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養鶏経営安定に関する再質問主意書
衆議院 第71回 第19号検討してまいりたい ×2
質問本文
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
養鶏経営安定に関する再質問主意書
私の先の質問に対する答弁書は、その内容が一部不明確で抽象的であるので、次の事項につき重ねて政府の見解を伺いたい。
一 政府は、昭和四十八年十月以降、配合飼料価格安定基金に新たに特別積立金を設け、畜産農家に対し、トン当たり平均三、〇〇〇円の補てんを行うとしているが、補てんの時期までに積立金が平均トン当たり三、〇〇〇円を補てんするに十分な額に達しない場合においても確実に補てんするのかどうか見解を伺いたい。
二 国内における飼料自給度の向上を図るため、草地開発事業等を推進する一方、稲作からの飼料作物への転換の促進を図つているとのことであるが、これらについてどれだけ実績があるのか具体的に示されたい。
また、前回質問の生産振興奨励金の交付実施希望の件については答弁がないので再度それを伺いたい。
三 鶏卵生産出荷調整会議の方針に基づき、生産と出荷の調整を行うのを原則としているが、大規模商社養鶏については協力が得られず、各都道府県段階での生産調整や各種指導が非常に困難で、むしろ増羽の傾向にさえある。
そしてこのことは中小経営を圧迫し、大規模商社経営が益々拡大するという結果になる。各地方自治体では生産調整により、各種制度融資の貸付けが極めて窮屈になり、中小養鶏農家の経営が一段と苦しくなりつつあるなど調整の効果が大であるのだから、調整の困難な大規模な商社養鶏の生産については新規増羽を規制するなど、強力な措置が必要と思う。これに対し国は具体的にどのような生産調整政策を進めようとしているかを明らかにされたい。
四 飼料価格の値上がりに対し政府が補てんを行うことに決定したことは一歩前進と認められるが、その額が少ないことと、人件費その他の諸物価の値上がりをも考慮すると鶏卵安定基金の補てん基準価格が六月の引上げ後でなおキログラム当たり一七三円とされているのは、現状とかけ離れ安すぎる。
しかも、液卵公社の買上げ基準価格も一七三円と報じられていることから推察すると、生産者の経営安定よりも基金の財政安定に主眼をおいているのではないかと疑わざるを得ない。
飼料値上がり分の全額補てんが望めない現状から、鶏卵安定基金の補てん基準価格をそれに見合うよう大幅な改訂を速やかに行うべきだと思うがどうか。
五 答弁書によれば、転廃業してゆく養鶏農家に対する見解として「零細経営を中心に戸数減少が続いていることもあつて」と転廃業を認めながらも、「必ずしも明らかでなく」と表現しているのは零細養鶏農家に対する実態把握が不充分であるのみならず、転廃業を促進しようとするのか、現況を維持させようとしているのかさえ明確でない。これについて政府の見解を伺いたい。
なお、前回六の質問ではこれら現実に転廃業を余儀なくされている養鶏農家に対して国として、転廃業資金を長期間低利で融資する等の措置を講ずべきだとしたが、それに対するなんら回答がなかつたので、長期間とは三十年ぐらいであると解釈の上再度政府の見解を伺いたい。
六 政府としては、今回の配合飼料価格の値上がりの畜産経営に及ぼす影響を緩和するため、畜産農家が購入する配合飼料費の一部につき低利資金の融資措置を購ずるとしているが、これは畜産経営特別資金の融資を指すと解される。この資金は六ヵ月据置、二年償還、年利四分で飼料トン当たり七、〇〇〇円の範囲内で生産農家に貸し出し、飼料値上がり分の繰延べ払いが可能になるよう配慮しているごとく見えるが、貸出しを直接生産者に行い金利まで負担させることは、従来の実情から推察すると生産者の経営を圧迫し、小規模生産農家を転廃業に追いこみ、消費者にまで悪影響を与える結果になることは明らかである。
更に前回の貸出し率が六〇パーセント前後であつた理由から考えても、本資金をすべての養鶏生産者が公平にその恩恵に浴することができるよう飼料メーカーに融資し、値上がりを繰延べさせ、生産者並びに消費者への影響を最小限にくいとめる努力と指導をすべきだと思うがどうか。
七 卵価安定のための安定基金への積立ては、加入生産者がキログラム当たり一円、契約会員で二六銭を行つているが、近年の低卵価のため、両基金とも充分の補てん財源を保有しているとは考えられない。
政府は現在の基金積立加入率が三〇パーセント弱の低率である原因が奈辺にあるかを究明し、大規模養鶏商社等を含めての加入促進を図るとともに、国も安定基金に一円程度の積立協力を行い、生産者・消費者対策の両面から積極的な助成措置を講ずべきだと思うがどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
