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医療事故調査制度に関する質問主意書

衆議院 第190回 第135号

提出者
民主・維新・無所属クラブ
提出日
2016年2月18日
内閣転送 2016年2月22日
答弁書受領日
2016年2月26日
提出から8日
答弁の項目数
3
質問 2,972字/答弁 1,001字

質問本文

平成二十六年六月、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案が可決され、翌年二十七年十月同法が施行され、医療事故調査制度が整備された。医療事故調査制度は、医療法第六条の十に基づく医療事故が起きた際、今後の医療の安全性を確保し、再発防止を図ることを目的としており、WHOのドラフトガイドラインの「学習を目的とした報告システム」が整備された。しかし医療事故の再発防止を目的とした調査制度が整備された一方で、医療事故の被害者遺族救済制度、ドラフトガイドラインの「説明責任を目的とした報告システム」は依然として未整備であり、日本は遺族救済について、医療安全対策のグローバルスタンダードの水準を満たしていない。

今後どのように医療事故による被害者遺族の救済に取り組んでいくのかを明らかにするため、次の事項につき質問する。

一 平成二十七年五月八日、厚生労働省から医療法施行規則の一部を改正する省令、通知が公布された。通知の「センター調査の依頼について」には「医療事故が発生した医療機関の管理者又は遺族は、医療機関の管理者が医療事故としてセンターに報告した事案については、センターに対して調査の依頼ができる。」と記載されている。この通知に基づいて、日本医療法人協会の医療事故調運用ガイドライン最終報告書は「院内調査終了後、遺族が『当該病院等を信用できない』ことや『院内調査の結果に納得がいかない』ことを理由とする場合には、既に、紛争状態にあるため、センター調査を依頼することができません。センターも、このような依頼を受託してはなりません。本制度は、医療安全の確保を目的とするもので、紛争解決や責任追及の目的ではないからです。」と規定した。

先に述べた厚生労働省の通知は、院内調査結果の説明を受けた遺族が、結果に納得できない場合に第三者機関に調査を申請できる仕組みであるが、一方で公益法人のガイドラインでは、第三者機関への遺族発議の調査依頼は限定的なものとされている。

医療事故被害者遺族からの調査依頼は、院内調査結果に対し不十分、異議、不明点があるといった不服がある場合に行うものであると考えるが、医療事故調査・支援センターに対し遺族からの調査依頼をする際、どのような前提での調査依頼を想定しているのか。政府の見解をお伺いする。

二 平成二十七年五月八日、厚生労働省は医療法施行規則の一部を改正する省令、通知を公布した。その通知の「センター調査の実施及びセンター調査への医療機関の協力について」では「院内事故調査終了前にセンターが調査する場合、各医療機関は院内事故調査を着実に行うとともに、必要に応じてセンターから連絡や調査の協力を求められることがあるので病院等の管理者は協力する」との旨記載されている。この通知に基づき、公益社団法人日本看護協会は、医療に起因する予期せぬ死亡又は死産が発生した際の対応の中で「院内事故調査の終了前にセンターが調査をする場合は、院内事故調査の進捗を確認する等、医療機関と連携する」と規定している。

一方で、日本医療法人協会の医療事故調運用ガイドライン最終報告書には「院内調査実施中で発生報告から一年以内は、センターからの調査協力の求めに対して、病院等の管理者はこれを正当な理由を示して拒むことが望まれます(そもそもこの場合センターは調査協力を求める必要がありません)。」等の公益社団法人日本看護協会と異なる対応が記載されている。

�@ 医療法第六条の十五第一項の規定に基づく厚生労働省が定める団体は、医療機関に対し調査協力の要請を行った際、院内事故調査中であることを理由に医療機関からの情報提供が拒まれることを想定しているか。

�A 同法律、同省令に基づく通知に基づき作成されたガイドラインであるが、解釈に大きな差があるのではないか。政府としての方針と、各関係団体のガイドラインは一致しているか。政府としての見解をお伺いする。

三 平成二十六年四月二十五日の衆議院厚生労働委員会において、私は、本法案において医療事故の過失の有無を判断する箇所はではどこにあたるのかとの旨質問をした。この質問に対し、政府参考人は「実際にまずは院内の調査をしっかりやるという体制をつくる、それをしっかりと御遺族と十分な話をする、それから、第三者機関ではそういう結果を十分に調査、分析をして再発防止につなげていく、これを動かしながら、そういう中で、今の部分についても、どういう形がいいかというのは検討を続けていきたいというふうに考えております。それが、附則の中の、全体の検討規定の中でやっていく」と答弁した。

