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モロッコ及び米フロリダ州において発生した米軍垂直離着陸機オスプレイの墜落事故に関する質問主意書

衆議院 第180回 第417号承知していない ×6

提出者
日本共産党
提出日
2012年9月5日
内閣転送 2012年9月7日
答弁書受領日
2012年9月14日
提出から9日
答弁の項目数
10
質問 2,632字/答弁 2,630字

質問本文

米軍の垂直離着陸機オスプレイが、今年四月にモロッコ、六月に米フロリダ州で相次いで墜落したが、これらの事故調査に関わる米側の報告書が、八月十七日と三十日にそれぞれ公表された。また、二十八日には、モロッコの墜落事故に関し、防衛省が独自に分析評価したとする内容をまとめた報告書(以下、「日本側モロッコ報告書」という)を公表している。

いずれの報告書も、機体に異常は確認されず、人為ミスが事故原因であることを強調する内容だが、なぜその人為ミスが生じたのか、オスプレイがもともと持つ機体の構造や特性とどのような因果関係があるかについては判然としない。

従って、次の事項について質問する。

一 米海兵隊のシュミドル航空副司令官は、八月十七日の記者会見で、今回の米海兵隊法務官(JAGMAN=Judge Advocate General's Manual)による事故調査報告書(以下、「海兵隊法務官報告書」という)とは別に、航空機事故調査委員会(Aircraft Mishap Board)による調査が同時並行して行われていること、さらに、今回の墜落事故における操縦士による操縦を審査するための委員会(field flight performance board)は、負傷した操縦士が出席できる状況にないことから未だ招集されていないことを指摘している。米海兵隊による事故調査の制度概要とモロッコの事故調査全体の現状を明らかにされたい。同様に、米空軍による事故調査の制度概要と米フロリダ州の事故調査全体の現状を明らかにされたい。

二 海兵隊法務官報告書は、機長及び副操縦士が事故現場であるノース着陸帯に向かっている際に、着陸帯付近の多くの人やテント、車両に気づいたことから、来た際と同じ方向で着陸帯を離れることを判断したとしている。また、日本側モロッコ報告書は、こうした着陸帯付近の状況が「事故の潜在的な要因となった可能性がある」と指摘している。機長及び副操縦士が多くの人やテント、車両の上空を飛行することを回避した理由は何か。

三 海兵隊法務官報告書によると、事故は、副操縦士が操縦中、風に向かう体勢でノース着陸帯に着陸し、十二名の海兵隊員を降ろした後、機体を離陸させ、右方向に百八十度のホバリング旋回を行い、着陸帯を離脱する過程で起こっている。ところが、その直前には、機長が同様の手順によって問題なく着陸・離脱を行っている。これらの間に、どのような気象条件、操縦の違いがあったのか。

四 一回目と二回目の着陸・離脱の双方について、離陸開始、旋回開始、旋回終了、ナセルの遷移開始、遷移終了(一回目のみ)、地面衝突(二回目のみ)の各時点における離陸開始からの経過時間、風向き、風速、機体の位置、磁方位、対地高度、対地速度、機首の向き、遷移角度を示されたい。

五 海兵隊法務官報告書は、副操縦士が着陸帯からの離陸に際して、実際の風速について明確な理解を有していなかったことを指摘しているが、なぜ有していなかったのか。機長はどうだったのか。

六 海兵隊法務官報告書は、オスプレイのNATOPS飛行マニュアルにおいて「通常のホバリング高度に至った時は、機首を水平とするためナセルの角度を調整する」と記載されている一方で、副操縦士、機長のいずれも、ホバリング旋回終了時に、一旦静止することなく、すぐに遷移を開始したと述べたことを指摘している。副操縦士と機長は、飛行マニュアルの規定をどのように認識していたのか。

七 海兵隊法務官報告書は、副操縦士、機長のいずれもナセルを後方に動かそうとせず、それがスティック制御のマージンを増やすために使えるものであることに気づかなかったことを指摘しているが、なぜ気づかなかったのか。

