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成田空港航空機燃料暫定輸送に関する質問主意書
衆議院 第71回 第26号
質問本文
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
成田空港航空機燃料暫定輸送に関する質問主意書
成田空港の開港をあせる新東京国際空港公団(以下「空港公団」という。)は、その開港「遅延」の責任を内部に求めず、形式的なとりつくろいの積み重ねによつて外部に転嫁し、又しようとしている。成田「本格」パイプラインによる航空機燃料輸送計画に失敗した空港公団は、自らの責任を隠蔽し、その失敗の原因を追求して自らの反省の糧にすることなく、「そこのけ、そこのけ、空港公団様のお通りだ。」とばかりに、とばつちりを周辺住民にまき散らしている。
田中内閣は、国民生活を守ることをその政策の基調とし、福祉を優先すると主張している。かかる田中内閣のもとに何ゆえこのような空港公団が存在し得るのか理解に苦しむところである。そこで私は、空港公団による航空機燃料「暫定」輸送に対し、運輸行政に対する責任を明らかにすることの一つとして社会正義を希求するとの立場から、次に若干の質問を提起したい。
一 「暫定」期間に対する疑義
空港公団は、「暫定」輸送に関係する地元住民の了解をとりつけるために、「暫定」期間についても開港時期が何の根拠もないでたらめであつたのと同様に、種々の「空手形」を振りまいてきた。当初わずか四ヵ月で建設が完了すると豪語された「本格」パイプラインは、その後二ヵ年を経たがまだ完成の見通しすらない。「暫定」期間は、「本格」パイプラインの完成時期と一体であつて、「本格」パイプラインの完成が「一日でも早く」との空念仏のもとにずるずると伸びれば、「暫定」期間も又ずるずると伸びるのである。「暫定」ということが世の中の一切のものが、しよせんは、うたかたのもの仮のものであるというのと同じ意味で使われているのであるならば、うなづけないこともないが、「暫定」こそが「本格」ということか。以下の問いに根拠・理由を添えて具体的に答えられたい。
(1) 「本格」パイプラインの完成予定日時について
(2) 「本格」パイプラインの現在まで(九月二十七日現在)の掘削、配管、埋戻しの建設状況はどうか。場内、資材道路、成田、酒々井富里、四街道佐倉、千葉市、水道道路、護岸敷埋立地の各工区ごとに明らかにされたい。
(3) 水道道路工区以外は、昭和四十八年度で完成するのか。完成しないとすればその場所と理由について。完成させる必要がないとすればその理由について。
(4) 水道道路以外の工区の中で必要となる用地がまだ確保されていない部分があるのか。あるとすればどこか。何ゆえに今もつて確保できていないのか。確保するために今までになした努力の内容を、未確保用地ごとに項目別に明示されたい。運輸大臣自身は、どのような努力をなしたかを併せて明らかにされたい。
(5) 水道道路以外の工区の中で、その工区の全体又は一部について工事許可のおりてないもの、又は、設計協議が整つていないところがあるか。あるとすればそれはどこか。何ゆえ今もつてそのような状態があるのか。これらのことに対して今までになされた努力の内容を項目別に明示されたい。
(6) 水道道路工区で発生した問題の解決について今までになされた努力の内容を、政府、運輸省、空港公団別に具体的に示されたい。この問題の解決に見通しを持つているか。もつているとすれば、それはいつか。又その根拠について。
(7) 水道道路工区で既に埋設されている六五七メートルの配管について、市道占用許可は現在おりているのか。本年二月までで市道占用許可が期限切れとなつたが、再申請はしたのか。してないとすればその理由について。
(8) 当初「本格」パイプライン全線四四キロメートルを四ヵ月で建設できるとしたときの根拠について。
(9) 成田市へ「暫定」輸送の話をもちかけたとき、「本格」パイプラインの完成時期を本年十月末、又は本年末としたが、その根拠について。
(10) 成田市、山の作区長と協定書を交わしたとき「本格」パイプラインの完成時期を昭和五十年三月としたときの根拠について。
(11) 現在「暫定」期間は三年間といわれているようであるが、一体いつからいつまでのことか。又その根拠について。
二 成田空港開港条件について
成田空港の開港条件として、「暫定」輸送の確保と滑走路南端にある二基の騒音監視塔の撤去の二つがあげられている。成田空港の開港条件について、政府、運輸省、空港公団の現在的な状況認識能力を明確にしておくために、以下の問いに根拠・理由を添えて具体的に答えられたい。
(1) 成田空港を開港するために達成されるべき条件は何か。開港の形態ごとに項目別に明らかにされたい。
(2) 万全の騒音対策の完了は、開港条件にはならないのか。ならないとすればその理由について。
(3) 成田空港に関して、万全の騒音対策は既に完了したか。完了していないとすればその理由及び完了予定の時期について。
(4) 千葉県が起債により民家の防音工事を補助しているが、何ゆえ千葉県がやらねばならないのか。
(5) 千葉県の行つている民家の防音は騒音対策として十分なものであるか。あるとすればその理由について。
三 鹿島港を使用することの法律上の疑義について
鹿島港を航空機燃料の暫定輸送の中継基地として使用するには、法律上無理があるとの指摘がある。この間の事情を明らかにしたいので、以下の問いに関係法令を引用しながら、具体的に答えられたい。
(1) 現在、鹿島港を燃料中継基地として使用することに法律上の疑義はないのか。
(2) 当初茨城県及び内閣法制局より指摘された法律上の問題点はどこか。そのすべてを列挙されたい。
(3) (1)で疑義がないとするならば、(2)で提起された問題点をどのように回避したのか。あるいはするのか。
四 タンク車(貨車)輸送の安全性について
