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令和元年台風第十九号による長野県東部・東信地域の被災状況から見る、山間部・上中流域の河川災害被害と、復旧課題に関する質問主意書

衆議院 第200回 第56号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×5

提出者
無所属
提出日
2019年10月25日
内閣転送 2019年10月30日
答弁書受領日
2019年11月5日
提出から11日
答弁の項目数
8
質問 4,516字/答弁 2,535字

質問本文

令和元年十月十二日より全国を襲った台風第十九号で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。政府におかれては、これまでの復旧への尽力に深甚なる敬意を表し感謝申し上げます。引き続き、国民の安全、暮らしの復旧を最優先にお取り組みいただきますようお願い申し上げます。

さて、この度の台風第十九号により、七県で二十水系の七十一河川が決壊し、その中には長野県の千曲川をはじめ、吉田川、阿武隈川、久慈川など、国が管理する一級河川が多く含まれている。長野県では、五千八十六世帯が浸水した長野市(十月二十三日午前十時時点長野県災害対策本部まとめより)、全国的には、宮城県丸森町、福島県郡山市など、河川幅の広い地域での越水は広範な住宅被害をもたらしている。

長野県東部・東信地域は、千曲川の源流を含む上中流域にあたる山間地であり、他の地域と同様、年間降水量の五割近くにあたる大雨が、二十四時間から四十八時間以内に降ったことが確認された。

山間部・河川上中流域の被災地を回ると、長野市などの広範な被害が出た地域とは異なり、局所的に甚大な被害が発生した箇所が分散して多数確認された。こうした被害は長野県に限らず、他の一級河川の上中流域、急流箇所のある山間部でも、同じような被害が出ているのではないかと考えられる。

そこで、長野県東部・東信地域の被災現場で確認された被害や問題意識が、全国の各被災地の復旧、また、山間部・河川上中流域での河川災害における今後の防災政策の一助になることを願い、以下質問する。

一 越水にとどまらない大きな被害について

山間部・上中流域では、越水のみにとどまらず、急流によって護岸などが削られたことにより、橋や道路に甚大な被害が多数出たことが特徴の一つと考える(佐久市入沢、佐久穂町大日向、長和町、上田市真田、北相木村等)。また、土砂災害も多数発生している。長野県によると、十月二十三日午前十時時点で四十九戸の住宅が、土石流や崖崩れによって全壊や半壊、浸水等の被害があったとのことだが、土砂災害による住家被害の全てが、上田市、佐久市、佐久穂町、長和町、筑北村、麻績村などの山間部、河川上中流域で発生している。

また、山間部・河川上中流域では、単なる溢水・越水ではなく、土砂や岩石で河川や用水路が埋め尽くされて水が溢れ、土砂や岩石が隣接する住宅にまで流れ込み、道路を川のように水が流れ続ける被害が多数確認されている(佐久市常和、上田市平井、佐久穂町大日向等)。これらの被害地域は、今台風に限らず、大雨に見舞われた際に、度々被害が出たか、被害の可能性が指摘された地域であり、今後の再発防止策も含めた復旧対策の検討が必要と考える。今回の台風で流出した土砂岩石の除去のみならず、今後大雨の時には、水だけでなく再び土砂岩石が堆積する可能性を考慮した抜本的な復旧対策が必要と考えるが、こうした被害に対する国の復旧方針、県や市町村に対する助言等について、政府の考えを伺う。

二 山林の被害について

今台風では、山間部、河川上流部で山崩れが多数確認された。川からの水と、山からの水・土砂にサンドイッチされる形で住宅が埋まる被害もあった。今後の復旧にあたっては、河川の修復のみならず、山林の復旧、地形の回復や、地形変化に応じた治山事業を検討する必要があると考える。また、山林の復旧にあたっては、被害のあった山林の所有者とすぐに連絡をとる必要があるが、近年問題となっている所有者が不明の山林が復旧の妨げになることが予想される。今後の山地災害対策について、政府の方針を伺う。

