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イラクにおける自衛隊の日報における「戦闘」の法的意味に関する質問主意書

衆議院 第196回 第231号趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1

提出者
立憲民主党・市民クラブ
提出日
2018年4月17日
内閣転送 2018年4月24日
答弁書受領日
2018年4月27日
提出から10日
答弁の項目数
5
質問 1,922字/答弁 1,098字

質問本文

平成三十年四月十四日、「存在しない」とされてきたイラクにおける自衛隊の「日報」が見つかったと報じられた。イラクにおける自衛隊の活動を記した「日報」は、これまでに合わせて四百三十五日分、一万四千頁以上が発見されている。防衛省は同月十六日にこれらの「日報」を公開したが、確認したところ、これらの「日報」の中に「戦闘」(「本件戦闘」という。)という言葉が複数箇所に記載されている。

平成二十九年七月二十四日、安倍総理は衆議院予算委員会で、「私は、基本的に、日報がもしあれば直ちに出すべきだという考え方をずっと申し上げてきたわけであります。戦闘という言葉について国会でも議論になりましたが、定義を決めている戦闘行為とは違う意味で、一般的、いわば国語辞典的な意味での戦闘という言葉を使う、これはあり得る」と答弁している。

我が国も締結国の一つであるジュネーヴ諸条約追加議定書の第一追加議定書の第四十三条1では、「紛争当事者の軍隊は、部下の行動について当該紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある組織され及び武装したすべての兵力、集団及び部隊から成る。このような軍隊は、内部規律に関する制度、特に武力紛争の際に適用される国際法の諸規則を遵守させる内部規律に関する制度に従う」と規定され、同条2で、「軍隊の構成員は、戦闘員であり、すなわち、敵対行為に直接参加する権利を有する」と示され、かかる「軍隊」の構成員による敵対行為が「戦闘」であると解される。

内閣法制局による「憲法関係答弁例集(第九条・憲法解釈関係)」(平成二十八年九月)では、「戦闘行為」とは「(国際的な武力紛争の一環として行われる)人を殺傷し、物を破壊する行為」であり、「国又は国に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争い」であるとされる(同書、十四頁)。

このように国際法上の「戦闘」と憲法解釈上の「戦闘」には差異があり、イラクにおける自衛隊の日報における「戦闘」の法的意味について確認したいので、以下質問する。

一 安倍総理のいう「国語辞典的な意味での戦闘」とはどのようなものか。政府の見解如何。

二 本件戦闘は、「国語辞典的な意味での戦闘」であるものの、「定義を決めている戦闘行為」ではないという理解でよいか。

三 本件戦闘が「定義を決めている戦闘」とは違う理由は、「国又は国に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争い」ではないから、という理解でよいか。

四 当時のイラクは、いわゆるPKO五原則でいう、紛争当事者間で停戦合意が成立していること、当該地域の属する国を含む紛争当事者がPKOおよび日本の参加に同意していることの要件が満たされている状態であったものの、「国又は国に準ずる組織」ではない武装勢力による散発的な発砲などが発生していたと承知している。このために、「定義を決めている戦闘」とは違うという状態であると判断したとの理解でよいか。

五 本件戦闘が「定義を決めている戦闘」とは違うのは、「部下の行動について当該紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある組織され及び武装したすべての兵力、集団及び部隊」によるという要件を満たさず、「内部規律に関する制度」を持たない勢力によるものであるとの理解でよいか。

六 政府の憲法解釈上、「国又は国に準ずる組織」とは、すべからく、ジュネーヴ諸条約追加議定書の第一追加議定書でいう「部下の行動について当該紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある組織され及び武装したすべての兵力、集団及び部隊」であり、「内部規律に関する制度」を持つ、という理解でよいか。政府の見解如何。

七 六に関連して、政府の憲法解釈上、「国又は国に準ずる組織」と、ジュネーヴ諸条約追加議定書の第一追加議定書でいう「部下の行動について当該紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある組織され及び武装したすべての兵力、集団及び部隊」で「内部規律に関する制度」を持つものとの間に齟齬があるとすれば、それはどのような点か。政府の見解如何。

八 「国又は国に準ずる組織」ではないものでも、「部下の行動について当該紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある組織され及び武装したすべての兵力、集団及び部隊」を持ち得るし、「内部規律に関する制度」を持っていることは排除されない。本件戦闘が「定義を決めている戦闘」とは違うという状態であるのは、むしろ、ジュネーヴ諸条約追加議定書の第一追加議定書でいう「戦闘」ではないからではないか。すなわち、「部下の行動について当該紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある」戦闘ではないからではないか。政府の見解如何。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

御指摘の平成二十九年七月二十四日の衆議院予算委員会において安倍内閣総理大臣が「戦闘という言葉について・・・定義を決めている戦闘行為とは違う意味で、一般的、いわば国語辞典的な意味での戦闘という言葉を使う、これはあり得るということは私はここで答弁をしているわけであります」と答弁しているとおり、この「一般的、いわば国語辞典的な意味での戦闘」は、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)等において「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為」をいうものと定義されている「戦闘行為」とは異なるものである。なお、この「国際的な武力紛争」とは、国家又は国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いをいうものと考えている。

二及び三について

平成三十年四月十六日に防衛省が公表したイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「イラク特措法」という。)に基づき派遣された自衛隊の部隊が作成していたいわゆる「日報」(以下「イラク日報」という。)の一部で用いられている「戦闘」は、いずれも、一についてで述べた「戦闘行為」の意味で用いられたものではない。

四について

政府としては、自衛隊がイラク特措法に基づく対応措置を実施してきた区域については、我が国が独自に収集した情報、諸外国等から得た情報等を総合的に判断し、現に一についてで述べた「戦闘行為」が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて当該「戦闘行為」が行われることがないと認められる地域に該当していたと考えている。

五及び八について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、イラク日報の一部で用いられている「戦闘」については、二及び三についてでお答えしたとおりである。

六及び七について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書I)(平成十六年条約第十二号)第四十三条1の規定は、国家又は国家に準ずる組織について定めたものではないと理解している。なお、国家とは、国際法上、一般に、一定の領域においてその領域に在る住民を統治するための実効的政治権力を確立している主体とされているが、国家に準ずる組織については、国際法上その具体的な意味について、確立された定義があるとは承知していない。他方、従来から、政府としては、国家に準ずる組織について、国家そのものではないがこれに準ずるものとして国際紛争の主体たり得るものとして用いてきている。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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