Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 衆議院 第58回

政府の阿賀野川水銀中毒事件についての審議、協議に関する質問主意書

衆議院 第58回 第11号お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1

提出者
衆議院
提出日
1968年4月22日
内閣転送 1968年4月24日
答弁書受領日
1968年5月21日
提出から29日
答弁の項目数
0
質問 1,367字/答弁 3,316字

質問本文

衆議院議長 石井光次郎 殿

政府の阿賀野川水銀中毒事件についての審議、協議に関する質問主意書

阿賀野川水銀中毒事件について厚生省は、厚生省の特別研究班の結論をもとに食品衛生調査会の答申を得て、これを正式見解とした。

この厚生省の見解を受けた科学技術庁は、庁内あるいは関係省庁と審議、協議を重ね、三月八日の衆議院予算委員会において、科学技術庁長官は三月末日までに政府の見解を取りまとめる旨答弁をしているのである。にもかかわらず今日まで統一見解は出されていない。このことは国会審議をじゆうりんするもので許されるべきものではない。よつて、以下の事項について答弁されたい。

一 昭和四十二年四月十八日に発表された厚生省の三特別研究班の結論部分の全ぼうを明らかにされたい。

二 昭和四十二年八月三十日に出された食品衛生調査会の答申の全ぼうを明らかにされたい。

三 一の結論及び二の答申に基づいて行なわれた厚生省見解の全ぼうを明らかにされたい。

四 三の厚生省見解を受けた科学技術庁から意見を求められた農林省、経済企画庁、通産省の見解の全ぼうを明らかにされたい。

五 四の各省庁見解を受けた科学技術庁の審議、協議に当たつた者の氏名、職名とその内容について日時順に会合場所を含めて明らかにされたい。担当者以外の参加者並びに参考人の氏名、職名とその主張の内容を答弁されたい。

六 科学技術庁原案なるものが三月三十一日付の一部の新聞に流されているが、それを流した者の氏名、職名を伺いたい。

また、四月十三日外部に発表されているが、発表した者の氏名、職名とその原案の全ぼうを明らかにされたい。

七 それによると阿賀野川における散布農薬が影響しており、昭和電工鹿瀬工場の廃液であると断定できないとしているそうであるが、科学技術庁は、いかなる機関でいかなるメンバーによつて事実調査を行なつたのか答えられたい。

また、みずから事実調査も行なわず専門学者の学術的結論(新潟水銀中毒事件特別研究報告書)並びに食品衛生調査会の答申に対し、専門外の行政官がこれを否定し、わい曲することは、学問の冒とくであり許されるべきでないと思うが、どう考えるか見解を示されたい。

八 さらに、水俣病発病の経過が明らかでないとの見解もなされているが、わが国の専門学会のみならず国際的にも定説といわれている熊本大学医学部の論文集「水俣病」を否定するものであると考えるがどうか。否定するとすれば、どの部分がどのように否定されるのか詳細に答弁されたい。

九 科学技術庁担当官は、検体のメチル水銀の中に昭電鹿瀬工場廃液のメチル水銀がどれだけ含有されているのか明らかでないので断定は不可能であるとしている。また、さきに通産省の見解として刑法上の疑わしきは罰せずの原則により断定できないとのことであるが、刑事罰であつても疑わしきを罰した判例がある。従つて、食品衛生調査会の答申が支持されないことは納得できない。その理由を明らかにされたい。

十 公害は、明らかに社会的犯罪であり間接的殺人行為で企業が主たる犯人である。政府は、憲法第十三条を守る義務と責任を負わなければならないにもかかわらず、加害容疑者に対しその責任を問う意思があるのかどうか疑わざるをえない。その見解を答えられたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一 昭和四十二年四月十八日に発表された厚生省関係の研究班による調査研究の結論は、次のとおりである。

(一) 臨床研究班(水銀中毒の診断に関する研究)の結論

イ 今回の中毒事件は、低級アルキル水銀中毒によるものである。

ロ 患者の汚染は、阿賀野川の川魚の摂取によるものである。

(二) 試験研究班(水銀化合物による汚染様態に関する研究)の結論

毛髪および魚類中の総水銀量の多い検体並びに工場内アセトアルデヒド製造設備の一部から採取した検体について薄層クロマトグラフイおよびガスクロマトグラフイにより得られた知見はメチル水銀化合物のそれと一致した。

