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成田空港の航空燃料暫定輸送計画に関する質問主意書

衆議院 第72回 第5号検討してまいりたい ×2

提出者
衆議院
提出日
1973年12月21日
内閣転送 1973年12月22日
答弁書受領日
1974年1月18日
提出から28日
答弁の項目数
9
質問 3,996字/答弁 3,836字

質問本文

衆議院議長 前尾繁三郎 殿

成田空港の航空燃料暫定輸送計画に関する質問主意書

現下の石油危機にかんがみ、成田空港計画の現象面に見られる遅延および暫定輸送計画の現実の進行について考察し、この認識の上に立つて、暫定輸送計画のもつ現在的な問題点を摘出し、これをもつて航空行政への建設的な意見をするため以下若干の質問を致したい。

いわゆる「羽田の過密」の問題が、便数削減、ドル流出による海外渡航の制限、インフレ下での運賃値上げおよび航空会社による投資の抑制により消滅すること。成田空港自体も暫定輸送計画の完成をもつてしても完了しないこと。暫定輸送計画にも未解決の問題が種々残つていること。暫定輸送計画は、本ルートの完成をもつて中止する性質のものであつて、投下資本はむだであり、現在のインフレ下、また公共投資の抑制という観点からいつても望ましいことではないことなどを勘案するならば、航空燃料暫定輸送計画は中止されるべきものであり、少なくとも中止する方向で全面的に再検討されるべきものであると考えている。

ちなみに、現代技術の最先端にあるといわれているシステム技術、とりわけマネージメント技術によれば、プロジェクトのマネージメントについて以下のように述べている。

プロジェクトの進行は、その中止を含めて絶えず全体的に管理されていなければならない。すなわち、プロジェクトの進行を現時点でもたらされるマイナスよりも、このプロジェクトの進行をそのまま続行することによりもたらされるであろうマイナスの方がより大きなものであるならば、このプロジェクトに対して現在までに投下された資本(資源、エネルギー、人および金)がいかに大きくとも中止すべきであるとされている。俗な表現をすれば、乗りかけた船はその船がどつちに向かつていようと最後まで強引にこぎ続けるという「美学」ではなく、例えば、山頂を目前にした登山家が、時と場合によつては途中でもあえて引き返すということ、その勇気が大切であるということを教えているのであろう。さて田中内閣は、大きなプロジェクトを手がけているようだが、プロジェクトの管理について、一般論としてこのような勇気あるいはこれにより決断し実行する能力をもつているのであろうか。以下の問いに誠意ある回答を期待する。

一 最近の物不足と物価上昇(インフレ)およびこの間の石油危機のもたらした中で航空燃料暫定輸送計画の現実の進行状況のみならず、本来の空港設置計画の遅れを勘案するならば、かかる暫定輸送計画は中止されるべきものであるとは考えないのか。考えないとするならばその理由は何か。

二 成田空港を急ぐ要因の一つとしてあつたいわゆる「羽田の過密」の問題が

(1) 便数削減(海外便、国内便、定期便、不定期便)

(2) ドルの流出による海外渡航の制限

(3) インフレ下での運賃値上げ(国内線は二十二・九パーセントの値上げ申請中、国際線は四十九年一月一日より四ないし六パーセントの値上げ決定)

(4) 総需要抑制の立場からの航空三社への航空機の新規購入の半減指示などの中で、当面、自然消滅の方向に向かうとは考えられないのか。考えられないとすればその理由は何か。

三 成田空港計画自体も航空機暫定輸送計画の完成をもつてしても直ちに開港し得る形に完了しないと考えられるが、政府の考えはどうか。ほかにいまだ解決しなければならない問題が種々あるのではないか。もしあるとするならば、すべて列挙されたい。

四 成田空港のアクセス(地上交通)については、「長期的対策」としてある成田新幹線については見通しもなく、また、道路輸送の過密解消の手段として考えられた湾岸道路は公共投資抑制のためその建設が繰延べないし中止になると思うが、成田空港への足の確保を長期的にはどのように考えているのか。

五 成田空港へのアクセスとして考えられている「短期的対策」は、その建設の現実的な進行状況を勘案するならば、結局のところ需要に供給が追いつけないことになるのではないか。

(1) 主幹線道路(首都高速、京葉、東関道)の過密解消には、当面の対策はないのではないか。

(2) 三本の幹線道路(我孫子回り、松戸、白井、臼井回りおよび千葉回りの各国道)は、道路交通情報センターの調査によれば、現在でも片道二時間ないし三時間はかかるので空港へのアクセスのための道路としては使えないのではないか。

