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清酒の生産、流通秩序の整備確立に関する質問主意書

衆議院 第61回 第9号

提出者
衆議院
提出日
1969年7月7日
内閣転送 1969年7月9日
答弁書受領日
1969年7月15日
提出から8日
答弁の項目数
0
質問 1,824字/答弁 1,909字

質問本文

衆議院議長 石井光次郎 殿

清酒の生産、流通秩序の整備確立に関する質問主意書

一 福島県の一清酒製造業者が消費生協を通じて消費者直売を行なつたことは周知の事実であるが、これは清酒の生産、流通秩序を乱す行き過ぎた行為であり、好ましくないと考える。かくのごとき極端な低価格で消費者に直売する方法が一般化するときは、過当競争を激発し、零細企業がほとんどである酒類小売業者及び清酒製造業者の経営に大きな影響を与え、ひいては酒税の確保にも支障を及ぼすこととなるので、これを放置すべきでないと考えるが、国税庁としてはこの問題に対して具体的にいかなる措置を講じたか、またこの問題の帰すうはどう落着したか、その経緯及び結果の詳細を明らかにせられたい。

二 現在及び近い将来における清酒の需給状況を推定すると、清酒はすでに供給不足から供給過剰に移り、このような供給過剰傾向は自主流通米の出現によつて一層加重されてくると考えられる。その結果、一般的には清酒の生産、流通秩序を破壊し、生産、流通業界に混乱を招来することとなると推測されるが、国税庁としてもこのような見解に立つのかどうか。また、このような状況に対して政府の対策は何か。

三 清酒製造業については、第一次近代化計画に引続き構造改善計画を基調とした第二次近代化五箇年計画を、また、酒類卸売業についても近代化五箇年計画をそれぞれ策定し、両業界の近代化を推進するということであるが、これらの対策を講ずれば、酒類小売業界においても混乱を未然に防ぎ、流通機構の末端を担当する小売業界が安定すると考えているのか。

酒類業界全体の近代化を図るためには、小売業界を含んだ生販三層の協調によることが必要であることにかんがみるときは、酒類小売業自体についてもその近代化を推進するよう、政府は積極的に指導を行なうべきであると考えるがどうか。

四 自主流通米の出現によつて、清酒製造業者は自己の希望する数量の原料米を入手できることとなるので、そのまま放置しておくと、生産過剰という米作側の事情もあり、清酒製造業者としてはこの際自己のシエアー拡大のチヤンスとばかり生産量を拡大するのが自然の勢いであると考えられ、かくては福島県の清酒製造業者が行なつたような販売方法が一般化するおそれが多分にある。そこで、国税庁としては早急に酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律に基づき、酒造業界が清酒の製造数量、販売方法等に関する効果的な自主規制を行ない、清酒の過剰生産となることを避けるとともに、取引の安定を図るよう指導すべきであると考えるがどうか。さらに、業界の自主規制によつても、なお業界が混乱するようなときには、同法の規制命令を発動する用意があるという態度なり、方針を明示することによつて、かような混乱を起こさせないのだという姿勢を政府は堅持していることをこの際明確にしておくことが必要であると思うがどうか。

五 清酒業界は、その大部分が中小企業者であるのが実態であるから、酒類行政としては、中小企業政策としての視点に立つてその方針を立て、かつ、実施すべきであると考える。およそ中小企業政策は、混乱が生じてからの事後対策では遅いのであり、すべからく事前の対策を講じなければ真の効果をあげ得ないのである。かかる観点から、清酒製造業者の消費者直売は、これによつて小売業界に混乱的影響を与えるような場合は、これを行政措置(勧告)をもつて制限すべきであると考えるがどうか。また、各業界の中央会ないし連合団体は、その業務として、混乱を事前に防止するため、消費者の利益を害さない限度において、製造数量、販売数量、販売方法及び価格について組合員に勧告を行ない得るようにすることが一つの方策と考えるがどうか。なお、以上の二点に関しては、要すれば立法措置を講じて、これを明確にしておくことが適当かと考えるがどうか。

