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新東京国際空港公団が再度犯した消防法違反等に関する質問主意書

衆議院 第78回 第11号

提出者
衆議院
提出日
1976年10月29日
内閣転送 1976年10月30日
答弁書受領日
1976年11月26日
提出から28日
答弁の項目数
5
質問 5,052字/答弁 2,698字

質問本文

衆議院議長 前尾繁三郎 殿

新東京国際空港公団が再度犯した消防法違反等に関する質問主意書

成田新空港・千葉港頭間の航空燃料輸送パイプライン(以下「本格パイプライン」という)の埋設に失敗した新東京国際空港公団(以下「公団」という)は、航空燃料暫定輸送計画の一環と称し、成田市土屋・新空港間にパイプライン(以下「暫定パイプライン」という)の埋設を沿線住民の反対を押し切り強行した。沿線住民の反対は公団が設置するパイプラインの安全性そのものに対する素ぼくな危ぐの念から発したものであつたが、過日消防法による移送取扱所をして設置許可を受けた北海道電力伊達発電所と室蘭市とを結ぶパイプライン(以下「伊達火力パイプライン」という)施設と比較し、暫定パイプラインの保安施設に欠陥があることが明らかとなつた。

以下、公団のもつパイプライン技術の安全性に係る諸点につき、政府の見解を質したい。

一 公団の敷設するパイプラインの安全性に対し沿線住民のもつ素ぼくな危ぐの念の正当性について、運輸省及び公団はどのような認識をもつてき、かつ現在もつているか。

(1) 運輸省のもつ認識の内容及びその変遷

(2) 公団のもつ認識の内容及びその変遷

(3) (1)及び(2)が同一であるとする場合、公団が千葉市により相手にされず(当事者能力を失い)、運輸省ならば相手にされるとする運輸省側の理由及び根拠

(4) 右について公団側の理由及び根拠

二 伊達火力パイプラインの設置許可申請書によれば、移送取扱所構造設備明細書で危険物除去装置の必要性が示され、かつ設置が予定されている。そして添付資料では危険物除去のための設備は、配管に漏えいが生じた場合、管内の石油を水で置換し、被害の拡大防止及び補修作業を容易ならしめるものとして、発ターミナル送油ポンプよりスフェアーを介して水を注入し、管内の石油を着ターミナルヘパージする方式(以下「方式1」という)に加えて、当該区間のみを除去するため、各緊急しや断弁の前後に設置されるボール弁にホースを接続し、タンクローリーに石油を移送する方式(以下「方式2」という)をもつものと説明されている。

伊達火力パイプラインの危険物除去装置は、方式1及び2により危険物の規則に関する規則(以下「危険物規則」という)第二十八条の三十四の要件を「必要にして十分に」に充足することになるのかにつき、自治省消防庁の見解を根拠・理由を添えて明示されたい。

三 高圧ガス取締法に基づき通産三八(昭和五十年四月二十五日付)として制定されたコンビナート等保安規則(以下「コンビナート規則」という)第四十五条では内容物除去装置について、「導管には、相隣接する緊急しや断装置の区間ごとに当該導管内の高圧ガスを移送し、不活性ガス等により置換することができる措置を講じなければならない」と規定されているが、次により通産省の見解を根拠を付して具体的に明示されたい。

(1) いわば方式2に相当するが如く、相隣接する各緊急しや断装置の区間ごとにそれぞれ独立に高圧ガス(内容物)が置換される必要があるとする保安対策上の理由

(2) いわば方式1に相当するが如く、緊急しや断装置の存在を無視して導管全体の内容物が一体のものとして置換されるような方式、この方式だけでは内容物除去装置として容認されないとする保安対策上の理由

(3) 不活性ガスとは具体的に何を指すか。

(4) 不活性ガス等の「等」には何が含まれているか。「等」に共通する物性及び対応する物質の具体例

(5) 緊急しや断装置(コンビナート規則第四十四条)の設置目的及び機能

(6) 右の装置の設置を必要とする保安対策上の理由及び設置の効果

(7) 相隣接する緊急しや断装置の区間は保安対策上可能な限り短い程危険性が低下すると思料されるが、この区間の許容される最長距離を決定する保安対策上の要因

(8) 右の最長距離が緊急しや断装置の設置の効果に及ぼす右要因ごとの影響

四 石油パイプライン事業法(以下「事業法」という)に基づき制定された石油パイプライン事業の事業用施設の技術上の基準を定める省令(以下「技術基準省令」という)第三十四条では、石油除去措置について、「導管には、告示で定めるところにより当該導管内の石油を除去する措置を講じなけれぼならない」と規定し、石油パイプライン事業の事業用施設の技術上の基準の細目を定める告示(以下「技術基準告示」という)第四十六条では、石油を除去するための措置として「省令第三十四条の規定により、導管には、相隣接した2の緊急しや断弁の区間の石油を安全に水又は不燃性の気体に置換することができる措置を講じなければならない」と規定されているが、次により通産省の見解を根拠を付して具体的に明示されたい。

