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戦後ソ連強制抑留者の処遇改善に関する質問
参議院 第95回 第6号
質問本文
戦後ソ連強制抑留者の処遇改善に関する質問主意書
政府は、引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律(昭和四十二年法律第百十四号)の制定をもつて、戦後処理問題に一応の終止符を打つことを得たとの見解に立つているように見受けられる。しかし、その後における戦後ソ連強制抑留者の補償推進運動による国民的盛り上がりにみられるごとく、本問題は、今日なお解決をみていない法律的、政治的問題であるので、次の諸点について政府の明確な答弁を承りたい。
一 第二次世界大戦終結に際し、降伏をした日本軍将兵に対するソ連の長期抑留と強制労働は、ポツダム宣言及び国際法の原則に反したものであるとの、従来の政府の見解は間違いないか。
二 日本政府は、降伏に際して、マッカーサー連合軍最高司令官の権限及び命令が、ソ連軍の上に及ぶことの確認をしたうえで、対ソ降伏交渉を行つたのかどうか。
三 捕虜に対する人道的処遇の義務を抑留国に課し、送還後の捕虜の補償請求権を母国に属するものとした慣行は、第二次大戦前後にかけて、世界の文明諸国において定着し確立された制度であつて、わが国が、昭和二十八年に批准した千九百四十九年のジュネーヴ条約によつても確認されたものである。
ソ連によるシベリア強制抑留者には、右の慣行が該当し、かつ、ジュネーヴ条約は、現憲法第九十八条第二項が適用されるべきものと解されるがどうか。
四 前項に指摘したごとく、ソ連強制抑留者の被害の原因と態様及びそれに対するわが国政府の補償否定の法的根拠については、疑義があり、これまでの政府答弁をもつてしては、問題が解消したとはいい難いものがある。
したがつて、政府は、この疑義について所要の調査費を計上し、速やかに事情を解明のうえ、補償措置を講ずべきものと思われるがどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
政府が従来から述べているとおり、ソ連による日本人捕虜の不当な抑留は、「日本国軍隊ハ完全ニ武装ヲ解除セラレタル後各自ノ家庭ニ復帰シ平和的且生産的ノ生活ヲ営ムノ機会ヲ得シメラルベシ」とするポツダム宣言第九項に違反し、また、日本人捕虜に対する非人道的な取扱いは、国際法に違反したものであつたと考える。
二について
我が国が、ポツダム宣言を受諾し、降伏文書に署名した過程で、ダグラス・マックアーサー連合国最高司令官のソ連軍に対する権限等につき確認を行つたかどうかは明らかでない。
三について
抑留国が捕虜を人道的に待遇しなければならないということは、第二次大戦当時既に慣習国際法として確立していたと考えられ、捕虜の待遇に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約第十三条もこれを確認している。しかし、御指摘のような「送還後の捕虜の補償請求権を母国に属するものとした」慣習国際法が存在したことはない。
なお、同条約は、憲法第九十八条第二項にいう日本国が締結した条約に該当する。
四について
先の大戦に関しては、戦中戦後を問わず、国民のすべてが、多かれ少なかれ、戦争による各種の犠牲を被つているが、これらのいわゆる戦争犠牲については、国民のひとしく受忍しなければならなかつたところであり、国に補償する義務があるとは考えていない。
しかしながら、政府としては、恩給法、戦傷病者戦没者遺族等援護法、戦傷病者特別援護法、引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律等により、特に一般の国民とは違つて特別の措置を要する者について必要な援護等の措置を講じているところであり、これら一連の措置をもつて、この種の問題に対する国の措置は終わつたものと考えている。
ソ連強制抑留者についても、抑留に起因して死亡した者の遺族及び抑留に起因して障害を受けた者に対しては、恩給法、戦傷病者戦没者遺族等援護法、戦傷病者特別援護法により種々の給付を行うなどできる限りの援護等の措置を講じているところである。
したがつて、ソ連強制抑留者に関して新たな措置を講ずることは考えていない。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。