六 現在、酒類については、建値制が行なわれているが、一部には多額の値引リベートが支払われている。このような多額の値引リベートは、業界内における過当競争を誘発する原因となるばかりでなく、消費者に還元されないため、物価安定政策の面からも好ましくないと考えられるので、適正な建値の設定により値引リベートの弊害を是正し、取引秩序の公正と安定を図るよう政府は強力に業界を指導し、これがため必要な具体的施策を講ずべきであると考えるがどうか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一、1 御指摘のあつた福島県の清酒製造者は、昭和四十三年十二月から神奈川県の横浜生活協同組合の組合員を対象として、一般よりかなり低い価格で清酒の消費者直売を開始し、その後販売地域、販売数量をある程度拡大して現在に至つている。

その間の経緯の詳細については、個別企業の問題でもあるので説明はさしひかえたいが、調査したところでは、当該製造者は、清酒の製造免許を受けた製造場において消費者から清酒の注文を受け、これを直接配達販売しているものであつて、酒税法その他の法令に違反する事実は、は握されていない。

2 しかし、このような特異な事情による低価格によつて、過当競争が誘発されると、中小企業がほとんどである清酒製造者および酒類販売業者の経営に重大な影響が生じ、ひいては、酒税の確保にも支障をきたすこととなる。国税庁としては関係業界に対し、これに追随して原価を無視した低価格による清酒の販売を行なうことのないよう指導しているところである。

なお、現在のところ他の製造者は静観しており、このような販売方法が一般化するおそれはないと認められる。

二、自主流通米制度の出現によつて、清酒の生産が一挙に自由化されると、生産過剰となり、販売競争の激化によつて清酒製造者等の経営を不健全にし、酒税の納付を困難にするおそれがある。このため、清酒製造業界では、今後五年間を目途とした酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律(以下「酒類業組合法」という。)第四十二条の規定に基づく清酒製造数量の自主規制と中小企業近代化促進法第五条の二の規定に基づく構造改善計画策定の準備を整えつつある。

政府としても、その方向にそつて検討中であり、右の施策が実施されて、十分な効果をあげた場合には、清酒の生産、流通の秩序が混乱する事態は生じないものと考えている。

なお、業界の自主的な措置によつても、その混乱が収拾できないような事態に至つたときは、酒類業組合法第八十四条第二項の規定により、大蔵大臣の規制命令を発動することとしたい。

三、清酒製造業および酒類卸売業の近代化計画の策定に当つては、それぞれの業界の近代化のみならず、酒類の生産、流通全体の近代化に役立つものとなるよう配慮しているので、これらの計画の進行によつて、小売業界の近代化も必然的に進むものと思われる。また、小売業界においても自主的に近代化、合理化を進めてきているところであり、政府としてもこの際、小売業界が関係業界に呼応して、さらに近代化、合理化を進め、業界の態勢整備と正常な取引環境の醸成に努めるよう指導する所存であるので、小売業界が混乱するような事態は、十分防止できるものと考えている。

四、自主流通米制度の出現による清酒製造業界の混乱に対処する措置については、二においてすでに述べたところであるが、このほか取引の安定を図るため、清酒については、現に取引条件の自主規制が実施されており、一定の範囲をこえて旅行等に招待し、また物品を贈与する等の行為を禁止し、過当な競争におちいることを防止するよう配慮されている。

五、1 清酒について消費者直売を行なつているのは、ほとんどが零細な製造者であり、通常の製造者の場合は、その販売については流通業界に依存する度合いが高いので、直売を行なうことは事実上困難と考えられる。さらに、小売業者が、その機能を十分に発揮し、消費者サービスに努めるのであれば、業界に混乱を与えるほど消費者直売の数量が増加するようなことは考えられない。

また、消費者直売を行なつている零細な清酒製造者について、行政措置ないしは立法措置を講ずることによつて、それを制限することは、かえつて小規模の清酒製造者を窮地におとしいれる結果となるので、適当とは考えられない。

2 かりに、消費者直売等により小売業界に混乱を与えるおそれのある場合には、酒類業組合法第四十二条、同法第八十四条の規定に基づいて、酒類の製造数量、販売数量等の自主規制および大蔵大臣の規制命令が実施できることとなつているので、必要な法的措置はすでに講じられている。

六、多数の酒類製造者の中にはその建値を実勢より高いところにおき、銘柄、品質の差を大幅な値引、リベートにより調整している者も少数ではあるが見受けられる。このような安易な販売方法には種々問題があるので、政府としては、過大な値引、リベートについては、これを販売価格に反映し、適正な建値とするよう業界に要請してきたところであり、消費者保護と取引秩序の維持安定のため、この点については、さらに強く関係業界を指導し、その実現に努力してまいりたい。

右答弁する。

衆議院の原文

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