千葉市でパイプラインを敷設しようとする際、タンクローリーやタンク車よりもパイプラインの方が安全であるとして住民に説明がなされていた。ところが暫定輸送では、鹿島から成田へ国鉄線を用いたタンク車による輸送が計画されている。以下の問いに根拠・理由を添えて具体的に答えられたい。
(1) パイプライン沿線住民よりも、国鉄線沿線住民を危険にさらしてよいとする理由及び法的根拠について。
(2) 国鉄線沿線市町村でタンク車輸送の反対の決議がなされているが、どのように処置するつもりか。同意が得られるまでタンク車による輸送は行わないのか。
右質問する。
政府答弁書
一について
(1)及び(11) 暫定輸送期間としては、開港時から約三年間を考えており、この間に本格パイプラインを完成させる予定である。
(2) 新東京国際空港公団(以下「公団」という。)の本格パイプラインの建設状況(昭和四十八年九月二十七日現在)は、次のとおりである。
(3) 千葉市内水道道路工区以外の工区で、未着工の国道、県道及び河川の横断部等の工事は、本格パイプライン全体の建設の進捗状況を勘案して完成させる考えである。
(4) 本格パイプライン用地のうち四街道〜佐倉工区等において約一万四千平方メートル・百十一筆が昭和四十八年九月三十日現在未買収である。
これは、関係地方公共団体と設計協議が整わないためあるいは地主との間で買収価格について調整がつかないため買収ができないものであるが、可及的速やかにこれら用地を確保するよう公団に指示している。
(5) 千葉市内水道道路工区以外の工区においては、パイプラインの敷設に関し道路・河川・鉄道の管理者等から工事許可を得ている。
しかし、東関東自動車道沿いにパイプラインを敷設するために必要な用地の買収を行う区間については、関係地方公共団体と設計協議を行つており、また、国鉄総武線南酒々井附近特殊横断部について、一部細部設計協議を完了していないものがあるので、可及的速やかに協議を整えるよう公団に指示している。
(6) 本工区については具体的提案を早急に行うべく検討作業中である。
なお、昭和四十八年七月十八日運輸省及び公団は沿線住民との話合いを行う等本格パイプラインの敷設について、地元の理解と協力を得られるよう努めている。
(7) 千葉市内水道道路工区のパイプライン埋設占用許可は、昭和四十八年二月二十八日期限満了となつた。
なお、占用期間の更新について諸般の事情を考慮した結果更新のための許可申請をしないこととした旨公団より報告を受けて、いる。
(8)及び(9) 本格パイプラインの千葉市内水道道路については、昭和四十七年三月十五日、千葉市の占用許可を得、公団は、日本国有鉄道、京成電鉄等と設計協議を行つたところ、工事内容の変更を必要とするに至り、建設工事をそのまま継続したとしても、その完成は早くても本年九月末になる見込みとなつたため、航空燃料暫定輸送構想の推進にふみきり、成田市に暫定輸送への協力を依頼したものである。
(10) 暫定パイプライン中継基地としての成田市土屋の公団資材取卸場の借用期限が昭和五十年三月三十一日であるので、本年三月七日に成立した山の作第二区長との覚書においても暫定パイプラインの運用予定期限を一応この期限にあわせたものである。
しかし、当時なお未確定の問題もあつたので、当該覚書において期限に関し「ただし、止むを得ない事情により期限まで本設パイプラインの運用が開始されないときは、その運用が開始されるまで期限を延長する。」とした。
二について
(1) 新空港の開港のためには、航空燃料の輸送手段の確保及び離着陸の障害となる四千メートル滑走路の延長上に建設された鉄塔の除去が必要である。
なお、飛行経路の設定・騒音対策・旅客輸送対策等諸般の準備も併せ進めつつある。
(2)及び(3) 新空港に関連して現在実施している航空機騒音防止対策は、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(以下「航空機騒音防止法」という。)に基づき公団が実施している学校防音工事の助成等の対策及び千葉県が実施している民家防音工事の助成であるが、これらの対策は、テレビの難視聴対策等航空機が現実に離発着しなければ、
その実施が困難なものを除き、できるだけ開港までに完了させる考えである。
(4) 新空港に係る民家の防音工事に対する助成は、現行の航空機騒音防止法による騒音防止工事の助成の対象外となつていること及び昭和四十六年度当時同空港の供用開始時期が切迫していたと考えられていたこと等諸般の情勢にかんがみ同法の改正によつて民家の防音工事に対して空港設置者の助成措置が講じられるまでの間便宜の措置として、千葉県が実施しているものである。
(5) 千葉県が助成している民家防音工事については、実験結果に従つて行つているものであるが、この実験の結果によるとおおむね二十五―三十デシベルの遮音が可能であり、航空機騒音に対して相当な効果が認められる。
しかしながら、居住性の問題については、今後とも関係方面の協力を得て検討を進める必要があると考えている。
三について
鹿島石油が石油精製の用に供する施設の一部として石油貯蔵用のタンクを設置する場合において、この施設がその本来の用途に供されない間において一時的に新空港に係る航空燃料の貯蔵に利用されることがあるとしても、そのため当該施設が首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律第二条第五項の製造工場等でなくなるとはいえず、法律上の問題を生ずることはないと考える。
なお、茨城県知事からは、鹿島臨海工業地帯は首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律の適用を受ける地域であるから、法律の適用関係を国の側において明確にするよう要望があつた。
四について
鹿島から成田への鉄道タンク貨車による航空燃料輸送開始に当たつては、沿線市町村の住民感情も考慮して踏切整備等所要の対策を講じ安全確保に万全を期する考えである。
右答弁する。
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