八 米フロリダ州の墜落に関する米空軍の航空機事故調査委員会報告書(以下、「空軍事故調報告書」という)は、機長及び副操縦士の経歴に関して、総飛行時間及びオスプレイとその他の回転翼機・固定翼機の飛行時間の内訳を明示している。ところが、海兵隊法務官報告書は、副操縦士がオスプレイ(MV−22B)に百六十.一飛行時間を記録していたことを記載するのみで、その他は記載しないか黒塗りにしている。モロッコの墜落事故の機長及び副操縦士について、総飛行時間及びオスプレイとその他の回転翼機・固定翼機の飛行時間の内訳を示されたい。また、回転翼機・固定翼機の操縦経験が、今回の事故に影響した事実はないのかについても明らかにされたい。

九 空軍事故調報告書によると、米フロリダ州の墜落事故は、オスプレイ二機がエグリン射爆撃場内の射場アルファ78に向けて、遷移角度八十度・速度八十ノットで編隊飛行している際に、左方向に百八十度旋回中、後続機が先行機の後方乱気流に巻き込まれ、急速に高度を失ったことで発生している。後続機を操縦していた副操縦士、機長のいずれも、先行機との位置関係を誤認していたことが事故原因としているが、なぜこのような誤認が起こったのか。

十 空軍事故調報告書は、空軍オスプレイ(CV−22)の手引書が、編隊飛行に際して、先行機の五時から七時の方角に入ることを避け、最低二十五フィートの高度差を維持することを明記していると指摘しているが、海兵隊はどのような基準を設けているのか。また、現在、米軍普天間基地に配備されているCH46ヘリの場合はどうか。

十一 空軍事故調報告書は、空軍オスプレイ(CV−22)の模擬操縦装置(シミュレーター)が、別のオスプレイによる乱気流状態を再現できないことを指摘しているが、海兵隊オスプレイ(MV−22)の模擬操縦装置はどうか。また、乱気流に巻き込まれた際に取るべき対応策に関する公式な手引書が存在しないことを指摘しているが、海兵隊の場合はどうか。

十二 空軍事故調報告書によると、事故発生後、先行機は事故現場上空でホバリングしながら、事故機の副操縦士を吊り上げて救出している。ところが、その際に生じた下降気流の状況から同じ手段で救出作業を継続することは危険と判断し、その他の乗員は米陸軍や民間のヘリなどで搬送されている。オスプレイによる下降気流の激しさを象徴的に示すものと考えるが、政府はどのように認識しているか。

十三 海兵隊オスプレイ(MV−22)と空軍オスプレイ(CV−22)の機体構造上の共通点と相違点を具体的に示されたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

米軍においては、航空機事故が発生した場合、国防省指令等に基づき所要の調査が行われることとなっていると承知しており、これまでに、米国政府からは、本年四月にモロッコで発生した垂直離着陸機MV二二オスプレイ(以下「MV二二」という。)の事故(以下「モロッコの事故」という。)については、米海兵隊により、事故の再発防止を目的とする安全調査及び事故原因等の解明を目的とする法務官による調査の報告書が作成されており、同年六月に米国フロリダ州で発生した垂直離着陸機CV二二オスプレイ(以下「CV二二」という。)の事故(以下「フロリダの事故」という。)については、米空軍により、事故の再発防止を目的とする安全調査及び訴訟、懲罰、管理行為等に関する証拠の収集・保存を目的とする事故調査の報告書が作成されているとの説明を受けている。

二について

モロッコの事故においては、当該機体(以下「事故機」という。)は、同一の着陸帯で二回離着陸を行っており、第二回目の離陸において墜落に至ったものであるが、米海兵隊の法務官による調査の事故調査報告書(以下「米側報告書」という。)によれば、第一回目の離着陸の際に事故機を操縦した機長は、「着陸帯に最初に向かっている際に、・・・着陸帯付近の多くの人やテント、車両に気付いた。・・・一時の方向の水陸両用車両及び十時方向のテントや人々に留意した。こうしたことから、・・・最良の行動は、来た際と同じ方向で着陸帯を離れることであると判断した(仮訳)」とされており、また、第二回目の離陸の際に事故機を操縦した副操縦士は、離陸前に、機長に対して第一回目と同じ要領で離陸するつもりであることを知らせ、機長はこれに同意したとされている。

