ことばで探す › 衆議院 第61回
養鶏振興に関する質問主意書
衆議院 第61回 第6号
質問本文
衆議院議長 石井光次郎 殿
養鶏振興に関する質問主意書
政府の農産物の需要と生産の長期見通し(昭和四十三年十一月)によつても明らかなように、昭和五十二年度の鶏卵総需要量は、昭和四十一年度の一・八倍、約二百万トンと推定されている。しかも、貿易自由化のなかで卵価は過去十年間安定するなど生産性をあげてきた。特に、最近は、総合農政が唱えられるなかで養鶏は特に重要であると考えられるので、次の事項につき政府の見解を伺いたい。
(一) 鶏卵輸入抑制について
昨年度は、液卵のみでなく殼付卵さえ輸入され、専業養鶏農家を極度に不安ならしめている。輸入抑制のため次のことを実施すべきであると思うがどうか。
(イ) 液卵輸入は、昨年度は前年度の二倍の二万トンに達し、鶏卵生産量の一・五パーセントに上つた。マヨネーズ原料が三パーセントで、おうおうにして時期的ながら卵価を動揺させることを思えば、現在の一・五パーセントを微量として必ずしも軽視してよいとは限らない。極力輸入を抑制すべきである。
(ロ) また、特に、中国産鶏卵については厳に輸入を阻止すべきである。
(ハ) 国は、別項(二)の液卵施設を二箇所設けることとしたが、これを全国に普及して液卵産業を育てることにより液卵輸入の防止にも資することができるようにすべきである。
(二) 鶏卵出荷合理化施設の普及について
政府は、この施設を本年度モデル施設として全国二箇所設けることとしているが、この施設で格付け、包装、加工処理を行なえば、全国各地よりこの施設設置の要望がはげしくなることは必至である。よつて、次のように至急対策を講ずべきであると思うがどうか。
(イ) 都市、大消費地近郊のみでなく、地方養鶏地帯にもこれを普及させるためには、本年度政府で実施しようとする三十万羽、三千五百万円の施設では大規模すぎる。十万羽程度の養鶏団地にもあうようにし、全国各地に設置できるようにすべきである。
(ロ) 流通コストの上昇を防ぐため、補助金を大幅に増額して、各地の要望にこたえるとともに、都道府県も国と同額の補助を出すよう指導すべきである。
(ハ) また、この施設の施設者の自己資金には制度資金融資を講ずるとともに、政府の利子補給を行なうべきである。
(三) 制度資金貸付け限度額の引上げと担保条件の緩和について
生産性を向上するため、経営規模の拡大は至上命令である。
専業養鶏農家は安定経営を欲するならば、少なくとも二万羽飼育見当を目標とすべしという意見が増加しつつある(協業は構成員一人当たりが右に相当するとみる。)とすれば、一羽当たり施設費を一千五百円とみても二万羽は三千万円を要し、その他、敷地費、運転資金を見込めば、もちろん若干の自己資金を拠出するとしても資金の需要は激しい。
現行の貸付け限度は、個人対象として農業近代化資金二百万円(法人一千万円)、農林漁業金融公庫の豚鶏資金は、個人五百万円、法人一千万円が限度であり、時代の要請に適応できない。
そのうえ、農業近代化資金は、知事特認として個人五百万円まで認めているが、これが活用されていないのではないかと思うがどうか。
また、担保については評価が低いため、農家にはすでに担保切れのものが多く、改めて担保を要求されては、融資を拒否されたにひとしい。担保は融資対象物件に限り、あるいは農業信用基金制度をもつてこれを補充するにとどめることを原則とすべきである。
(四) 公害防止対策について
養鶏の糞尿処理に当たり、その脱臭方法についてはすでに埼玉県、長野県等において、土壌脱臭に成功している。脱臭装置が完備すれば養鶏のみでなく、養豚、酪農を含めて、畜産振興に資するところが大きい。
公害の解決が国の重要施策であり、かつ、総合農政のうえから畜産振興が唱えられるとき、政府は次の施策を講じ公害防止に積極的に取り組むべきであると思うがどうか。
(イ) 脱臭についての試験研究費を大幅に増額すべきである。
(ロ) 糞尿乾燥、脱臭施設が相当多額の設備費を要するため、卵生産原価えの影響が大きい。国の補助、融資等を行なうべきである。
(五) 税金の適正化について