医療事故と疑義を抱く患者遺族、医療事故による被害者遺族の立場に立ち、医療行為の真相を明らかにする制度は依然として置き去りのままである。医療行為の結果に対し、医療事故と疑義を抱く患者遺族と、医療事故による被害者遺族の救済について今後どのように取り組んでいくのか、政府としての方針を明らかにされたい。

四 平成二十六年五月十四日、厚生労働委員会において、私は「医療事故調査報告書は遺族に非公開とするなど、純粋に再発防止のために使い、一方で、無過失補償制度など遺族発議の責任追及制度を設けることで不毛な訴訟も減らしていく、この二本立ての制度が二本同時並行で必要だ、このグランドデザインについて総理の御見解を伺います。」と質問した。この質問に対し、安倍内閣総理大臣は「この制度では御遺族に医療事故調査結果の報告書を説明することとしていますが、本制度は責任追及や紛争解決を目的とした制度ではないため、今後、ガイドラインの策定等を通じて、医療事故の再発防止という本制度の趣旨がしっかりと伝わるようにしていきたいと考えています。委員は責任追及の仕組みがなければ中途半端なものとなるとの御意見だというふうに承知をしておりますが、現在の案については、関係者により長きにわたる議論を重ねてようやくこのような形となったものでありまして、医療事故調査の取り組みを前進させ医療安全、信頼できる医療を推進していく観点から御理解をいただきたい、このように思います。」と答弁した。

専門家の中には、院内事故調査結果を遺族に報告することによって、医師が刑事事件で起訴される可能性を考え、調査時から黙秘権の行使を検討したり、弁護士に相談することを勧めるという意見もある。また医療事故調査・支援センターに、医療機関又は遺族発議による再調査が行われた場合、遺族や病院の意向に関係なく、双方に報告書が渡される制度であり、こういった現行の制度下では院内医療事故調査に委縮が生じ、結果的に真相の解明が不十分となり、医療安全の確保に支障が生じかねない。

医療の一環として医療機関が自主的に遺族に報告を行うことは望まれるが、医療の安全性を確保し、再発防止を図ることを目的とした院内事故調査制度と、遺族が求める責任追及を明確に分離した制度を別枠で再設計することが必要であると考える。

政府として、再発防止を図ることを目的とした院内事故調査と、遺族が求める責任追及を明確に分離した制度は検討されているか。政府の今後の方針をお伺いする。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

医療法(昭和二十三年法律第二百五号。以下「法」という。)第六条の十五第一項に規定する医療事故調査・支援センター(以下「センター」という。)は、法第六条の十七第一項の規定により、法第六条の十第一項に規定する医療事故(以下単に「医療事故」という。)が発生した同項に規定する病院等(以下単に「病院等」という。)の管理者又は遺族から、当該医療事故について調査の依頼があったときは、必要な調査を行うことができることとされている。

お尋ねの「前提」については、厚生労働省が平成二十六年十月十六日に公表し、平成二十七年五月二十五日及び同年九月二十八日に更新した「医療事故調査制度に関するQ&A」において、「医療機関の管理者が「医療事故」として医療事故調査・支援センターに報告した事案について、遺族又は医療機関が医療事故調査・支援センターに調査を依頼した場合には、医療事故調査・支援センターが調査を行うことができます」とお示ししているところである。

二について

法第六条の十七第二項の規定によるセンターの医療事故が発生した病院等の管理者に対する必要な協力の求めについては、同条第三項の規定により、当該管理者はこれを拒んではならないこととされている。

厚生労働省としては、医療事故調査制度の施行に当たり、「医療事故調査制度の施行に係る検討会」において、公益社団法人日本看護協会及び一般社団法人日本医療法人協会を含めた幅広い関係者の意見を聴きつつ、必要な省令、通知等を定めたところであり、医療事故調査制度は、法及び当該省令、通知等に則して適切に実施されるべきものであると考えている。

三及び四について

医療事故調査制度については、厚生労働省で開催された「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」等における医療関係者、患者等の意見を踏まえた検討の結果、原因究明及び再発防止を図り、医療の安全と医療の質の向上を図ることを目的として実施することとされたものである。

御指摘のような医療事故の被害者の救済や責任の追及については、裁判等に委ねられているものと考えており、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成二十六年法律第八十三号)附則第二条第二項の規定に基づく検討を行うに当たっても、医療事故調査制度の趣旨にも照らして、慎重に検討すべきものと考えている。

衆議院の原文

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