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原発から三十キロメートル圏内の放射線防護施設の約四分の一が危険区域にあることに関する再質問主意書
衆議院 第197回 第44号趣旨が明らかではない ×3承知していない ×1
質問本文
原発から三十キロメートル圏内にある放射線防護施設の約四分の一が危険区域にあるにもかかわらず原発再稼働が容認されるのは行政府および立法府の怠慢であるとして、「原発から三十キロメートル圏内の放射線防護施設の約四分の一が危険区域にあることに関する質問主意書」(以下、前回の質問主意書)を提出し、政府答弁書を受け取ったが、不明点が浮かんできたので、再質問する。
一 前回の質問主意書に対する答弁で、「土砂災害特別警戒区域」と「土砂災害警戒区域」は「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」には該当しないとの見解を政府は認めた。つまり、「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれ」があることを認めたのである。
1 「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがある」区域に放射線防護施設があると分かっていて、原発再稼働が認められているのは、誰の責任なのか。
2 「土砂災害特別警戒区域」または「土砂災害警戒区域」の放射線防護施設を頼りにする住民の「生命又は身体に危険が及ぶおそれがない」ように確保するのは、誰の責任なのか。
二 前回の質問主意書に対して、政府は「浸水想定区域」、「津波浸水想定区域」については、「対象施設の構造等を考慮して個々に判断している」と答弁したが、「構造等を考慮」が何を意味しているかが定かではない。
1 個々に判断しているというのであれば「浸水想定区域」にある保健福祉センター(北海道共和町)、特別養護老人ホームみのりの里共和(北海道共和町)、特別養護老人ホームMAO(茨城県日立市)、障害者支援施設ピュア里川(茨城県常陸太田市)、杉田玄白記念公立小浜病院(福井県小浜市)、介護老人保健施設アクール若狭(福井県小浜市)、鳥取大学医学部附属病院(鳥取県米子市)、姫島福祉センターはまゆう(福岡県糸島市)、薩摩川内市総合防災センター(鹿児島県薩摩川内市)の九件、および「津波浸水想定区域」にある神恵内村役場新庁舎(北海道神恵内村)、田代島開発総合センター(宮城県石巻市)、福井県栽培漁業センター(福井県小浜市)、社会福祉法人伊方社会福祉協会つわぶき荘(愛媛県伊方町)、伊方中央公民館(愛媛県伊方町)、特別養護老人ホーム瀬戸あいじゅ(愛媛県伊方町)、大島産業振興センターと八幡浜市役所庁舎(愛媛県八幡浜市)、宇和島市立旧嘉島小学校(愛媛県宇和島市)の九件、計十八件はどのように判断するのか。
2 十八件のうち「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」であると政府が確認した施設はあるか。あるのであれば、構造等をどのように考慮したから、「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがない」と判断したのかを明らかにされたい。
三 前回の質問主意書では、放射線防護施設が「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域に立地すること」を、原子力災害対策事業費補助金交付要綱だけではなく、法律でも義務付けるべきではないかを尋ねたが、政府は「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」の外に立地する場合には、「必要な対策を講じていること」という但し書き規定があり、「放射線防護対策等事業は適正に実施されている」から、法律の義務付けは考えていないと答弁した。
「適正に実施」とは何を意味するのか。
四 前回の質問主意書では、政府が原子力災害対策事業費補助金交付要綱で求めた原則が遵守されないまま、再稼働を容認するのは何故かを尋ねた。これに対して政府は、四国電力の伊方原発が所在する伊方地域の緊急時対応については、放射線防護施設の記載が含まれ、これが伊方地域原子力防災協議会において、「具体的かつ合理的なものであることが確認され」、その結果が「原子力防災会議に報告され、了承された」としか答えていない。
1 伊方地域原子力防災協議会で確認された緊急時対応には、記載された「放射線防護施設」十四件のうち十二件が危険区域にあることの記載はあるのか。
2 伊方地域原子力防災協議会で確認された緊急時対応が、原子力防災会議に報告されて了承された際には、「放射線防護施設」十四件のうち十二件が危険区域にあることの報告も行われたのか。
五 前回の質問主意書は、「縦割りの弊害を排した原子力防災体制の一体化を、政府はいつまでに実現するのか。すでに実現したと考えているのか」を尋ねたが、政府の答弁は、原子力防災会議の副議長に原子力規制委員長を充てていることをもって、「同会議と原子力規制委員会が一体となって原子力防災対策に取り組む体制となっている」としている。
その体制下で開催された原子力防災会議で、放射線防護施設の約四分の一が危険区域にあることが言及され、原子力防災対策が取り組まれたことがあるのか。言及された経緯があるのであれば、その結果、どのような対策が考えられているのか。
