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成田暫定パイプラインの安全対策に関する質問主意書
衆議院 第71回 第21号
質問本文
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
成田暫定パイプラインの安全対策に関する質問主意書
先に新東京国際空港公団による成田暫定パイプラインの設置に係る諸問題点について、主としてその安全面からの質問主意書を提出したが、それと同様の趣旨で、更に若干の質問を追加継続し、提起したい。
一 成田暫定パイプラインの設置に関する法律上の疑義
暫定パイプラインは、本格パイプラインの一部をその部分として含んでいる。この事実より生じた以下の問題点につき、具体的にかつ根拠・理由を添えて明確に答えられたい。
(1) 成田暫定パイプラインは、何ゆえに石油パイプライン事業法の適用対象とならないのか。本格パイプラインの分枝とみなされない理由について。
(2) 一般の需要を満たしながら、例えば十四キロメートル単位で必要に応じて順次その全長を延伸していくようなパイプラインは、石油パイプライン事業法の適用対象になるのか。事業規制の対象にならないとすれば、事業法にいう基本計画は骨抜きとなるがどうか。
(3) 空港公団は、本格パイプラインについて、いつ石油パイプライン事業の許可を申請し、又、許可を得たのか。
(4) 空港公団は、本格パイプラインについて、いつ工事の計画を定め、その工事計画の認可を申請し、又、工事計画の認可を得たのか。
(5) 工事計画は、運輸大臣及び自治大臣の認可を受けることになるが、(4)での工事計画の申請は、どちらの大臣になされたのか。両大臣になされるべきと考えるがどうか。
(6) 工事計画の申請の指定された期限はいつか。
(7) 工事計画の申請期限が今もつて指定されていないのならば、その理由について。
(8) 工事計画の認可に当たつて千葉県知事への通知はなされたか。又、この件に関し千葉県知事からの意見具申があつたならば、その内容について。
(9) 工事計画の認可申請が今もつてなされていないとするならば、現実に行われている工事の法的根拠について。
(10) 工事計画の認可が今もつてなされていないとするならば、現実に行われている工事の法的根拠について。
(11) 暫定パイプラインとして用いるために必要となる本格パイプラインの工事計画の変更についての申請・認可は、いつなされたのか。
(12) 暫定パイプラインの設置のためには、その施設は消防法による許可が必要である。本格パイプライン関係の施設の消防法による許可を受けるためには、事業法の適用を除去する必要がある。許可を受けているはずの石油パイプライン事業計画の変更又は休止の手続は既にとられたのか。
二 道路占用許可について
成田市では、道路法第三十三条に基づいて、去る五月二十六日、成田市道占用にかかわる許可を発出した。許可に当たつては、申請にかかわる市道占用が道路法にいう基準に適合している必要がある。しかるに石油パイプラインに関する基準は、本年二月五日に改正された政令をもつてしても結局のところ、石油パイプライン事業法による技術基準の告示待ちの状態である。以下の件につき具体的に答えられたい。
(1) この件につき成田市から照会があつたか。時期及び内容について。
(2) 成田市へ、この件につき何らかの行政指導・助言がなされたか。時期及び内容について。
三 成田市長措置監査請求の結果について
暫定パイプライン沿線住民より提出されていた成田市長の道路占用許可にかかわる監査請求の件について、成田市監査委員(二名)は、「市は本件の取扱いは、住民の立場にたち、かつ住民の意思を十分尊重していたとは判断しがたい。よつて今後、市は行政執行に際しては、この点積極的にのぞむべきである。」と述べられている。以下の件につき理由を添えて具体的に答えられたい。
(1) このような住民無視の状態をひきおこした原因は何であると考えるか。又、責任の所在について。
(2) このような状態で行われた市道占用許可に依拠することにより、空港公団が暫定パイプラインの工事に着工するのを政府は認めるのか。
(3) 田中※(注)榮通産相(当時)は、事業法の審議の際に、「納得を得るべく十分努力をいたします。理解を得られるべくこん身の努力を傾けます。当然のことです。それは絶対だいじようぶです。こういうふうな計算をしておりますということを細かく申し上げ説明をして納得を得るまで、努力を続けるということは当然でございます。」と述べている。この言明と現実の成田市での事態の関係をどのように説明なされるのか。
四 溶接部のX線検査について
空港公団の航空機給油施設建設実施細則に付属する溶接部の非破壊検査基準によれば、更に、同公団の工事標準仕様書によれば、溶接部非破壊検査のX線撮影の項で、構造上不可能でない限り一重壁単影像法(内部線源方式)で行うとある。ところが、本格パイプラインの建設では、この方法は既埋設部分の全線にわたつて用いられなかつたと聞く。以下の問いに理由を添えて具体的に答えられたい。
(1) 空港公団が、本格パイプラインの建設で、内部線源方式によるX線検査を行わなかつたのは事実か。一部で行つたのか。行つたとすればそれはどこか。
(2) 政府、運輸省、自治省は、このこと(内部線源方式によらないこと)を知つていたか。いつごろ知つたか。知つているとすればどのような処置を講じたのか。
(3) 空港公団は、自ら定めた基準を破つてまでして、なぜかかるX線検査を行わなかつたのか。
(4) 暫定パイプラインの建設の場合は、どのようなX線検査が行われるのか。
(5) 国鉄のパイプラインの建設では、内部線源方式による溶接部のX線検査が行われると聞く。これは事実か。
(6) 佐藤文生政務次官も、内部線源方式によるX線検査は理想的であると述べ、また、パイプラインの設置に当たつては、安全第一でのぞむとも述べている。国鉄のパイプラインで内部線源方式によるX線検査が行われるのが事実ならば、なぜ暫定パイプラインではそのようにしないのか。単にパイプの径だけの問題ならば、径の選択をし直す考えはないのか。
