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ソ連強制抑留者の補償に関する質問主意書
衆議院 第93回 第5号
質問本文
衆議院議長 福田 一 殿
ソ連強制抑留者の補償に関する質問主意書
政府は首題に関し、参議院議員二宮文造君の質問に対し、すぐる大戦における戦中戦後の犠牲については、多かれ少なかれ、国民等しく受忍しなければならなかつたところであり、国に補償する義務があるとは考えていない。しかし、特に一般国民とは違つて特別の措置を要するものについては、一連の措置を講じ、既に終わつたものと考えている、と答弁している。
しかし本件に関しては、私もソ連抑留者の一人として左記の理由により納得できない。これについては多くの抑留者はもとより、国民的世論の背景もあり、各党間においても前向きの対処がみられるところ、政治的にも法律的にも完結した事案と理解することはできない。
よつて次の点について政府の責任ある見解を受けたい。
一 終戦時の対ソ連関係をみるに、軍人、軍属以外の日本人の被つた損害は、大別して在外財産の喪失と強制労働に伴う諸損害と考えられる。前者については既に「引揚者等に対する特別給付金の支給」によつて一応の措置がみられたのであるが、これとの均衡上、強制労働被害者に対しても何等かの処遇をなすのが、憲法第十四条、平等の原則にかなうものと思料されるがどうか。
二 とりわけソ連抑留者の強制労働は、事実上の賠償責任の肩代りという実体をもつており、この点で一般国民とは異なる特別措置の対象となると考えられるがどうか。
三 ソ連抑留者は六十歳を超える年輩者が多く、これらの人々が寝食をさいて奔走されている等の現況よりみて、いたずらにこの問題の解決を遅延させることは心情的にも忍び難いものがある。政府はこの際英断をもつて実態調査費を計上して、可及的速やかに本問題の終結を見べきものと考えるがどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
先の大戦に関しては、戦中戦後を問わず、国民のすべてが、多かれ少なかれ、戦争による各種の犠牲を被つたところであるが、これらのいわゆる戦争犠牲については、国民の等しく受忍しなければならなかつたところである。
しかしながら、政府としては、恩給法、戦傷病者戦没者遺族等援護法、戦傷病者特別援護法、引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律等により、特に一般の国民とは違つて特別の措置を要するものについて必要な援護等の措置を講じているところであり、これら一連の措置をもつて、この種の問題に対する国の措置は終わつたものと考えている。
ソ連で強制労働に服せしめられた抑留者についても、これに起因して死亡した者の遺族及びこれに起因して障害を受けた者に対しては、恩給法、戦傷病者戦没者遺族等援護法、戦傷病者特別援護法により種々の給付を行うなどできる限りの援護等の措置を講じているところである。
二について
ソ連抑留者の強制労働によりソ連が利益を得たという事実があつたとしても、法的にこれが賠償の一形態であるとは考えておらず、また、一についてで述べたとおり、先の大戦による各種の犠牲については、国民の等しく受忍しなければならなかつたところであり、ソ連抑留者の強制労働について特別の措置を講ずることは考えていない。
三について
一についてで述べたとおり、この種の問題に対する国の措置は終わつたものと考えており、実態調査の経費を予算に計上することは考えていない。
右答弁する。
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