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南スーダン国連平和維持活動派遣部隊の日報の情報公開・公文書管理問題に関する質問主意書
衆議院 第193回 第83号趣旨が明らかではない ×6
質問本文
自衛隊の南スーダンPKO派遣部隊の日報の情報開示請求を受け、作成元や陸上自衛隊などで探した結果、「不存在」としたものの、防衛省統合幕僚監部で見つかったというのが、今回説明されている経緯である。本件は二〇一六年九月に行われた情報公開請求に対し、期間延長をした上で決定を行っており、十分に探索をする時間があったはずである。しかも、同年十二月二日に不存在決定を出し、その後、同年十二月二十六日には発見されている。
かつて、海上自衛隊護衛艦「たちかぜ」乗組員の自殺事案に関連して実施された艦内生活実態アンケートが、存在するにもかかわらず長く不存在とされ、海上自衛隊内でその存在が認識されてもなお、存在しないこととされていた問題では、二〇一二年度に特命監察結果が海上幕僚長あてに報告されているが、その報告書によると、再発防止に関する意見等が記載され、「不存在と判断する場合の再確認」として、「今後、開示対象文書を『不存在』と判断する場合には、海上自衛隊として、次を徹底することにより、当該判断の是非の再確認を行う必要がある」として、「海幕情報公開室から、海幕担当課を通じて関係部署等の文書管理者に対して、捜索要領において一時的に保有されている個人資料に紛れていることはないか、捜索箇所や手段において見落としがないか等、存在の可能性が考えられる当該部隊内すべての箇所を確認するよう細部に至る注意喚起を行い、特定作業を行わせる」「関係部隊等において不存在であった場合には、海幕内においても、同様に他の課室に拡大して特定作業を行わせる」としている。
そこで、以下、質問する。
一 日報は防衛省内のどこで共有されていたのか、その共有範囲と、どのように報告等に使われているのかを明らかにされたい。またそのことは、陸上自衛隊及び統合幕僚監部で当然に把握されていたのではないか。
二 当初の探索範囲として挙げられている「作成元」や「陸上自衛隊部隊」以外に、統合幕僚監部を探索したのか。情報共有範囲は適切に設定されていたのか。請求文書の探索範囲を明らかにされたい。
三 防衛省としては「たちかぜ」のアンケートのことは問題として十分に認識しているはずであり、海上自衛隊の固有の問題というより、本来的には防衛省・自衛隊において教訓とされるべき問題であったはずである。南スーダンPKOの日報は陸上自衛隊のものであるため、海上自衛隊の特命監察がそのまま適用されていなかったということか。
四 これまでの情報公開法の運用をみると、防衛省は、情報公開請求に対する決定に占める不存在の割合が目立っている。省庁全体と、防衛省(二〇〇一年から二〇〇六年は防衛庁と防衛施設庁)で、二〇〇一年から二〇一五年の、情報公開請求に対する不存在決定の割合を、それぞれの年で明らかにされたい。
五 日報は、「陸上自衛隊の内部資料によると、派遣部隊の『日報』は後の訓練のための基礎資料として活用される『主要教訓資料源』とされ、特にPKO派遣などでは錬成訓練のシナリオや、現地での教訓を後に反映させるために使われる重要な資料とされる」(神奈川新聞「戦闘発生時の『日報』廃棄 陸自三か月足らずで南スーダンPKO」二〇一六年十二月十四日)とされているが、そのとおりか。
六 南スーダンPKO派遣部隊日報問題では、日報が一年未満の保存期間文書であり、かつPKO関係文書が陸上自衛隊文書管理規則で三年保存文書とされているが、自衛隊の活動に係る文書は防衛省の組織としての資産であるという認識はあるか。
七 二月九日に行われた統合幕僚長の会見を報じた記事によれば、日報に「戦闘」と記述されていることに対し、「法的に誤解を招かないよう指導していきたい」「戦闘行為は即時に自衛隊の活動に大きな制約がかかる。法的に戦闘という意味を自衛官として知っておく必要がある」「議論にも発展することを考えて書くようにということだ」と述べたとされている(時事通信「PKO部隊に法的意味指導=目撃状況を『戦闘』−南スーダン日報問題で制服組トップ」二〇一七年二月九日)が、事実か。
八 このような「指導」により政治的な議論に発展することを念頭に日報が書かれたこととなると、率直さと現場感覚のない政治的な文書に日報が変質することになるが、その認識はあるか。
九 日報のような一次情報、情報評価、意思決定・政策決定の過程が記録として残されていることが、より適切な判断ができる組織の基礎となるはずである。一次情報段階で政治的配慮を求めることは、意思決定者・政策決定者にとって望ましい情報しか提供されない、あるいは記録として残っていかないという、組織として致命的な構造を抱えることになるのではないか。
