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沖縄で実施されていた米軍実弾砲撃演習の県外移転に伴い明らかとなった二重基準や騒音の放置等の諸問題に関する質問主意書

衆議院 第190回 第158号お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×8承知していない ×1

提出者
無所属
提出日
2016年3月1日
内閣転送 2016年3月7日
答弁書受領日
2016年3月11日
提出から10日
答弁の項目数
14
質問 3,461字/答弁 3,871字

質問本文

米軍は、沖縄県内のキャンプ・シュワブやハンセンにおいて、実弾砲撃演習や射撃訓練、廃弾処理を日常的に実施していた。しかし、住民地域への跳弾が相次ぎ、また健康被害をもたらす騒音も頻発して、周辺住民や県民の安心・安全な生活が脅かされるという深刻な事態が生じていた。

このため、政府は、米軍の県道一〇四号越え実弾砲撃演習を一九九七年に県外に移転したが、実弾射撃訓練や廃弾処理はそのまま県内で実施されることとなったため、跳弾や騒音問題は依然として残り、周辺住民と県民の不安は払拭されていない状況が続いている。

また、政府は、米軍実弾砲射撃演習・訓練に伴う騒音調査と防音工事について沖縄県内では一切適用してこなかったのにも関わらず、同演習の県外移転を機に、移転先の五演習場及び移転先以外の五演習場、合計十の演習場においては、騒音調査を実施した上で補助率百%の防音工事を実施している。

本来、米軍実弾砲射撃演習・訓練に伴う跳弾や騒音の抜本的な防止と解決は、政府の責務に他ならず、過重な基地負担を強いられている沖縄県民の負担を軽減する措置として、政府が率先して取り組むべき喫緊の問題である。

然るに、名護市が問い合わせるまでの間、ひたすらに騒音調査と防音工事の補助事業が存在する事実をひた隠しにし、また名護市からの合計七回に及ぶ要請に対しても、木で鼻を括った対応に終始したことは到底容認できるものではない。これでは、政府が事あるごとに「沖縄県民の思いに寄り添う」とか「県民の声を丁寧に聞く」という説明がいかに口先だけで行動が伴わないものであるか疑われても仕方のないことである。また、このような二重基準の適用が堂々とまかり通ってきた根底には、沖縄県民への構造的差別が根強く存在していることの証左に他ならない。

そこでお尋ねする。

一 世界保健機関は、交通騒音等による高頻度の睡眠妨害が睡眠障害という疾患に成り得ることや、騒音は大気汚染や水質汚濁の有害物質と同様に、公害病の原因と成り得る環境要因であることなどを指摘しているが政府の認識はどうか。

二 騒音が人命にまで影響することを認識した上で騒音を出し続けることは、水俣病公害事件で、原因を知りながら排水を流し続けることと同じであると言われているが政府の認識はどうか。

三 環境省は、騒音に係る環境基準の設定に当たり、地域住民からの差し止め請求等が行われたことを踏まえ、住民反応との相関が高く、国際的にも広く採用されている基準値に改正したり、世界保健機関が定める「騒音のもたらす健康被害のガイドライン」に概ね準じたレベルに定めたりするなど、騒音被害住民の立場に立って騒音基準を定めていると承知している。一方、防衛省は、防音補助工事の実施を「砲撃等火薬類の使用」の頻繁な実施により生ずる音響の影響度をLcden値八十一以上である区域を基準として独自に行うものとしている。これは環境省や世界保健機関のガイドラインのいずれに相当するのか、また相当する(適合する)とした理由と根拠は何か、さらに防衛省があえて判例やそれに基づいて環境省がわざわざ改正した基準値、世界保健機関のガイドラインに基づかずに、独自の算定値を防音補助工事の実施基準値として用いる理由と根拠は何か。

四 防衛省が騒音調査を行うため各演習場に設置した測定器の測定単位は、環境省や世界保健機関が用いている測定器と同じ測定単位か。

五 防衛省が防音補助工事を実施するに当たっては、騒音調査結果に基づいて住宅防音区域を定めていると承知している。そうであるならば、この区域設定に当たって線引き(コンター設定)を行うために設置した測定器の測定可能距離(能力)や設置距離(間隔)、必要機器数を演習場毎に明らかにされたい。本職が調査した限りでは、一カ所しか測定器が設置されていない演習場があれば、二〜三カ所、多いところでは五カ所という具合にばらばらであり基準がないように見受けられた。一体どのような根拠と基準、考えに基づいて測定機器の設置数を定め、線引き(コンター設定)を行ったのか明らかにされたい。