昭和四十八年十月以降、配合飼料価格安定基金は、新たに特別積立基金を設け、畜産農家に対して、昭和四十八年十月から昭和四十九年三月までトン当たり平均三千円の補てんを行うこととしている。
また、補てんの時期までの積立金ではなお不足する場合においても、補てん金の交付は確実に行われることとなつており、この不足額については、国において別途検討のうえ措置することとして、現在その措置の内容について検討しているところである。
二について
昭和四十六年度末までの草地造成改良面積の累計は約三〇八千ヘクタール、稲作転換による飼料作物の作付実績は、昭和四十七年度において約六七千ヘクタールとなつている。
また、飼料作物に対する生産奨励金については、昭和四十九年度予算編成の段階で検討してまいりたい。
三について
鶏卵については、近年生産が著しく伸びたのに対し、その消費についてみると、今や世界の最高水準となり、伸び悩んでいる状況にある。
このような状況の下において、鶏卵の価格の安定を図るためには、需要に見合つた計画的な生産を行うことが必要であるので、毎年度、鶏卵の需要見通しを公表し、この数量の範囲内に各都道府県の生産目標数量が入るよう、鶏卵の生産調整を行つているところである。
また、鶏卵の生産調整を効果あらしむるため、採卵鶏に関する補助事業や制度資金の融通等に当たつてはこれら生産目標数量との関連を考慮し、慎重な取扱いを行つているところであるが、商社養鶏等主として自己資金により進出するものについては、早期に実態は握に努めることとし、これら商社養鶏等の進出によりあらかじめ定められた生産目標数量をこえるような場合には、国、都道府県をあげて、関係者に対し、行政指導を行う所存である。
四について
鶏卵価格安定基金の補てん基準価格については、年初来の飼料価格の値上がりによる生産費の上昇等を考慮して、本年六月にキログラム当たり一六三円から一七三円に一〇円の引上げが行われたところであるが、更にこれを引き上げることについては、鶏卵価格が、現在、キログラム当たり二八〇円前後と前年を大幅に上回つており、今後年末にかけて、強含みで推移し、季節的にみて最も高い水準になると考えられることもあり、本年秋以降、昭和四十九年一月以降の補てん基準価格が検討されることとなつているので、その際、九月以降の飼料価格の値上がりも考慮されるべきものと考えている。
五について
採卵養鶏農家は、比較的飼料価格が安定的に推移していた昭和四十年から昭和四十七年の間においても三、二四三千戸から一、〇五八千戸に減少している。
これは一方では、大規模化を指向する飼養農家が増加している反面、これを上回つて、小規模階層を中心とした減少が著しいことによるものであるが、このことは、就業機会の拡大等、社会的経済的諸条件の変化に対応して、養鶏農家が規模拡大と、離脱を選択したためと考えられる。
このような最近の動向をみた場合小規模階層の減少と配合飼料価格の値上がりの間の直接的関連は、現状においては必ずしも明らかでなく、当面転廃業資金を融通することは考えていない。
なお、当面配合飼料価格の値上がりの畜産経営に及ぼす影響を緩和するための措置を講ずることとしているところである。
六について
本年春の飼料緊急対策においては、飼料値上げを直接的に軽減する措置として、先ず古々米の安値飼料用放出や麦の配合飼料仕向け量の増加、配合飼料価格安定基金からの補てん等について措置してきたところである。
一方、以上の措置をもつてしてもなお畜産経営の負担増となる配合飼料価格の値上がり分について、畜産経営に与える影響を緩和するとともに畜産物価格の異常変動を緩和するため畜産経営特別資金の融通を行つてきたところであり、この融資が経営を圧迫し、消費者に悪影響を与えるとは考えていない。
また、メーカー融資による値上げ分の繰延べの可能性については、その実効の確保等について困難な問題が多いところから畜産農家に対する特別資金の融通措置をとることとしたものである。
七について
鶏卵については、鶏卵価格が異常に低落し、補てん基準価格を下回つた場合に、鶏卵価格安定基金がその差額を補てんする事業を行つているが、昨年以降、卵価の低落が少なかつたこともあつて全農系及び専門農協系の両基金とも財政的には、ある程度余裕がある状況にある。
政府としては、鶏卵の生産調整の徹底を図る観点から、採卵鶏に関する補助及び融資については、受益対象者を原則として、両基金のうちいずれかの加入者に限つてこれらを行うこととする等により、両基金への加入を促進しているところである。
また、国が補てん積立金に対して助成を行うことについては、鶏卵の生産調整を実施中であり、かつ、これを有効に進めるうえで問題であるので、困難と考えている。
右答弁する。
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