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円借款の国内経済波及効果及び財源構造に関する質問主意書

衆議院 第217回 第287号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×8

提出者
立憲民主党・無所属
提出日
2025年6月16日
内閣転送 2025年6月20日
答弁書受領日
2025年6月27日
提出から11日
答弁の項目数
10
質問 1,867字/答弁 2,101字

質問本文

我が国は、開発途上国支援の一環として、国際協力機構(以下JICAという。)を通じ、有償資金協力いわゆる円借款を実施している。

この円借款は、円建てで供与されることにより、資金が原則として日本国内で消化され、国内企業による調達・建設・技術供与等を通じて雇用と需要を生み出す。また、円借款の財源は、日本銀行の信用創造によって供給される資金が事実上の原資となり得るため、外貨準備を取り崩すことなく実施できるという点で、我が国にとって大きな国益となり得ると考える。

しかしながら、こうした「円建て・国内消化」という円借款の国益上の特性を裏づける制度的・統計的な説明は十分に整備されておらず、政府としてその資金調達構造、日本銀行の金融政策との関係、さらには国庫収益や債務管理の在り方について、国民に対して明確に説明責任を果たす必要があると考える。

これらを踏まえ、以下の事項について政府の明確な説明を求める。

一 円借款の財源の資金調達構造と日本銀行との関係について

1 政府は、円借款の財源に用いられる財投債の発行からJICAへの資金貸付に至るまでの資金フローについて、発行主体、購入者、最終的な資金負担者の関係性をどのように整理しているか、制度的・実務的な実態をそれぞれ可能な限り詳細に説明されたい。

2 財投債購入に当たって民間金融機関が用いる資金について、その原資の大部分が日本銀行の公開市場操作(公開市場買入れ、国債購入プログラム等)によって供給されていると考えられるが、政府としてこの認識が正しいかどうか、明確に示されたい。

3 円借款により供与された資金のうち、契約支出の実行段階において、円建てのまま日本国内で使用される割合はどの程度か示された上で、円がドル等に転換されるケースが存在する場合、その割合と主な契約類型について政府の見解を示されたい。

4 円借款供与に伴う国内円支出に必要な通貨供給は、制度上、日本銀行の信用創造に基づく流動性供給によって担保されていると解されるが、政府としてその実態をどのように認識しているか示されたい。

二 円借款財源の統計的処理と開示制度について

1 円借款の財源のために調達された財投債は、政府全体の国債発行残高統計においてどのようにカウントされているか示された上で、国民が理解できる形での統計上の表示状況について示されたい。

2 円借款を通じた政府債務は、いわゆるオフバランス債務として温存されている認識で相違ないか。政府の見解を問う。

3 円借款の財源及びその管理状況について、国民に対してどのような情報提供・開示を行っているか、具体的な取組状況を示されたい。

三 通貨発行益と国庫帰属資源の整理について

1 円借款のための資金調達とそれに伴う貨幣供給の関係性において、潜在的に発生している通貨発行益は誰に帰属していると政府は認識しているか。

2 政府は、通貨発行益を財源とした場合の財政負担軽減効果について、円借款制度との関係でどのように整理しているか示されたい。

四 円借款の返済リスクと財務的責任分担の所在について

1 円借款の返済に延滞や債務免除が生じた場合、JICA、財政投融資特別会計、日本銀行、あるいは一般会計のいずれが最終的な損失を負担することになるか、政府の整理を示されたい。

2 ODA債務救済措置としての債務免除等が過去に実施された事例において、その会計上の処理及び政府全体の財政統計への反映状況はどのようになっているかそれぞれ示されたい。

3 ODA債務救済措置が実施される場合の政府決定プロセス(国会承認の要否を含む)と、財務的責任分担の所在についてそれぞれ政府の見解を示されたい。

4 JICAにおける円借款貸付金は独立行政法人会計基準で処理されると承知しているが、同基準に基づく帳簿価額と政府の財政統計(財政投融資特別会計・一般会計)との整合性を政府はどのように確保しているか示された上で、債務免除・条件変更が発生した場合の会計処理と国庫負担の責任の所在をそれぞれ示されたい。

五 円借款供与が金融市場に与える影響の定量評価について

円借款の年間供与額が日本国内のいわゆるマネタリーベース、金融市場の流動性、為替レートに与える影響について、政府として定量的な試算を行っているか。行っているのであれば、前記の試算において、日本銀行の量的緩和政策との連動や市場吸収能力の限界についても考慮されているか。今後の分析方針を含めて政府の見解を求めたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

