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成田空港周辺地域の航空機騒音に関する再質問主意書
衆議院 第72回 第21号検討してまいりたい ×2
質問本文
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
成田空港周辺地域の航空機騒音に関する再質問主意書
過日、成田空港周辺地域の航空機騒音の質問に対し、答弁書の送付を受けた。これらの回答には、提起した質問に対して不明確、不十分な対応がなされている部分があり、また、質問自体が正確に理解されているとは思えない部分も見られるので、前回と同様の主旨のもとに質問をより具体化し、再度提起したい。誠実、正確、簡潔なる政府見解を求める次第である。
一 運輸省と千葉県知事との間の了解事項とされる飛行コース(直進上昇、直進降下)に関する答弁について
(1) A滑走路を北向きに離陸した航空機が太平洋方面に飛行する場合、銚子VORTACを目指すのであるとするならば、直進上昇して利根川を横断した後右旋回して再度利根川を横断し、千葉県上空を飛行せざるをえないが、かかる場合離陸飛行であるとしてその飛行高度が六千フィート以下である場合もあり得るとしてよいか。
(2) 同じく北向きにA滑走路を離陸した航空機が、旋回して九十九里方面へ出発した場合も、六千フィート以下の高度で再度千葉県上空を飛行する場合があり得るとしてよいか。
(3) A、B、C三本の滑走路が供用可能となつた時点では、かかる直進上昇、直進降下による離着陸飛行方式がご破算になる場合があり得るとしてよいか。
(4) 「夏、風のない暑い日、成田空港A滑走路を北向きに離陸したモスクワ又はサンフランシスコ直行の乗客、貨物満載のB747型機は、直進上昇した場合、高度二千メートルに達するまでにどれだけの距離を飛行するか。これは利根川を横切つてどの地点の上空にまで進むことになるのか。」との質問に対して、「御質問のような状況の場合の飛行方式については、検討中である。」という回答を得た。質問は飛行方式の検討の前提となる基本的な運航性能を具体的な状況を設定して問いただしているのである。かかる質問に再度誠実に答えられたい。
それとも、担当官はかかる運航性能を前提とすることなく、飛行方式の検討に当たつているのか。
二 新東京国際空港公団(以下「空港公団」という。)が、昭和四十七年四月に発表した予測騒音コンター図に関する答弁について
(1) 防音堤及び防音林が場外に対して、一〇WECPNLの減音効果があると主張するが、これはいかなる科学的な根拠に基づくのか。批判に耐え得る客観的な事実をもつて明らかにされたい。
(2) 防音及び防音林のかかる減音効果について同意を与える学識経験者があれば、その名を明らかにされたい。
(3) 滑走路末端におけるコンターと防音堤を曲線で結ぶことによつてコンター図を作成したと主張されるが、かかる曲線で結ぶということの科学的根拠は何か。安易に、機械的に処置したのか。
(4) 「航空機の離陸滑走及び飛行状況等と防音堤及び防音林の関係については、更に詳細に検討することを考えている。」との回答を得たが、何ゆえかかる検討をすることなく、予測騒音コンター図なるものを作りあげ発表したのか。
(5) 昭和四十七年四月に予測騒音コンター図が発表されて以来はや二年を経ているが、空港公団の航空機騒音の担当官は、防音堤及び防音林の状況の中での検討を怠つた理由は何か。また、責任の所在はどこにあるのか。
(6) 「公団において作成したコンターは、空港の風向から考えて航空機の離発着が南側・北側とほぼ同数にあるため、コンターの作成に当たつて離発着それぞれの場合におけるコンターのうち大きい方のコンターを採用して合成している。」という回答を得たが、大きな方のコンターを採用して合成しているとして、代数和ではなく、いわば論理和を用いている理由を明らかにされたい。
(7) 「逆推力が発表されたコンターの大きさに影響を与えることはない。」と主張するのであるから、着陸だけを考慮したコンター図を図示されたい。
(8) 着陸だけの騒音コンターの作成に当たつて、逆推力の効果を考慮に入れているか。入れていないとするならば、その理由は何か。
