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「戦闘」という言葉と「法的な意味における戦闘行為」の違いに関する質問主意書
衆議院 第193回 第79号お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1
質問本文
稲田防衛大臣は、国会答弁で一般的な言葉としての「戦闘」と「法的な意味における戦闘行為」を使い分けている。例えば、平成二十九年二月八日の衆議院予算委員会で、南スーダンでのPKOに参加している陸上自衛隊が作成した報告資料における戦闘という言葉の認識を問われ、「なぜ法的な意味における戦闘行為があったかどうかにこだわるかといいますと、これは、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷しまたは物を破壊する行為が仮に行われていたとすれば、それは憲法九条上の問題になります」、「憲法九条の問題にかかわるかどうかということでございます。その意味において、戦闘行為ではない」との答弁を行った。
これらの答弁に関して疑義があるので、以下質問する。
一 「法的な意味における戦闘行為」とはどのような定義なのか。
二 一般的な言葉としての「戦闘」と政府のいうところの「法的な意味における戦闘行為」の相違点は何か。
三 平成二十八年七月十一日の南スーダン派遣施設隊の日々報告第一六三九号には、「戦闘」との文字が散見されるが、この報告上の「戦闘」とはどのような意味を持つのか。その根拠とともに政府の見解を示されたい。
四 今後の日々報告の中に「戦闘」という言葉が含まれる場合、その言葉は政府がいうところの「法的な意味における戦闘行為」であるか否かを誰の責任において、報告後のどの時期にどのような根拠に基づいて判断するのか。見解を示されたい。
五 今後の日々報告において、政府が言うところの「法的な意味における戦闘行為」とそれ以外の「戦闘」を区別して報告させるべきと考える。それが現地情勢をより正確に報告することであると思われるからである。この点に関して、政府の見解を示されたい。
六 ここでいう「法的な意味における戦闘行為」とは、日本国憲法第九条から派生するところで、防衛省ホームページで示されるところの「わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることを禁じているとは到底解され」ていないものの、「武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣するいわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであり、憲法上許されない」行為であるという理解でよいか。
七 防衛省ホームページで「わが国が自衛権の行使としてわが国を防衛するため必要最小限度の実力を行使できる地理的範囲は、必ずしもわが国の領土、領海、領空に限られませんが、それが具体的にどこまで及ぶかは個々の状況に応じて異なるので、一概には言えません」と示されているものの、南スーダンにおける一般的な意味での戦闘状態あるいは「衝突」は、「わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることを禁じているとは到底解され」ないとした政府見解に整合しないおそれがあるため、「憲法九条上の問題」になる懸念があり、「その意味において、戦闘行為ではな」く「衝突」であると呼称されているという理解でよいか。
八 日本国憲法第九条のもとで許容される自衛の措置としての武力の行使の新三要件の一つは、「わが国に対する武力攻撃が発生したこと、またはわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」であるが、南スーダンにおける現状はこれに該当していないと考えてよいか。
九 八に関連して、南スーダンにおける現状は、「わが国に対する武力攻撃が発生したこと、またはわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」したわけではないため、新三要件を満たさず、自衛権行使の事例となりえないため、「法的な意味における戦闘行為」足り得ないのか。あるいは、「人を殺傷しまたは物を破壊する行為」の主体が国または国準でないために、「わが国に対する武力攻撃が発生したこと」にならず、「法的な意味における戦闘行為」足り得ないのか。見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の平成二十九年二月八日の衆議院予算委員会(以下「委員会」という。)における稲田防衛大臣の答弁における「法的な意味における戦闘行為」は、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)等において「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為」をいうものと定義されている「戦闘行為」について述べたものであり、この「国際的な武力紛争」とは、国家又は国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いをいうものと考えている。
二について
お尋ねの「戦闘」という用語については、一義的に確立された定義があるとは承知しておらず、文脈によってその意味するところが異なり得るため、一概にお答えすることは困難である。
三について
お尋ねの「どのような意味を持つのか」及び「その根拠」の趣旨が必ずしも明らかではないが、委員会において稲田防衛大臣が「人を殺傷し、または物を破壊する行為はあったけれども、それは国際的な武力紛争の一環としては行われていない」と答弁したとおり、一についてでお答えした「法的な意味における戦闘行為」の意味で用いられたものではないと承知している。
四及び五について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号。以下「PKO法」という。)に定める我が国として国際連合平和維持隊に参加するに際しての基本的な五つの原則が満たされているかについては、国際連合南スーダン共和国ミッション(以下「UNMISS」という。)に派遣されている自衛隊の部隊(以下「UNMISS派遣部隊」という。)が作成する「南スーダン派遣施設隊日々報告」を含む要員からの報告や、我が国大使館、国際連合等からの情報等を総合的に勘案し、政府として、適時適切に判断しているものであり、御指摘のように「「法的な意味における戦闘行為」とそれ以外の「戦闘」を区別して報告させるべき」とは考えていない。
六について
お尋ねの趣旨が明らかではなく、お答えすることは困難である。
なお、御指摘の「法的な意味における戦闘行為」については、一についてでお答えしたとおりである。
七から九までについて
お尋ねの趣旨が明らかではなく、お答えすることは困難であるが、UNMISS派遣部隊の派遣については、国際連合から我が国に対し、UNMISSへの要員の派遣について要請があり、我が国としても、世界の平和と安定のために一層の責務を果たしていくに当たり、国際連合による国際平和のための努力に対し人的な協力を積極的に果たしていくため、PKO法に基づきUNMISS派遣部隊を派遣し、道路等の維持補修等の分野における国際平和協力業務を実施しているところであり、UNMISS派遣部隊の派遣は、御指摘の「日本国憲法第九条のもとで許容される自衛の措置」等とは何ら関係ない。
なお、PKO法上、「武力紛争」を定義した規定はないが、政府としては、国家又は国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いがPKO法上の「武力紛争」に当たると解してきたところであり、当該「武力紛争」の一環として行われる「戦闘行為」は、「国家又は国家に準ずる組織の間で行われるもの」である。
その上で、一般に、実力を用いた争いが「武力紛争」に該当するか否かについては、事案の態様、当事者及びその意思等を総合的に勘案して個別具体的に判断すべきものと考えているところ、これまでに南スーダン共和国において発生した事案について、事案の当事者の一方であるマシャール前第一副大統領派は系統立った組織性を有しているとは言えないこと、同派による支配が確立されるに至った領域があるとは言えないこと、さらに、同国政府と同派の双方とも事案の平和的解決を求める意思を有していると考えられること等を総合的に勘案すると、現状においても、UNMISSの活動地域においてPKO法上の「武力紛争」が発生しているとは考えていない。
このため、委員会における稲田防衛大臣の答弁においては、「人を殺傷し、または物を破壊する行為はあったけれども、それは国際的な武力紛争の一環としては行われていない」との認識を示すとともに、一についてでお答えした「法的な意味における戦闘行為」と混同されかねない「戦闘」という用語を用いた場合、PKO法上の「武力紛争」が発生したのではないかという誤解を招くおそれがあることから、国家又は国家に準ずる組織の間において生ずる武力を用いた争いではないということを明示するため、「武力衝突」という用語を用いていることを説明したところである。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×2承知していない ×1
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
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