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原発から三十キロメートル圏内の放射線防護施設の約四分の一が危険区域にあることに関する質問主意書
衆議院 第197回 第5号お答えすることは困難 ×1承知していない ×1
質問本文
超党派の議員連盟「原発ゼロの会」では、七月二十日に中川雅治内閣府特命担当大臣(原子力防災)に「原子力防災の抜本是正を求める申し入れ」を、十月二日には「原発再稼働をめぐる『無責任構造』からの脱却を求める二度目の提言」を原子力規制委員会に行ったが、こうした提案が反映される兆しが現時点までに見られない。
七月と十月に行った提案の共通項は、内閣総理大臣が平成二十七年に決定、平成二十八年度に改正した「原子力災害対策事業費補助金交付要綱」が遵守されていないことについて、改善を求めたものだ。
この要綱では、原発から三十キロメートル圏内にある放射線防護施設の対策強化事業への補助金の交付基準として「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域に立地すること」が原則であることが書かれている。
ところが、内閣府にその基準が満たされたか否かを示す資料を公開させたところ、平成三十年六月現在、十七道府県五十九市町村にある二百五十七施設のうち六十九施設がその基準を満たしていなかった。ほぼ四分の一の放射線防護施設が、「土砂災害特別警戒区域」、「土砂災害警戒区域」、「浸水想定区域」、「津波浸水想定区域」等いわゆる「危険区域」に立地している。
このような原子力防災のありようを放置して原発の再稼働を認めることは、行政府および立法府の怠慢である。そこで質問する。
一 安倍内閣は、「土砂災害特別警戒区域」、「土砂災害警戒区域」、「浸水想定区域」、「津波浸水想定区域」等いわゆる「危険区域」は、立地の原則である「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」に相当すると考えているのか。
二 世耕弘成大臣は平成三十年五月二十三日の参議院本会議で「原子力発電所については、高い独立性を有する原子力規制委員会によって、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認められた場合、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針です」と答弁しているが、危険区域に放射線防護施設があることは、政府の一貫した方針の中で、どのように勘案するのか。
三 伊方原発から三十キロメートル圏内にある放射線防護施設は十四件中十二件が危険区域にあるが、政府は、「原子力災害対策事業費補助金交付要綱」で求めた原則が遵守されないまま、再稼働を容認するのは何故か説明されたい。
四 平成三十年九月二十五日には広島地裁の伊方原発三号機の運転差し止め仮処分を高裁が取り消し、同月二十八日には大分地裁が仮処分を却下した。これは、周辺住民の安全を確実に確保するための法的根拠が欠如したなかでの判断に過ぎない。司法判断によっても周辺住民の安全が確保されるために、「原子力災害対策事業費補助金交付要綱」が求めたように、放射線防護施設は「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域に立地すること」を、さらに法律でも義務付けるべきではないか。
五 平成二十四年六月二十日、参議院環境委員会は、原子力規制委員会設置法案の審議で政府に附帯決議を課した。
1 附帯決議第十は「緊急時の原子力規制委員会と原子力災害対策本部の役割分担や連携については、縦割りの弊害が新たに生じないよう、国民の生命・健康の保護及び環境の保全を第一に、十分に検討すること。また、平時からの防災対策の強化が重要であることから、原子力規制委員会と原子力防災会議は、それぞれの明確な役割分担の下、平時から緊密な連携関係を構築し、防災体制の一体化を図ること」とした。この附帯決議は、原子力規制委員会の規制基準だけでは「国民の生命・健康の保護及び環境の保全を第一に」考えたことにならないことを示唆している。国会が指摘した縦割りの弊害を排した原子力防災体制の一体化を、政府はいつまでに実現するのか。すでに実現したと考えているのか。
2 附帯決議十九は「防災対策を確実に実施するため、実施機関及び支援機関の役割、責任について、法令、防災基本計画、地域防災計画、各種マニュアル等において明確にするとともに、これに必要な人員を十分確保すること。また、これらについて、その妥当性、実効可能性を確認する仕組みを検討すること(略)」とした。危険区域に放射線防護施設が立地していることは、地域防災計画を確実に実施する上で妥当性、実行可能性が確認できている状態だと政府が考える根拠を明らかにされたい。
3 附帯決議二十は「原子力発電所事故による周辺環境への影響の度合いや影響を与える時間は、異常事態の態様、施設の特性、気象条件等により異なることから、原子力発電所ごとに防災対策重点地域を詳細に検討し、地方公共団体と連携をして地域防災計画等の策定に活かすこと」とした。
伊方原発から三十キロメートル圏内にある伊方町十件、八幡浜市三件、宇和島市一件、計十四施設のうち十二施設は先述したように危険区域にあるが、安倍内閣はこれら地方公共団体とこの立地問題の解消について協議を行ったことはあるか。協議を行ったことがあるとすれば、いつ行ったのかを明らかにされたい。また協議の目的と結果を明らかにされたい。
4 附帯決議二十一は「原子力事業者が行う防災訓練は、原子力事故の際に柔軟な危機対応能力を発揮して対処することの重要性に鑑み、抜き打ち訓練、想定外も盛り込んだブラインド訓練を含め、重大事故の発生を含めた厳しい条件を設定して行い、その実効性を確保すること」とされている。
東海第二原発の三十キロメートル圏内六市村では、計二十二施設のうち、特別養護老人ホームMAO(日立市)と障害者支援施設ピュア里川(常陸太田市)が「浸水想定区域」に、久慈茅根病院(日立市)が「土砂災害警戒区域」に区分されている。自治体が原発事故と豪雨災害など複合被害の訓練を行うとしたら、逃げる訓練となるのか、避難せずに浸水や土砂災害に屋内で備える訓練を行うのか。複合被害の避難訓練はどのように成立するのか政府の見解を明らかにされたい。