(9) 「なお詳細に検討し必要があればコンターを修正する。」と答弁されているが、かかる検討はどこの機関で行われるのか。また、なぜ今まで行われなかつたのか。
(10) 空港公団の発表になる予測騒音コンター図について、東京大学宇宙航空研究所の五十嵐寿一教授から「妥当」なる評価が得られているのか。又は、得られる見込みはあるのか。
三 「工事の進捗状況との関連において、環境基準を達成するために必要な騒音対策を講じていく考えである。」と答弁されているが、騒音対策というものが、あくまでも二次的な、あるいは従属的なものとして空港計画では考えられているのか。
四 「環境基準に示された騒音測定方法により同一の騒音基準で区域の指定を行う考えである。」と答弁されている。
(1) かかる区域指定は、空港公団による予測騒音コンター図による区域指定とは独立に行うのか。
(2) 年間の使用ひん度が少ない場合でも、騒音コンターの算出は、一月に離着陸する航空機の数を年間平均の値を用いて行うのか。行うとするならば、その科学的根拠は何か。
五 民家防音工事に対する答弁について
今後国によつて行われる民家の防音工事は、今まで千葉県が行つていた民家の防音工事を経済的にかたがわりするだけなのか。それとも、政府自らがその欠陥を指摘した民家の防音の千葉県方式が中止となり、あるいは変更されるのならば、その内容を具体的に明らかにされたい。
六 民家の防音の居住性に関係する答弁について
(1) 「昭和四十七年度から所要資金を投じ……」と答弁されているが、民家の防音の居住性の問題解決のために投じられた調査研究費について、昭和四十七年度及び昭和四十八年度の予測決算を明らかにされたい。
(2) 航空公害防止協会に公正な、かつ、科学的な調査研究能力があるとする根拠を明らかにされたい。
(3) 社会的な紛争が前提となつているかかる調査研究については、その第三者的な性格が絶対的に要求されると思うが、そうでなくともよいとするならば、その理由を明らかにされたい。
(4) 何ゆえ、千葉県の行う民家の防音工事について、居住性に問題があるのか。その科学的根拠を明らかにされたい。
(5) 何ゆえ、居住性に問題がある防音工事を千葉県に行わせたのか。
(6) かかる居住性の問題に本質的な解決策があると本気で考えているならば、その理由を明らかにされたい。
(7) 居住性に問題があることは最初からわかつていたのか。それともいつごろわかつたのか。
(8) 航空公害防止協会における居住性問題解決に対する調査研究は、いかなる形で行われているのか。期限、スタッフ、その他を明らかにされたい。
七 教育環境と防音校舎に対する答弁について
(1) 「教育施設を防音工事することによつて、騒音による授業の中断等の障害は防止される。」との回答を得たが、このことにより教育環境の破壊がなぜ起こらないと言えるのか。
(2) 教育環境の構成要件について個別的に明らかにされたい。
(3) 「児童は良い環境の中で育てられる。」と児童憲章にうたわれているが、教育環境を防音校舎によりゆがめることは、かかる児童憲章に抵触しないか。抵触しないとするならば、その理由を明らかにされたい。
(4) 「防音校舎の利用が直ちに教育環境の破壊をもたらすことにはならない。」ということは、結果的には教育環境の破壊があり得るということを否定していないとしてよいのか。
八 騒音対策と称して騒音地帯へ移転させることに対する答弁について
(1) 野毛平地区の集団移転については、移転者との納得の上にこの移転計画を進めているとのことであるが、開港後、航空機騒音などのもたらす被害のひどさに耐えかねて、移転者住民が、例えば裁判等を通して行う請求権は放棄させられているのか。
(2) 「新空港の位置決定以前から騒音対策について地元と協議を重ねており……」と答弁されているが、かかる協議が行われた日時、場所及び内容を明らかにされたい。
(3) 新空港の位置が富里村地区から成田市三里塚地域に変更となつた日時、理由を明らかにされたい。
(4) 千葉県知事が、新空港の位置変更に対して関係する住民に対し、航空機騒音公害のひどさを説明していたと国は理解しているのか。
(5) (4)において理解しているとするならば、どのような形で住民への説明がなされたのか。
