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自転車事故対策と損害賠償責任保険等に関する質問主意書
衆議院 第196回 第100号承知していない ×2
質問本文
平成二十七年三月の国土交通省の資料によると、日本における自転車保有台数は増加傾向にあり、平成二十五年時点で約七千二百万台と自動車保有台数と同程度、人口一人当たりの自転車保有台数は〇.六七台であり、自転車先進国である欧米諸国と比較しても高い水準となっている。また、自転車シェアリングの台数も増加してきている。
一方、警察庁が平成三十年二月十五日に公表した「平成二十九年における交通死亡事故の特徴等について」という報告によると、平成二十九年の交通事故の死者数は三千六百九十四人(前年比マイナス二百十人、マイナス五.四%)となり、警察庁が保有する昭和二十三年以降の統計で最少の数値となっている。しかし、同報告によると「(自転車による)歩行者との事故は減少幅が相対的に小さく、平成二十九年は(全交通事故に占める構成比が)前年より増加。若い自転車運転者と高齢歩行者が当事者となる事故が多い状況」とのことであり、「歩行者が死亡・重傷の事故では、運転者の約五十二%は二十四歳以下、損害賠償責任保険等の加入は六十%にとどまった。」との記載がある。すなわち、若い人の自転車事故が多く、自転車事故の加害者のうち、三人に一人は無保険という状態である。
そのような中、二〇一七年十二月、川崎市の市道交差点で、大学二年の女子学生(二十歳)が歩行中の女性(七十七歳)を電動アシスト自転車ではねて死亡させたとして、重過失致死容疑で書類送検される事案が発生した。女子学生は事故当時、両手をハンドルに添えた状態で右手に飲み物を持ち、左手でスマートフォンを操作、左耳にはイヤホンをしていたとのことである。この事故のように、自転車事故の全交通事故に占める構成比の増加には、一定程度、運転中のスマートフォンの利用や、イヤホンの使用等も関係しているのではないかとも思われるところである。
また、自転車事故により重度障害や死亡の結果となった事案に関し、裁判において高額の賠償が命じられている例も多数あるところである。一例をあげれば、男子小学生(十一歳)が帰宅途中に自転車で走行中、歩行中の女性(六十二歳)と正面衝突し、女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い意識が戻らない状態となった事案では、平成二十五年七月四日、神戸地方裁判所において、九千五百二十一万円の賠償を命じる判決が出されている。
これらのことを踏まえ、質問する。
一 自転車事故に関する警察庁の前記報告によると、自転車事故に対する今後の対策として、以下の四点が掲げられている。政府として、それぞれに関し、どのように取り組んでいくのか、現時点での計画、実施主体等を具体的に明らかにされたい。特に、3の保険加入促進については、目標値などがあればお示しいただきたい。また、これら四点以外に自転車事故問題対策に関し取り組むことがあればあわせてご説明いただきたい。
1 交差点等における安全確認や歩道での歩行者優先等、さまざまな機会を活用して交通ルールの周知を図り、交通安全教育を推進すべき。
2 交通ルールを守らなかった場合の危険性を広く周知するとともに、危険な違反を繰り返す運転者を対象とした自転車運転者講習制度の適切な運用を図るべき。
3 損害賠償責任保険等の加入促進を図るとともに、特に家庭内において加入状況の確認を行うべき。
4 ヘルメットの被害軽減効果の周知を行うとともに、自転車利用時のヘルメット着用促進を図るべき。
二 前記の通り、自転車運転者による対歩行者死亡・重傷事故のうち、約五十二%は二十四歳以下の若い運転者による事故とのことである。これは、若者によく見られるスマ−トフォン片手の「ながら運転」等も原因となっていると思料するが、調査等により把握している状況、政府の見解はどのようなものか。仮にそういった事情があるとすれば、今後スマートフォンの利用者も自転車の利用者も増加することを踏まえ、さらなる対策を早急に講じるべきと考えるが、政府としてはどのように考えるか。
三 自転車利用者の多くは保険に未加入で、賠償責任に耐えられず自己破産する例も少なくないとも言われている。政府として、自転車事故を理由として自己破産する例がどの程度あるか、調査等により把握しているか。
四 自転車には、自動車のように強制加入となる「自賠責保険」のような制度が存在しない。したがって、自転車事故による損害賠償責任は任意に加入する保険により対応することとなるが、こうした中、自転車について賠償保険の加入を義務付ける自治体も出てきている。
このような自治体の動きについて、政府はこれら自治体との情報連携や住民の声や効果の集計、評価等を行っているか。行っているとすれば、政府としてこれらの動きを積極的に評価するものかどうか、お答えいただきたい。
五 自転車事故の結果、運転者が保険に加入していなかったために被害者への賠償が不十分になったり、運転者自身が自己破産したりといった問題をなくすためには、保険加入を義務付けることなども検討すべきであると考えるが、政府としてどのように考えるか。また、そのような検討を行っていれば検討状況等をご説明いただきたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の対策については、いずれも、平成二十八年度から平成三十二年度までを計画期間とする第十次交通安全基本計画(平成二十八年三月十一日中央交通安全対策会議決定。以下「基本計画」という。)を踏まえて実施されているものであり、政府としては、引き続き、基本計画を踏まえ、関係省庁が連携して、自転車に係る交通事故防止対策に取り組んでいく考えである。また、御指摘の四点以外の対策としては、自転車の側面等への反射材用品の取付けを促進したり、幼児を同乗させる場合において安全性に優れた幼児二人同乗用自転車の普及を促進したりするなどの取組を行っているところである。
二について
警察庁の統計によると、平成二十九年中の二十四歳以下の自転車運転者による歩行者との交通事故において歩行者が死亡し、又は重傷を負った事故のうち、スマートフォン等を画像目的で使用していたものの件数は三件であり、例年と大きな相違はないと認識している。他方で、基本計画では、スマートフォン等を操作し、又はその画面を注視しながら乗車することの危険性等についての周知・徹底を図ることとしており、政府としては、引き続き、基本計画を踏まえ、これらの施策を着実に実施していく考えである。
三について
お尋ねについては、政府として把握していない。
四について
政府としては、一部の地方公共団体において、自転車利用者に対して、自転車の交通事故により被保険者が損害賠償の責任を負うことによって生ずることのある損害を填補する保険への加入を義務付けていることは承知しているが、当該義務付けによる効果等については把握していない。
五について
政府としては、自転車利用者に対して、一律に、自転車の交通事故により被保険者が損害賠償の責任を負うことによって生ずることのある損害を填補する保険への加入を義務付けることについては、これによる負担の増加に対する理解が得られるか議論を要するため、慎重に検討する必要があると考えている。
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