十 「陸上自衛隊史・部隊史(原本)」「陸上自衛隊報」は三十年保存ののち廃棄としている。一方、海上自衛隊は、少なくとも「海上自衛隊史」は常用(無期限)とし、保存期間満了後は移管とし、廃棄できないこととなっている。この違いは何なのか。
十一 陸上自衛隊文書管理規則では、他にも、「戦史等(行動史)」が三十年保存ののち廃棄とされており、さらに、「外国陸軍との情報交流に関する文書」(一年)、「国外情報に関する文書」(一年)、「日米幕僚懇談」(一年)、「他国軍交流」(一年)、「海外における能力構築支援事業」(一年)、特殊作戦に関する文書で「部隊運用」(一年)、「日米共同演習」(三年)、「統合訓練」(三年)、「米国における実動訓練」(三年)、「多国間訓練」(三年)、「教育訓練等の評価・分析」(一年)など、内容は不明だが、蓄積すべきではないかと思われる行政文書で、短期保存で廃棄とされているものが多数見受けられる。陸上自衛隊文書管理規則により、陸上自衛隊独自の行政文書で保存期間満了後に歴史文書として移管とされているものと、廃棄するものを、それぞれ挙げられたい。
十二 防衛省内の情報公開請求に対する決定期間延長の状況について、三十日延長、特例延長、延長率をそれぞれ挙げられたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
国際連合南スーダン共和国ミッションに派遣されている自衛隊の部隊(以下「UNMISS派遣部隊」という。)が作成する「南スーダン派遣施設隊日々報告」(以下「日報」という。)は、自衛隊の情報システムを通じてUNMISS派遣部隊から中央即応集団司令部に報告されており、その際、当該情報システムにアクセスする権限を持つ者による閲覧等が可能となっている。しかしながら、日報の電磁的記録が統合幕僚監部の担当者によりその執務の参考として利用された後に残されていたことが、稲田防衛大臣の日報の捜索指示により確認されるまで、統合幕僚監部において日報の電磁的記録が残されていたとの認識は陸上自衛隊及び統合幕僚監部内において共有されていなかった。
二について
お尋ねの「情報共有範囲は適切に設定されていたのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号。以下「情報公開法」という。)の規定に基づき平成二十八年十月三日に開示請求があった日報については、当初、日報を作成したUNMISS派遣部隊及び日報の報告先の部隊である中央即応集団司令部を探索したものである。その後、稲田防衛大臣の指示により、範囲を広げて探索を行ったところ、日報の電磁的記録が統合幕僚監部において確認されたものである。
三について
防衛省においては、情報公開事務に携わる職員に対し、情報公開制度についての教育を行っており、その際、御指摘の「特命監察」の結果の趣旨を反映している。
四について
情報公開法第二十三条の規定に基づく施行の状況の調査(以下「施行状況調査」という。)の結果によれば、平成十三年度から平成二十六年度の各年度において、国の行政機関全体及び防衛省(平成十七年度までは防衛庁及び防衛施設庁並びに平成十八年度は防衛省及び防衛施設庁)の別に、�@開示決定(全部を開示する決定及び一部を開示する決定をいう。)及び不開示決定(以下「開示決定等」という。)の件数、�A開示決定等の件数のうち、行政文書の不存在が不開示の理由となっているもの並びに�B�@に占める�Aの割合をお示しすると、それぞれ次のとおりである。
1 国の行政機関全体
平成十三年度 �@四万四千七百三十四件 �A三千百五十一件 �B約七・〇パーセント
平成十四年度 �@五万九千二百三件 �A千七百四十九件 �B約三・〇パーセント
平成十五年度 �@六万八千八百六十七件 �A二千五十九件 �B約三・〇パーセント
平成十六年度 �@七万六千七百四十三件 �A二千百七十三件 �B約二・八パーセント
平成十七年度 �@七万四千六百七十六件 �A三千四百九十八件 �B約四・七パーセント
平成十八年度 �@四万二千三百四十九件 �A四千五百四十五件 �B約十・七パーセント
平成十九年度 �@四万九千七百五十件 �A二千四百九十四件 �B約五・〇パーセント
平成二十年度 �@六万八千六百二十件 �A二千五百四十九件 �B約三・七パーセント
平成二十一年度 �@六万二千九百十六件 �A二千九十五件 �B約三・三パーセント
平成二十二年度 �@七万三千三百四十五件 �A二千二百十二件 �B約三・〇パーセント
平成二十三年度 �@八万三千七百十二件 �A二千二百七十八件 �B約二・七パーセント
平成二十四年度 �@九万四千百三十三件 �A二千二百八十七件 �B約二・四パーセント
平成二十五年度 �@九万五千四百六十四件 �A二千三百八十件 �B約二・五パーセント
平成二十六年度 �@九万七千五百四十四件 �A二千四百二十七件 �B約二・五パーセント
