院 第169回 第376号お答えすることは困難 ×1
質問本文
昨年四月五日、広島県呉市に海上自衛隊呉史料館(てつのくじら館)が開館したことに鑑み、その展示内容および史料館の運営等について、以下、質問する。
一 展示内容
(1) 史料館の一九七〇年代の展示において、自衛隊の活動はもっぱら専守防衛を目的としたものであり、「海自も大型艦を保有せず、駆逐艦クラスに相当する護衛艦にとどめた」との説明がされているが、現状においては先般、漁船との衝突事故を起こしたイージス艦「あたご」、あるいは今後就役が予定される事実上のヘリ空母ともいえる護衛艦「ひゅうが」等、満載排水量が一万トンを上回る大型艦が保有されている事実、ならびに大型艦保有に至った経過および理由を丁寧に説明すべきではないか。
(2) 史料館の展示の中心の一つに掃海部隊の活動が挙げられているが、一九九一年に呉基地より出航したペルシャ湾岸への掃海部隊派遣については、専守防衛から逸脱した自衛隊の海外派遣であるとの指摘がされていたことなどを踏まえれば、掃海部隊の海外派遣が憲法の枠内である旨の明確な説明をすべきではないか。
(3) 史料館では、当時、海上自衛隊ではなかったとはいえ、朝鮮戦争時の掃海活動について一定の紹介がされているものと承知する。このことは、日本が事実上、朝鮮戦争に参戦し、憲法に抵触する活動を行ったものであるとの認識を持っているか。抵触するものでないとするのであれば、その理由を示されたい。
(4) 太平洋戦争中、呉には呉鎮守府・呉海軍工廠が存在し、戦争末期には海軍の残存部隊が集結していたため、大規模な空襲の標的とされたほか、米軍による瀬戸内海への機雷施設作戦が展開されたものと承知する。戦時中の海軍の軍事拠点の一つであった呉が、戦後は瀬戸内海の機雷除去の中心を担ったことにより、掃海活動の拠点となる歴史的な経緯が存在していることを明確にすべきではないか。
(5) 退役した潜水艦の実物展示では魚雷発射口の確認が容易ではないものの、史料館のホームページ上では「潜水艦の基本の攻撃兵器である『魚雷』について本物の魚雷を展示」していると紹介している。憲法の平和主義に合致しない攻撃兵器を展示すること、ならびにそのような兵器を備えた潜水艦を「てつのくじら」に例え、史料館の別称にした理由を明らかにされたい。
(6) 史料館の展示内容は、掃海部隊や潜水艦等の展示に重きを置き、ともすれば日本の軍事力を誇示するようなものになっているが、国権の発動たる戦争と戦力の保持を明確に否定した憲法九条の趣旨、ならびに日本による戦争被害を受けたアジア諸国の人々の立場を考慮し、展示内容の見直しを図る考えはないか。
二 史料館の運営・その他
(1) 史料館の設計、運営の中核はPFI事業として日立グループ関連会社が担っているものと承知するが、同社が事業を請け負った経過ならびに契約条件を明らかにされたい。
(2) 史料館の建設費用、年間の運営予算、管理責任体制ならびに従業員数、開館から一年間の期間における正確な入場者数を明らかにされたい。
(3) 昨年十月、事前に連絡を取っていた市民団体が史料館に展示内容見直しの申し入れを行った際、突然、当時の室長が自衛隊呉地方総監部へ出向くよう対応した理由を示されたい。また、事前に受け入れを約束しながら、不誠実な対応を行ったことについての防衛省の認識を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一の(1)、(2)及び(4)から(6)までについて
海上自衛隊呉史料館(以下「史料館」という。)は、一般公募をして選ばれた「てつのくじら」を愛称とし、海上自衛隊の潜水艦部隊及び掃海部隊の活動についての隊員教育及び国民一般等の理解の促進並びに地域との共生への貢献を目的とする施設である。
史料館においては、呉と海上自衛隊とのかかわり及びその背景となる海上自衛隊発足以前の歴史を含め、その設置目的に必要と認められるものを展示しているところであるが、今後もこの目的に照らし展示内容を必要に応じて更新していく考えである。
なお、海上自衛隊の艦艇については、「平成十七年度以降に係る防衛計画の大綱について」(平成十六年十二月十日閣議決定)等に従って、新たな脅威や多様な事態に実効的に対応する必要性等を踏まえ、国会における毎年度の予算等の審議を経た上で整備してきている。
また、御指摘のペルシャ湾海域への海上自衛隊の掃海艇等の派遣は、平成三年四月二十四日に発表した政府声明の中で述べているとおり、政府としては、正式停戦が成立し、湾岸に平和が回復した状況の下で、我が国船舶の航行の安全を確保するため、海上に遺棄されたと認められる機雷を除去するものであり、武力行使の目的をもつものではなく、憲法上の問題は生じないと考えている。
一の(3)について
史料館においては、海上自衛隊発足以前の歴史として、朝鮮戦争当時の掃海活動に関する資料を紹介している。
御指摘の掃海活動について、今日においては、政府として正確に事実関係を示すことは困難であるが、米国極東海軍司令官の指令に従って行われたものと承知している。
二の(1)について
史料館の整備等に係る事業については、平成十七年二月、総合評価一般競争入札により株式会社日立製作所を代表企業とする入札参加グループを落札者として決定し、同年三月、史料館の建設及び平成二十六年三月三十一日までの運営・維持管理業務に係る契約を、同グループが設立した特別目的会社(呉エス・アンド・エス株式会社)と三十億二千七百九十三万八千七百六十一円で締結したものである。
二の(2)について
事業契約書によれば、契約金額三十億二千七百九十三万八千七百六十一円のうち、施設整備費相当分の金額は二十三億九千三百六十三万三千七百六十一円、運営期間約七年間における施設の運営・維持管理費相当分の金額は六億三千四百三十万五千円である。史料館の運営及び維持管理業務は、呉エス・アンド・エス株式会社が呉地方総監部のモニタリングを受けつつ行っており、その従業員数は七名である。また、史料館を開館した平成十九年四月五日から平成二十年四月四日までの一年間の入場者数は、五十七万五百人であると承知している。
二の(3)について
防衛省としては、御指摘の申し入れについて、対応が必ずしも十分でないと受け止められたとすれば残念であるが、見学者の支障となることを避けるため、呉地方総監部に申し入れるよう史料館から要請したと承知している。いずれにせよ、防衛省としては、史料館において、来訪者への誠実な対応に努めていく必要があると考えている。
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