六 防衛省が平成二十二年三月二十五日付け事務次官通達で各防衛局長宛に送った通達の別紙によれば、防音補助工事の実施に当たっては、「砲撃等火薬類の使用」の頻繁な実施により生ずる音響の影響度を、当該音響の強度並びに発生の回数及び時刻等を考慮した算定式で求めるとしている。そうであるならば、政府は、米軍実弾砲撃演習の県外移転に伴う防音補助工事を実施するため、騒音調査を移転先の五演習場及び移転先以外の五演習場、合計十の演習場においてそれぞれ実施したことになる。そうであるならば、防音補助工事が実施された十の演習場毎に、同事務次官通達の別紙の二の各号で定めるところの調査結果とその測定数値、さらに別紙の一で算定する値をそれぞれ明らかにされたい。

七 質問六に関連して、防音補助工事が実施された演習場毎に、全世帯の数、そのうち防音補助工事が実施された世帯数、対象区域外とした世帯数を明らかにされたい。

八 名護市は、稲嶺進市政になった二〇一〇年から、政府に対して騒音の原因が実弾砲射撃音か廃弾処理のいずれか明らかにするよう求めてきた。これに対し政府は「米軍の運用上答えられない」とのすげない返事を行ったとのことであるが事実か、またなぜ騒音の原因を確認することが米軍の運用と関わりがあるのか、具体的に明らかにされたい。

九 沖縄防衛局は、これまで沖縄県内の米軍専用施設周辺での騒音調査を実施してこなかった。このため、名護市はキャンプ・シュワブ周辺で爆発音調査を実施した。その調査結果によれば、毎月八十デシベル以上の騒音を計測し、二〇一五年二月十七日は豊原地区で実に百六回も計測したとのことであるが政府はそのような測定値を承知しているか。

十 名護市の実施した測定値によれば、米軍の射撃演習・訓練や廃弾処理に伴い発生する騒音は、世界保健機関が定める「騒音のもたらす健康被害のガイドライン」や環境省が概ね準じたレベルを大幅に越え由々しい値となっている。そうであるならば、米軍の射撃演習・訓練や廃弾処理に伴い発生する騒音は地域住民の健康を損なう騒音に他ならず、直ちに差し止めるべきものではないか、またそれを知りながら放置し騒音を出し続けることは、地域住民の健康を損なう故意の危険な行為として直ちに取り締まるべきものと思われるが政府の認識はどうか。

十一 名護市は、政府がキャンプ・シュワブ周辺で騒音調査を行わなかった理由について政府に照会したところ、政府は「移転先の演習場と比べ使用している装備や訓練の状況等から、同等の騒音状況が生じていると想定されなかったことから、騒音調査を行わなかった」と回答した。そうであるならば、「使用している装備」や「訓練の状況」の具体的な内容、「等」の意味と範囲、名護市の調査で八十デシベルの調査結果が出ているのにも関わらず、「同等の騒音状況が生じていない」とした理由、「想定」の意味を、比較した演習場毎にそれぞれ明らかにされたい。

十二 在沖米海兵隊の砲撃部隊が県外に遠征して実弾砲射撃演習・訓練を行う場合、各演習場では市民団体等への説明会が開催されているとの報道がある。一方沖縄県内ではこれまでそのような説明会は一切開催されていないと承知している。事実の確認と政府の認識の説明を求める。

十三 政府は、沖縄で実施されていた米軍実弾砲撃演習の県外移転に伴い、十の演習場周辺住宅に対して防音補助工事を実施するため、新たに演習場周辺住宅防音事業補助金交付要綱を制定したと承知している。そうであるならば、同補助金交付要綱の規定において、�@「自衛隊等」の「等」にはいかなるものが含まれているのか、�A沖縄県内の米軍が県外に遠征して、指定する区域(十の演習場)で砲射撃演習を行う場合は対象となるのか、�B「砲撃を主とする射撃、爆撃その他火薬類の使用」の範疇として、現在沖縄県内の米軍専用施設において米軍が日常的に実施している「射撃演習・訓練」及び「廃弾処理」は含まれるのか、�Cなぜ沖縄県内の米軍専用施設である演習場や訓練場は指定する区域になり得ないのか、それぞれ明らかにされたい。

