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いわゆる足利事件で容疑者とされた人物が釈放された件に関する質問主意書
衆議院 第171回 第504号お答えすることは困難 ×1承知していない ×1
質問本文
一九九〇年、栃木県足利市で当時四歳の女児が殺害されたいわゆる足利事件で容疑者とされ、無期懲役が確定し、服役中だった菅家利和さんが、女児の下着に付着していた体液のDNA型が菅家さんのものとは一致しないとの鑑定結果が出たことを受け、本年六月四日、千葉刑務所から釈放された。右を踏まえ、質問する。
一 菅家さんが逮捕された当時、栃木県警が実施したMCT118のDNA鑑定技術は、別人で一致する可能性が千人に一.二人と、現在の四兆七千億人に一人というものと比較すれば、その精度はかなり低いものであったと承知する。また報道によれば、そもそも殺害された女児の下着に付着していた体液のDNA型は菅家さんのDNA型と一致していなかったとのことであるが、それでもなぜ、栃木県警として菅家さんの逮捕に踏み切ったのか、政府、特に警察庁として、その経緯を詳細に把握しているか。
二 菅家さんは釈放された六月四日、記者会見を開き、逮捕された当時の栃木県警による取り調べの様子について、「刑事たちの取り調べが厳しく、髪の毛を引っ張られたり、け飛ばされたりした。無理やり責められ、『白状しろ』『早くしゃべって楽になれ』と言われ、どうしようもなくなって自白してしまった」と語っているが、当時、栃木県警の警察官により、菅家さんの取り調べに際して右の様なことが行われたというのは事実か、政府、特に検察庁、警察庁として把握しているか。
三 二が事実ならば、菅家さんの取り調べに際し、当時栃木県警の警察官が菅家さんに対してこの様な暴力行為を働いたことに関し、政府、特に検察庁、警察庁としてどの様な認識を有しているか。
四 二で触れた様に、容疑者の取り調べに際して、け飛ばす、髪の毛を引っ張る等の暴力行為を行うことは、暴行以外の何物でもなく、何ら正当性を有するものではないと考えるが、政府、特に検察庁、警察庁として、取り調べに際して、右の様な暴力行為を行うことを奨励しているか。
五 菅家さんの事例の様に、取り調べにおいて警察官が容疑者に対して暴力行為を働き、当該警察官に対して処分が下された事例はこれまで何件あるか。その詳細と共に明らかにされたい。
六 菅家さんの事例の様に、取り調べにおいて検察官が容疑者に対して暴力行為を働き、当該検察官に対して処分が下された事例はこれまで何件あるか。その詳細と共に明らかにされたい。
七 現在警察庁として、警察官が取り調べを行う際、それが適正なものとなる様、別室より他の警察官がその様子を監視する仕組みがとられていると承知するが、右により実際にどの様な効果があったと、現時点で警察庁は認識しているのか説明されたい。
八 検察庁において、取り調べの一部を録画・録音する等の可視化を実施していると承知するが、右により実際にどの様な効果があったと、現時点で検察庁は認識しているのか説明されたい。
九 今次の菅家さんの事例の様に、密室での取り調べに際し、容疑者に暴力行為を行い、恐怖心に駆られた容疑者が結果として自白をしてしまうという事実があることは紛れもない事実であると考える。この様ないわゆるえん罪を防ぐためには、やはり取り調べの全面可視化を実施し、警察官、検察官による非人道的な取り調べを防止することが絶対的に必要であると考えるが、政府、特に検察庁、警察庁の見解を示されたい。
十 政府、特に検察庁、警察庁として、菅家さんと同様の事例が発生することを防止するため、今後どの様な対応をとる考えでいるのか説明されたい。
十一 東京高等検察庁は今次の菅家さんの事例に関し、「DNA鑑定が再審開始の要件である無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する蓋然性は高いといわざるを得ない」、「以上の通り、検察側鑑定人による鑑定は刑訴法に定める無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する蓋然性が高いので、本件再審の開始については、裁判所において、しかるべく決定されたい。」と、菅家さんが無罪である可能性が高い旨、意見書において述べている。少なくとも、菅家さんの事例に係るこれまでの検察庁の手続きには重大な瑕疵があったことは事実であるが、右の点につき、検察庁として菅家さんに謝罪をする考えはあるか。
右質問する。
政府答弁書
一について
警察庁においては、栃木県警察から、御指摘の事件については、遺体発見現場等における鑑識活動、そこから得られた証拠品の鑑定、関係者からの事情聴取、地域住民からの聞き込み等の所要の捜査を行った上で、逮捕に至ったとの報告を受けている。
二、三、五及び六について
御指摘のような菅家氏に対する暴力行為等が行われたという事実は把握しておらず、お尋ねの「菅家さんの事例の様に」の意味が明らかでないため、お答えすることは困難である。
四について
警察庁においては、都道府県警察に対し、被疑者の取調べを行うに当たっては、強制、拷問、脅迫その他供述の任意性について疑念を抱かれるような方法を用いてはならない旨指導しているところである。
七について
警察庁においては、被疑者取調べの適正化に資するため、平成二十一年四月一日から被疑者取調べ監督制度を施行し、都道府県警察において、犯罪捜査に従事しない総務又は警務部門の警察官の中から指名された取調べ監督官が、取調べ室の外部からの視認、取調べ状況報告書の閲覧その他の方法により被疑者取調べの状況の確認を行っており、当該監督制度は、取調べに係る不適正行為を防止する上で効果が上がっているものと承知している。
八について
検察当局においては、裁判員裁判において、自白の任意性に関し、裁判員にも分かりやすく、効果的・効率的な立証を遂げ立証責任を果たすため、裁判員裁判対象事件に関し、検察官の判断と責任において、取調べの機能を損なわない範囲内で、検察官による被疑者の取調べのうち相当と認められる部分の録音・録画を実施しているが、その効果については、自白の任意性を裁判員にも分かりやすく、かつ効果的・効率的に立証するために有用である一方、録音・録画が取調べの真相解明機能に影響を及ぼす場合があることから、録音・録画の実施に当たっては、真相解明の観点から十分な慎重さを要すると評価しているものと承知している。
九について
取調べの全過程について録音・録画を義務付けることについては、これまで累次の質問主意書に対する答弁書で述べたとおり種々の問題があるので、慎重な検討が必要であると考えている。
十について
政府としては、無期懲役の判決が確定した事件につき、刑の執行停止により受刑者を釈放するに至った事態を重く受け止め、今後の裁判所の審理の推移も踏まえつつ、本件捜査及び公判の問題点等について早急に検討し、同様の事案の再発防止に万全を期してまいりたいと考えている。
十一について
最高検察庁においては、御指摘の事件に関し、今後の再審請求審等の審理も踏まえつつ、捜査及び公判の問題点につき検証することとしているが、平成二十一年六月十日、「真犯人とは思われない人を起訴し、服役させたことについては、大変申し訳ないことであると思っております。」旨の謝罪をしたものと承知している。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。