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損害保険株式会社の責任準備金の性質及び帰属に関する質問主意書
衆議院 第26回 第3号
質問本文
衆議院議長 ※(注)谷秀次 殿
損害保険株式会社の責任準備金の性質及び帰属に関する質問主意書
一 責任準備金は、保険会社が保険契約上の責任を果すため収受した保険料のうちから積立てるものであり、保険理論上生命保険の場合には未経過保険料と保険料積立金とからなるが、損害保険の場合には未経過保険料のみからなるものとされている。
責任準備金に関しては、保険業法第八十八条の規定があり、保険会社はその積立を強制されているが、この責任準備金という用語は、商法第六百八十条第二項及び第六百八十二条に規定する「被保険者ノ為メニ積立テタル金額」並びに保険業法第三十二条及び第三十三条に規定する「被保険者ノ為二積立テタル金額」に相当するものであることは明らかである。
しこうして保険会社は保険契約の全部の移転を決議して会社を解散することもでき(保険業法第百八条及び第百十一条)、また保険会社が他の事由によつて解散した場合でも、保険契約の移転をなすことを認められているが(保険業法第百十九条)、これらの場合には、責任準備金に相当する財産の移転が行われることになつている。このことは、保険契約の移転が主務大臣の命令によつて行われる場合においても同様である(保険業法第百条、第百二十一条及び第百三十七条)。なお会社の解散に当り、保険契約の移転が行われない場合には、保険会社は未経過保険料を被保険者に払戻すこととされている(保険業法第百三十四条第二項)。以上の諸規定を総合勘案するときは、責任準備金は形式的には保険会社の所有に属するが、いわゆる株主勘定に属するものでなくして、被保険者勘定に属するものと認めるべきであるから、立法的にこの趣旨を明確化すべきものと考えるがどうか。
二 責任準備金は、損害保険の場合には未経過保険料のみからなるものとされている。
しかしながら損害保険の責任準備金中には、とくに異常災害の発生に備えるための過去から累積された異常危険準備金をも含んでいるので、責任準備金と未経過保険料とは必ずしも一致せず、むしろ前者が後者より多いのが通常である。
従つて、仮に会社がこのような現状において解散した場合には、保険業法第百三十四条第二項により未経過保険料を払戻しただけでは、なお責任準備金に残余を生ずることが予想される。しかし、本来責任準備金は被保険者勘定に属するものと認むべきであるから、この場合、その残余を残余財産として株主に分配させるべきではなく、これを被保険者に払戻すよう立法的に解決すべきではないか。何となれば、異常災害がないものと仮定すれば、ことに過去から累積された異常危険準備金を考慮に入れるときは、保険料は本来引下げらるべきであつたと認められるからである。
三 責任準備金の運用利益は、責任準備金の性質にかんがみ、一定範囲を限り、当然これを保険料引下げのための資源に充当すべきが至当と認めるが、この趣旨を立法をもつて明確化する意思がないか。
右質問する。
政府答弁書
一 責任準備金は、保険金支払のために積立てておくものであつて、勘定科目上も保険契約準備金として経理せられているが、立法的にこの趣旨を明確化すべき必要は特に認められない。
二イ、損害保険における責任準備金は、未経過保険料及び異常危険準備金より成つている。未経過保険料は、収入保険料中の未経過分を積み立てるものであり、異常危険準備金は、大火等の異常危険にそなえて、保険事業収支差額及びその他の利益の中から各期繰り入れるものである。
ロ、責任準備金が一に述べたように保険契約準備金であるということは、保険関係のための準備金であることを意味するものであつて、責任準備金に見合う財産について被保険者に直接に権利があることを意味するものではない。なお、損害保険の場合は、生命保険と異なり、原則として契約期間は一箇年の短期であり、その保険料は貯蓄的性格を持たないので、保険業法第三十二条及び第三十三条による先取特権及び優先弁済権も生命保険に限られ、損害保険の被保険者には認められていない。
ハ、損害保険会社が解散した場合の責任準備金の残額(責任準備金から保険業法及び保険約款の定めにより支払うべき保険金及び未経過保険料を差し引いた残額)は、長期的に想定された予定損害率とその実績として得られた損害率との差額のみならず、経費の節減、社外流出の抑制によつて異常危険準備金に繰り入れられた利益相当額、再保険による回収等経営努力によるものも少なくない。また、大火によつて異常危険準備金を上廻る保険金の支払いがあつたとすれば、逆に株主勘定はき損され、株主がその損失を負担しなければならないものである。これらの点を勘案すると、この残額は、被保険者に払い戻すというよりは、商法の一般原則通り一般債権者についで株主に帰属すべきものであると考える。
三 二に述べたように、責任準備金に見合う財産は直接的には被保険者のものとは言えないが、それが保険事業より発生した財産であることにかんがみ、この運用利益を保険料算定に加味することは考えられるところである。この点に関しては、責任準備金の累積度合を勘案しつつ、情勢に応じて弾力的に運用することとし、立法化によらず行政指導によることが適当であると思われる。
右答弁する。
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