三 停電、断水被害について

今台風でも改めて住民生活の大きな脅威となったのが、停電、断水である。停電、断水の原因は様々だが、特に山間部では、倒木が原因となる停電が発生し、復旧に長時間を要したことが顕著だった。長野県軽井沢町と御代田町では、停電が発災後十日前後におよび、その主な原因とみられる倒木の除去作業に、自衛隊の力を借りる事態となった。倒木が原因とされる停電の長期化は、先月の台風第十五号で大規模停電が発生した千葉県内でも確認されている。災害発生時の復旧作業や、倒れると電線に影響を及ぼすおそれのある木の事前伐採について、電力事業者と自治体の間で協定を締結している例もあるが、倒木による停電の防止や、停電発生時の早期復旧のための関係機関の連携についてどのような取組を進めていくのか、政府の方針を伺う。

また、停電、水道管の破損、浄水場への土砂の流入等による断水も、徐々に解消してきているが、今なお、解消のめどが立っていない地域もある。水道管等の復旧工事や、断水が解消するまでの間の給水等について、自治体に対してどのような支援を行っていくのか、政府の方針を伺う。

四 住民福祉について

台風第十九号により、長野県内では、長野市など広範囲で住宅浸水被害があった地域で、発災から十日以上が過ぎてもなお、多くの方が避難所での生活を余儀なくされ、暮らしの安心、被災者の健康状態を守ることなどが課題になっている。

一方、山間部・河川上中流域においては、台風が上陸した十月十二日は多くの避難者が出たものの、翌日以降、大半の被災者が自宅に戻った。これは、住宅浸水の数が、下流域と比べて少なかったこと、多くの被災者が自宅での生活や、親戚宅等に身を寄せるなど、避難所にとどまらないことを選択したためと考えられる。避難所生活の被災者が少ないことは望ましいと考えることができる。しかし、避難所であれば保健師が常駐などする一方、避難所にとどまらずに被災住宅等へ戻った被災者については、保健師、医師とのアクセスや、物資の備蓄・供給、電気、水道などライフラインが確保されていない場合、暮らしの状況や健康状態の確認を継続的にする必要があると考える。

通常であれば、各自治体の社会福祉協議会等が、こうした役割を担うと考えるが、被災地の社会福祉協議会は、ボランティアセンターの運営をはじめとする災害対応業務に追われている。また、被災箇所が、分散して多数あること、山間部は車社会であるにもかかわらず、道路被害により交通に重大な支障をきたしていることから、在宅の被災者や親戚宅等に身を寄せた被災者の安否確認、健康状態確認を継続することが、平時より困難ではないかとも考える。

災害関連死は、発災後一ケ月までが多いとされているが、発災後一ケ月といえば、被災地の自治体は復旧対応で多忙を極めている時期であり、人的な応援が必要であると考えるが、中央省庁からの応援、被災しなかった自治体から職員を派遣するなどの施策を政府はどのように検討し、自治体に呼びかけや周知をするか、見解を伺う。

五 復旧の人手、ボランティアについて

被災地の復旧には、ボランティアの支援が欠かせないが、今台風で甚大な被害を受けた山間部・河川上中流域が抱える問題として三つのことを挙げたい。

まず、広範囲に及ぶ浸水被害があった下流域と比べると被害報道が少なく、ボランティアの希望者が少ないことがある。次に、山間部・河川上中流域の自治体は、小規模自治体が多く、役場職員の総力で復旧・復興に当たらなければならないため、ボランティアの受け入れのために十分な態勢を整えることができないという問題がある。さらに、被害箇所が分散して多数あるため、ボランティアの交通手段も課題として挙げられる。

一方で、阪神・淡路大震災、東日本大震災等これまで多くの災害を通じて、全国各地の被災地で活躍するボランティア団体や、個人のボランティアの中には、災害対応のプロともいうべき貴重な人材が数多く存在する。また、自治体職員の中にも、全国の被災地への応援、長期出向を通じて、被災地域にかかわらず、復旧復興の優れた知見を有する職員が各地に存在する。