2 防衛省
平成十三年度 �@二千二百二件 �A百六十七件 �B約七・六パーセント
平成十四年度 �@千八百二十五件 �A百十九件 �B約六・五パーセント
平成十五年度 �@千二百三十六件 �A六十四件 �B約五・二パーセント
平成十六年度 �@千八十八件 �A九十三件 �B約八・五パーセント
平成十七年度 �@千四百四十八件 �A四十七件 �B約三・二パーセント
平成十八年度 �@千三件 �A六十四件 �B約六・四パーセント
平成十九年度 �@千五百九十五件 �A二百十二件 �B約十三・三パーセント
平成二十年度 �@千八百八十六件 �A二百五十一件 �B約十三・三パーセント
平成二十一年度 �@千八百三十三件 �A二百八件 �B約十一・三パーセント
平成二十二年度 �@二千三百九十九件 �A二百十三件 �B約八・九パーセント
平成二十三年度 �@四千八百二十二件 �A百七十八件 �B約三・七パーセント
平成二十四年度 �@六千百五十八件 �A百九十件 �B約三・一パーセント
平成二十五年度 �@四千五百三十二件 �A百九十七件 �B約四・三パーセント
平成二十六年度 �@三千七百六十九件 �A二百二十五件 �B約六・〇パーセント
五について
御指摘の「陸上自衛隊の内部資料」の意味するところが必ずしも明らかではないが、陸上自衛隊中央即応集団国際活動教育隊においては、教育訓練への反映が必要となる可能性のある事象の有無を確認するために日報を閲覧しているが、実際に教育訓練に反映すべき事項の研究及び検討については、主として国際平和協力活動等に派遣された要員から直接、そのような事象の詳細を聞き取った上で行っており、こうした事象の有無を確認した後は日報は不要となるため保管していない。
六について
お尋ねの「防衛省の組織としての資産」の意味するところが必ずしも明らかではないが、防衛省における行政文書は、公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)に基づき、適正な管理が図られるべきものであると認識している。
七から九までについて
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の平成二十九年二月九日の記者会見において河野統合幕僚長は、日報において、UNMISS派遣部隊が「戦闘」との用語を使用しないようにとの指示は出しておらず、「率直さと現場感覚のない政治的な文書に日報が変質することになる」及び「一次情報段階で政治的配慮を求める」との御指摘は当たらない。
十について
防衛省における行政文書の保存期間については、公文書等の管理に関する法律及び公文書等の管理に関する法律施行令(平成二十二年政令第二百五十号)に基づき、行政文書の管理に関するガイドライン(平成二十三年四月一日内閣総理大臣決定)を踏まえ、防衛省行政文書管理規則(平成二十三年防衛省訓令第十五号)において定めており、同規則第四条第一項において機関等主任文書管理者を置き、また、同条第三項において、機関等主任文書管理者は総括文書管理者の事務を分掌することとしている。陸海空各自衛隊等の各機関においては、機関等主任文書管理者が、それぞれの機関の事務及び事業の性質、内容等に応じ、保存期間満了時の措置も含めた標準文書保存期間基準を定めているものである。
十一について
お尋ねの「陸上自衛隊独自の行政文書」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、御指摘の陸上自衛隊文書管理規則(平成二十三年陸上自衛隊達第三十二−十九号)別紙第二十において定められた陸上自衛隊標準文書保存期間基準において、同基準に掲げられた事項のうち「十一 個人の権利義務の得喪及びその経緯」、「十三 職員の人事に関する事項」、「十四 告示、訓令及び通達の制定又は改廃及びその経緯」、「十五 予算及び決算に関する事項」及び「二十 栄典又は表彰に関する事項」に係る文書の一部について保存期間満了時の措置を移管としており、これら以外のものについては廃棄としている。
十二について
情報公開法に基づく開示請求に対する開示決定等について、施行状況調査によれば、施行状況調査により把握している直近の年度である平成二十六年度に防衛省において行われた開示決定等の件数は三千七百六十九件であり、このうち情報公開法第十条第二項の規定に基づく延長手続を行ったものは六百三十二件、情報公開法第十一条の規定に基づく延長手続を行ったものは八百五十八件であり、また、お尋ねの「延長率」の意味するところが必ずしも明らかではないが、これら延長手続を行ったものが平成二十六年度に防衛省において行われた開示決定等の件数に占める割合は約三十九・五パーセントである。
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