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北方領土における日露資源協力に関する質問主意書
衆議院 第177回 第355号承知していない ×1仮定の質問 ×1
質問本文
昨年十一月、メドベージェフ大統領の国後島訪問後、ロシアは、領土問題について中韓両国と共闘する方針を鮮明にし、本年五月十五日には、東日本大震災発生後初めて、イワノフ副首相ら五閣僚が、又しても我が国の中止要請を無視し、国後、択捉両島を視察した。間髪入れず同月二十四日には、韓国国会「独島領土守護対策特別委員会」の姜昌一委員長ら民主党議員三人が、我が国に対して何らの手続き或いは通告もなく、「日本との領有権問題がある地域の支配・管理状況の視察」を訪問目的にし、恣意的ともとれるロシア極東ユジノサハリンスクから国後島へ入った。これらは震災後においても、引き続きロシアが領土主権を固定化する方針に変わりのない姿勢を示したものである。
このような中、日本経済新聞がロシア極東連邦管区のイシャエフ大統領全権代表に書面インタビューを行ったが、それによると、同代表から北方領土周辺海域での原油・ガスの共同開発を提示し、日露間の領土問題において、新たに「資源」を巡る重要な課題が追加された。さらに、日本が応じなければ、中国、韓国など他国との共同開発に乗り出すことも言及しており、その傲岸なる態度は留まるところを知らない。
平成二十四年にはウラジオストックで開かれる予定のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で公表するとしているが、現段階において、ロシアの主権を認めるが如き共同経済活動に参加するとなれば、領土問題がさらに棚上げされ、ロシア国内でも益々領土返還に反対の声が高まり、由々しき事態に発展する恐れを極めて憂慮するものである。
従って、次の事項について質問する。
一 本年五月十五日、東日本大震災発生後初めて、イワノフ副首相ら五閣僚が国後、択捉両島を視察し、間髪入れず同月二十四日には、韓国国会議員らが、我が国を歯牙にもかけず、ロシア極東ユジノサハリンスクから国後島へ入ったことは、依然ロシアが領土主権を固定化する方針に変わりのない姿勢を示したものと考えるが、どのように捉えているのか、菅内閣の見解如何。
二 日本経済新聞の書面インタビューでロシア極東連邦管区のイシャエフ大統領全権代表が、北方領土周辺海域での原油・ガスの共同開発を提示し、日露間の領土問題において、新たに「資源」を巡る重要な課題が追加されたことについて、どのように分析しているのか、菅内閣の見解如何。但し、「去る二月の日露外相会議において、議論することが決まった『共同経済活動』の具体策として提案されたもの」とするが如き、慇懃無礼な答弁を期待しない。
三 二に関連し、日本が応じなければ、中国、韓国など他国との共同開発に乗り出すことも言及しているが、他国とはどのような国名が考えられるのか、またこれについてどのように分析しているのか、菅内閣の見解如何。
四 二〜三に関連し、東日本大震災後の原子力発電の減少に関連して、プーチン首相が極東における化石燃料の生産拡大を指示し、日本企業とウラジオストックにLNG工場を建設するための調査で合意したとしているが、現政府はこの情報を把握しているのか。また、サハリン1の天然ガスを将来的にこの基地を使い、LNG化して我が国に供給していくのか、菅内閣の見解如何。
五 二〜四に関連し、日露間において、新たに「資源」を巡る重要な課題が追加されたことを受けて、エネルギー分野の協力を検討する作業部会が近日中に立ち上がると聞くが、その進捗状況はどのようになっているのか、菅内閣の見解如何。
六 五に関連し、今秋、ロシアで関係閣僚や民間企業幹部などによる日露の円卓会議が開かれると聞く。当然、新総理の下での関係大臣の出席となると期待するが、現時点においてどのように対応していくのか、菅内閣の見解如何。
七 二〜六に関連し、現段階において、ロシアの主権を認めるが如き共同経済活動に参加するとなれば、領土問題がさらに棚上げされ、ロシア国内でも益々領土返還に反対の声が高まることは必至と考えるが、菅内閣の見解如何。