(1) いわば方式2に相当するが如く、相隣接する各緊急しや断弁の区間ごとにそれぞれ独立に石油が置換される必要があるとする保安対策上の理由

(2) いわば方式1に相当するが如く緊急しや断弁の存在を無視して導管全体の内容物(石油)が一体のものとして例えばピグ取扱い装置の転用により置換されるような方式、この方式だけでは石油除去措置としては容認されないとする保安対策上の理由

(3) ピグ取扱い装置(技術基準省令第五十四条)は何故保安設備等(技術基準省令第三章)として分類されなかつたのか。

(4) 不燃性の気体とは具体的に何を指すのか。

(5) 緊急しや断弁(技術基準省令第三十三条)の設置目的及び機能

(6) 右の弁の設置を必要とする保安対策上の理由及び設置の効果

(7) 相隣接する緊急しや断弁の区間は、保安対策上可能な限り短い程、危険性が低下すると思料されるが、この区間の許容される最長距離を決定する保安対策上の要因

(8) 右の最長距離が緊急しや断弁の設置の効果に及ぼす右要因ごとの影響

(9) コンビナート規則第四十五条の内容物除去装置と技術基準省令第三十四条の石油除去措置とは保安対策上どちらが有効であるか。

五 消防法令に基づき制定された危険物規則第二十八条の三十四では、危険物除去措置について、「配管には、告示で定めるところにより当該配管内の危険物を除去するための措置を講じなければならない」と規定し、自治九九(昭和四十九年五月一日付)(以下「危険物告示」という)第四十九条では、危険物を除去するための措置として、「規則第二十八条の三十四の規定により、配管には、相隣接した2の緊急しや断弁の区間の危険物を安全に水又は不燃性の気体に置換することができる措置を講じなければならない」と規定しているが、次により自治省消防庁の見解を根拠を付して具体的に明示されたい。

(1) いわば方式1に相当するが如く、緊急しや断弁の存在を無視して、配管全体の内容物(危険物)が一体のものとして、例えば、ピグ取扱い装置(危険物規則第二十八条の四十八)の転用により置換される必要があるとする保安対策上の理由

(2) (1)だけでは危険物除去措置としては保安対策上不完全であつて、いわば方式2に相当するが如く、相隣接する各緊急しや断弁の区間ごとにそれぞれ独立に危険物が置換される必要があるとする保安対策上の理由

(3) 不燃性気体とは具体的に何を指すか。

(4) 緊急しや断弁(危険物規則第二十八条の三十三)の設置目的及び機能

(5) 右の弁の設置を必要とする保安対策上の理由及び設置の効果

(6) 相隣接する緊急しや断弁の区間は、保安対策上可能な限り短い程配管の異常の影響が短い区間に封じ込められ、危険性が低下すると思料されるが、この区間の許容される最長距離を決定する保安対策上の要因

(7) 右の最長距離が緊急しや断弁の設置の効果に及ぼす右要因ごとの影響

(8) 配管に異常事態が発生し、又はその発生が予測され、緊急しや断弁が閉じられたあと、異常事態から回復する補修作業のため配管内の危険物が除去されるべき手順について、次の場合に分類して

(イ) 配管の一部が切断した場合

(ロ) 配管の一部からの応急処置不能の漏えいの場合

(ハ) 配管の一部からの応急処置可能な漏えいの場合

(ニ) 緊急しや断弁に異常が生じ開かなくなつた場合

(9) 技術基準省令と移送取扱所に関する危険物規則、また技術基準告示と危険物告示とはそれぞれどのような関係にあるか。

(10) 右の関係を規定する法令上の根拠

六 相隣接した緊急しや断弁の区間ごとにそれぞれ独立に危険物が安全に水又は不燃性の気体に置換することができないような「危険物除去措置」しか講じられていない移送取扱所について、次により根拠・理由を付して自治省消防庁の見解を明示されたい。

(1) 右移送取扱所は、消防法第十二条一項にいう技術上の基準維持義務に違反することになるのではないのか。

(2) 右において、移送取扱所を消防法第十条四項の技術上の基準(危険物の規制に関する政令第十八条の二の一項)に適合させるためには、消防法第十一条一項後段の規定による変更手続きが必要になるのではないのか。