五 やり直し工事について
成田市吉倉区とのとりきめでは、既に埋設済みの本格パイプラインについては、側面をコンクリート等で補強する工事を即刻実施するとある。やり直し工事については、技術基準としてどのように扱われるのか。
右質問する。
政府答弁書
一について
(1) 石油パイプライン事業法第二条及び同法施行令第二条によれば、導管の延長が十五キロメートル以下のものは、同法の適用対象から除外されている。成田暫定パイプラインは、その延長が約七・八キロメートルであり、また、本格パイプラインの供用開始まで使用するものであつて、その一部に本格パイプラインを構成する部分を含んでいても、暫定パイプライン全体が本格パイプラインの一環として機能することとはしていないので、本格パイプラインの分枝とはみなされず、従つて石油パイプライン事業法の適用対象とはならない。
(2) 十五キロメートル以下の事業用石油パイプラインは、石油パイプライン事業法の適用を受けないが、順次その全長を延伸していくような事業用パイプラインは、その全長が十五キロメートルをこえた段階で石油パイプライン事業法の規定に基づき事業規制を受けることとなる。
(3) 新東京国際空港公団(以下「公団」という。)より千葉市新港から成田市三里塚まで航空タービン燃料油輸送のための石油パイプライン事業について、石油パイプライン事業法施行令附則第二項の規定の届出が昭和四十八年一月二十四日運輸大臣に対しなされた。
公団はこの届出により、同法施行令附則第二項の規定に基づき、同法第五条第一項の許可を受けたものとみなされる。
(4)から(11)まで 公団の本格パイプラインについては、石油パイプライン事業法施行前からその工事は継続して行われており、また、公団は新東京国際空港公団法第二十四条に基づく業務方法書に基づき運輸大臣の承認を受けた新東京国際空港公団航空機給油施設の建設及び管理規程に従つて、安全性の確保を十分考慮してその工事を進めてきたところである。
石油パイプライン事業法に基づく技術基準の詳細が未定であつたので、工事計画の認可の申請が行われていないが、当該技術基準の細目が告示されれば、早急に所定の手続を講ずることとなつている。
なお、工事計画の認可の申請は、運輸大臣及び自治大臣に対してなされることとなるが、その期限については、石油パイプライン事業法に基づく技術基準に関する告示が現在制定されていないため、まだ指定していないが、告示が制定され次第、指定を行うこととしている。
(12) 本格パイプラインの一部を、一時的に暫定パイプラインとして使用することとしているが、これによつて本格パイプラインに係る公団の届出事項の内容が変更されることとはならない。
二について
(1)及び(2) 石油を圧送するための導管等の道路の占用については、道路の構造及び交通に及ぼす影響が大きいので、従来からその道路の占用の許可に当たつては建設省への事前協議を求めているところであり、成田市においても、昭和四十八年五月二十三日事前協議を行つた。
その内容は、道路の占用の目的、期間、場所、占用物件の構造、工事実施の方法、その他必要な事項であり、これに対し昭和四十八年五月二十五日、本件占用の許可に当たつては、道路法第三十三条の規定によるほか、公団が事業実施に当たつて、予定される石油パイプライン事業法の技術基準に準じた措置をとることを確認すべき旨の行政指導を行つた。
三について
(1)及び(2) 道路の占用の許可は道路法第三十三条の規定に照らし行われるものであるが、本件成田暫定パイプラインの道路の占用の許可は、更に住民の代表たる議会の意志を十分尊重すべきであるとの成田市長の判断のもとに、たまたま付議されていた「燃料パイプ埋設道路占用許可申請の不許可に関する請願」に関する市議会の意思決定を待ち、不採択と議決されたのち行われたものである。このことは、御指摘の監査の結果においても述べられているところであり、本件道路の占用の許可が住民無視の状態を引き起こしたものとは考えられない。
(3) 公団としては、暫定パイプラインの敷設に当たり沿線地区に対して十数回にわたり話合いを行い地元の理解と協力を得るよう努めているところである。
四について
(1)から(3) まで公団が現在までに埋設した石油パイプラインの導管の熔接部については、内部線源方式によるX線検査は行つていない。
公団の「熔接部の非破壊検査基準」に基づく撮影方法によれば「撮影方法は管内に線源を配置する一重壁単影像法を採用することを原則とする。但し構造上この撮影法によることが出来ない場合等は管外に線源をおく一重壁または二重壁単影像法によることができる。」となつている。
公団が現在建設中の石油パイプラインの導管は、内径約三十三センチメートルで管内に線源を配置する一重壁単影像法を採用することは困難であつたため、現在までに埋設した熔接部については前述の「熔接部の非破壊検査基準」に基づき、管外に線源をおく二重壁単影像法によつたものと承知している。
(4)から(6)まで 今後公団が建設を進める新空港に係るパイプラインの熔接部検査については、一応外部線源方式によることを考えているが、もしこれ以外の適切な方式が実用化されれば、その採用も検討する考えである。
一方、国鉄のパイプライン建設に当たつては、内部線源方式を原則としているが、これによることができない箇所については外部線源方式によることも考えている。
公団・国鉄両者とも、いずれの方式によるにしてもパイプラインの安全性は十分確保させる考えである。
五について
技術基準に適合しない箇所については、適合させるべく所要の措置を行わせるものであり、その結果については完成検査等により確認されることとなつている。
右答弁する。
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