長野県は、小規模自治体が多く、もともと人材が少ないことに加え、少なくともここ十数年間は、大きな災害が少ない地域とも言われてきた。これまで全国の被災地に貢献してきたボランティアや自治体職員の応援を早期にいただき、ボランティアを多く受け入れる態勢を整えることが必要であると考える。小規模自治体や大災害を長年経験していない自治体であっても、ボランティアの受入態勢を速やかに整えることができるように、政府として全国の自治体に指導する通知やガイドラインの作成が必要だと考える。大災害に備えて物資を備蓄しておくことは大事だが、災害への即応体制、早期復旧の知見を普段から備えておくことも、物資に勝るとも劣らず重要と考えるが、政府の見解を伺う。

六 交通について

今台風では、交通の要となる多くの橋、道路の通行が不可能となった。特に山間部・河川上中流域はもともとバスや鉄道などの公共交通機関が脆弱である。長野県東部では、東信地域を東西に走るしなの鉄道が、軽井沢、御代田、小諸方面から上田地域に至る高校生の、唯一ともいうべき通学手段となっているが、東御市で、線路上の橋が崩落したことにより、現在も不通となっている。発災から十日経って、バスや新幹線を代替手段とすることとなったが、車社会の地方における災害時の在来線の復旧、代替輸送手段の確保は、もともと公共交通機関が少ない分、非常に大きな課題である。電車の代替交通として想定されるバス業界も、地方ではそもそも本数が少なく、さらには、慢性的な人不足、運転手不足もあるという指摘も伺った。災害時の協定を、地域の公共交通機関同士であらかじめ締結する、また、それを徹底することが、特に地方、山間部においては極めて重要であると考えるが、政府の見解と今後の取組を伺う。

七 報道格差、被害周知格差について

山間部・河川上中流域の被害は、千曲川本流のみならず、中小河川、集落を流れる用水路の決壊により、局所的に甚大な被害が多数箇所で発生したことにあると考える。被害箇所が分散しているため、甚大な被害にもかかわらず報道されない、被害の長期化が多くの人に伝わらないという問題もある。発災直後は、被災地の住民が自らSNS(ソーシャルネットワークサービス)で発信し、被害を心配する多くの人たちによって拡散されたが、SNSでの発信や拡散も、日が経つにつれて少なくなると考える。政府及び自治体は、山間部・河川上中流域の被害状況等を継続的に把握し、積極的に情報を発信することにより、被災地に関心を持ち続けてもらい、ボランティア等による継続的な支援活動に繋げていくことが必要であると考えるが、政府の見解と今後の取組を伺う。

八 予算について

今台風による被害は、広範囲に及んでおり、複数の省庁が関係している場合もあれば、被害が発生した場所によって施設等の管理者が異なる場合もある。今後、復旧・復興事業を進めるに当たっては、省庁の所管や、国の機関・自治体の管轄区域にとらわれることなく、関係機関が一体となって十分な予算を確保していくべきと考えるが、政府の見解を伺う。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

お尋ねの「水だけでなく再び土砂岩石が堆積する可能性を考慮した抜本的な復旧対策」及び「こうした被害に対する国の復旧方針、県や市町村に対する助言等」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国土交通省においては、都道府県知事に対し、土砂及び岩石の流出により令和元年台風第十九号と同様の被害が発生しないよう、土石流等による土砂災害発生のおそれがある場所における砂防工事についての必要な技術的助言を行うなどの支援を引き続き行ってまいりたい。

二について

お尋ねの「山地災害対策」については、林野庁において、二次災害の防止や早期復旧に向けた災害復旧事業等に取り組むとともに、「森林整備保全事業計画」(令和元年五月二十八日閣議決定)に基づき、豪雨等多様な現象による山地災害を防止し、これによる被害を最小限にとどめ地域の安全性の向上に資するため、治山施設の設置と機能が低下した森林の整備等を推進することとしている。

なお、御指摘の「近年問題となっている所有者が不明の山林が復旧の妨げになる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)においては、森林の所有者が知れない又はその所在が不分明な場合であっても、国又は都道府県が森林の造成事業又は森林の造成若しくは維持に必要な事業を行う必要があると認めるときは、農林水産大臣が森林又は原野その他の土地を保安施設地区として指定し、国又は都道府県が同地区内に治山施設を設置すること等ができることとされている。

