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生命保険契約に関する質問主意書

衆議院 第24回 第7号

提出者
衆議院
提出日
1956年4月2日
内閣転送 1956年4月4日
答弁書受領日
1956年4月10日
提出から8日
答弁の項目数
0
質問 1,189字/答弁 965字

質問本文

衆議院議長 ※(注)谷秀次 殿

生命保険契約に関する質問主意書

生命保険は、およそその本質にかんがみ、本人の意志に基いて契約されるべきものであることはいうまでもないことと思う。しかるに今日、生命保険の現状を見るに、本人が自発的に契約を申込む場合は、きわめてき有なことであつて、ほとんどが勧誘によつて保険契約が成立している。

もつとも勧誘による場合といえども、本人の意志が中心になつて契約が行われる場合においては、なんら問題ではないが、往々にして勧誘が行き過ぎに陥る結果、本人の意志に反するのみならず、目的に相違した保険が行われ、誠に寒心すべき事例がはなはだ多い。

別記の例は、その極端な場合であるが、この事例を中心として、生命保険契約に関する政府の所見を伺いたい。

事 例

三井生命保険相互会社福知某なる勧誘員が生命保険を退職保険であると偽つて、岐阜県郡上蚕糸農業協同組合外十二の農業協同組合に対し、保険契約をなした。

これらの組合は、総額約百八十万円の掛金を払い込んだ後退職保険にあらざることを知り、解約を申込んだところ会社側は保険証書をたてにとり、規則一点張りの取扱いしか行わず、返還に応じない。勧誘員であつた福知某は(目下、刑事被告人として逃亡行方不明のため、全国指名手配されている。)一時刑事上の問題をひき起し警察の取調を受けた人物であり、現在はもちろん会社はやめてしまつている。

組合理事者は、勧誘員の言葉を信じて、保険を申込んだものであるが、会社側は、勧誘員がいかなる勧誘をしたかは、別問題であるとして、あくまで契約金の返還に応ぜず、目下訴訟となつている。

質 問

一 勧誘員とは、その所属する会社においていかなる地位のものか。また、勧誘員が虚偽の勧誘によつて保険契約をした場合会社はいかなる責任を取るか。会社側の主張によれば、勧誘員が時として「話法相異」をする場合があるというが、これは、一種の詐偽行為であると思うがどうか。

二 かくのごとき事故は、勧誘員の地位が不安定であり、余りの成績主義のため、契約高の向上のためには手段を選ばない結果に基因するものであつて、現況は、保険本来の目的を逸脱しているように思われるがどうか。政府は、この勧誘員の欠点について、いかなる考え方をもつているか。

勧誘員の資格をある程度規制する必要があると思うが、今後これを改善する意志ありや否や。意志ありとすれば、どのようにするつもりか。

三 政府は、事例の訴訟事件をいかに考えるか。この場合勧誘をした者は、明らかに不都合であると断定され、その契約は虚偽に基くものであるから、明白に無効であつて、当然掛金は返還さるべきはもちろん、かかる不当なる勧誘員をして勧誘せしめ、善良なる保険契約者に対し多大な迷惑をかけた点について、会社は責任を感ずべきと思うが、政府の見解はいかん。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一 生命保険募集人、いわゆる勧誘員には二種類あつて、第一は、会社の委託を受けてその所属保険会社のために生命保険契約の勧誘を行う者であり、第二は、会社の役員(代表権を有する者と監査役を除く。)又はその使用人で、会社から権限を受けて募集に従事する者であるが、いずれの場合でも、その保険会社のために生命保険契約の締結の媒介をなすものであり、契約の締結権は全く有しない。

次に、勧誘員が不正な募集行為をなすことを禁止するため、保険募集の取締に関する法律(昭和二十三年法律第百七十一号)は特別の規定を設け、例えば不実のことを告げた場合には、その者を一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処することとするとともに、保険会社において相当の注意をなした場合のほかは、原則として、所属保険会社をして、保険契約者に加えた損害を賠償する責に任ぜしめることとしている。この場合、通例、保険契約を解除し、保険会社は収入済保険料の返還を行つている。

「話法相異」といつても、問題は、勧誘の仕方が不正であつたかどうかという点にかかるのであるが、勧誘員が相手方を欺もうした事実があれば上記法律に違反するものと考えられる。

二 保険思想の普及のおくれているわが国の現状においては、生命保険事業には勧誘員制度が不可欠のものと考えるが、その社会的重要性にかんがみ登録制度を実施している。多数の勧誘員の中には勧誘員として不適当なものも出てくるので、常時大蔵省財務局・財務部において募集状況の適否についての検査を行い、会社側に対してはその素質の向上を機会あるごとに要望している。また、生命保険協会にある事故防止委員会には常に大蔵省の担当官を出席せしめ、保険会社の募集方法を正しい方向に持つて行くよう指導している。なお、勧誘員の地位を向上せしめるため、登録制度を止めて国家試験制度にすることの適否、あるいは現在会社ごとに行つている勧誘員の研修を更に有効適切ならしめるため合同研修機関を設置することの可否等について目下慎重に研究を進めている。

三 御質問の訴訟事件に係る保険契約が虚偽の話法に基くものであるかどうかについては、会社側は反対の意向を持つていることでもあり、目下訴訟が進行中であるので、政府としては、その結果をまつて適切な措置を講ずることといたしたい。

右答弁する。

衆議院の原文

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