(3) 伊達火力パイプラインの危険物除去装置が方式2の運用を欠くとき、消防法第十二条一項に違反することになるのか。

(4) 右において、方式2の運用を実現すべく緊急しや断弁の前後にホースコネクションのためボール弁を新たに設置する場合、消防法第十一条一項後段の規定による変更手続きが必要になるのではないのか。

(5) 自治省令第十二号(昭和四十九年五月一日付)附則4項によれば、危険物規則第二十八条の三十四(危険物除去措置)についての規定は、昭和五十一年五月一日以降既設のものを含めすべての移送取扱所に係る技術上の基準として適用されている、即ち有効であるとしてよいのではないのか。

七 消防法第十二条一項の技術基準維持義務の違反事実が判明し、かつ同条二項の措置命令がなされない場合、危険を甘受しなければならない住民にとつてどのような行政救済が可能かについて、行政管理庁の見解を法令上の根拠・理由を付して明示されたい。

また関係する法令に欠陥があり、法令の運用により対処することが可能な場合、どのような行政救済の可能があるのか。

八 公団が市道占用許可申請書に関連して成田市に提出した暫定パイプライン施設概要調書の

「石油を除去するための装置」の項によれば、その機能説明として「石油をパイプラインから除去するためには、ピグ取扱い装置〔ランチャー・レシーバー〕を使用し、次の手順を以てスフェアーを窒素ガスでライン内を通過せしめ、ライン内石油を除去するもの(以下「公団方式」という)である」と記されている。運輸省及び公団の見解を次により根拠を添えて明示されたい。

(1) 本格パイプラインでは、事業法施行令附則2項により届け出されたとき、技術基準省令第三十四条の石油除去措置はどのようになつていたか。その原理を図解されたい。

(2) 右が技術基準告示第四十六条に違反しないとするならその理由は何か。

(3) 暫定パイプラインよりも伊達火力パイプラインの方が、危険物除去措置(危険物規則第二十八条の三十四)についての保安性能が優れているといえるのか。

(4) 暫定パイプラインでは公団方式のみであつて、伊達火力パイプラインの方式2に相当する方式を設けない理由

(5) 配管に異常事態が発生し、又はその発生が予測され、緊急しや断弁が閉じられたあと、異常事態から回復する補修作業のため、公団方式では配管内の危険物がどのようにして安全に除去されるのかについて、次の場合に分類して

(イ) 配管内一部が切断した場合

(ロ) 配管の一部からの応急処置不能の漏えいの場合

(ハ) 配管の一部からの応急措置可能な漏えいの場合

(ニ) 緊急しや断弁に異常が生じ、開かなくなつた場合

(6) 右について伊達火力パイプラインでは方式2により何故すべての場合に対処できるのか。

(7) 公団方式では何故危険物告示第四十九条に違反するのか。

(8) 右による消防法第十二条一項に係る違法状態は、昭和五十一年五月一日から発生したとしてよいか。

(9) 右違法状態を解消すべく、消防法第十一条一項後段の規定による変更許可申請は何時なされるのか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

新東京国際空港公団が設置するパイプラインの安全性については、同公団においても十分な配慮をしているところであるが、今後とも、関係地方公共団体及び地元住民の理解と協力が得られるよう努めることについて、同公団を十分に指導していく方針である。

二並びに五(1)及び(2)について

危険物の規制に関する規則(以下「危険物規則」という。)第二十八条の三十四及び危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(以下「危険物告示」という。)第四十九条の規定は、保安対策上の見地から、配管の補修を要する箇所の危険物を水又は不燃性ガスに置換するために必要な措置を講ずべきことを定めたものである。

伊達火力パイプラインに関する危険物除去措置は、当該規定に適合するものであるが、タンクローリーに石油を移送する方式は、当該規定で必要とされる危険物を除去するための措置ではない。

三について

(1)及び(2)コンビナート等保安規則第四十五条の規定は、保安対策上の見地から、高圧ガスの移送を要する箇所の高圧ガスを不活性ガス等により置換するために必要な措置を講ずべきことを定めたものである。

(3)及び(4)不活性ガスとは、窒素ガスなどの気体をいい、「等」とは、不活性ガスと同様に置換によつて危険が生じないもので、具体的には水がある。

(5)から(8)まで緊急しや断装置は、高圧ガスの漏えいが生じた場合等において、導管を一定の区間ごとにしや断することにより漏えい危険を減少させるために設けられるものである。その機能は、高圧ガスの漏えいを自動的に検知するガス漏えい検知警報設備によつて異常が検知された場合、感震装置等によつて一定以上の地震動が検知された場合等において、遠隔操作等によつて速やかに閉鎖することができるものでなければならないこととされている。