三について

お尋ねの「倒木による停電の防止や、停電発生時の早期復旧のための関係機関の連携」については、現在、電気工学や防災の専門家等により構成される総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会電力安全小委員会合同電力レジリエンスワーキンググループにおいて、令和元年台風第十五号や令和元年台風第十九号による停電及びそれらの復旧作業の徹底的な検証を行っているところであり、この検証結果を踏まえ、倒木の影響を緩和するための無電柱化の取組や、倒木の除去を円滑化するための電力会社、自治体、自衛隊等の連携についても検討していくこととしている。

また、お尋ねの「水道管等の復旧工事や、断水が解消するまでの間の給水等」については、都道府県や公益社団法人日本水道協会等の関係機関と連携して、支援しているところである。さらに、被災した水道施設の復旧に要する費用については、「上水道施設災害復旧費及び簡易水道施設災害復旧費補助金」等により支援することとしている。

四について

お尋ねの「中央省庁からの応援、被災しなかった自治体から職員を派遣するなどの施策を政府はどのように検討し、自治体に呼びかけや周知をするか」については、大規模な災害が発生した場合には、災害対応業務を被災自治体が単独で実施することは困難であることから、政府としては、被災自治体において円滑に災害対応を行うため、ノウハウを有する幹部級職員を含めた政府職員の派遣、自治体間での応援職員の派遣の調整及びこれらの取組状況の地方公共団体に対する周知を行っているところである。

令和元年台風第十九号に当たっても、長野県等六県に対して内閣府調査チームを派遣しているほか、各省庁から専門的な知識を有する職員を派遣している。また、自治体間の応援職員の派遣についても、被災した二十七市町に対しては、全国知事会等と共に構築している「被災市区町村応援職員確保システム」を通じ、令和元年十月二十九日時点で、三十三道府県市から累計三千九百十七名の応援職員が派遣され、避難所運営や罹災証明書の交付等の災害対応業務の支援が行われているほか、例えば、長野市等に対しては、他県から応援の保健師が派遣され、浸水した地域の要配慮者を中心に、在宅被災者の戸別訪問が行われている。これらの取組状況については、地方公共団体に対して周知してきているところであり、引き続き適切に対応してまいりたい。

五について

お尋ねの「災害への即応体制、早期復旧の知見を普段から備えておくこと」の意味するところが必ずしも明らかではないが、災害発生時に地方公共団体が災害応急対策及び災害復旧を的確に行うためには、あらかじめ業務継続計画を策定するとともに、他の地方公共団体、ボランティア等の応援を円滑に受け入れるための体制(以下「受援体制」という。)を構築しておくことが重要と考えており、内閣府においては、「大規模災害発生時における地方公共団体の業務継続の手引き」(平成二十八年二月内閣府(防災担当)公表)、「地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドライン」(平成二十九年三月内閣府(防災担当)公表)等を策定するとともに、市町村の担当者を対象とした研修会を開催するなど、地方公共団体の業務継続計画の策定及び受援体制の構築を支援しているところであり、引き続き適切に対応してまいりたい。

六について

お尋ねの「災害時の協定」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、災害により鉄道路線が不通となった場合には、早期復旧とともに、利用者の生活交通として、復旧までの間の代替輸送手段の確保が重要であるため、平時から鉄道事業者とバス事業者との間の事前の連携体制が構築されるよう、引き続きその推進を図ってまいりたい。

七について

お尋ねの「被害状況等を継続的に把握し、積極的に情報を発信することにより・・・継続的な支援活動に繋げていくこと」については、日々刻々と変化する被災地のニーズを把握しつつ、内閣府のホームページ等において情報発信を行っているところであり、引き続き取り組んでまいりたい。

八について

御指摘の「復旧・復興事業」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、引き続き、災害から国民の生命、身体及び財産を守るとともに、被災地の復旧・復興を推進するため、防災対策の推進に必要となる予算を確保するとともに、過去の災害から得られた教訓をいかし、政府一体となって復旧・復興支援に全力を尽くす所存である。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×5

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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