八 二〜七に関連し、中露間において、東シベリアの油田から中国に原油を運ぶパイプラインが完成し、本格的な供給が既に始まっている。しかし天然ガスについては、先月、胡錦濤国家主席は訪露中に価格面で不服とし妥結を見送った。ロシアは我が国を取り込むことによって、資源における覇権の優位性が得られ、対中交渉も有利に進められると目論んでいると考えるが、どのように分析しているのか、菅内閣の見解如何。
九 震災後、カタールやインドネシア、オーストラリアなどの国からLNGの供給増の申し入れ、さらには米国を中心とした地中の岩盤層に眠る原油・天然ガスを生産するための開発事業も進行中ときくが、これらの進捗状況はどのようになっているのか、菅内閣の見解如何。
十 我が国の官民によるサハリン石油ガス開発が、長年に亘り莫大な資金を投下してきた「サハリン1」は中露間のパイプラインを利用し中国に売却する計画だったが、その後の進捗状況はどのようになっているのか、菅内閣の見解如何。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘のイワノフ・ロシア連邦副首相らによる択捉島及び国後島訪問は、北方領土問題に関する我が国の立場と相容れず、また、我が国国民の感情を傷つけるものであり、受け入れられない。また、姜昌一議員ほか二名の大韓民国の国会議員による国後島訪問は、ロシア連邦の査証を取得して北方四島に入域する等あたかも北方四島に対するロシア連邦の管轄権を前提にしたかのごとき行為であり、北方領土問題に関する我が国の立場と相容れないと考えている。いずれにせよ、ロシア連邦が法的根拠なくして我が国固有の領土である北方四島を占拠していることは我が国として受け入れられるものではなく、政府としては、北方四島の帰属の問題を解決してロシア連邦との間で平和条約を締結するとの方針の下、引き続き、強い意思をもってロシア連邦政府との間で交渉を行っていく考えである。
二及び三について
ロシア側から御指摘の書面インタビューにあるような提案は受けておらず、仮定の御質問にお答えすることは差し控えたい。
四及び十について
本年三月十九日、プーチン・ロシア連邦首相が、東日本大震災を踏まえて、日本へエネルギーの追加供給を行う準備がある旨の表明等を行ったと承知している。また、本年四月二十五日、日本企業とロシア国営ガス会社ガスプロムが、ウラジオストク市周辺における天然ガス利用プロジェクトの共同事業化調査の実施に関する合意文書に署名したと承知している。
サハリン�Tプロジェクトにおける天然ガス開発によって生産される天然ガスの販売先については、当該プロジェクトの実施主体である事業者が決定するものであるが、現時点では決定していないと承知している。
五について
お尋ねについては、本年三月二十二日にセーチン・ロシア連邦副首相からエネルギー協力に関する提案がなされたことを受けて、日露両政府により、本年七月二十六日、モスクワにおいて、「石油・天然ガス分野における協力に関する日露ワーキング・グループ」の第一回会合が開催されたところである。
六について
本年二月十一日にモスクワで開催された「貿易経済に関する日露政府間委員会」において、前原外務大臣(当時)及びフリステンコ・ロシア連邦産業貿易大臣は、日本国外務大臣及びロシア連邦産業貿易大臣並びに日露両国の企業関係者が参加する日露経済に関する円卓会議を開催することで原則的に一致した。
これを受け、外務省は、開催場所及び時期を含め、同円卓会議の開催に向けた調整をロシア側と行っているところである。
七について
北方四島における共同経済活動については、我が国の法的立場を害さないという前提で、何ができるかについて検討を続けているところである。
八について
御指摘のように「ロシアは我が国を取り込むことによって、資源における覇権の優位性が得られ、対中交渉も有利に進められると目論んでいる」か否かを含め、東シベリアの天然ガスをめぐる露中間の交渉に関するロシア側の意図については、政府としてお答えする立場にない。
九について
LNGの売買に係る具体的な契約交渉は民間ベースで行われており、政府としてその詳細は承知していないが、各電力会社においては、東日本大震災等に伴う本年度上期の追加的なLNG需要については必要量をおおむね確保したと聞いている。また、技術革新により、米国を中心に、頁岩に含まれる天然ガス等の開発が進められており、日本企業の参画する開発プロジェクトも増加していると承知している。
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