三及び四について

モロッコの事故における第一回目の離陸については、政府として承知している限りでは、事故機は、離陸時、機首を磁針方位三百三十度の方向に向けており、離陸後、右方向に百八十度のホバリング旋回を行って問題なく着陸帯を離れている。第二回目の離陸については、政府として承知している限りでは、事故機は、離陸時、機首を磁針方位約三百二十度の方向に向け、二十五ノットの風を正面から受けており、離陸後、高度約二十フィートで右方向への百八十度のホバリング旋回を開始し、高度約四十六フィートで当該旋回を終了した時点で十五から二十七ノットの追い風を受けており、その後、離陸から十秒後の時点でナセルの前方への遷移を開始し、三秒間でナセルを機体に対し八十七度の状態から七十一度の状態まで遷移させ、離陸から約十五秒後、機首を磁針方位百三十二度の方向に向けた状態で墜落した。また、第一回目の離陸と第二回目の離陸の「操縦の違い」については政府として詳細は承知していないが、防衛省に設置されている「オスプレイの安全性に係る分析評価チーム」(以下「分析評価チーム」という。)がモロッコの事故について行った分析評価の結果を取りまとめた「モロッコにおけるMV−22墜落事故に関する分析評価報告書」(以下「分析評価報告書」という。)においては、第二回目の離陸については、事故機を操縦していた副操縦士が、「風の状況を適切に把握しないまま、NATOPS飛行マニュアルで定められている回避すべき相対風領域・・・に入ったこと、機首が下がった際に機体の姿勢を水平に保つための適切な処置を行わなかったこと、NATOPS飛行マニュアルに定められた制限を超えてナセルを前方に傾斜させたこと、機長及び副操縦士が後方への操縦桿制御のマージンを適切に調整するよう操作しなかったこと等が複合的に重なったことが主たる事故原因」であると結論付けているところである。

五について

お尋ねについては、政府として詳細は承知していないが、分析評価報告書においては、「経験が十分でない副操縦士の操縦に対して機長による追い風に関する適切な助言、指示がなかった可能性があること・・・も、影響を及ぼした要因であると考えられる」としているところである。

六及び七について

お尋ねについては、政府として詳細は承知していないが、米側報告書においては、「NATOPS飛行マニュアル内に、追い風の中での離陸から巡航への移行に関する参照事項をほとんど見つけられなかった。・・・NATOPS飛行マニュアルに、何が許容可能で何が許容できないのかを明確に規定することを提言する(仮訳)」とされている。

八について

政府として、お尋ねの「総飛行時間」及び「内訳」については承知していないが、分析評価報告書においては、御指摘の副操縦士のMV二二の飛行時間から判断すると、当該副操縦士は「経験の浅い操縦士であると推察でき、それにも関わらずリスクを伴う操作を行ったことが事故要因の一つである可能性があると考えられる」としているところである。

九について

お尋ねについては、政府として詳細は承知していないが、分析評価チームがフロリダの事故について行った分析評価の結果を取りまとめた「フロリダにおけるCV−22墜落事故に関する分析評価報告書」においては、「一番機の高度の変更(一番機は左旋回時三百六十六フィートから三百三十六フィートへ若干降下した)が副操縦士の誤認識を助長した」などとされ、また、「機長は事故当時、副操縦士と同じような認識・・・をもっていた」としているところである。

十及び十一について

MV二二の編隊飛行時における機体同士の相対位置の基準については、基本的にCV二二と同様である旨米国政府から説明を受けている。その他のお尋ねについては、政府として承知していないが、米国政府からは、フロリダの事故に関するものを含むCV二二の安全に係る全ての情報は米海兵隊と共有されており、米海兵隊においても、同種の事故を防止するため適切に対応しているとの説明を受けている。

十二について

米海兵隊が実施したMV二二の配備に係る環境レビューにおいては、MV二二から生じる下降気流は公共の安全にいかなる問題も生じさせないと評価されていると承知している。

十三について

MV二二とCV二二は同じ推進システムを有し、構造は基本的に共通していると承知しているが、CV二二については、より脅威度の高い環境やより過酷な気象条件での低高度飛行を遂行するため、対地追従レーダー、戦術通信システムなどの装備を有していると承知している。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

承知していない ×6

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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