養鶏経営について、税の適正化を求める要望が強い。次の各項について、それぞれ伺いたい。
(イ) 昭和四十三年度農業所得課税に当たり、養鶏一羽当たりの所得標準は大幅に増額された。
この所得標準の内容、特にその算出基礎を明示されたい。また、各国税局別に過去五年間における養鶏一羽当たりの所得標準一覧を提示されたい。
(ロ) 成鶏の減価償却は採卵用として、業務用に供する期間(耐用年数)を十八箇月としているが、実情に即し十二箇月とすべきである。
(ハ) 産卵能力、飼料効率の向上が外国雛の輸入によつて行なわれてきたが、国内でも数社によつて、国産品種の研究開発が行なわれている。この開発研究又は試験研究費は次の(a)と(b)による減免が行なわれるのみであるのか。
(a) 開発研究又は試験研究費は繰延資産として、その支出の効果のおよぶ期間を基礎として計算した金額の償却が認められる(法人税法第三十二条、政令第六十四条、第六十六条、第六十七条及び第百三十四条)
(b) 試験研究費の額が増加した場合の法人税額の特別控除制度(租税特別措置法第四十二条六)
また、現に国内で研究開発を行なつているものは、具体的に(a)・(b)が適用されたか否か。
なお、旧租税特別措置法第十二条・第四十四条など、この種の研究開発に適用するよう、改めて立法化すべきではないか。
(ニ) 鶏舎用地を農地でなく宅地とみる課税は行なうべきではない。不動産登記事務取扱手続準則第百三十条に宅地が定義され、同第百二十二条に建物の定義がなされている。
鶏舎は、ビニールで壁代わりにするところなどが多く、ここでいう建物とみなし、膨大な固定資産税、不動産取得税を課することは、養鶏経営に壊滅的打撃を与えている。これをやめて、鶏舎用地はあくまで農地としてみるべきである。
また、国民に重大な影響のあるこの種課税の基礎が単なる事務取扱手続準則のごときで規程することは重大な疑義があるがどうか。
右質問する。
政府答弁書
(一) 鶏卵輸入抑制について
(イ) 液卵の輸入は既に自由化されており、国際貿易の大勢上割当制度に戻すことは困難と考える。また、数量も国内需要量の数パーセントであるので、全体としては影響はないものと思われるが、卵価低迷時には価格回復を遅らせる要因となるおそれがあるので、輸入商社に対し節度ある輸入を行なうよう指導を行なつているところである。
(ロ) 国交未回復国である中国からの鶏卵輸入については、僅少な数量なので影響はないと考えている。
(ハ) 今年度設置を図る鶏卵出荷合理化施設はモデル施設として設置するものであり、その成果を見極めつつ普及を図つてまいりたい。
(二) 鶏卵出荷合理化施設の普及について
(イ) 本年度設置を図る鶏卵出荷合理化施設は、モデル施設として鶏卵流通の画期的合理化を図る拠点として設置するものであるから地方養鶏地帯に対する普及は、この施設の設置の成果を見極めつつ行なつてまいりたい。
(ロ) この施設はモデル施設であるから補助率も三分の一(通常は五分の一)に引上げており、また、設置場所については、都道府県もその設置を円滑ならしめるよう補助を行なうところを優先することといたしたい。
(ハ) この施設が共同利用施設として設置される場合には、当然制度金融としての農業近代化資金の対象となる。
(三) 制度資金貸付け限度額の引上げと担保条件の緩和について
生産性の高い養鶏経営の育成を図るため、農林漁業金融公庫の総合施設資金および豚鶏資金の融通のほか、農業近代化資金の融通を行ない、個々の農業経営の実態に応じた経営規模の拡大を推進しているところである。
今後、生産性の向上を図るため経営規模の拡大を推進することは大切なことであり、大規模な経営の育成が望まれることはもちろんである。現在の飼養農家の経営規模の実態等も考慮すると、当面家族労働力を主体とする経営の育成を重点的に推進する施策をとることが望ましく、現行の制度資金の貸付限度内で、これらの育成は図られるものと考えられる。
なお、担保の徴求については、極力その適正化、弾力化を図り、農業者に対する融資の円滑化を阻害しないよう努めているところであり、また、農業近代化資金の融資にともなう担保保証の徴求については、四十一年度における保証制度の改正の際、その趣旨にもとづき担保の徴求の緩和に努めるよう指導しているところである。
