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朝鮮の統一に関する再質問主意書

衆議院 第71回 第14号

提出者
衆議院
提出日
1973年7月21日
内閣転送 1973年7月23日
答弁書受領日
1973年7月27日
提出から6日
答弁の項目数
5
質問 1,664字/答弁 1,805字

質問本文

衆議院議長 前尾繁三郎 殿

朝鮮の統一に関する再質問主意書

七月七日付質問主意書に対する答弁書は、質問の内容が朝鮮統一の問題のみならず、アジアの平和に貢献する重要な問題を取り扱つているにもかかわらず質問の核心に触れていないのは遺憾である。

よつて、次の数項目に関し、重ねて政府の明確なる見解を伺いたい。

(一) 朝鮮統一問題

一の(2) 対朝鮮政策の基調に関して

朝鮮統一の問題は、朝鮮民族が自ら決定すべき問題であるという政府の民族自決の見解は当然である。かかる見解に立つて今後日本政府は、終始朝鮮民族の悲願である統一の実現のため、それにふさわしい国際環境をつくるよう努力すべきであると思うがどうか。

国連においても日本政府自らそのイニシアティブをとるかどうか明らかにされたい。

一の(3)イ 対朝鮮政策基調の転換に関して

日本政府は植民地支配の過去を有する国として、朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化につとめることを厳粛な課題として受けとめる責務があるばかりでなく、第二次大戦後生み出した国際的虚構体制に立脚した外交姿勢を転換し、朝鮮南北を対等に扱う方向に外交姿勢を是正することが必要であると思うがどうか。

また、そのことがアジアの平和と緊張緩和に大きく寄与するとともに、朝鮮の平和的統一の機運に好影響を与えるものである。この点についての政府の認識を問いたい。

一の(3)ロ 政府の消極的外交姿勢に関して

朝鮮民主主義人民共和国の国際的地位は、世界保健機関(WHO)加盟の実現にみられるごとく、日増しに高まり、そうした立場にある国と国交正常化をはかることは、当然なことであり、地理的に隣接する国としての責務でもある。

それにもかかわらず日本政府は、なぜ国交正常化に対し消極的態度を保持しているのか、説得力のある理由を示されたい。

一の(3)ハ 朝鮮南北に対する差別政策に関して

例えば、日本政府が推し進めている日韓経済協力に対し、これを受け入れている朝鮮南部の住民の中から「日本の経済侵略」への懸念が表明されているのみならず、朝鮮民主主義人民共和国もこれに対し、「朝鮮南部の侵略により南北統一を阻害しようとする策動である。」と非難している。

かかる朝鮮南北の声に対し、日本政府としては深く反省すべきであり、単に朝鮮民主主義人民共和国を敵視していない旨の答弁だけでは了承し得ない。

よつて、これに関し、明確な答弁を求める。

一の(5) 朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化に関して

去る六月十三日の外務委員会において政府は、「日韓基本関係条約第三条は将来日本と朝鮮北部との間において何らかの法的関係を設定することについて障害にならない。」との見解を示し、朝鮮南北とそれぞれ同時に法的関係をもつことは可能であることを表明している。

したがつて、南北統一への阻害要因とならぬ立場から朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化に踏み切つても時期尚早ではないと考える。政府は私に対する答弁でそれは時期尚早であると答えているが、この点に関しその理由を明示されたい。

(二) 国連における朝鮮問題

二の(2) 国連朝鮮統一復興委員会に関して

国連朝鮮統一復興委員会(UNCURK)が設置されて以来二十余年を経過し、特にここ一年の朝鮮南北をめぐる情勢が激変した今日、国連朝鮮統一復興委員会の存在理由が失われたと判断せざるを得ない。その存廃について政府はいかなる見解を有しているか明らかにされたい。

二の(3) 国連軍の全面的撤退に関して

政府が私に対する答弁において明らかにしたように朝鮮問題は朝鮮人民の自決にゆだねられるべき問題であり、かつ、そのことが国連憲章の精神にも合致するものと思料する。

しかるに、国連軍の名の下に朝鮮南部に米軍が依然として駐留していることは不当である。

よつて、この問題が今秋の国連総会の議題となつた際、朝鮮南部に駐留する国連軍の全面的撤退を求めるべきであると思うがどうか。

政府の明確な見解をききたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

(一)の一の(2)について

政府としては、これまで再三明らかにしてきたとおり、民族の悲願である統一の実現を目指して行われている現在の南北対話を阻害してはならないというのが基本的立場である。このような観点から政府としては、南北間の対話の基礎となつている現在のバランスを急激に崩す虞のあるような措置をとることを慎しむことこそ、南北対話進展のためにふさわしい国際環境を作つていくゆえんであると考えており、このような立場に立つて今後とも朝鮮半島政策を推進する方針である。

