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洋上風力発電の価格調整スキームに関する質問主意書
衆議院 第217回 第272号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×2
質問本文
政府は、日本が目指す「二〇五〇年カーボンニュートラル」に向けては、再生可能エネルギー最優先の原則で導入拡大し、再エネを主力電源としていくことが必要との脱炭素原理主義的認識から、二〇二二年四月にFIP制度(いわゆるフィードインプレミアムの略称)をスタートさせた。資源エネルギー庁によると「再エネ発電事業者が卸市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進」する制度と説明されている。
本来、洋上風力発電事業への参入や撤退は、各企業の判断に任せるべきだが、政府は、調達価格等算定委員会で「価格調整スキーム」を作成し、建設期間における資材価格などのコスト上昇分を四十%までFIPの基準価格に転嫁するとしている。その分、電気料金の値上げとなって国民負担が増大すると考える。
同委員会の報告書には、「価格調整スキームを導入している他国においては、四十%より相当低い水準で上限を設定している例も確認されている」とあり、具体的には、「米国ニュージャージー州において、価格調整スキームにおいて反映する物価変動調整の上限はプラスマイナス十五%であるとされている」との記述がある。日本の四十%より二十五%も低い。
さらに政府は、過去に入札済みの事業にも価格調整スキームを遡及適用するとしている。入札者は入札参加の時点で、将来の物価上昇を織り込んで価格提示しているはずで、合理的な政策とは言い難く、当然、価格上昇分は国民負担となると考える。
そこで、以下質問する。
一 政府は、米国ニュージャージー州では十五%といった事実を把握しながら、なぜ四十%という高い数字に設定したのか。
二 政府は、国民負担増大を招く数字を、国会での議論、決定を経ることなく、公募制度の改訂で決めたが、民主主義の理念に照らして不適切な決定方法ではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
三 物価上昇で採算が合わなくなったなら、落札者が事業から撤退すれば、国民負担を増やさずに済む。電気代の値上げを避けるためにも、価格調整スキームの遡及適用はやめるべきではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
四 FIP制度下で四十%の価格転嫁が行われた場合の電力会社の買取総額及びいわゆる再エネ賦課金の総額がいくらになるか、それぞれの試算結果を可能な限り明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一及び二について
御指摘の「民主主義の理念に照らして不適切な決定方法」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)第四十五条第一項の規定により、国会の両議院の同意を得て、経済産業大臣が任命する委員により構成される調達価格等算定委員会において、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(平成三十年法律第八十九号。以下「法」という。)第十五条第三項により選定された事業者に電源への投資を確実に完遂させる観点から、ロシアによるウクライナ侵略等の影響による資材価格等の変動と同水準の資材価格等の変動にも対応できるよう、御指摘の「価格調整スキーム」において考慮する物価の変動幅の上限について、原則、四十パーセントとする旨の意見が取りまとめられたところ、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法第二条の三第七項及び第三条第八項の規定により、この意見を尊重し、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法の規定に基づき基準価格等、調達価格等及び解体等積立基準額を定める件(平成二十九年経済産業省告示第三十五号。以下「告示」という。)第一条第二項第十九号イにおいて、お尋ねの「四十%」という「数字」を規定したものであり、また、これに当たっては、令和七年二月四日から同年三月五日までパブリックコメントを実施し、広く国民から意見を募集したところであって、適切に決定されたものであったと考えている。
三について
お尋ねの「価格調整スキームの遡及適用」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和七年三月三十一日以前に法第十五条第三項により選定された事業者の行う再生可能エネルギー発電事業(以下「公募済み事業」という。)についても、告示第三条第十四項第二号において、法第十三条第二項第六号に掲げる事項に係る法第十八条第二項の公募占用計画の変更の認定を受ける場合に限り、御指摘の「価格調整スキーム」の対象としていることは、当該事業者に、一及び二についてで述べたとおり、電源への投資を確実に完遂させる観点から、ロシアによるウクライナ侵略等の影響による資材価格等の変動と同水準の資材価格等の変動にも対応できるようにするためである。
四について
お尋ねの「FIP制度下で四十%の価格転嫁が行われた場合の電力会社の買取総額及びいわゆる再エネ賦課金の総額」については、法に基づく公募の今後の実施状況、公募済み事業に係る変更の認定の状況、御指摘の「価格調整スキーム」の適用対象となる設備の稼働状況等様々な要因によって変動するため、お答えすることは困難である。