お尋ねの「円借款の財源に用いられる財投債の発行からJICAへの資金貸付に至るまでの資金フロー」及び「発行主体、購入者、最終的な資金負担者の関係性」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)が行う有償資金協力(円借款を含む。以下同じ。)のための資金調達の一部には、日本政府が発行し、金融機関等が購入する財政投融資特別会計国債(以下「財投債」という。)の発行による収入等を活用した財政融資が用いられており、その返済は、被援助国政府等からの円借款の返済等に基づき、JICAから日本政府に対して行われている。

一の2について

お尋ねの「その原資」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「財投債購入に当たって民間金融機関が用いる資金」については各金融機関によって異なることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

一の3について

お尋ねの「契約支出の実行段階において、円建てのまま日本国内で使用される割合」及び「円がドル等に転換されるケースが存在する場合、その割合と主な契約類型」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「円借款により供与された資金」に関し、令和四年度から令和六年度までにかけて供与を決定した合計百二十七件の円借款案件については、JICAが米ドルを調達し、変動金利にて米ドル建て借款として供与した三件を除き、全て、円建てのまま被援助国政府等に対して供与することとしている。

一の4について

お尋ねの「円借款供与に伴う国内円支出に必要な通貨供給は、制度上、日本銀行の信用創造に基づく流動性供給によって担保されている」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

二の1及び2について

お尋ねの「円借款の財源のために調達された財投債」、「政府全体の国債発行残高統計」及び「円借款を通じた政府債務は、いわゆるオフバランス債務として温存されている」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、財務省が公表している国債及び借入金並びに政府保証債務現在高においては、財投債の発行残高及び償還年限別の内訳を示しており、財投債の発行残高は国の負債となる。

二の3について

お尋ねについては、有償資金協力の財源、その決算の内容等を財務省及びJICAのウェブサイトで公表している。

三の1及び2について

お尋ねの「それに伴う貨幣供給」、「潜在的に発生している通貨発行益」及び「通貨発行益を財源とした場合の財政負担軽減効果」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、保有する国債の利息収入等である国債利息を含む日本銀行の収益については、日本銀行法(平成九年法律第八十九号)等に基づき、所要の経費等を差し引いた上で、法定準備金等を控除し、その残額は国庫納付されることとなる。

四の1、2及び4について

お尋ねの「独立行政法人会計基準・・・に基づく帳簿価額と政府の財政統計(財政投融資特別会計・一般会計)との整合性」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、円借款に係る債務救済措置としての債務免除等に係る会計上の処理については、JICAにおいて、将来的に放棄する可能性のある円借款に係る債権について、各年度の有償資金協力勘定の利益金から引当金を計上した上で、当該債務救済措置の実施に係る国際約束に基づき、順次、当該債務救済措置に係る債権を償却することで最終的に当該処理を行っているものと承知している。また、これまでに行った円借款に係る債務救済措置としての債務免除等の概算値については、外務省及びJICAのウェブサイトで公表しているが、政府から独立した会計処理が行われていることから、政府全体の財政統計においては明示的に示していない。

四の3について

円借款に係る債務救済措置の実施に係る政府における意思決定の過程については、外務省、財務省等において、債務救済措置に係る国際的な取決めを踏まえ、当該債務救済措置を採ることが適当であると考える場合には、外務省が当該債務救済措置を受ける債務国の政府との間で当該債務救済措置の実施に係る国際約束についての交渉を行い、当該交渉の結果を踏まえ、閣議決定を行った上で、当該国際約束を締結するとしている。円借款に係る債務救済措置の実施に係る国際約束の締結に当たっては、国会の承認を求めてきていない。円借款に係る債務救済措置としての債務免除等に係る会計上の処理については、JICAにおいて、将来的に放棄する可能性のある円借款に係る債権について、各年度の有償資金協力勘定の利益金から引当金を計上した上で、当該債務救済措置の実施に係る国際約束に基づき、順次、当該債務救済措置に係る債権を償却している。

五について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「円借款供与が金融市場に与える影響」に関する定量的な評価は政府として実施しておらず、また、お尋ねの「今後の分析方針」については、現時点では決定していない。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×8

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

件名の語が重なる質問主意書

提出 2025年12月10日 杉村 慎治(立憲民主党・無所属) 答弁 2025年12月19日

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