5 附帯決議二十三は「本法附則に基づく改正原子炉等規制法の見直しにおいては、速やかに検討を行い、原子力安全規制の実効性を高めるため、最新の科学的・技術的知見を基本に、国際的な基準・動向との整合性を図った規制体系とすること。特に、審査・検査制度については、諸外国の例を参考に、これが形骸化することがないよう、原子力規制委員会が厳格かつ実効的な確認を行うとともに、事業者が常に施設の改善を行わなければならないような規制体系を構築すること」とした。放射線防護施設が危険区域に立地されているにもかかわらず、それが審査対象とならず、原発を稼働させている国はあるのか。避難の実効性の確保は、原子力安全規制の実効性を高めるために不可欠であるため、政府が知りえる範囲で明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
「原子力災害対策事業費補助金交付要綱(放射線防護対策等事業)」(平成二十七年二月十日内閣総理大臣決定。以下「交付要綱」という。)第四条第二項第三号の「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」に該当するか否かについては、災害対策基本法施行令(昭和三十七年政令第二百八十八号)第二十条の三第二号の規定を参考にして、御指摘の区域のうち、「土砂災害特別警戒区域」及び「土砂災害警戒区域」はこれに該当しないものとしており、また、その他の「浸水想定区域」、「津波浸水想定区域」等は、当該補助金に係る交付申請の対象施設の構造等を考慮して個々に判断しているところである。
二及び三について
お尋ねの「勘案する」の意味するところが必ずしも明らかでないが、政府としては、原子力発電所の再稼働については、「エネルギー基本計画」(平成三十年七月三日閣議決定)において、「原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める」こととしており、放射線防護施設の整備を含む原子力防災対策については、原子力発電所が再稼働するか否かにかかわらず、取り組むべきものであると考えている。
また、原子力防災対策の一環として、「防災基本計画」(昭和三十八年六月十四日中央防災会議決定)に基づき、各地域の地域原子力防災協議会において、避難計画を含むその地域の緊急時における対応(以下「緊急時対応」という。)が原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号。以下「原災法」という。)第六条の二第一項に定める「原子力災害対策指針」(平成二十四年十月三十一日原子力規制委員会決定)等に照らして具体的かつ合理的なものであることを確認し、その結果を内閣府が原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第三条の三に基づき設置される原子力防災会議の了承を求めるため、同会議にこれを報告することとされているところ、四国電力株式会社伊方発電所が所在する伊方地域の緊急時対応については、放射線防護施設の記載が含まれており、平成二十七年八月二十六日の伊方地域原子力防災協議会においてこれが具体的かつ合理的なものであることが確認され、その結果が同年十月六日の原子力防災会議に報告され、了承されたものである。
四について
原子力防災対策については、原災法の目的である「原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護すること」を達成するため、原子力災害予防対策、緊急事態応急対策等の実施のために必要な措置を講ずること等としているところ、内閣府における放射線防護対策等事業の実施に当たっては、当該事業を実施する施設が交付要綱第四条第二項第三号の「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」の外に立地する場合には、同号ただし書の規定に基づき「必要な対策を講じていること」を求めており、当該事業は適正に実施されていることから、御指摘のように「さらに法律でも義務付けるべき」とは考えていない。
五の1について
原子力防災会議は、原子力基本法第三条の五第三項の規定により、その副議長に原子力規制委員会委員長を充てることとされ、同会議と原子力規制委員会が一体となって原子力防災対策に取り組む体制となっているところであり、政府としては、同会議の下、都道府県及び市町村による地域防災計画の作成について原子力規制委員会を含む関係府省庁がその支援を行うなど、原子力防災対策の充実に一体となって取り組んでいるところである。
五の2について
放射線防護施設については、必ずしも地域防災計画に位置付けられなければならないものではないが、四についてでお答えしたとおり、放射線防護対策等事業の実施に当たって、当該事業を実施する施設が交付要綱第四条第二項第三号の「人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがないと認められる土地の区域」の外に立地する場合には、同号ただし書の規定に基づき「必要な対策を講じていること」を求めている。
五の3について
お尋ねの「立地問題の解消について協議」の意味するところが明らかでないため、お答えすることは困難である。なお、「原子力災害対策指針」に基づき地方公共団体が設定する原子力災害対策重点区域については、御指摘の附帯決議の趣旨を踏まえ、政府としては、地方公共団体と必要に応じて協議・調整を行っているところである。
五の4について
お尋ねの「複合被害の避難訓練はどのように成立するのか」の意味するところが必ずしも明らかでないが、地方公共団体が実施する原子力防災訓練については、地方公共団体がその内容等の検討を行うものであり、政府としては、地方公共団体における検討状況等を踏まえながら、必要な支援を行うこととなる。
五の5について
お尋ねについては、原子力規制委員会としては承知していない。
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