九 成田空港の運用時間制限に対する答弁について
(1) 答弁では、橋本登美三郎運輸大臣と友納武人千葉県知事との間で交わされた了解事項には触れられていないが、かかる運用時間制限に関する了解事項は現在消滅しているとしてよいのか。
(2) 千葉県知事との了解事項が現在なお継続しているとするならば、かかる運用時間制限をうけることは、新東京国際空港が重要な国際航空路線の用に供することができるものであるということに抵触しないのか。その理由は何か。
(3) 国は、成田空港の運用時間が二十四時間であるとして、各種の騒音対策を講じているのか。あるいは、いかなる運用時間を前提として騒音対策を行つているのか。
十 銚子VORTACに関する答弁について
(1) 銚子VORTACの使用目的が変更となつた理由として、「既存ルートに結びつける飛行コースについて高度及び通過地域等について諸制約が生じたため……」と答弁されているが、かかる諸制約の内容を具体的に明らかにされたい。
(2) かかる制約が、改めて発生した原因は何か。
(3) いつ、かかる制約の存在に気がついたか。
右質問する。
政府答弁書
一について
(1)及び(2) 御質問のような状況下における飛行コースについては、基本的には六、〇〇〇フィートを確保するよう設定することとしている。
(3) 御質問に係る運輸省の千葉県に対する回答は、A滑走路に関するものである。
なお、B及びC滑走路については、供用可能となつた時点で、航空機の性能・管制方式等を勘案して飛行コースを設定すべきものであると考えている。
(4) 飛行方式を検討する場合には、隣接の区域及びそこにおける飛行コースの構成との関係を前提とすることが不可欠であるので、二、〇〇〇メートルに達するまで直進上昇するという想定では成田空域での具体的な状況に適応できず、具体的な飛行コースは設定できない。
航空機の上昇率は、機種・重量・風向・風速・大気温度・速度・旋回等によつて異なるので、B747・最大離陸重量・無風の想定の下でも、夏の暑い日の温度及び上昇方法の差異によりある高度に達する地点は異なつてくる。
二について
(1)及び(2) 新東京国際空港(以下「新空港」という。)の周辺に設置する防音堤及び防音林の効果については、昭和四十二年、新東京国際空港公団(以下「公団」という。)が日本音響学会及び日本林業技術協会に諮問した結果によつているものと承知している。
(3)及び(4) 公団としては、音源の高さの変化による防音堤及び防音林の減衰効果を考慮して曲線で表現したが、将来更にこれらの減衰効果と航空機の滑走距離・上昇パターン等との関係を検討していくことを考えている。
(5) 防音堤及び防音林については、場内の地上騒音を空港周辺に対し軽減するものであるので、更に前記の答申に基づき防音堤及び防音林の設置箇所・構造等についても検討し、予測騒音コンター図を縮小するよう努力しているところである。
(6) 新空港における航空機の発着数は年間南側、北側ともほぼ同数であると考えられるが、予測騒音コンター図の作成に当たつては、年間離陸便全便が南側からのみ離陸し、着陸便全便が北側のみから着陸する騒音コンター図を作成し、次に北側のみから離陸し、南側のみから着陸する騒音コンター図を作成して、両方を一枚の図面に示したものであると承知している。
(7)から(10)まで 逆推力の騒音は、飛行場内の地上騒音であり、離陸音と同様に考えて、これらの騒音の影響を場外にできるだけ与えないよう検討しており、防音堤及び防音林の設置やその他緩衝緑地帯を設けることにより減少させることも可能であるので、公団においてこれらを検討中である。
三について
前回の回答は、空港計画において騒音対策が従属するということを意味するものではない。
騒音対策については、十年以内に環境基準を達成することを前提として空港計画を考えている。
四について
(1) 公団が、C滑走路の予測騒音コンター図を作成し、公表したことはない。
(2) C滑走路の予測騒音コンター図についても、環境基準に示された騒音測定法により、同一の騒音基準で作成する考えである。
五について
新空港に係る民家の防音工事については、今後公団において公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律第八条の二に基づく惜置をとることとしている。なお、その具体的内容については検討中である。