工場排水口附近で採取された水苔などの植物(泥を含む)検体についてガスクロマトグラフイにより得られた知見はメチル水銀化合物のそれと一致するものが多かつたが、これらを薄層クロマトグラフイによつてメチル水銀化合物を検索するためには検体量が十分でなかつた。

また、市販酢酸フエニル水銀に含まれるメチル水銀化合物の試験については検体を薄層クロマトグラフイで分析すると塩化メチル水銀のそれと一致する知見が得られた。しかし、それのガスクロマトグラフイによる分析では「注」に述べた理由によつて現段階では未だ明確な所見を得ていない。

以上の結果から考察する限りにおいては、毛髪、魚類および工場内検体には、メチル水銀化合物を含有していた公算が大である。

「注」今回の酢酸フエニル水銀試料(市販の化学用試薬および農薬原体)ガスクロマトグラフイで分析するとメチル水銀化合物のRt値に一致するピークを認めた。しかし多量の酢酸フエニル水銀中に含まれる微量のメチル水銀化合物をこの方法で分析することについては、なお慎重な検討を要する。なお、この酢酸フエニル水銀資料を薄層クロマトグラフイで分析すると、呈色反応とRf値が塩化メチル水銀に一致するスポツトを認めた。しかし、ここに検出されたものをメチル水銀化合物と確認し、これを定量するためには、なお数種の分析法を併用する必要がある。

(三) 疫学研究班(水銀中毒の疫学的調査研究)の結論

本事例は阿賀野川のメチル水銀化合物汚染をうけた川魚を多食して発生したメチル水銀中毒事例で第二の水俣病というべきである。

すなわちその汚染源は阿賀野川上流鹿瀬地区にある昭和電工鹿瀬工場で、汚染機序は、アセトアルデヒド製造工程中に副生されたメチル水銀化合物が工場排水によつて阿賀野川に流入し、アセトアルデヒドの生産量の年々の増加に比例してその汚染量も増し、それが阿賀野川の川魚の体内に蓄積され、その川魚を一部沿岸住民が補獲摂食を繰り返すことによつてメチル水銀化合物が人体内に移行蓄積し、その結果発症するに至つたものと診断する。

二 厚生大臣に対し昭和四十二年八月三十日に提出された食品衛生調査会の答申における見解は次のとおりである。

(一) 本水銀中毒事件の発生に関しては、昭和電工鹿瀬工場においてアセトアルデヒド生産高が増加するにつれてメチル水銀を含む水銀化合物の生成が漸増し、それが排水中に流出し、同工場下流の阿賀野川流域を長期、広域にわたり汚染し、それが直接あるいは食餌を介して川魚(特に低棲性のニゴイなど)に蓄積し、職業生活状態あるいは食習慣などにより、かかる川魚を常に多量に食する阿賀野川下流地域住民の体内水銀保有量が異常に高められたことが、基盤をなしているものと考えられる。

(二) (一)の状態のみでも、メチル水銀中毒患者発生の可能性があるが、昭和三十九年八月から四十年七月にわたり定型的な症状を示すメチル水銀中毒患者が多数発生した原因は、(一)の他にメチル水銀を含む水銀化合物が比較的急激かつ多量に患者の体内に蓄積されたことによるものであると考えられる。これらは魚の多食ということの他に魚体内のメチル水銀蓄積量が高められたということが重なつて発生したものと推定される。

(三) 水銀化合物の蓄積が急激に増加した原因を考察するに当つて昭和三十九年六月から四十年一月の間に発生した新潟地震、集中豪雨および昭和電工鹿瀬工場におけるアセトアルデヒド製造の操業停止前後における管理の状態などの事実について検討した。

新潟地震に際して新潟埠頭倉庫に保管中の農薬の阿賀野川への投棄あるいは流出農薬の塩水楔による阿賀野川への遡上をその原因とする説があるが各種の資料はこれを裏付けていないのみならずこれを否定している資料もある。

集中豪雨および操業停止前後における管理の不備による工場排水の河川汚染に対する影響については入手し得る資料の範囲においてその有無を推定することは現時点では困難である。