(四) 公害防止対策について
(イ) 鶏ふん乾燥機の脱臭装置については、農業機械化研究所をはじめ県の試験研究機関あるいは各企業においても開発が進められ、現在、水洗方式、再燃焼方式、土壌利用方式あるいは化学処理方式等による装置が用いられている。これらについてはそれぞれまだ問題があるものの年々改良が進んでおり、農林省としても問題の重要性にかんがみ積極的に推進する方向で検討いたしたい。
(ロ) 鶏ふん乾燥機の脱臭施設に対する融資措置としては、現在、農業近代化資金および農林漁業金融公庫豚鶏資金等により融資を行なつている。
鶏ふんの悪臭問題を含め畜産公害の問題は、今後の畜産振興上重要な問題であるところから養豚および酪農等の問題も含めて処理利用技術の開発ならびに経営体の移転等について総合的に早急に検討の上所要の措置を講じたい。
(五) 税金の適正化について
(イ)1 養鶏の所得標準は、地域により卵価、産卵量等に差があつてその内容は一律でなく、各地域の実情に応じてそれぞれ作成している。
概して四十三年分の所得標準は、四十二年分に比して増加しているが、これは卵価及び産卵率が上昇した反面、必要経費の七五パーセント程度を占めている飼料代が下落した結果によるものである。
(注) 農林省の統計資料によると次のとおりである。
(1) 産卵率の対前年比 一〇〇、九パーセント
(2) 卵価の対前年比 一〇四、七パーセント
(3) 飼料(配合)の対前年比 九八、七パーセント
(4) その他の経費の対前年比 一〇六パーセント程度(推計)
2 養鶏の所得標準は、多数飼育を行なうものに適用するものではなく、副業程度の飼育規模の場合を対象とするものであり、一般に、採卵および廃鶏処分による収入を収入金額とし、飼料代、衛生費、器具費、鶏舎等の減価償却費、廃鶏分の取得費(育成費を含む。)およびその他の経費を必要経費として成鶏の単位当たりの所得を算出したものである。
3 養鶏の所得標準は、必ずしも各国税局一本でなく、同一国税局においても地域別に細分されている場合が多い。
全国を通じて各地の所得標準(一羽当たり)の最低、最高を示せば次のとおりである。
最 低
最 高
四十三年
二〇〇円
三三〇円
四十二年
一七〇円
二五〇円
四十一年
二四〇円
三〇〇円
四十年
六〇円
一六〇円
三十九年
七〇円
三〇〇円
(ロ) 成鶏の減価償却の計算の基礎とする期間は、その地方における通常の採卵使用期間によることとしているが、その期間が明確でないときは専業養鶏業者の採卵期間を勘案して一応のメドを十八か月としているものである。
(ハ) 国産品種の研究開発のための支出については、税制上次の措置を講じている。
(a) 開発研究のために特別に支出した額について、繰延資産として任意償却を認めている(所得税法第五十条、所得税法施行令第百三十七条第一項第一号、法人税法第三十二条、法人税法施行令第六十四条)。
(b) 試験研究費の額が増加した場合について税額控除を認めている(租税特別措置法第十条の二、第四十二条の六、租税特別措置法施行令第五条の四、第二十七条の七)。
(c) 開発研究用減価償却資産について特別の耐用年数表を適用している(減価償却資産の耐用年数等に関する省令第二条、別表第九)。
なお、旧租税特別措置法第十二条及び第四十四条(開発研究機械等の特別償却)は、(b)の試験研究費の額が増加した場合の税額控除制度の創設に際し、その見合いで廃止されたものであるのでこれを復活することは適当でない。
(ニ) 固定資産税における田または畑の意義は、不動産登記事務取扱手続準則(昭和三十八年四月十五日付け民事甲第九百三十一号民事局長通達)における取扱いと同様、農耕地で用水を利用して耕作する土地または農耕地で用水を利用しないで耕作する土地をいうものであり、鶏舎用地は農地(田または畑)ではない。
鶏舎の用に供される土地の地目は、宅地もしくは雑種地であるが、固定資産税の評価については、そのいずれの地目であつても当該土地の評価が変るものではない。
右答弁する。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。