(3) 国鉄在来線は、空港に乗り入れていないし、乗り入れたとしても東京からの時間がかかりすぎるのではないか。

(4) 京成電鉄による輸送は、華やかな宣伝にもかかわらずその本来の目的(通勤客輸送および成田山参拝客の輸送)からして、空港アクセスとしての大量高速輸送は期待できないのではないか。もし可能であるとするならば、それを線路密度等を踏まえた上で定量的に明らかにされたい。

(5) 県営鉄道は、すぐにはできないし、空港にも乗り入れていないので、空港アクセスとしては考えられないが、どうか。

六 騒音対策については、未解決な問題が種々残つていると思われる。例えば千葉県の行つている民家の防音については、居住性および経済性についての問題が解決されておらず、対象地域の住民にも受入れられてもいない。居住性の問題については、本質的な解決が期待できないので生活環境破壊は依然として残るが、一体どうするつもりなのか。

七 空域については、自衛隊の百里基地との調整がいまだついていない。

(1) 新空港の位置を成田市三里塚に定めた時には、自衛隊との間にどのような了解ができていたのか。その内容を明らかにされたい。

(2) 新空港の長期的運用を可能ならしめるために必要な空域が三里塚の地で確保できると判断した根拠を航空管制工学的に明らかにされたい。

(3) 騒音対策との関係で、侵入、着陸および離陸コースについてはいまだ決定されず、住民および地方自治体の合意すら得られていないが、どうするつもりなのか。

(4) 百里基地との調整は、どうするつもりか。

八 暫定輸送計画自体にも未解決の問題が残つているのではないのか。次の各質問に根拠、理由を付して具体的に答えられたい。

(1) 鹿島港の基地の建設は現在どうなつており、どのような見通しがあるのか。鹿島石油による二十二万バーレルの増設要求が、この間の石油危機の影響により十三万五千バーレルを限度としてその増設が認可されたと聞く。しかも工事の完成が五十一年十月となつている。一体どうするつもりなのか。

(2) 鹿島港へのタンカーの調達は、どうなつているのか。その調達および運営の責任はどこにあるのか。

(3) 鉄道輸送用タンク車の調達は必要量が確保できるのか。

(4) タンク車輸送の列車ダイヤおよび列車編成は、誰が責任者で現在どのようになつているのか。

(5) 鉄道沿線の地方自治体(佐原市、鹿島町および神栖町)の議会の全員一致の反対決議をどうするのか。

(6) 鉄道沿線の安全対策は現在どうなつており今後どうするつもりなのか。

(7) 寺台地区等の住民対策費(公民館の建設、道路舗装および街路灯の設置等)を違法行為にならないようにどうねん出するのか。

(8) 暫定パイプライン設置のための消防法令(法律および政省令)の整備はいつまでに完了するのか。ちなみに当時の田中※(注)榮通産大臣は、石油パイプライン事業法案審議の際に建設できるが、法制を整備して国民の生活を守るのは政府の責任であると言明している。建設される石油パイプライン沿線住民の生命と生活を、その事故から、災害から守る。しかも官僚による法の運用によるのではなく、法律そのものによつて守るということなのであろう。田中首相が自己の発言に忠実であるならば成田暫定パイプラインは、消防法令が整備されるまでは建設させないということなのであろう。

(9) 暫定輸送計画によるハイドランドチャージの増加を誰がもつのか。その話はついているのか。ついていなければそれがつく見通しはあるのか。

(10) 暫定輸送によるハイドランドチャージはいくらになるのか。そしてそれは本ルートによる場合の何倍になつているか。

九 暫定輸送計画は、本ルートの完成をもつてして中止する性質のものであつて、投下資本は回収されずむだであり、現在のインフレ下、また公共投資の抑制という観点からいつても望ましいものではないと思うがどうか。

十 暫定輸送計画実施の総経費(建設費および運用費)は、成田市土屋から空港に至る諸施設だけで二十億円を超すといわれるが一体いくらになるのか。

十一 暫定輸送計画の鹿島関係の予算は四十九年度になるといわれているが、大蔵省は公共投資の抑制ということを四十九年度予算編成の眼目としているが、運輸省のこのような予算請求を全体的な空港建設状況を航空燃料輸送の暫定計画実施状況およびその見通しに対する詳細な検討なしに認めてしまうのか。

十二 この間のトイレットペーパーから始まり豊川信用金庫の取り付け騒ぎに象徴される社会不安は、経済生活に対する先行きの不安と国家に対する不信(心理的な国家解体)の現れである。例え安定成長論者といわれる※(注)田赳夫氏を大蔵大臣にすえたところで、その主張が具体的な政策となり、具体的な結果を生み出さない限り、これらの不安は解消されないであろう。責任ある政治家は、絶えず自己の全存在を批判的に対象化し続けているものである。

