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原子力損害賠償紛争審査会指針の賠償対象区域に関する第三回質問主意書
衆議院 第180回 第140号お答えすることは困難 ×1個別の事案 ×1
質問本文
私が提出した質問主意書(平成二十四年二月六日提出質問第四九号)に対する政府の答弁書には、誠意ある回答は何もみられなかった。そこで、再質問主意書(平成二十四年二月二十四日提出質問第一〇〇号)を提出し、改めて政府に誠実な回答を求めたが、政府の答弁書には全く誠意ある回答はなされず、誠に遺憾である。
私は、地元住民の方々の切実なる実情を詳しく申し上げた上で三問を個別に質問し、一問ごとにそれぞれ回答するよう求めたにもかかわらず、政府の答弁書のいずれも、質問者の求めに関係なく、一まとめにした上、質問の前提として明らかになっている自主的避難等対象区域(以下、「対象区域」という)の設定基準を一字一句違わずに繰り返すのみで、何ら回答はしていない。
私は、三月五日の衆議院予算委員会第四分科会における質疑で、また同月七日の東日本大震災復興特別委員会における質疑で、具体的根拠を挙げ、対象区域の見直しを求めたのに対し、平野文部科学大臣の答弁は、「明日、私は委員長(ここに言及されている委員長とは「原子力損害賠償紛争審査会長」を意味する。)とお会いして、予算委員会におきましてもそういうお声があるということは必ず私はお伝えしたい」等の答弁があった。よって、私が衆議院各委員会で質疑を行った際の平野文部科学大臣の答弁等を踏まえて、一問ごとに政府の誠意ある回答を求めて、以下質問する。
一 平野文部科学大臣は、同月七日以降、原子力損害賠償紛争審査会(以下、「紛争審査会」という)に具体的にどのような取り組みをされたのか。それに応えて、紛争審査会では、どのような議論をしたのか、明らかにされたい。
二 紛争審査会は、中間指針追補の見直しを検討中であるが、第二次追補においては、対象区域を拡大し、具体的には宮城県丸森町を対象区域として認めるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。また、紛争審査会が対象区域の見直しを決定した場合、政府は前向きに受け入れるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
三 平野文部科学大臣は、その答弁において、「被災者の立場に立つということが基本前提」と繰り返し答えているが、文部科学省は、原子力被害に関して紛争審査会及び紛争解決センターの設置運営以外に、どのような被災者の立場に立った取り組みを行ってきたのか、明らかにされたい。
四 福島原子力発電所事故による原子力損害について紛争審査会による指針の賠償対象区域の住民でなければ、個別に賠償請求し、かつ、自らその請求の正当性を証明しなければならない。こうした被災者に過度の負担を強いるやり方は、「国民の生活が第一」と宣伝する民主党政権が選択する手法なのか。原子力被害から住民を迅速に救済するためには、対象区域を適切に設定し直し、個別に相当因果関係の立証を住民に強いることなく、自動的に賠償請求手続を進められるようにすることが非常に重要と考えるが、政府はどのように認識しているのか、明らかにされたい。
五 紛争審査会が中間指針追補において対象区域を設定する際に勘案した要素すべてを、明らかにされたい。
六 紛争審査会が宮城県丸森町を対象区域にしなかった理由の一つとして、平野文部科学大臣は「ヨウ素剤が配付されていない」と答弁した。ヨウ素剤の配付の有無は、紛争審査会が主な判断材料として公表してこなかったものである。ヨウ素剤の配付の有無を賠償対象区域の判断材料とすることは、実際の放射線量とは関係ないものであり、正当性がないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
平野文部科学大臣は、平成二十四年三月八日に能見善久原子力損害賠償紛争審査会会長(以下「能見会長」という。)と会談し、御指摘の同月五日の衆議院予算委員会第四分科会等における質疑の中で、宮城県伊具郡丸森町を「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針追補(自主的避難等に係る損害について)」(平成二十三年十二月六日原子力損害賠償紛争審査会決定。以下「中間指針第一次追補」という。)における「自主的避難等対象区域」に含めるべきであるとの御指摘があったことを伝えた。これを踏まえ、平成二十四年三月八日に開催された第二十五回原子力損害賠償紛争審査会において、能見会長から、同町の状況について言及され、その上で議論が行われた結果、同月十六日に開催された第二十六回原子力損害賠償紛争審査会において、「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針第二次追補(政府による避難区域等の見直し等に係る損害について)」(平成二十四年三月十六日原子力損害賠償紛争審査会決定。以下「中間指針第二次追補」という。)が決定されたところである。中間指針第二次追補においては、「自主的避難等」により、同年一月以降に生じた損害について、「�@第一次追補とは、対象期間における状況が全般的に異なること、�A他方、少なくとも子供及び妊婦の場合は、放射線への感受性が高い可能性があることが一般に認識されていると考えられること等から、第一次追補の内容はそのまま適用しないが、個別の事例又は類型によって、これらの者が放射線被曝への相当程度の恐怖や不安を抱き、また、その危険を回避するために自主的避難を行うような心理が、平均的・一般的な人を基準としつつ、合理性を有していると認められる場合には賠償の対象とすることとする。」とし、また、「中間指針、第一次追補及び第二次追補で対象とされなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められることがあり得る。その際、これらの指針に明記されていない損害についても、個別の事例又は類型毎に、これらの指針の趣旨を踏まえ、かつ、当該損害の内容に応じて、その全部又は一定の範囲を賠償の対象とする等、東京電力株式会社には合理的かつ柔軟な対応が求められる。」としている。
二及び四について
原子力損害賠償紛争審査会では、法律、医療及び原子力工学その他の原子力関連技術に関する学識経験を有する者が、公正中立な立場から審議を行い、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)に基づき賠償されるべき損害の範囲等についての指針を示してきたところであり、政府としては、中間指針第一次追補、中間指針第二次追補等の趣旨を踏まえ、今後とも東京電力株式会社に対して被害の実態に沿った適切な賠償金の支払を促してまいりたい。
三について
文部科学省においては、文部科学大臣から東京電力株式会社代表取締役社長に対し、被害者への賠償金の支払を迅速かつ適切に進めるよう要請するなどしている。また、平成二十三年十二月二十七日より、文部科学大臣政務官、経済産業副大臣、原子力損害賠償支援機構理事、東京電力株式会社代表取締役副社長等から構成される「原子力損害賠償円滑化会議」において、迅速かつ円滑に被害者を救済するための方策を検討するなどしている。
五及び六について
原子力損害賠償紛争審査会では、法律、医療及び原子力工学その他の原子力関連技術に関する学識経験を有する者が、公正中立な立場から審議を行い、原子力損害の賠償に関する法律に基づき賠償されるべき損害の範囲等についての指針を示してきたところであり、原子力発電所からの距離、「避難指示等対象区域」との近接性、政府や地方公共団体から公表された放射線量に関する情報、住民の自主的避難の状況等の要素を総合的に勘案して、「自主的避難等対象区域」を設定している。その際、安定ヨウ素剤の配備状況については、これが、福島県により、原子力発電所に近い市町村に対して順次配備されたという経緯に鑑み、配備された地域の住民が不安を抱いたと考えられるという観点から、判断材料の一つとされたものである。「自主的避難等対象区域」の設定に当たっては、これらの要素のほか、原子力損害賠償紛争審査会の各委員の知見に基づき、多岐にわたる要素を勘案しており、その全てをお答えすることは困難である。
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