六について
(1) 御質問に係る調査・研究費は、次のとおりである。
昭和四十七年度
一三、八〇〇千円
昭和四十八年度
八、〇一一千円
(2) 財団法人航空公害防止協会は、航空機騒音による障害の軽減のための諸対策・諸研究に寄与し、周辺住民の生活環境の改善等の目的をもつて設立されたものである。
(3) 公正な調査研究が維持されるべきと考える。
(4)から(7)まで 民家の防音工事については、居住性の問題を含めできる限りその改善に努めることとしている。
(8) 防音住宅の実験工事を行い、必要に応じて専門家の助言を得て調査を行つている。
七について
(1)及び(4) 教育施設の防音工事は、騒音によつて生じた障害を除去し、良好な教育環境を保持するために行つているところである。
(2) 教室や屋内運動場等の区分に応じて温度・照度・換気・静かさ等が適切に保持されることが必要と考えられる。
(3) 防音校舎においても温度・照度・換気・静かさ等が適切に保持されるならば、教育環境が損なわれているとはいえない。
八について
(1) 野毛平地区の移転については、同地区の住民と十分に話し合い、納得のうえ地元住民の意志を第一としたもので、将来公団と移転者との間に問題が起こるとは考えられないと聞いている。
(2) 運輸省は、昭和四十年から昭和四十一年七月の新空港の位置決定まで、千葉県と騒音対策について協議を行つており、また、昭和四十一年六月には、運輸省より県・県議会・成田市・芝山町・地元住民に対し新空港の騒音地区の範囲等について説明を行つている。
(3) 新空港の候補地については、昭和三十八年八月運輸大臣は、航空審議会に「新東京国際空港の候補地及びその規模」について諮問を行い、同審議会は、航空管制・気象条件・工事上の問題・都心との連絡などの立地条件を検討した結果、同年十二月千葉県富里村付近が候補地として最も適当である旨を答申した。
その後政府部内において更に検討が続けられたが、最終的には、(ア)国有財産である下総御料牧場及び県有地を最大限に活用すること、(イ)買収民有地をできるだけ小範囲にとどめること、(ウ)気象上の条件及び工事上の条件が整つていることなどの観点から、昭和四十一年七月四日の閣議で新空港の位置は、千葉県成田市三里塚町を中心とする地区とすることに決定された。
(4)及び(5) 航空機騒音についての千葉県知事の関係住民に対する説明内容は、了知していない。
九について
(1)及び(2) 昭和四十六年一月八日付けで友納千葉県知事から「新空港を利用する航空機の運用時間について、緊急の場合を除き二十三時から六時までの運航停止を厳守されたい。また、二十二時以降の運航便数を極力制限されたい。」という要望があり、橋本運輸大臣は、これに対し同年一月二十九日付けで「二十三時から六時までの間は航空機の運航ダイヤを認めないこととするが、航空機の運航に当たつて遅延等を生じた場合は、例外として処理することとしたい。また、二十二時以降の運航便数についても、東京国際空港の現行便数を上回らないように努力したい。」との回答を行つている。
(3) 公団は、新空港の騒音対策の前提として、東京国際空港と同等の早朝・夜間の発着規制を想定している。
十について
諸制約の内容は以下のごときものである。
(イ) 新空港北側より着陸する航空機の御宿VORDMEから利根川までの間の飛行高度を六、〇〇〇フィート以上とすることを勘案して検討している過程で、御宿VORDMEは羽田空域用に使用した方がより効果的であるという結果がでてきたこと。
(ロ) 内陸における離着陸以外の飛行高度について六、〇〇〇フィート以上とするとともに、運輸省としては九十九里から利根川までの間の直進上昇・直進降下を基本とする出発進入コースについてもできるだけ十分な高度をとることとしていること。
(ハ) (イ)及び(ロ)により、新空港開港後の成田空域及び羽田空域についての当初構想を変更する必要が生じたこと。
なお、このような制約が発生したのは、当初の構想がたてられてから以降である。
右答弁する。
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