現在の経済、社会の不安の解消に何ら寄与せず、また壮大なるゼロといわれている新東京国際空港の建設、とりわけ航空燃料暫定輸送計画に対して「途中で引き返す」勇気はないのか、これらのことを決断し実行する能力はあるのか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一、九及び十二について

新空港の開港は、当初予定より大幅に遅れているので、できるだけ早期に新空港を開港する考えである。

なお、本格パイプラインの完成には相当長期間要する見込みなので、新空港を早期開港するために、航空燃料暫定輸送計画を推進する方針に変更はない。

二について

東京国際空港(羽田)の過密の問題は、数年来の問題であり、既に従前から国際線も含めて必要な便数増加が行えない状況が続いている。

更に、航空輸送需要は、所得の向上等に伴い今後とも増加する傾向にあり、今回の石油危機等に関連して、例えば、観光チャーター便などの減便等が行われることがあるとしても、羽田の過密状況が基本的に緩和されることにはならない。

三について

新空港の早期開港にとつて大きな障害となつているのは、航空燃料輸送手段の確保及び四、〇〇〇メートル滑走路の延長上に反対派によつて建設され、航空機の離着陸の障害となる二基の鉄塔である。

航空燃料輸送については、現在航空燃料暫定輸送計画を推進しており、また、妨害鉄塔については、開港前の必要な時期には除去されるよう準備作業を進めている。

このほか、開港準備作業として、騒音対策、旅客輸送対策等を鋭意進めている。

四について

新空港の長期的アクセス対策として、成田新幹線と湾岸道路の建設を進めることとしている。

成田新幹線については、都心と新空港とを短時間で結ぶ高速鉄道として将来にわたり不可欠のものと考えており、その建設につき、沿線にかかる地元地方公共団体等との話合いを鋭意進めている。

道路輸送については、主幹線道路は、首都高速七号線(箱崎〜京葉道路)、京葉道路(京葉道路〜宮野木ジャンクション)、東関東自動車道鹿島線(宮野木ジャンクション〜成田インターチェンジ)、新東京国際空港線(成田インターチェンジ〜空港)であるが、既に東関東自動車道鹿島線の成田インターチェンジまでが供用中のほか、新東京国際空港線についても工事を完了している。しかし、供用時において、首都高速七号線及び京葉道路の二期区間(船橋〜幕張)にピーク時の渋滞が予測され、引続き、京葉道路一期区間(首都高速七号線〜船橋)、三期区間(幕張〜宮野木)に渋滞の及ぶことが予想されるので、湾岸道路の一般道路部については全線(荒川〜旧江戸川区間を除く。)の整備を促進するものとし、当面、京葉道路二期区間(船橋〜幕張)の混雑緩和対策として、原木〜幕張間の湾岸道路の整備を急いでいる。また、専用道路部については、工事中の首都高速九号線、首都高速湾岸線二期(首都高速九号線〜浦安)、東関東自動車道鹿島線(市川〜宮野木)のほか、新たに、首都高速湾岸線四期区間(浦安〜市川)についても着工する予定である。これによつて、都心と新空港間が専用道路で直結することができることとなる。

五について

(1) 主幹線道路の交通については、東京から成田に向う下り方向は、首都高速江戸橋インターチェンジから新空港まで、特別の事情がない限り約一時間で到着できるものと推定されるが、成田から東京に向う上り方向は、現在でもピーク時の交通渋滞による遅れが生じているので、この対策として、利用者に的確な情報を提供するほか、必要に応じてランプの流入制限を行うなど、交通管制システムの適切な運用を図つてまいりたい。

(2) 御指摘の三本の幹線道路は、主幹線道路が通行不能となるような緊急時において、迂回路として、利用されるものと考えている。

(3) 国鉄在来線は、成田駅までであるが、成田駅には到着ホームと同一レベルにバス発着場を整備しており、鉄道とバスとの通し切符の利用等による成田―新空港間の連絡バス輸送を行うこととしている。当該連絡バスは空港ターミナルビル出発及び到着階に直接乗り入れることとしており、本ルートによる東京駅―新空港は約九〇分程度と考えられる。

(4) 京成電鉄においては、京成成田―新空港間七・一キロの新線建設を完成しており、現在開港時のダイヤを検討中であるが、検討中のダイヤによれば、一日片道約四万人の輸送力があり、このうちには上野―新空港間ノンストップの特急電車(座席予約制・一日片道一九本、所要時間約六〇分、座席数合計約六、九〇〇人分)の運行も予定しており、空港アクセスの大量高速輸送手段として活用できるものと考える。

