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主食確保のための濁酒密造防止問題に関する質問主意書
衆議院 第6回 第58号
質問本文
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
主食確保のための濁酒密造防止問題に関する質問主意書
国民に対する主食の配給は、年々増加の傾向にあることは、まことに喜びに堪えないところである。しかしながら国民に満足を與え得るまで増配をするということは、まだまだ望み得ない現状であるのである。
ここに主食確保の上からみて、当然濁酒密造防止の問題を取り上げざるを得ない。今日連合軍の好意による輸入食糧によつて国民生活の安定を得ているとき、濁酒密造のためにつぶされる主食、即ち米の数量はけだしばく大なものであることは周知の事実である。
今年度における清酒の原料たる米の数量は僅かに四十三万石と聞いているが、濁酒の密造によつてつぶされる米の数量はその六倍乃至七倍、即ち二百五十万石乃至三百万石にのぼるではないかと思う。政府は、いかに声を大にして法律の取締を嚴重にしても、濁酒やかすとりが日に増し激増するのは何故であるか。
今日農村において米の価格と酒の価格よりみて一升六百四十五円の二級特価酒さえ農業経済上絶対農民は口にすることができないのである。まして一級特価酒九百三十五円においては米約三斗に値するのである。清酒においては米一升より一升四合、濁酒においては米一升より酒二升できると聞いている。政府は、濁酒密造に対して遠慮なく農民を罰金、体刑の嚴罰に処して顧りみないが、この農民の実情をいかに考えて居るか。
農村には春の田植時、秋の稻刈時には、いかにも少量ながら安価な酒が配給されるのであるが、米を作る農民には、劣等なる化学酒又は合成酒を與えて顧みない現状である。米を作る百姓には合成酒を與え、しからざる者は米でつくつた一級酒を口にするのは大なる矛盾ではないかと思う。
農民には労働基準法もなく、朝早くから夜おそくまでの過度の労働は、せめて一ぱいの酒が何よりの慰安なのである。また冠婚葬祭その他の行事に農民より、酒を奪うことは絶対にできない。濁酒を奪うならば、清酒を與えなければならない。かくの如く農村の実情を無視して守り得ざる法律の取締をいかに嚴重にしても、農村より濁酒を根絶せしむることは絶対に不可能である。果して大蔵、農林両当局は、この問題に対し主食確保の上よりいかなる政治的な考慮があるのであるか。
まず農民のために公的な加工の途を開いていただきたいと思う。即ち一定の供出量又は耕作反別に応じ、自家用酒として食糧公団に一定量の米を納付させ、切符の発行によつて清酒を配給する。米と酒の交換により農民へ安価なる酒を提供することである。
かくして農村より濁酒密造などという風習を追放して、濁酒につぶされるばく大なる米を消費者のために正式な配給ルートにのせることができる。わたくしは主食確保の上よりこの出来秋にこそ政府は緊急にその対策を講ずべきであると思う。
以上安価なる合成酒にあらざる清酒を合理的に農民に與うべき途を大蔵当局に、濁酒密造によつてつぶされる米をいかに確保すべきかを農林当局に、確たる答弁をのぞむ。
右質問する。
政府答弁書
農家の保有米が、濁酒密造のためつぶされることは、食糧需給上不合理なことは申すまでもない。
このような不合理な事態を防止するためには、酒類特に清酒じよう造石数の増加、酒類の価格の低下、密造酒の取締、農家の余剩米の供出の促進等一連の施策が総合的に有効適切に実施せられることが必要である。政府としては、超過供出については、目標数量の指示、特別価格の設定、報奬物資の特配等の措置を講じ、見るべき成績を挙げているのであるが(昭和二十四年九月一日現在における二十三年産米(雑穀を含む)の供出実績は、割当の一〇六%に達している。)、酒造石数の増加については、食糧の輸入を仰いでいる現在、国際的な問題として、種々困難もあるのであるが、これを増加するよう努力して参りたい。御指摘のような、農家に一定量の米を食糧公団に納付せしめ、切符の発行によつて清酒を配給する案は、配給価格のいかんによつては、濁酒の密造を防止する上に有効である場合もあるかと考えられるが、食糧管理法上その他実際の取扱上、種々難点も考えられるので、政府としては超過供出を多く確保し、これによつて、酒造石数を増加するという基本的な考え方をすすめて参りたい。
右答弁する。
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