六 前回の質問主意書で、「危険区域に放射線防護施設が立地していることは、地域防災計画を確実に実施する上で妥当性、実行可能性が確認できている状態だと政府が考える根拠」を尋ねたが、政府は放射線防護施設については「必ずしも地域防災計画に位置付けられなければならないものではない」と答弁した。
地域防災計画に位置付けないとしたら、危険区域に立地する放射線防護施設を頼りにする住民の安全は誰が確保するのか。
七 前回の質問主意書に対しては、「『立地問題の解消について協議』の意味するところが明らかでないため、お答えすることは困難」であるとの答弁だったので、質問をし直す。
安倍内閣は、伊方原発から三十キロメートル圏内にある伊方町十件、八幡浜市三件、宇和島市一件、計十四施設のうち十二施設は危険区域に立地している事実を共有し、対応策について、この一町二市と相談、協議、懇談、話を行ったことがあるか。あるとすればいつ行ったのかを明らかにせよ。
八 前回の質問主意書では「原子力事業者が行う防災訓練」の「実効性を確保する」よう求めた参議院の附帯決議がどう実現されているのかを確認しようとしたが、「『複合被害の避難訓練はどのように成立するのか』の意味するところが必ずしも明らかではない」との答弁だったので、質問をし直す。
原発事故と地震による土砂災害や津波、または豪雨による浸水被害が同時に起きた想定で避難訓練を行うとしたら、危険区域に立地する放射線防護施設では、被ばく覚悟で浸水や土砂災害から避難する訓練をするのか、放射線防護のために施設内に留まって浸水や土砂災害に備える訓練をするのか。
九 世耕弘成大臣は平成三十年五月二十三日の参議院本会議で「原子力発電所については、高い独立性を有する原子力規制委員会によって、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認められた場合、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針です」と答弁したが、前回の質問主意書で「放射線防護施設が危険区域に立地されているにもかかわらず、それが審査対象とならず、原発を稼働させている国はあるのか」「政府が知りえる範囲で明らかにされたい」と尋ねたところ、政府は「原子力規制委員会としては承知していない」と答弁した。
それでは、世耕弘成経済産業大臣は承知しているのか。
原田義昭原子力防災担当大臣は承知しているのか。
安倍晋三首相は承知しているのか。
もしも、諸外国において放射線防護施設が危険区域に立地されているにもかかわらず、原発を稼働させている国の存在を、担当閣僚も首相も原子力規制委員会も承知していないのであれば、何を根拠に「世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認められた場合」「再稼働を進める」と言ってきたのか。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
お尋ねの原子力発電所の再稼働については、「エネルギー基本計画」(平成三十年七月三日閣議決定)において、「原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める」こととしており、政府としては、放射線防護施設の整備を含む原子力防災対策については、原子力発電所が再稼働するか否かにかかわらず、取り組むべきものであると考えている。
なお、先の答弁書(平成三十年十一月二日内閣衆質一九七第五号。以下「前回答弁書」という。)四についてでお答えしたとおり、内閣府における放射線防護対策等事業の実施に当たっては、当該事業を実施する施設が「原子力災害対策事業費補助金交付要綱(放射線防護対策等事業)」(平成二十七年二月十日内閣総理大臣決定。以下「交付要綱」という。)第四条第二項第三号の「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」の外に立地する場合には、同号ただし書の規定に基づき「必要な対策を講じていること」を求めているところである。
一の2及び六について
お尋ねの「放射線防護施設を頼りにする住民」の意味するところが必ずしも明らかではないが、前回答弁書四についてでお答えしたとおり、内閣府における放射線防護対策等事業の実施に当たっては、当該事業を実施する施設が交付要綱第四条第二項第三号の「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」の外に立地する場合には、同号ただし書の規定に基づき「必要な対策を講じていること」を、「原子力災害対策事業費補助金(放射線防護対策等事業)」(以下「補助金」という。)に係る交付申請を行う所在都道府県等(発電用施設周辺地域整備法(昭和四十九年法律第七十八号)第二条に規定する発電用施設である原子力発電施設の周囲三十キロメートルの区域内にある市町村をその区域内に含む都道府県をいう。以下同じ。)に求めているところである。
二について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、交付要綱第四条第二項第三号は「原子力災害対策事業費補助金交付要綱の一部を改正する要綱」(平成二十八年十二月七日内閣総理大臣決定。以下「改正要綱」という。)により追加された規定であり、「浸水想定区域」又は「津波浸水想定区域」に位置する御指摘の十八件の放射線防護施設のうち、改正要綱が施行された平成二十八年十二月七日以降に交付決定を行った四件の施設について、補助金の対象施設の階数・高さ等の構造等を考慮して、当該施設が立地する区域が交付要綱第四条第二項第三号の「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」に該当すること又は当該区域外に立地する場合には同号ただし書に規定する「必要な対策」が講じられていることを確認することによって、同号の要件を満たすことを個々に判断したところである。
