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児童相談所の「一時保護」と「乳幼児ゆさぶられ症候群」に関する質問主意書
衆議院 第196回 第103号趣旨が明らかではない ×1承知していない ×2
質問本文
児童福祉法第三十三条に基づく児童の「一時保護」は、保護者による虐待から、児童の生命、安全を守るための措置と承知している。ところで、「一時保護」を執行する際の前提となる「虐待があったかどうか」について、わが国で厚生労働省の「子ども虐待対応の手引き」などで、いわゆる「乳幼児ゆさぶられ症候群」(SBS)が所見されるかどうかが一つの判断基準になっていると承知している。
しかし、児童相談所の常勤医でも「SBSなどの乳幼児頭部外傷が虐待によるものかどうかの判断は難しい」(横浜市中央児童相談所常勤医・田崎みどり氏「AHT/SBS対応に苦慮している児童相談所の現状について」より)としている。
そこで、以下質問する。
一 「子ども虐待対応の手引き」では「家庭内の転倒・転落を主訴にしたり、受傷機転不明で硬膜下血腫を負った乳幼児が受診した場合は、必ずSBSを第一に考えなければならない。」としているが、これに医学的根拠はあるのか。
二 「子ども虐待対応の手引き」では「SBSの疑いが強ければ、子どもの安全確保のために職権による保護を行う。乳幼児の親子分離が親子関係の形成を阻害し、二次的な虐待の素地を作るというマイナス面を考慮にいれても、受傷の原因が特定できず虐待の可能性がある限りは、安全を第一に分離の判断をせざるを得ない。」とされている。このことが、必要以上の一時保護につながっていないか。
三 近年欧米の研究では、「硬膜下血腫、網膜出血、脳浮腫の三徴候はSBSによるもの」と断定するSBS理論には疑問がある、とされ、日本弁護士連合会(日弁連)でも、「SBS理論は保護者が子どもに虐待を行ったという冤罪を作り出していく危険性がある」と警告を発している。このことに対し、政府はどのように考えるか。
四 SBSに関して保護された事案に対する直近五年間の異議申し立て、ならびに訴訟件数と、このうち異議申し立てならびに原告の訴えが認められた件数について、それぞれ示されたい。
五 政府は「子ども虐待対応の手引き」や「一時保護ガイドライン」を見直す考えはないか。
六 二カ月を超えて保護をする場合行わなければならない都道府県児童福祉審議会の意見聴取について、直近五年間で、各都道府県の開催件数、およびそのうち「保護の必要なし」と判断された件数を示されたい。
七 多くの都道府県児童福祉審議会が非公開とされており、保護者にも論議の内容が示されていないことについて、政府はどのように考えているか。
八 平成二十九年六月に成立した「児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律」により、同審議会に代わり家庭裁判所による審査が導入されることとなったと承知しているが、どのような理由で家庭裁判所による審査が導入されることになったのか。
九 政府は、二カ月を超えて一時保護されているケースについて、それが適正かどうか早急にチェックする考えはないか。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねについては、平成二十年度から平成二十二年度までの間に行われた厚生労働科学研究費補助金による子どもの心の診療に関する診療体制確保、専門的人材育成に関する研究において作成された子ども虐待対応医師のための子ども虐待対応・医学診断ガイドの中で、乳幼児揺さぶられ症候群(以下「SBS」という。)の「医学的診断アルゴリズム」として、「三主徴(硬膜下血腫・網膜出血・脳浮腫)が揃っていて、三m以上の高位落下事故や交通事故の証拠がなければ・・・SBS・・・である可能性が極めて高い」、「硬膜下血腫とSBS・・・に特徴的とされる眼所見(鋸状縁に及ぶほど広汎で多発性・多層性・多形性の網膜出血、網膜ひだ、網膜分離症)があれば、SBS・・・である可能性が極めて高い」等とされ、硬膜下血腫がSBSの可能性が高い特徴的な所見の一つとして共通して記載されていることを踏まえて記載している。
二について
児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十三条第一項においては、「児童相談所長は・・・児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行」うこと等ができるとされており、児童の安全を確保し適切な保護を図る観点から、お尋ねの記載は適切なものと考えている。
三について
政府としては、児童(児童福祉法第四条第一項に規定する児童をいう。以下同じ。)等の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、適切に一時保護を行い、児童虐待であるかどうかについて、児童等及び保護者の状況等の調査及び診断を行い、総合的に判断すべきであると考えている。
四について
お尋ねについては、把握していない。
五について
お尋ねの「一時保護ガイドライン」の意味するところが明らかではないが、現時点では、子ども虐待対応の手引きについて(平成十一年三月二十九日付け児企第十一号厚生省児童家庭局企画課長通知)におけるSBSに関する記載を見直す考えはない。
六について
お尋ねの件数について、直近五年間の件数は把握していないが、平成二十八年九月に厚生労働省が行った都道府県、指定都市及び児童相談所設置市(以下「都道府県等」という。)への調査によると、平成二十八年四月から同年七月までの四か月間において、二か月を超えて引き続き一時保護を行うこと等が親権者等の意に反する場合の都道府県知事、指定都市の長又は児童相談所設置市の長(以下「都道府県知事等」という。)による児童福祉審議会(児童福祉法第八条第五項に規定する児童福祉審議会をいう。以下同じ。)への意見聴取を行った件数は百九十七件であり、このうち児童福祉審議会において延長が認められなかったものはない。
七について
児童福祉審議会の運営については、各都道府県等において、審議内容に応じて、公開の是非を適切に判断しているものと考えている。
八について
お尋ねについては、一時保護の一層の適正性を担保する観点から、児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律(平成二十九年法律第六十九号)に盛り込んだものである。
九について
現在、一時保護の適正性を担保するため、児童福祉法第三十三条第五項において、一時保護を開始した日から二か月を超えて引き続き一時保護を行うこと等が親権者等の意に反する場合には、都道府県知事等は、児童福祉審議会への意見聴取を行うこととされているところであり、こうした手続を経て、一時保護は適正に行われているものと考えている。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。