十四 自衛隊が沖縄県内の自衛隊基地や他の施設等で廃弾処理を実施する場合、所在の市町村に事前に通報若しくは説明を行っているか明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

騒音の健康影響については、騒音レベルや暴露時間によっては睡眠や聴力への影響が生じる可能性があることを認識している。

二について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、一般的に、公害による健康被害については、公害の種類ごとに、被害が発生するメカニズム等が異なるため、一概に比較することは困難である。

三について

御指摘の「世界保健機関が定める「騒音のもたらす健康被害のガイドライン」」については、何を指すのか必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項の規定に基づく騒音に係る環境基準には、自衛隊等(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第二条第一項に規定する自衛隊又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊をいう。以下同じ。)による砲撃を主とする射撃、爆撃その他火薬類の使用の頻繁な実施により生ずる音響(以下「砲撃騒音」という。)のみを特に対象としたものはない。自衛隊等の特有の行為により生ずる騒音である砲撃騒音は、航空機騒音と同様に断続的に発生する騒音であることから、環境基本法第十六条第一項の規定に基づく航空機騒音に係る環境基準について(昭和四十八年環境庁告示第百五十四号)に定める算定方式に倣い定めた基準(砲撃騒音の影響度について、「演習場周辺住宅防音事業補助金交付要綱第一条及び演習場周辺の移転補償等の実施に関する訓令第一条に規定する別に指定する区域の指定について」(平成二十二年三月二十五日付け防地防第三四八三号防衛事務次官通達)及び「演習場周辺における住宅防音区域及び移転補償区域の指定に関する細部要領について」(平成二十二年三月二十五日付け地防第三四八四号防衛省地方協力局長通知。以下「細部要領」という。)に規定する算定式等に基づき、当該音響の強度並びに発生の回数及び時刻等を考慮して算定した値(以下「LCden値」という。)による基準をいう。)を評価基準としたものである。

四について

防衛省においては、自衛隊等が使用する施設(自衛隊の施設又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第二条1の施設及び区域(以下「施設及び区域」という。)をいう。以下「自衛隊等の施設」という。)の周辺区域においてLCden値が八十一以上の区域が存在するかについて専門知識を有する業者に騒音度調査を委託し実施している。騒音度調査の際に用いている騒音計は、日本工業規格C一五〇九−一に規定するサウンドレベルメータであり、「騒音に係る環境基準の評価マニュアル」(平成二十七年十月環境省作成)において使用することとしている規格と同様のものである。なお、世界保健機関が使用している測定機器については、承知していない。

五について

お尋ねの「測定器の測定可能距離(能力)や設置距離(間隔)、必要機器数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、騒音度調査の測定を行う範囲は、砲撃等の発射位置及び着弾位置からおおむね二十キロメートル以内とし、測定箇所は、測定地域全体にわたって分布するように選定することとしており、具体的な測定箇所数については、上富良野演習場で二十か所、北海道大演習場(島松着弾地及び島松地区に限る。以下同じ。)で三十一か所、然別演習場で二十か所、矢臼別演習場で三十か所、岩手山中演習場で二十三か所、王城寺原演習場で三十か所、北富士演習場で二十六か所、東富士演習場で三十か所、饗庭野演習場で三十二か所、日出生台演習場で三十か所である。

なお、防衛省においては、LCden値が八十一以上あることが確認され、当該区域内に住宅があると判明した場合には、演習場周辺住宅防音事業補助金交付要綱(平成十九年防衛省訓令第百九号。平成十九年八月三十一日以前は演習場周辺住宅防音事業補助金交付要綱(平成九年防衛施設庁訓令第十三号)。以下「交付要綱」という。)に規定する住宅防音工事の対象区域として指定した後においても、騒音状況の変化を把握するため、地形の影響や集落の所在などを勘案しつつ、必要に応じて自動騒音測定装置を設置し、騒音状況の把握に努めているところである。具体的な測定箇所数については、上富良野演習場に一か所、北海道大演習場に四か所、岩手山中演習場に三か所、北富士演習場に二か所、東富士演習場に三か所及び饗庭野演習場に五か所設置し、測定を行っているものである。