なお、緊急しや断装置の設置箇所に関する規定は、導管を設置する場所の周囲の状況を考慮して定められているものである。

四について

(1)から(3)まで 石油パイプライン事業の事業用施設の技術上の基準を定める省令(以下「技術基準省令」という。)第三十四条及び石油パイプライン事業の事業用施設の技術上の基準の細目を定める告示(以下「技術基準告示」という。)第四十六条の規定は、保安対策上の見地から、導管の補修を要する箇所の石油を水又は不燃性ガスに置換するために必要な措置を講ずべきことを定めたものである。

なお、ピグ取扱装置は、ピグ又はスフェアを導管に挿入する等のために用いられるものであり、圧送機、タンク等について規定している技術基準省令第四章に定められているが、同装置は、導管内の石油を除去するためにも使用できるものである。

(4)窒素ガスなどの気体をいう。

(5)から(8)まで 緊急しや断弁は、石油の漏えいが生じた場合等において、導管を一定の区間ごとにしや断することにより漏えい危険を減少させるために設けられるものである。その機能は、自動的に石油の漏えいを検知する装置によつて異常が検知された場合、感震装置等によつて一定以上の地震動が検知された場合等において、遠隔操作等によつて速やかに閉鎖することができるものでなければならないこととされている。

なお、緊急しや断弁の設置箇所に関する規定は、導管を設置する場所の周囲の状況を考慮して定められているものである。

(9) コンビナート等保安規則及び技術基準省令は、それぞれその対象に応じて保安対策上必要な規制をしているものである。

五 (3)から(7)まで、(9)及び(10)について

(3) 窒素ガスなどの気体をいう。

(4)から(7)まで 緊急しや断弁は、危険物の漏えいが生じた場合等において、配管を一定の区間ごとにしや断することにより漏えい危険を減少させるために設けられるものである。その機能は、自動的に危険物の漏えいを検知する装置によつて異常が検知された場合、感震装置等によつて一定以上の地震動が検知された場合等において、遠隔操作等によつて速やかに閉鎖することができるものでなければならないこととされている。

なお、緊急しや断弁の設置箇所に関する規定は、配管を設置する場所の周囲の状況を考慮して定められているものである。

(9)及び(10) 技術基準省令及び技術基準告示は、石油パイプライン事業法第十五条第三項第二号の技術上の基準を定めたものであり、移送取扱所に係る危険物規則及び危険物告示は、消防法第十条第四項の技術上の基準を定めたものであつて、両者は、それぞれ適用対象を異にするものである。

五(8)並びに八(5)及び(6)について

補修作業のための配管内の危険物の除去については、危険物規則第二十八条の三十四に定める措置により、また、必要に応じ危険物規則第二十八条の三十八に基づく危険物告示第五十三条第二号に定める緊急対策のための資機材により行われることとなる。

なお、暫定パイプライン及び伊達火力パイプラインにおいても、このような措置がとられることとなつている。

六について

危険物規則第二十八条の三十四及び危険物告示第四十九条の危険物を除去するための措置に関する規定は、相隣接する緊急しや断弁の区間の危険物を安全に水又は不燃性気体に置換することができる措置を講ずれば足りるものであつて、相隣接する緊急しや断弁の区間ごとにそれぞれ独立した措置を講ずべきことを定めたものではない。

なお、伊達火力パイプラインにおけるタンクローリーに石油を移送する方式は、当該規定で必要とされる危険物除去措置ではない。

七について

御指摘の技術基準維持義務の違反事実が判明した場合においては、消防法第十二条第二項の規定による措置命令を発することにより是正させるべきものであり、この規定の適切な運用については、従来から関係地方公共団体の長に対し指導しているところである。

なお、関係法令の整備については、常に配慮しているところである。

八(1)から(4)まで及び(7)から(9)までについて

(1)及び(2) 石油除去措置に関する資料は、石油パイプライン事業法第十五条第一項の規定に基づく工事の計画の認可申請時に提出されることとなつているが、当該申請はされていない。

(3)及び(4) 暫定パイプラインと伊達火力パイプラインとの間に危険物除去措置について保安上の差異はないものと考える。

(7)から(9)まで いわゆる公団方式は、危険物規則第二十八条の三十四及び危険物告示第四十九条の基準に適合している。

右答弁する。

衆議院の原文

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