なお、今秋の国連総会における朝鮮問題の審議に際しても上述のような基本的立場を踏まえて対処したいと考えている。

(一)の一の(3)イについて

1 南北両朝鮮を対等に扱うべきか否かは、我が国の対外関係全般、南北対話への影響等諸般の要素を総合して判断すべきである。この意味で、我が国としてはあくまでも韓国との友好協力関係の維持発展が第一であり、現状においては北朝鮮との関係はおのずから限られた範囲のものたらざるをえないと考える。

2 御質問の後段の点については「アジアの平和と緊張緩和」及び「朝鮮半島の平和的統一」ということには南北両朝鮮の態度、両者間の関係、南北両朝鮮と諸外国との関係等様々な要素が関連しており、我が国が南北を対象に扱う方針を打ち出せばそれ自体アジアの平和と緊張緩和に寄与し、また朝鮮半島の平和的統一の機運に好影響を与えるとは限らないと考える。

(一)の一の(3)ロについて

政府としては、既に答弁書をもつてお答えしたとおり、現在の段階で北朝鮮承認を考慮するのは時期尚早であると考えているが、その理由を敷術すれば次のとおりである。

1 現在行われている南北対話は、南北間で保たれている微妙なバランスのうえに成り立つており、この南北対話が今後とも続けられ、実質的な成果をあげるためには、何よりもこのバランスに配慮する必要がある。我が国としては、この現在あるバランス関係に急激な変化を与えるような措置をとることは極力慎しむべきであり、南北間の自主的な話し合いの帰趨をあくまで尊重していくべきである。

2 前記1に関連して、我が国としては、ソ連、中国等の社会主義諸国の韓国に対する態度も考慮する必要がある。現在のところソ連、中国等社会主義諸国は韓国承認に向けて何らの動きも示していない。かかる点も我が国の北朝鮮との間の外交関係樹立について考慮せねばならないところである。

3 去る六月二十三日、韓国及び北朝鮮はそれぞれ統一及び国連加盟に関する提案を行つたが、南北の平和的共存、国連同時加盟を骨子とする韓国側提案と、国連同時加盟に反対し連邦国家をつくり単一国号で国連に加盟すべきだとする北朝鮮側提案との間にはかなりの立場の隔たりがあり、政府としては今後の事態の発展を更に見極める必要がある。

特に、北朝鮮はWHOのような既に韓国が加盟している国際機関に併行加盟し、また既に韓国と外交関係を有する国と外交関係を設定する等、事実上「二つの朝鮮」を作り出しつつある面もあり、これと今回の提案とを対比するとその真意が必ずしも明確でないので、これをよく見極める必要がある。

(一)の一の(3)ハについて

政府は、韓国が長期的に均衡のとれた健全な経済発展をとげ、真の繁栄と民生の安定がもたらされることが最も重要であるとの基本的認識の下に対韓経済協力を進めており、これを「日本の経済侵略」とするのは当たらない。

このような対韓経済協力は、もとより南北統一を阻害するものとは考えられず、韓国の繁栄と民生の安定に協力することが北朝鮮を敵視するものであるとの考え方は政府として理解し難いところである。

(一)の一の(5)について

(一)の一の(3)ロでお答えしたとおりである。

(二)の二の(2)及び(3)について

政府は今秋の国連総会において朝鮮問題は審議されることになるものと予想しているが、国連総会の開催は二ヵ月先のことであり、国連における本件をめぐる情勢も十分に固まつていないので、政府としては情勢の進展を見守りつつ、関係国と協議し、検討を重ねた上で、本問題に臨む具体的対処方針を固めてゆくこととしたい。

なお、UNCURKと国連軍の取扱いに関する政府の基本方針は、先般の質問主意書に対する答弁書の二の(2)及び(3)で述べたとおりである。

右答弁する。

衆議院の原文

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