(5) 千葉県営鉄道は、千葉県において造成中のニュータウンの住民の輸送を目的として建設されるものであり、都心―新空港間のアクセスを目的とするものではない。

六について

千葉県が助成している民家防音工事については、既に地元住民の協力のもとに四百三十余戸が完成しておりおおむね二十五デシベル〜三十デシベルの遮音が可能である。

また、現在国会に上程中の公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律の成立をまつて、公団において民家の防音工事に対して助成を行わせることとしている。

なお、居住性については一層の改善を進めるべく国においても調査研究を行つているところである。

七について

(1) 三里塚候補地の位置決定に当たつては、防衛庁と協議した結果、同候補地と自衛隊百里基地との空域は、それぞれ分離が可能であり、管制上支障がないとの了解に達していた。

(2) 二つ以上の空港が近接して存在する場合、航空管制工学的にみて有効な空域の利用を図るためには、それぞれの空港に関する空域を分離して個別に管制する方式と、すべての空港に関する空域を統合して一元的に管制する方式とがある。

新空港の場合については、差し当たつて前者の方式を採用することとした。即ち、おおむね利根川を境界として関東地方東部の空域を、それぞれ北と南に分離することにより、二空港に離着陸する航空機の進入及び出発経路を分離し、管制上支障のないように処理することとしたものである。

(3) 新空港の飛行経路については、今までいくつかの案を作成し、騒音問題とは関係のない洋上の部分については、ほぼ結論がでているが、内陸部分についてはいまだ検討中であり、関係市町村等の地元の意見を十分考慮し決定する考えである。

(4) 新空港及び百里飛行場の両者はそれぞれ管制管轄空域を設定し、お互に独立して進入管制、ターミナルレーダー管制、飛行揚管制を実施する。そのために、両空港に離着陸する航空機の進入及び出発経路を分離して運航上支障のないようにするべく防衛庁との調整を鋭意続行中である。

八について

(1) 御質問に係る設備の増設については、鹿島石油は関係法律の所定の手続を経て建設工事に着手したい意向と聞いている。

(2) 航空燃料の鹿島港への海上輸送については、荷主、海運業者間において取り極められるべきものであり、現在関係者間において検討が進められている。

(3) 鉄道輸送用タンク車は、私有貨車制度となつているので荷主(石油会社)等が確保することとなるが、現在その必要量及び調達について関係者間において検討されている。

(4) 航空燃料の荷主(石油会社)等からの輸送申し込みに基づいて、国鉄及び関係鉄道事業者が必要な列車ダイヤの策定及び列車編成を行うこととなつている。

(5)及び(6) 暫定輸送に伴う鉄道沿線の安全対策については、関係地方公共団体等の理解を得られるよう、現在鋭意検討中であり、踏切の改良等所要の安全輸送体制を確立する考えである。

(7) 暫定パイプラインの建設及び運用に関連して、事故防止、地元住民の安全を図るために必要な措置については、暫定パイプライン建設事業の一環としてこれを講ずることとしている。

(8) 消防法の適用を受けるパイプラインに関する法令の整備については、危険物の規制に関する政令の一部改正を既に行い、その他のものは現在鋭意作業中である。

(9)及び(10) 航空燃料暫定輸送計画に係るすべてのコストは、航空機給油施設使用料として回収されるべきものである。この航空機給油施設使用料は場内ハイドランド施設の使用料金をも含め、航空機給油施設の使用者である石油会社から公団が徴収するものであるが、この料金は燃料の供給を受ける航空会社の負担にも影響するものであるので、今後、公団において、石油会社のほか航空会社側とも協議しつつ決定する予定であり、現在、公団において検討中である。

また、本格パイプラインについては、現在、建設計画及びこれに要する事業費が最終的に確定していないので、使用料金がどの程度になるかは現段階では不明である。

十及び十一について

航空燃料暫定輸送の実施に必要な施設の建設費は、土屋の取卸施設及び暫定パイプライン等を含めて、昭和四十八年度公団認可予算において、総額約二十億円を予定しており、開港までに公団の負担する航空燃料暫定輸送関係の建設費は、おおむねこれをもつて賄いうる見込みである。

また、御質問の航空燃料暫定輸送計画の鹿島関係の予算としては、施設の利用料等の運営経費があるが、これは、空港開港後、公団の施設使用者の負担する料金収入等の自己収入を財源として賄われるものであり、国の支出の対象とはしていない。この経費については、公団予算業務勘定において公団の支出予算として適正額が計上されれば経費の内容等を検討の上これを認可する予定である。

右答弁する。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

検討してまいりたい ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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