三 昭和四十二年八月三十日付けをもつて厚生大臣から科学技術庁長官に提出された厚生省見解は次のとおりである。

食品衛生調査会の答申は適当と思料され、厚生省としてとくにつけ加えるべき意見はない。

四(一) 昭和四十二年十月二十日付けをもつて農林大臣から科学技術庁長官に提出された農林省見解は次のとおりである。

厚生省の見解にとくにつけくわえるべき意見はない。

(二) 昭和四十二年十二月十五日付けをもつて経済企画庁長官から科学技術庁長官に提出された

経済企画庁見解は次のとおりである。

本件に関する食品衛生調査会の答申にとくに異論はない。

(三) 昭和四十二年十二月二十八日付けをもつて通商産業大臣から科学技術庁長官へ提出された通商産業省見解は次のとおりである。

イ 本事件の主要な問題点は、�@有機水銀による人体中毒の機序の一般的究明 �A阿賀野川流域における水銀中毒事件の加害者の究明 �B被害者の救済の三点である。

ロ 有機水銀による人体中毒の機序については、中毒の予防のためにも、加害者の究明のためにも、一層の研究が必要である。

ハ 阿賀野川流域における中毒事件の原因である有機水銀のソースについては、種々の説があるが、そのいずれについても資料が不十分と考えられる。

ニ 加害者の特定が困難な結果、被害者がいつまでも救いのない状態に放置されることは遺憾なことであるので、本件被害者の救済については、早急に何らかの措置が講ぜられることが望ましい。

五 本件については、高橋正春科学審議官を中心とし、主管課である研究調整局総合研究課担当官等をもつて構成する検討グループにおいて、随時長官官房とも意見調整を行ないつつ、検討にあたつた。

すなわち、本年一月中旬から三月中旬にかけて前記検討グループにおいて、本件に関する技術的見解のとりまとめのための基礎的作業として各種資料の検討を行ない、この間、厚生省担当官および食品衛生調査会委員等から研究班報告、厚生省見解等に関する説明を聴取した。以後検討グループにおいて問題点を整理し、これとともに庁内において研究調整局長および同局の総括課である調整課ならびに長官官房と連絡を保ちながら関係各省と意見の調整を行なつている。

庁内における検討のための会合回数は一月中旬から今日まで合計三十余回となつている。

六 科学技術庁としては、現在なお本件に関する技術的見解をとりまとめている段階であり、三月三十一日および四月十五日付け一部新聞の朝刊記事に関しては、その内容を発表し、また流した事実はない。

七 前記六で述べたとおり、本件に関する見解を発表した事実はない。また、科学技術庁としては、あくまで科学的立場から見解を鋭意とりまとめ中である。

八 科学技術庁としては、本件に関する見解を発表した事実はない。

九 本件に関し、そのような見解を発表した事実はない。

十 政府としては、ばい煙規制法、水質保全関係法等公害防止関係の規制法に基づき公害の防止に努力しているが、これらの法規にてらして企業に違法の状態があれば当然にそれらの法律に基づいて法律上の責任が追求されることとなる。

また、公害に係る被害の救済制度についてその確立を図るべく中央公害対策審議会においても検討中であるが、当面の措置として公害医療に係る所要の予算措置を講じているところである。

右答弁する。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

似た質問主意書

件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。

提出 1967年12月27日 小沢貞孝 答弁 1968年1月30日
衆議院 第58回 第1号
提出 1967年8月10日 小沢貞孝 答弁 1967年9月2日
衆議院 第56回 第3号
提出 1968年3月26日 小沢貞孝 答弁 1968年4月23日
衆議院 第58回 第8号
提出 1967年5月29日 石田宥全 答弁 1967年6月9日
衆議院 第55回 第4号
提出 1966年12月6日 石田宥全 答弁 1966年12月20日
衆議院 第53回 第1号
提出 1963年4月8日 渡辺惣蔵 答弁 1963年4月16日
衆議院 第43回 第3号
提出 2002年7月26日 長妻 昭(民主党・無所属クラブ) 答弁 2002年8月27日
衆議院 第154回 第160号
提出 1989年6月22日 上坂昇 答弁 1989年7月11日
衆議院 第114回 第35号

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる