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徴用によりサハリンに残留させられた朝鮮人の帰還問題に関する質問主意書

衆議院 第98回 第20号

提出者
衆議院
提出日
1983年4月23日
内閣転送 1983年4月30日
答弁書受領日
1983年5月13日
提出から20日
答弁の項目数
6
質問 924字/答弁 1,234字

質問本文

衆議院議長 福田 一 殿

徴用によりサハリンに残留させられた朝鮮人の帰還問題に関する質問主意書

終戦前日本国によつて徴用され、サハリンにおいて強制労働させられた旧日本国籍者のうち約七千名が、出身地である大韓民国に帰国を熱望しながら約四十年間も放置されたまま老齢期を迎えている。

これは人道上、道義的にも許されることでなく、重大な責任を我が国は負わなければならない問題である。

私は、昨年予算委員会において本問題を取り上げ、政府に対応を求めたが、いまだ何らの具体的解決をみていない。政府として人道的かつ戦後処理問題の解決を急ぐべきと考える立場から次の質問を行う。

一 本問題の解決は、我が国の過去の歴史的な過ちと反省の上に立つて対処すべきであり、我が国が負わなければならない責任であると同時に戦後処理問題の一環と思うが、政府の所見を問う。

二 昭和五十七年三月九日の衆議院予算委員会で私の質問に対し、鈴木総理は「ソ連とは機会あるごとに粘り強く交渉していきたい」と答弁されているが、現在までの日ソ交渉経過を具体的に日付をおつて説明されたい。

特に、本年四月十二日から二日間の日程で開催された第三回日ソ事務レベル協議において、日本側からどのような提示がなされ、ソ連側からどのような回答がなされたか、詳細に説明されたい。

三 同委員会において、日本赤十字社を通じて帰国促進を図るべきとの私の提案に対し、鈴木総理はこの趣旨を踏まえる旨の答弁をされたが、その後日本赤十字社とはどのような話し合いをなされたか、具体的経過を伺いたい。

四 同委員会において、総理府総務長官は戦後処理問題懇談会でこの問題を検討する趣旨の答弁をされたが、その後の経過を伺いたい。

五 サハリン在留の旧日本国籍者のうち大韓民国に帰国を希望する者から、これまでに出された我が国への入国申請件数及び入国許可件数、また、そのうち実際に入国した人数は何名か。

六 右に述べてきたサハリン在留者は高齢化し、その実態を正確に把握できていないのが現状である。政府の責任において速やかに実態調査を推進すべきであると思うがどうか。なお、その担当官庁はどこが主務官庁となるのか見解を伺いたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

御指摘の問題については、日本政府としても人道問題として真に同情を禁じ得ない。政府としてもこの問題に深い関心を有するものであり、これら樺太残留朝鮮人の帰国実現につき、できる限りのことはしたいと考えている。

二について

政府は、かねてからソ連政府に対し帰還希望者の実情調査を依頼する等の働きかけを行つており、昭和四十四年に韓国政府から提出された「引揚希望者名簿」を同年八月にソ連政府に渡し、同名簿に基づき出国希望者の実態調査及び出国希望者の存在が確認された場合の出国許可の可能性について検討を要請した。

その後、昭和四十八年十月に内閣総理大臣レベルで、昭和四十七年一月から昭和五十三年一月までの間に五回にわたり外務大臣レベルで、さらに事務当局レベルでは十数回にわたり、この問題を公式、非公式にソ連側に対し提起している。

最近では、昭和五十八年四月の日ソ事務レベル協議において日本側からこの問題を提起したのに対し、ソ連側は日本と話し合うべき問題ではないとの従来の立場を繰り返した。

三について

昭和五十七年二月に日本赤十字社を通じて赤十字国際委員会に本件についての協力を要請し、その後赤十字国際委員会からの照会に対し詳細な資料を提出している。

四について

(1) 昭和五十七年六月から、戦後処理問題をどのように考えるべきかを検討するため、民間有識者からなる戦後処理問題懇談会が開催されているが、検討の過程で懇談会が具体的にどのような問題を取り上げるかは、基本的には懇談会において決定されるべきであると考える。昭和五十七年三月九日の衆議院予算委員会における総理府総務長官答弁は、この旨を表明したものである。

(2) 同懇談会は、現在、いわゆる恩給欠格者問題、シベリア強制抑留者問題及び在外財産問題を中心に、関係各省から、これまでに講じてきた施策等についてヒアリングを進めているところである。

五について

昭和五十年以降これまでに樺太に残留する朝鮮人中百三十七世帯四百三十八人(うち韓国に帰還するため我が国を通過しようとする者百二十三世帯三百九十二人、我が国に定住しようとする者十四世帯四十六人)から入国許可申請があり、このうち百二十四世帯四百十一人(我が国を通過しようとする者百十五世帯三百七十六人、我が国に定住しようとする者九世帯三十五人)につきその入国申請を許可したが、そのほとんどの者がソ連から出国を認められていないため、実際に我が国に入国した者はこれらの者のうち三人(我が国を通過しようとする者一人、我が国に定住しようとする者二人)にすぎない。

六について

政府としては、現在、樺太が日本の管轄下にないため、我が国としてなし得ることにはおのずから限度があるが、政府は、外務省を主務官庁とし、従来からソ連政府に対し実態調査を行うよう申し入れていることは二についてにおいて述べたとおりであり、今後とも人道的見地からこうした努力を続けてまいりたい。

右答弁する。

衆議院の原文

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