三について
前回答弁書四についてで述べた「適正に実施」とは、交付要綱第四条第二項第三号の「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」に立地すること又は当該区域外に立地する場合に同号ただし書に規定する「必要な対策を講じていること」という要件に適合する放射線防護施設の整備が図られるように、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)等の法令の規定や交付要綱に基づき適正に実施されていることを意味するものである。
四について
内閣府が実施する放射線防護対策等事業の対象施設については、当該施設が交付要綱に規定される各要件を満たしていることを、その交付決定等を行うに際し確認することとしていることから、御指摘の十四件の放射線防護施設が交付要綱に規定される各要件に適合しているかについては、御指摘の「伊方地域原子力防災協議会で確認された緊急時対応」には記載を求めておらず、また、平成二十七年十月六日の原子力防災会議においても報告していない。
五について
前回答弁書五の1についてでお答えしたとおり、政府としては、原子力防災会議の下、都道府県及び市町村による地域防災計画の作成について原子力規制委員会を含む関係府省庁がその支援を行うなど、原子力防災対策の充実に一体となって取り組んでいるところである。また、「地域防災計画の充実に向けた今後の対応」(平成二十五年九月三日原子力防災会議決定)において、「政府を挙げて地域の防災計画の充実化を支援する」こととしており、その支援の一環として内閣府が実施する放射線防護対策等事業の対象施設については、当該施設が交付要綱第四条第二項第三号の「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」の外に立地する場合には、改正要綱が施行された平成二十八年十二月七日以降においては、同号ただし書の規定に基づき「必要な対策を講じていること」を補助金に係る交付申請を行う所在都道府県等に求めており、改正要綱の施行前に交付決定がなされた施設についても、当該施設に係る交付申請を行った所在都道府県等に対して、同様の対応を実施するよう促している。
七について
お尋ねの「対応策」の意味するところが必ずしも明らかではないが、改正要綱が施行された平成二十八年十二月七日以降の交付決定に係る対象施設については、交付要綱第四条第二項第三号の「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」の外に立地する場合には同号ただし書に基づき「必要な対策を講じていること」を求めているほか、御指摘の十二件の施設が「土砂災害警戒区域」、「土砂災害特別警戒区域」又は「津波浸水想定区域」に立地することについて、愛媛県を通じて適宜情報共有を図るとともに、改正要綱が施行された平成二十八年十二月七日以前に交付決定された対象施設についても、同号の「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」の外に立地している場合には、愛媛県に対して同号ただし書に規定する「必要な対策」を実施するよう促している。
八について
先の質問主意書(平成三十年十月二十四日提出質問第五号。以下「前回質問主意書」という。)で御指摘のあった附帯決議第二十一項においては、原子力事業者が行う原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第十三条の二第一項に規定する防災訓練の実効性を確保することが求められているが、当該訓練は、原子力事業所における原子力災害の発生又は拡大を防止するために行うものであることから、お尋ねの「放射線防護施設」における訓練は含まれないものである。
なお、前回質問主意書で御指摘のあった地方公共団体が実施する原子力防災訓練については、前回答弁書五の4についてでお答えしたとおり、地方公共団体がその内容等の検討を行うものである。
九について
「放射線防護施設が危険区域に立地されているにもかかわらず、それが審査対象とならず、原発を稼働させている国はあるのか」「政府が知りえる範囲で明らかにされたい」とのお尋ねについては、政府としては承知していない。
また、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)及び同法の規定に基づく原子力規制委員会規則等に定める基準については、原子力事業者の発電用原子炉施設等の設置等における要件を定めているもので、国際原子力機関や諸外国の規制基準を参考にしながら世界で最も厳しい水準の規制基準となるよう策定したものであるが、放射線防護施設が危険区域に立地されているか否かはこれらの基準の要件とはしていない。なお、政府としては、放射線防護施設の整備を含む原子力防災対策については、原子力発電所が再稼働するか否かにかかわらず、取り組むべきものであると考えている。
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