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円借款の国内経済波及効果と財源構造に関する質問主意書

衆議院 第219回 第135号お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×4

提出者
立憲民主党・無所属
提出日
2025年12月10日
内閣転送 2025年12月15日
答弁書受領日
2025年12月19日
提出から9日
答弁の項目数
5
質問 1,482字/答弁 1,582字

質問本文

私が第二百十七回国会で提出した質問主意書(質問第二八七号)(以下、前質問主意書という。)で指摘したとおり我が国は、開発途上国支援の一環として、国際協力機構(以下、JICAという。)を通じた有償資金協力である円借款を実施している。この円借款は、円建てで供与されることを通じ、原則、円借款の資金が、結果的に国内企業の受注によって日本国内で消化され、国内企業による調達・建設・技術供与等を通じ雇用と需要を生み出す点で、我が国経済の成長を後押しするとともに、円借款の原資となる資金は、日本銀行の信用創造による金融政策や市中銀行の信用創造により生み出される国内資金で賄われており、外貨準備を取り崩す必要がない。この特徴が、我が国の通貨安定に資してきた。

しかしながら、こうした「円建て・国内消化」という円借款の国益上の特性を裏づける制度的・統計的な説明は十分に整備されてこなかった。このため、前質問主意書で政府に明確な答弁を求めたが、政府の答弁は曖昧であった。

そこで、以下、改めて政府に質問する。

一 政府は、円借款案件の国内経済へ与える具体的波及効果を「定量的に把握することは困難」と答弁しているが、過去にJICAや財務省において国内企業を含む企業の受注状況や関連産業への波及効果を推計した例があった。

1 政府は、円借款がもたらす国内企業への受注額、雇用創出効果、関連サプライチェーンへの影響を現時点でどの程度把握しているのか。可能な限り、私を含む国民が分かるように、具体的数値を示して説明されたい。

2 1に対する答弁として、数値化は困難であると答えるのであれば、その理由を、どの部分が技術的・制度的に計測不可能なのか、明確に示されたい。

二 政府は、「円借款は国際協力の枠組みであり、国内経済への効果は主目的でない」旨答弁した。しかしながら、財投債発行で調達した資金を原資として実施されている以上、国内経済面への影響把握は円借款実施の前提条件と考える。

1 政府は、円借款事業に伴い国内に発生する経済効果について、政策評価の観点から、どのように位置づけているのか。

2 1について政策評価からの位置づけを行っていないのであれば、その理由を示されたい。

3 円借款供与に伴う日本円支出に必要な財投債の調達資金は、基本的に、日本銀行による金融政策や市中銀行の信用創造により生み出される国内資金で賄われていると認識するが、政府としてその実態をどのように認識しているか示されたい。

三 前質問主意書に対する政府答弁には、円借款を通じた日本企業の海外展開支援に関する言及はなかったが、円借款が慈善事業としてではなく我が国の外交政策として行われている以上、円借款の効果を具体的に把握することは必要であると考える。

1 日本企業の海外進出、技術移転、国際競争力強化への円借款の効果を、政府はどのように評価しているのか。政府の見解を示されたい。

2 これらを評価するために、KPI(重要業績評価指標)を設定し評価しているのであれば、その内容を示されたい。設定していないのであれば、その理由を示されたい。

四 円借款案件における国内企業の受注状況について、透明性を図るためのデータ公表は必要不可欠と考える。

1 案件ごとに、国内企業の参画状況、受注額、関連産業への波及情報を、政府が定期的に公表することが、当該案件の成功にもつながり、ひいては国益に適うと考えるが、政府の見解は如何か。

2 1について、政府の答弁が否定的である場合、その制度的要因を具体的に示されたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

円借款案件におけるお尋ねの「国内企業への受注額」及び受注した企業名の主なものについては、独立行政法人国際協力機構の統合報告書において具体的な数値を示して公表するなどの取組を行っている。加えて、令和六年の同報告書では、例えば、関連する数値として、令和五年度における円借款案件の調達先の企業の国籍について、日本が全体の三十五・八パーセントを占めている旨公表している。また、お尋ねの「雇用創出効果」については、円借款案件を受注した企業が必ずしもこれにより創出された雇用について公表していないため、政府として把握することは困難である。さらに、お尋ねの「関連サプライチェーンへの影響」については、その具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

二の1及び2について

御指摘の「政策評価」については、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)第九条第一号の規定及び行政機関が行う政策の評価に関する法律施行令(平成十三年政令第三百二十三号)第三条第五号の規定に基づき、個々の政府開発援助のうち、有償の供与による協力であり資金供与の額が百五十億円以上となることが見込まれるものの実施を目的とする政策について事前評価を行うこととされている。これに当たっては、「外務省における政策評価の基本計画」(令和五年三月八日策定)に基づき、「政策の目的が国際社会における日本国及び日本国民の利益の増進という観点から妥当か。行政関与の在り方から見て国がその企画立案及び実施の主体となる必要があるか」、「政策の実施により、期待される効果が得られるか、又は実際に得られているか」、「投入された資源量に見合った結果が得られるか、又は実際に得られているか、政策効果の発現のためにとられる手段は適切、効率的であるか」などの観点を基本としつつ、事前評価の対象となる政策の性質等に応じ、適切な観点を選択し、総合的に評価しているところである。

二の3について

御指摘の「財投債の調達資金」及び「日本銀行による金融政策や市中銀行の信用創造により生み出される国内資金」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、財政投融資特別会計国債(以下「財投債」という。)の発行については、現在全て円建てで行われているところ、財投債が購入される際の原資は、各購入主体によって異なるため、一概にお答えすることは困難である。

三について

お尋ねの「技術移転」及び「国際競争力強化」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、円借款を含む開発協力については、「開発協力大綱」(令和五年六月九日閣議決定)において、「開発協力とは「開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動」を指すもの」としていることから、お尋ねの「KPI(重要業績評価指標)」については、円借款案件による日本経済に対する特定の効果に関し「設定し評価して」いないが、円借款案件により結果として日本企業の海外展開といった日本経済の安定及び成長に資するものもあると認識している。

四について

お尋ねの「関連産業への波及情報」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「国内企業の参画状況、受注額」については、一についてで述べたとおり、受注した企業名の主なもの及び「国内企業への受注額」を定期的に公表している。その上で、円借款を含む政府開発援助については、「開発協力大綱」において「我が国及び世界にとって望ましい国際環境を創出し、信頼に基づく対外関係の維持・強化を図りつつ、我が国と国民の平和と安全を確保し、経済成長を通じて更なる繁栄を実現するといった我が国の国益の実現に貢献すること」を目的の一つとして掲げており、これを念頭に置きつつ実施してきている。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×3趣旨が明らかではない ×4

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

件名の語が重なる質問主意書

提出 2025年6月16日 杉村 慎治(立憲民主党・無所属) 答弁 2025年6月27日

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