六について

防衛省は、細部要領に基づき、自衛隊等の施設の周辺において、騒音の最大音圧レベルの測定や騒音の発生時刻等を記録するなどの現地調査を行い、これらの測定データ等から一日の間に発生する砲種別、弾種別、発射位置別及び着弾位置別の騒音値を算出するなどして、LCden値が八十一以上の区域が存在するかを調べるため騒音度調査を実施し、当該調査の結果、LCden値が八十一以上であることが確認され、当該区域内に住宅が所在することが判明した場合には、住宅防音工事の対象区域として指定しているところである。住宅防音工事の対象区域を指定している十の施設についても、それぞれ騒音度調査を実施した結果、当該施設の周辺にLCden値八十一以上の値が確認されたものである。

七について

平成二十六年度までに住宅防音工事が完了して交付要綱に基づき補助金が交付された世帯数は、上富良野演習場については三世帯、北海道大演習場については二百四十四世帯、然別演習場については零世帯、矢臼別演習場については四百二十九世帯、岩手山中演習場については二十六世帯、王城寺原演習場については八百九世帯、北富士演習場については二千五百十世帯、東富士演習場については七千七百九十世帯、饗庭野演習場については百二十四世帯、日出生台演習場については八百六十二世帯である。

お尋ねの「全世帯の数」及び「対象区域外とした世帯数」については、その意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

八について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、防衛省では、名護市から米軍の訓練による騒音について問合せがあった際には、必要に応じて米軍に照会し、回答を得た際には、その回答内容を名護市に伝えている。なお、米軍からの回答について、政府としてその具体的な内容をお答えする立場にない。

九について

お尋ねの測定値については、名護市及び名護市議会からの情報の提供により承知している。

十について

政府としては、米軍は、日米安保条約の目的達成のため、その能力を維持するための訓練を行う必要があるものと認識しているが、米軍に対しては、引き続き、訓練の実施に当たり、騒音について、周辺住民に与える影響を最小限にとどめるよう働きかけていく考えである。

十一について

お尋ねの「使用している装備」とは砲種等のことであり、「訓練の状況」とは砲撃回数等のことであり、「等」とは騒音の発生源と周辺地域との距離等である。また、お尋ねの「「同等の騒音状況が生じていない」とした理由」については、自衛隊等の施設について、使用している装備や訓練の状況等を総合的に考慮した上で、当該自衛隊等の施設の周辺においてLCden値が八十一以上の区域が存在する可能性があると認められなかったからである。

十二について

お尋ねの「市民団体等への説明会が開催されている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成八年十二月二日に発表された「沖縄に関する特別行動委員会」の最終報告を踏まえ、沖縄県において実施されていた実弾射撃訓練を本土の演習場に移転して実施する際には、地方防衛局等から地元自治体等に対し、適宜、説明会等を実施している。

また、当該実弾射撃訓練がキャンプ・ハンセンにおいて実施されていた際には、沖縄防衛局から地元自治体等に対し、日時、演習内容等を通知していたところである。

十三について

お尋ねの「自衛隊等」については、三についてで述べた自衛隊等を指す。

また、お尋ねの「遠征」、「射撃演習・訓練」及び「廃弾処理」の意味するところが必ずしも明らかではないが、米軍が施設及び区域で実施する射撃、爆撃その他火薬類の使用により生ずる音響についても評価の対象となり得る。

住宅防音工事の対象区域の指定に当たっては、自衛隊等の施設の周辺においてLCden値が八十一以上の区域が存在する可能性の有無について検討し、その可能性があると認められる場合に実施することとしているところ、当該区域を指定している十の施設以外の施設について、その可能性があると認められないことから、住宅防音工事の対象区域を指定することは現時点において考えていないが、今後の騒音状況に応じて適切に対応してまいりたい。

十四について

お尋ねの「廃弾処理」の意味するところが必ずしも明らかではないが、陸上自衛隊は、昭和五十一年一月より、日米地位協定第二条4(a)の規定に基づき、キャンプ・ハンセン及びキャンプ・シュワブの一部土地を不発弾処理場として共同使用しており、当該処理場を使用する予定については、事前に沖縄防衛局から関係自治体に対して通知している。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×8承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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